ジブラルタ生命 Heart to Heart ありがとう、先生！ アナザーストーリー

2013年10月6日のショートストーリー

「食べる」という字は「人」を「良くする」と書きます

[ストーリー]

幼い頃の私と怜ちゃんは、
いつも給食を食べるのが遅い子供だった。

同級生にからかわれても、動じない怜ちゃんに対して、
気の弱い私は、給食の時間が嫌いになり、
やがて、どんどんお昼を食べなくなっていった。
そんな時、担任の先生が皆の前で、
黒板に大きな文字を書きながら言った。

「「食べる」という字は「人」を「良くする」と書きます。」

すると怜ちゃんは、「ほらね」と言わんばかりの顔で私をみて、
その日から、卒業の日まで、
私たちはいつも、ゆっくりと、でも、残さずに給食を食べるようになった。

そんな私が母となり、
そして、同じく食べるのが遅い息子に
私は、合言葉のようにこの言葉を教えている。

ある時、久々に会った怜ちゃんの前で、
一生懸命ご飯を食べる息子が
「僕、いい人になるためにご飯いっぱい食べるんだ」といった。

怜ちゃんはすぐにあの言葉を思い出し、笑い合い、
そして、私たちは懐かしい気持ちで、息子を眺めていた

東京都「さあ」さんの先生の忘れられないコトバでした。
脚本・永坂久美

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