NAGOMI Setouchi

2019
08/10

瀬戸内国際芸術祭 edition
Setouchi Triennale 2019
「豊島編①」

もしあなたが鳥になり、瀬戸内の空を飛んでいけば、あまりに美しいその景色に涙を流すことでしょう。青い湖のような瀬戸内海に、ぽこぽこと浮かんでいる島々。陸地には森や田畑が広がり、穏やかな海には漁船が行き交います。瀬戸内を旅すると、あなたは、海と山とがかくも近くに存在し合っていることに気づくでしょう。山が雲を集め、雨を降らせ、森を育み、流れる川は海へと注ぎ込みます。いのちの繋がり、多様性・・・瀬戸内は、そんなことを教えてくれます。シルクロードの命名者として知られる、ドイツの探検家・地理学者、フェルディナンド・フォン・リヒトホーフェンは、明治維新直後、瀬戸内を旅し、日記にこう書きました、「これ以上のものは、世界のどこにもないであろう」

瀬戸内国際芸術祭2019の夏会期が始まりました。瀬戸芸スペシャル・ナビゲーターの前田エマさんは、瀬戸芸の舞台となる島や町、集落を訪れ、取材しました。今週は、豊島へ。
「瀬戸内国際芸術祭2019」

高松海上タクシーで豊島へ。高松港から船に乗って、およそ50分ほどで到着します。

豊島の唐櫃港が見えてきました。

アメリカの、『ナショナル・ジオグラフィック・トラベラー』誌が選んだ、「2019年に行くべき世界の旅先」で、堂々ナンバーワンに選ばれたのが、日本の、「Setouchi(セトウチ)」です。そんな瀬戸内の旅先の中で、特に人気が高い場所が、直島と、豊島。1年を通じて大勢のアート・ファンが、国内外から訪れています。前田エマさんが豊島に着いた朝も、港には、フランス語、イタリア語、中国語、韓国語など、多様な言語が響いていました。森島丈洋さんは、かつて瀬戸内を旅し、豊島を大いに気に入り、通うようになり、そして、豊島の住民、島民になった移住者です。島のイチゴ農園で働き、今は、豊島を案内する名ガイドであり、様々なメディアを通じて島の魅力を伝える、コーディネイター、島の案内人です。
「テシマサイト」

森島丈洋さん、前田エマさんを車に乗せ、最初に向かったのは、豊島の最高峰「壇山」の山頂にある、展望台。左に香川県、右側に岡山県の、海と島々が見渡せます。

豊島へやって来た人の、きっとほぼ全員が一度は訪れる場所……。そして、一度訪れると、二度、三度と繰り返しやって来る人も多いという「豊島美術館」。この日も、美術館のチケット売り場前には、世界中から、大勢の人々が集まっていました。

豊島の、瀬戸内海を望む唐櫃の小高い丘、その緑の中に現れる、豊島美術館。アーティスト・内藤礼と、建築家・西沢立衛による作品です。白い、水滴のような形をした建造物。柱が一本もないコンクリート・シェル構造で、天井にある2つの開口部から、島の風、音、光、雨や雪までも直接なかに取り込む、まさにオーガニックな空間。そこでは、1日を通して「泉」が誕生しています。四季を通して、そして、一日の中で無限の表情を伝える、奇跡的な場所です。
「豊島美術館」

周囲には、唐櫃の棚田が広がります。そして、眼下には瀬戸内の多島海の風景。

ただずっと、見続けてしまう場所、風景。言葉がありません。

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