ON AIR REPORT オンエアレポート

ギリシア神話とクラシック

16/08/01


こんばんは、TOKYOFM、FMOSAKAに加えて、今回からFMFUKUOKAでもお聴きいただけることになりました!
どうぞよろしくお願いします!

リオデジャネイロでのオリンピックも近づいてきました。近代オリンピックは、古代ギリシアのオリンピアの祭典をもとに始まっていますが、これはギリシア神話に起源があると言われています。ギリシア神話は、クラシック音楽にも深く関連しています。今日は、「ギリシア神話」にまつわる音楽に注目しました。

<プレイリスト>
M1 グルック作曲、 歌劇《オルフェオとエウリディーチェ》より<精霊の踊り>
ヘルベルト・フォン・カラヤン(指揮)、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団

M2 ドビュッシー(横山幸雄編曲) 《牧神の午後への前奏曲》 
横山幸雄(ピアノ)(1994年のアルバム『イマージュ』より)

M3 ドビュッシー 《前奏曲集 第1巻》 より第1曲<デルフィの舞姫>  
横山幸雄(ピアノ)、東京 三鷹市芸術文化センター、Voyageシリーズ第2回(2012年3月4日)のライブ録音

M1のグルックはオーストリアとフランスで活躍したオペラ作曲家。マリー・アントワネットの音楽教師でもありました。「オルフェオとエウリディーチェ」は、竪琴弾きの夫オルフェオが、死んでしまった妻エウリディーチェを冥界から連れ戻す途中、決して振り返ってはならぬ、と神から言われていたにも関わらず、不安にさいなまれ振り返ってしまい、妻は絶命する、しかし愛の神によって再び命を取り戻す、という物語です。初演は1762年のウィーン。本作は音楽界に衝撃を与え、オペラを改革した作品。当時は歌手至上主義のイタリアオペラが流行していましたが、グルックは音楽とドラマ、ソロ歌手と合唱が一体となった作品にしたのです。また、このオペラは日本人が最初に上演した本格的な歌劇として、日本洋楽史上においても重要な作品です。

M2は、もとは1892-1894年にかけて作曲された管弦楽作品。 詩人マラルメ の『牧神の午後』(『半獣神の午後』)に感銘を受けて書かれた作品。 " 夏の昼下がり、牧神が昼寝のまどろみの中で官能的な夢想に耽る"という内容で、牧神の象徴である「パーンの笛」をイメージする楽器としてフルートが重要な役割を担っています。 作曲者による二台ピアノ用編曲(1985年出版)、モーリス・ラヴェルによる連弾用編曲(1910年出版)、イギリス出身のピアニスト、レナード・ボーウィックによるピアノ独奏用編曲(1914年出版)も知られています。今夜は編曲:横山幸雄版をご紹介しました!横山さんは、オーケストラの個々の楽器の音色や雰囲気にピアノでどこまで近づけるかを追求して編曲したそうです。

M3も、ドビュッシー。各曲のタイトルは、固定観念に縛られないようにとドビュッシーの配慮から、各曲の終わりの余白に小さく書込まれました。第1集の冒頭を飾る本作は、ギリシャの古い都であるデルフォイの有名なアポロンの神殿の遺跡で、神に捧げる踊りを柔らかく描いています。ルーブル美術館の彫刻にインスピレーションを得て作曲したと言われます。

ギリシア神話を題材にした音楽は、ほかにも、ベートーヴェン《アテネの廃墟》《プロメテウスの創造物》、シューベルト《ギリシャの神々》、ラヴェル《ダフニスとクロエ》など数多くあります。そして、たとえば、音楽(ミュージック)、アミューズメント、ミュージアム、モザイクなど学問や芸術をつかさどる9人の女神たち<ミューズ>を語源にした言葉もたくさんあります。