ジブラルタ生命 Heart to Heart ありがとう、先生！ アナザーストーリー

2015年2月22日のショートストーリー

「スピードはそれぞれ、ゴールすることが大切」

[ストーリー]

その頃の私は、保育園に娘を連れて行くのも
少し気が引けるようになっていた。
同じ頃に生まれた他の赤ちゃんが
次々と掴まり立ちしたり、
歩きだしたりするなか、
うちの子にはその気配もない。

「お上手ね〜」と言い続けることにも疲れてしまった私は、
幼い娘を見ながら、
どうしたらいいか分からなくなっていた。

遠く離れた母に電話で相談すると
後日、「連絡帳」と書かれた
一冊の古ぼけたノートが送られて来た。

母、そして担任の先生とのやり取りが綴られたそのノートには、
何をするにも他の子供より時間がかかる
小学校入学当時の私の様子が綴られていた。
初めて見るそのノートをめくっていくと、
中には先生の文字で、こんな言葉が書かれていた。

「スピードはそれぞれ、ゴールすることが大切」

母に、そして、私に、焦らず進む勇気をくれた先生の言葉。

私は、ふと我に返り、
無邪気に笑いかける娘を
思わず、ぎゅっと抱きしめた。

長崎県「ぽんず」さんの先生の忘れられないコトバでした。
脚本・永坂久美

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