浜崎 紆余曲折を経て、現在があるんですね。コーヒーショップで女性オーナーというのは珍しいと思います。これまでに、女性だからこそ、苦労したことはありましたか?

荒井 むしろ女性であることが、私の場合はいい意味で活かせたと思います。もちろん「男を立てないと駄目だ!」とか、「女の子なのに大変ね」と言われたこともありますよ。でも、初めて会う方はみなさん「おじさんが経営者かと思った」と驚かれるんです。そのギャップを上手く活かして、活動の幅を今日まで広げてこられた気がします。

浜崎 なるほど。そうなんですね。

荒井 私は“母性”で動いているところがあります。それはスタッフの教育や採用も一緒です。だから面接でも、「大手に行った方がいいですよ」とアドバイスすることもあるんです(笑)。

浜崎 その荒井さんの“母性”も、ソルズコーヒーの優しい味の秘密なのかもしれませんね。


荒井 ありがとうございます(笑)。でも、ソルズコーヒーで買う意味、というのは考えていますよ。

浜崎 というと?

荒井 コーヒーはどこでも買えるじゃないですか。わざわざソルズコーヒーまで足を運ぶ意味。そのためにいつも、朝は「いってらっしゃい」の気持ちを込めて、コーヒーをお渡ししています。常連さんが「今日は会社に行きたくない」と言えば、私は「がんばって!」と背中を押します。そういうコミュニケーションもすごく楽しいですし、それがこの仕事をしていてよかったと思える瞬間でもあります。

浜崎 ソルズコーヒーは、蔵前から毎朝「いってらっしゃい」を発信しているんですね。

荒井 そうとも言えるかもしれません。

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