ジブラルタ生命 Heart to Heart ありがとう、先生！ アナザーストーリー

2016年6月5日のショートストーリー

「不得意こそ自分の宝」

[ストーリー]

もしかして「辞めろ」って意味なのかも。
すっかりそう思い込んでいた。

自分では得意だと思っていたPRの仕事から
一番苦手な予算を管理する部署への異動。
しかもこんな時季外れ。
私は入社以来初めて、上司に直接理由を聞きに行った。

「不得意こそ自分の宝」

上司は、かつて恩師からもらったというその言葉を
さらりと言って笑った。
私は、なぜ笑われているのかもわからず、
今にも泣きだしそうだった。
その姿を見て、上司はさらに笑った。

聞けば、私は一定以上の評価を得ているということだった。
だからこそ、今のうちに苦手なことをするように仕向けたという。
不得意で避けてきたこと。
言ってみればそれは、伸びしろだったということか。

まっとうすぎる指摘に深く納得しながら
気づかなかった自分が少し悔しくもあった。

さらにパワーアップして絶対にまたここに戻ってくる。
私はそう誓った。

埼玉県「ありんこ」さんの先生の忘れられないコトバでした。
脚本・杉山ジョージ

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