浜崎 中野さんが、働く上で大切にしていることは何ですか?

中野 「喜んでもらえること」ですね。昔は革製品を作ることは、あくまで“商売”でした。ですが、スカイツリーができた2010年ごろ、地域のいろいろな業種の職人や作家、クリエーターたちによるものづくりイベントの開催が増えたんです。そこで子どもから大人まで現場に触れ合ったり体験することで、みんなが喜んでいるのを目のあたりにしました。商売よりも大切なものがあることに気付きました。(※墨田、東東京はものづくりの人が多い)

浜崎 みなさんの笑顔が、中野さんにそのことを教えてくれたんですね。

中野 はい。数字ばかりに追われるのではなく、人を笑顔にすることを、いまは大切にしたいです。

浜崎 それもこの街で、お店を出されたからこそ、得られた経験ですよね。

中野 そうだと思います。自分もワークショップを開いたことで、たくさんの人と出会えて、良い経験をさせてもらっています。

浜崎 昔といまでは、価値観もだいぶ変わったのではないですか?

中野 180度変わりましたね(笑)。昔の自分は視野も狭かったですし、生産管理と数字に悩まされ、振り回されてばかりでした。現在は、いまの時代、モノがありふれていますから、その中で何が必要なのかということをよく考えています。

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