三協フロンテア presents The Starters(ザ スターターズ)

パーソナリティ ユージ・吉田明世20代~30代の若手起業家をゲストに迎え、
彼らがどんな発想や未来への展望を持ってブレイクスルーを起こそうとしているのかお話を伺います。
高い意識とモチベーションで社会に風穴を開けようと取り組む彼らの話が、
「あなたも、世の中を変えられる!」という、
朝、仕事へ向かうビジネスパーソンのやる気のカンフル剤になることを目指してゆきます。

Guest ゲスト

2019.09.03

無価値なものを価値あるものに変える企業

株式会社ムスカ 代表取締役CEO
流郷綾乃
ハエを使ったバイオマスリサイクル

今週は【昆虫テクノロジーのスタートアップ企業、
株式会社ムスカ 代表取締役CEOの流郷綾乃さん】です。
1990年生まれ。高校卒業後は、アロマセラピストとして働き、
結婚、出産を経て21歳の時に営業代理店に就職。
25歳の時にフリーランスとなり、様々な企業の広報業務、人材教育を担当。
28歳でムスカの暫定CEOに就任。現在は代表取締役CEOです。

まずはムスカの事業内容を簡単に教えていただけますか?

「何と言っても主役はハエ。イエバエという種類のハエの幼虫を活用して、
 畜産の排泄物などを分解して、有機肥料と飼料にする
 100%バイオマスリサイクルシステムを開発したというものです。」

会社名のムスカという名前はどこから来ているんですか?

「イエバエの学名が「ムスカ・ドメスティカ」というんです。
 そこから株式会社ムスカという名前になっています。」

そのハエを使ったリサイクル技術はどういった経緯で生まれたんですか?

「もともとは旧ソ連の宇宙開発事業の一つだったんです。
 株式会社ムスカ自体は2016年に創業しているんですが、
 前身の企業がソ連の技術を買い付けてきた会社で
 その中の一つがイエバエの高速培養で弊社が付与している技術になります。
 半世紀近い技術になるのですが、その半世紀の間選別交配というものが
 行われ続け、今は1,200世代に拡大しました。」

より必要な能力の高いハエを選んでいくということですね。 

「そうですね。宇宙で使われようとしていたので
 ロケットの中で完全なる循環を回すために
 狭い空間で活かしていく能力を持ったハエが選別されました。
 日本では20年くらい前から選別交配され続けていて
 創業者である先代の串間がこの技術を買い付けてきてきました。
 何のために買い付けてきたかというと、
 今でこそSDGs(持続可能な開発目標)とか
 サスティナビリティだと言われていますが
 20年前それこそイケイケゴーゴーな日本の時に環境のことを
 ものすごく考えていた方だったんです。
 自分たちの畜産や養殖といったものを、本当に美味しいものが手に入るように
 この技術が必要だと、完全なる循環を目指した街づくりをしていこうと
 ところからのこの事業という形になるんですけど。」

そういった発想があの時代にできていたこともすごいですし
それがハエと結びついたというものすごいことですね。

「何の出会いか、それが日本にあることも奇跡的だと私は思っています。
 その間1,200世代なのでハエはずっと世代交代し続けていて
 命のバトンを繋いでいるなと私は思っているんです。」
 
ムスカの事業が注目されるようになったのはいつ頃からですか?

「やはり国連のFAOが昆虫食を食べないとダメだと
 食糧危機ですよと言われ始めた頃で、
 日本はそこから遅れてくるので、
 2017〜8年くらいウチが創業する頃には、
 食糧危機という言葉もちょっとずつ浸透してきて
 SDGsが始まったのがその辺りですよね。
 "時代が追いついて来た"と創業者は言ったりしていますけれど。」
 
そして、流郷さんは、どういった経緯でムスカのCEOになったんですか?

「もともとフリーでPRの仕事をしていて、
 ムスカもPR担当、広報としてジョインした形です。
 そこからあれよあれよと暫定CEOということで代表にさせていただいて
 2019年4月には暫定を取り今に至るというような形です。」

そんな流郷さんも、最初に出会った時には理解が出来なかったと語ります。

「ハエの企業のPRをしてくれない?と言われて何の話ですか?という感じですよね。
 私は正直ハエが好きではないですし。
 ですが、ものすごい企業だと思っています。
 ゴミという無価値なものを価値のあるものに
 変えられるというのはすごいことだなと。
 地球がやっていることそのものであるということにすごく感動して
 ハエってなかなかいい奴というのを私も聞いた時に感じました。
 それをいかに伝えていけるかというところに広報として喜びを感じますし
 これを伝えなければ地球は存続しないなと思っているので
 それを伝える意義があると。」

最後に、これまで乗り越えてきたハードルを教えて下さい。

「子育てと仕事というのは結構ありますね。
 子どもが2人いて、母に仕事を辞めてもらって
 子どもの面倒を見てもらっているんですが、
 そこに至るまでの決断は、ムスカをやりたいというのもあり色々ありました。
 いい環境を作れたことが誇りに思うことだったりします。」

流郷さんには来週もお話うかがいます。
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