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番組スタッフ
「見逃してはならない由々しきことだ」「本当にどうでもいい」
賛否両論ある、お笑い芸人・河本準一さんによる生活保護不正受給問題。
河本さんと同じくらい、限りなく中心に近い渦中にいるのが、片山さつき議員です。

あえて経緯を説明する必要はないかもしれませんが、
「週刊誌で河本さんの生保不正受給疑惑が浮上」→「ネットでバッシング」
→「片山さつき議員が疑惑を追求すると宣言」→「河本さん謝罪」

…というような流れで、騒動は今も続いています。

片山議員が、何がきっかけで疑惑を追求しようと思ったのかはわかりませんが、
ネットの反応を見ると、「ネット住民が片山さつきを動かした」という声があります。

事実、これまでにネットの声は、「現実」を動かしています。
「蓮舫バッシング後のスパコン・京の世界一位奪還」「フジテレビへのアンチ韓流デモ」など、
小さなネットの声が大きくなり、リアルを動かした瞬間はいくつかあるようです。

今回の河本さんの一件のように、時には政治を動かしうるネット住民の声。
そのチカラは政治家も認めています。
ネット住民の声が政治に動かすことについて、民主党の鈴木寛参院議員はこのように語っています。
「彼らは現実に政策へ影響を与えている。従来は組織化された団体の声しか届かなかったが、教師や医師といった現場の声、集合知を得られるようになった」
<MSN産経ニュース:ネット世論、議員を翻弄 「政治家も人気商売」>

実際、政治家の中にもネットの動向を注視している議員もいるようです。
民主党のある若手議員は「最近はまった人は、ネット上の批判を気にする。
その結果、国会や記者会見でその批判を取り上げ、現実の問題となってしまう」
と述べています。

生活保護不正受給の問題を、社会に知らしめた今回の件ですが、
政治とネットの距離が近くなることに警鐘を鳴らす人もいます。

国立情報学研究所の小林哲郎准教授=社会心理学=によると、
アメリカではネットの普及で社会問題への関心や知識が分化し、
社会が共有すべき重大な政治課題の合意形成が難しくなっているのだそうです


小林准教授は次のように語っています。

「かつて米国人はテレビの3大ネットワークから共通の情報を得ていた。
やがてケーブルテレビで見たい番組を見るようになり、さらにネットニュースのほか、
フェイスブックやツイッターなどのソーシャルメディアで好みの
情報ばかりに囲まれるようになった」

<MSN産経ニュース:ネット世論、議員を翻弄 「政治家も人気商売」>

余談ではありますが、「あいのり」出身の横粂勝仁衆院議員は、
パソコン画面の検索窓に自分の名前を打ち込んで、
インターネットで自身が話題になっていないかどうか定期的に確かめているそうです。
政治家の本質的興味の対象はどこに向かっているのでしょうか。
ネットの反応を気にされる政治家の皆さんには、有権者のご機嫌とりは
ヤメていただきたいと願います。

生活保護の不正受給問題は見逃してはならない問題です。
しかし、100年に1度の世界的経済不況と、1000年に1度の大地震に見舞われた日本で、
「社会が共有すべき重大な政治課題」として優先されるべきことは他にあるはずです。


スタッフ:坂本
(2012/5/31 UPDATE)
番組スタッフ
国内のすべての原子力発電所が停止中の日本。政府は18日、この夏の電力需給対策を発表しました。

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YOMIURI ONLINE
政府、今夏の電力需給対策正式に決定
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20120518-OYT1T00441.htm

(記事より引用)
猛暑だった2010年夏のピーク時と比べて関西電力15%、九州電力10%、北海道電力7%をそれぞれ上回る節電目標を定めた。必要に応じて関電と九電に電力を融通するため、四国電力に7%、中部、北陸、中国の3電力にも5%を上回る節電を求め、西日本全体で危機を乗り切る。これにより関電管内での電力使用制限令の発動は回避する。
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東京電力管内には数値目標はありませんが、節電・ピークカットを引き続き心がけようという方も多いと思います。

さまざまな省エネ・節電グッズや自家発電製品が並ぶ家電店。なかでも売り場の目立つ位置を占めている「太陽光発電」には興味津々な私ですが、住宅事情やコスト面を考えると、ちょっと手を出せない・・・
そんな太陽光発電のミニシステムを「自作」するワークショップがあると聞き、先週の土曜日、見学に行ってきました。


会場は、由比ヶ浜の鎌倉海浜公園で行われていたコミュニティ・マーケット「鎌人(かまんど)いち場」の「エネルギー」コーナー。鎌倉、逗子、葉山を中心にエネルギーシフトに取り組んでいる地域グループ「たいよう構」のブースです。

たいよう構
http://taiyoukou.greenwebs.net/

(こちらのサイトのレンタルサーバーは風力発電の電力を使用しているのだそうです)

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鎌人いち場のエネルギーコーナー


節電アイデアを競う「節電コンテスト」や、契約アンペア数の見直しに便利な測定機器「A(あ)らま〜」、手軽に取り入れられる安価なオフグリッド製品の紹介など、自宅や職場ですぐに実践できそうなヒントがいっぱいでした。

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相模原市内の企業7社が集まって開発した「A(あ)らま〜」(税込9,975円)。ブレーカーに接続し、目盛りで設定したアンペア数を超えるとアラームが鳴る


組み立てワークショップは、たいよう講ブースの一角で「藤野電力」が開いたもの。藤野電力は、相模原市の旧藤野町区域を中心に、自立分散型の自然エネルギーによる地域活性化に取り組んでいる団体です。

藤野電力
http://fujinodenryoku.jimdo.com/



ワークショップの受講料は組み立てキット付きで45,000円(見学のみは1,000円)。
キットの中身は、新聞紙の一面よりひとまわり大きなソーラーパネル、インバーター、チャージコントローラー、シガーソケット、バッテリー、ケーブル・コネクタ類。
このサイズのソーラーパネルで、1時間あたりの最大発電量はおよそ50Wh。晴天時の1日の発電量はおよそ200Whで、ノートパソコンなら4〜6時間、液晶テレビなら5〜8時間使用できるとのことです。
安くはありませんが、自分で作れる喜びと後々使えることを考えると、なかなか魅力的な金額だと思います。どうですか?

参加者8名と見学者10名。始まる前から、みなさんとても真剣で楽しそうです。

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作業手順の説明を聞くみなさん

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一人分のキット。足元にバッテリーが置いてある


組み立てキットの部品を順につないでいく作業なのですが、ケーブルを剥いて芯線を出したり端子に圧着したりするところが難関のようです。参加者のなかにも苦戦している方の姿がありましたが、インストラクターの方が素早く駆け寄って丁寧に教えていました。

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被覆の剥き方を実演する藤野電力の小田嶋さん(写真右)


作業開始からおよそ1時間半で、手作りのミニ太陽光発電システムは完成しました。
この日の由比ヶ浜は、日焼け止めを何度も塗り重ねたくなるような「太陽光発電日和」。さっそく電球をつないだり、iPhoneを充電したりするみなさん。下の写真の男性は「圧着のところが、普段やらないことだからちょっと難しかった」とのこと。それを乗り越えての笑顔です。

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自作ソーラーシステムで電球が点灯!


もう一人、節電コンテストで準優勝して、このワークショップにも参加していた30代の男性にもお話を伺いました。実際にどんなものに使いますか?

「“太陽光で動いてる!” と見てわかるようなものに使いたいですね。扇風機かな・・・。ご飯とか炊けちゃったら嬉しいです」

参加者のみなさんの大人げない(すみません)熱中ぶりと笑顔に、『自分が作った装置で自然から電気を取り出す』喜びが凝縮されていると感じたのでした。

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ワークショップ後の記念撮影


ところで、このミニシステムは家庭で使用する電気のどれくらいを賄えるのでしょうか?
我が家の昨年8月の電気使用量は384kWh(検針期間29日)でした。単純計算で、384,000Wh ÷ 29日 = 1日あたり 13,240Wh を使っていたことになります。200Whは、この1.5%。関電管内の節電目標の10分の1なのか・・・ちょっとシビアな感覚になってきましたが、パネルの大きさ(ミニシステムの規模)と発電量の関係をこうやって実感できたことで、自然エネルギーの採り入れ方に、より具体的なイメージを描けるようになりました。自然エネルギーは単体で現在のエネルギーシステムに置き換わるものではなく、それぞれを組み合わせて補い合うもの、という方向性にあらためて納得です。

藤野電力では、東京都内での出張ワークショップ開催も検討しているそうです。また、神奈川県で開催する場合でも、県外の方の参加は大歓迎とのことでした。最新の情報はWebサイトでご確認ください。


今回は、神奈川県でエネルギーシフトに取り組む地域グループの連携をご紹介しました。気候や地理的条件や日照時間など、東京の住環境にそのまま当てはめることはできませんが、参考になれば幸いです。




(水曜タイムラインWeb担当:たけなか)
(2012/5/30 UPDATE)
番組スタッフ
「福島県産では売れないと思い、やってしまった」

福島県産の牛肉の産地を鹿児島県産と偽装して販売したなどとして、大阪市の精肉店元店長が、きのう逮捕されました。
放射性セシウムに汚染されたことが発覚し、売上げが3分の1にまで落ち込んだとされる福島県産の牛肉。風評被害で売れ行きが落ちたため、及んだ犯行とみられています。

ついに偽装する業者が出てきたかという印象がありますが、今回、取り上げるのは福島県産牛肉の産地偽装ではなく、福島県の警戒区域内で飼養されていた牛の処分について。
福島第一原発から半径20キロ以内の警戒区域内で飼養されていた牛は約3000頭。
そのうち約半数が餓死や安楽死させられ、現在は1000頭以上の肉牛が半野生化し、生存していると推計されています。

こうした事態を見兼ねて立ち上げられた、「希望の牧場〜ふくしま〜」というプロジェクトをご存知でしょうか。

これは、福島県浪江町の立ち入り禁止区域内にある「希望の牧場」の代表・吉沢正巳さん(58歳)が立ち上げたプロジェクトです。

吉沢さんは、警戒区域内の家畜を殺すよう求めた国の方針に同意せず、町から立ち入りの許可を得て、命がけで警戒域内に取り残された約300頭の被ばく牛に餌をやり続けている畜産農家の方。

餌をやり続けると同時に、このプロジェクトを立ち上げ、警戒区域内の被ばく牛の命をつなぎ、単に殺処分するのではなく、継続飼育することで、今後の放射能災害の予防に貢献できるような科学的データを集積し、学術研究などの目的に活用することを提案しているのだそうです。

このプロジェクトへの想いを、吉沢さんは「希望の牧場〜ふくしま〜」のブログ(2012/5/4)で以下のように綴っています。

******
私たち浪江町の農家が飼っていた家畜の商品価値はゼロ、
しかも、いつ自分の家に帰ることができるのかもわかりません。
みなさんはご存知でしょうか。
警戒区域に取り残された家畜の多くが餓死した上に放置されミイラ化していることを。
生き残った家畜についても政府が殺処分の決定を下したことを。
「殺せ」これに私は納得などできません。
警戒区域にある私の牧場にはいまも300頭の牛が元気に生きています。
原発事故からこれまで被ばく覚悟で家畜の世話を続けてきました。
こうした家畜たちを、経済価値もなく被ばくした家畜かもしれませんが、
必死に生きているその命を、活かす方法はないのでしょうか。

******

吉沢さんは被ばくした牛を活かす方法を模索し続けていますが、殺処分でも、餓死でもない、「第3の道」はあるのでしょうか。これは、ひじょうに難しい問題です。
「本当にやる意味があるのか」・・・
初見では、不謹慎ながらそんな疑問を抱きましたが、よくよく調べてみると、その疑問自体の稚拙さを思い知ることになりました。

「希望の牧場」というプロジェクトには、牛の命を守ること以外にも、重要な想いが込められていたのです。
それをあらわしているのが、「希望の牧場」という名前の由来。
「無人化した警戒区域(浪江町)に、命の灯をともし続けることは、いつかは故郷へ戻りたいと願う、警戒区域すべての住民の希望にもつながるはずだ」との願いを込めて付けられたといいます。

これを知ったとき、わたしは最終的に、被ばくした牛を活かす「第3の道」が見つからなかったとしても、このプロジェクトにはやる意味があるのでは、と思えるようになりました。

しかし、昨日、その希望を打ち砕くような痛ましい出来事が、警戒区域である福島県浪江町で起きてしまいました。
「福島第一原発事故で警戒区域の福島県浪江町に一時帰宅中、行方不明となっていた60代の自営業男性が、同町の倉庫内で首をつって死んでいるのを、捜索していた消防団員が発見。遺書などは見つかっていないが、県警は自殺とみられている。」

この痛ましい出来事、それに対する苦しい心情を、吉沢さんは昨日付のブログ「希望を失ってしまった浪江町」で次のように綴っています。
******
生きる意味さえ失った
被ばく避難民の町民アンケートのたくさんの声の中からとうとう自殺者(犠牲者)が出てしまった。
意味のない浪江町商店街、死のまち 絶望の浪江に展望はみえない。
警戒区域の再編の決断もできぬまま やがて夏を迎えようとしている。
まちの分断、意見の分裂、その先に浪江町は崩れるかもしれない。
棄民政策のなかで浪江町は再生、復活、希望の道は本当にあるのだろうか。
だが、、、残った農家の頑張りで希望の光を必ず灯したい。

******

たしかに痛ましい出来事ではありますが、これにくじけず、プロジェクトを続けてほしい。
浪江町の警戒区域の住民にとっての希望の灯をともし続けてほしい。
そう、切に願うばかりです・・・


<web担当:H>
(2012/5/29 UPDATE)
番組スタッフ
先週5月21日(月)で、丸3年を迎えた「裁判員制度」。制度導入時に規定されていた
見直しの時期を迎えたことで、裁判員制度に関する様々なアンケート結果が公表されました。
その中で、興味深いものがあったのでご紹介します。

●「審理わかりにくい」が年々増加  裁判員裁判経験者アンケート/5月17日(産経新聞)
これまで約2万8千人が裁判に参加したとされる裁判員。
最高裁が実施したアンケートによると、審理内容を「理解しやすかった」とした回答は、
制度導入の平成21年が70・9%だったのに対し、24年は59・9%まで減少。
逆に「理解しにくかった」という意見は、21年の4%から年々増加し、
24年は8・1%、なんと約2倍にまで増加しているそうです。 

理解しにくかった理由については、
…「証人や被告が法廷で話す内容が分かりにくかった」17・8%
…「事件の内容が複雑だった」15・9%
…「証拠や証人が多数」4・9%

の順番で多かったとのこと。

つまり、「理解しにくかった」とする声が増えたということは、
“内容を理解していないながらも裁判員裁判が行われている”ということ。
この結果に、私は少なからず恐怖を感じました。

例えば、“木嶋裁判”と話題となった首都圏の男性連続不審死事件は、
状況証拠だけで死刑求刑となりました。この判決自体を否定する訳ではないのですが、
やはり、今後もこのような難しい審理が裁判員に求められることもあるでしょうし、
そうなった場合には、少なからず、冤罪の被害者を生みやすい状況になってしまうと思うのです。


裁判員裁判が語られる時に、よく話題になるのが「陪審員制」との違い。
そこで、訴訟大国・アメリカの「陪審員制」と「裁判員制」を比較してみました。

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米国 「陪審員」…陪審員のみで「有罪」か「無罪」を決定し、評決は全員一致で決定
日本 「裁判員」…「有罪」「無罪」を含め、裁判官と一緒に多数決で決定

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最高裁判所HP資料より>>> http://www.saibanin.courts.go.jp/qa/c8_2.html

アメリカで「陪審員制」が導入されている理由は、「被告人の権利を守るため」。
よって陪審員は、主に民事裁判で活躍し、刑事裁判では、被告側から希望があった時のみ
陪審員裁判となります。州によっては、陪審員の誤評を防ぐため、
取調べの様子を録画・録音したものが、資料として提出されることもあるそうです。

ここに、日本とは決定的に違う境界線があるように思います。
日本の「裁判員制」は、そもそも“裁判に市民感覚を”と取り入れられたもの。
判決も裁判官を交えた「多数決」で、アメリカのような冤罪防止の配慮もなされないまま、
死刑判決が下されてしまう可能性もあるのではないかと私は考えました。
もちろん「陪審員制」が完璧とは思いませんが、
もし私なら、原告側でも被告側であっても、
法律の素人である裁判員によって裁かれたいとは思いません。


ちなみに、毎日新聞では、以下のようなアンケートも紹介されていました。

●裁判員:死刑事件関与64%が肯定…経験者アンケート/5月18日 毎日新聞
毎日新聞が全国の裁判員経験者に行ったアンケートよると、
「裁判員が死刑が求刑されるような事件に関わるべきか」について、
約50%の人が「死刑求刑事件でも関わった方がいい」と答えたとのこと。
また「関わったとしても、判決は全員一致とすべき」という意見も14%にのぼったそう。
合計すると、約3人に2人の裁判員経験者が、死刑求刑事件に関わったほうがいいと
考えていることになります。

“裁判に市民感覚を”という意図で始まった「裁判員裁判」。
制度の導入から3年、これまでの参加者は累計2万人8千人ほどとなり、
私の周りでも「友人が裁判員に選ばれた!」なんて、
まるで宝くじにでも当たったかのようなノリで話題にのぼるようになりました。

そこで、もし自分自身が裁判員に選ばれたら、どんな感覚で臨むのだろうと考えてみました。
私はおそらく、「国民の義務だから」ではなく「どんなもんだろう?」と、
興味本位で参加することになってしまうと思います。

もちろん全ての人がそう思うとは限りませんが、少なからず私と同じような感覚で
裁判に参加してしまう人がいないとは思えないのです。
そう考えると、そういう裁判員の「感覚」や、時に「私情」までもが
裁判に反映されかねない制度って、そもそもどうなんでしょうか?
正直いらないんじゃない?という疑念を拭い去ることができないのは、私だけでしょうか?


担当:梅木
(2012/5/28 UPDATE)
番組スタッフ
何かと話題になるネットでの「プチ犯罪自慢」。
それらのほとんどは、必ずと言っていいほどロクな結末になりません。
「犯罪自慢」の温床といえばツイッターですが、
最近では「バカ発見機」という別名も付けられています。

先日、こんなことが起きました。
動画投稿サイトYOU TUBEに、小学生を路上で恫喝する動画が投稿され、
ネット住民たちの怒りを買ったのです。


犯罪をネットに晒して、ネット住民の怒りを買う…
この場合、どんなことになるのか大抵予想できるかと思いますが、
動画や画像、アカウント情報などをもとに「素性が特定される」のがお決まりです。
案の定、今回も恫喝していた人物が学生服を着ていたことから、学校が特定され、
は軽犯罪法違反の疑いもあることから警察が動き出すという事態にいたりました。

+++++++++++++++++++++++++++
相模原市内の中学生が小学生とみられる児童に因縁を付け、
泣かせるまでの様子を撮影した動画がインターネットの動画サイトに
投稿されていることが23日、分かった。ネット上では無抵抗な児童をいじめ、
おもしろがる様子に対し怒りの声が殺到するなど物議を醸している。
動画を問題視した学校側は23日、臨時の保護者会を開催。
神奈川県警は軽犯罪法違反の疑いもあるとみて関係した生徒から事情を聴いて
いる。
<産経新聞 5月24日(木)>
+++++++++++++++++++++++++++

今回の騒動の過程で、起こってはならないことが起きてしまいました。
現在、恫喝した人物(男)は神奈川県相模原市の中学生ということになっていますが、
制服の特徴から、当初、東京都のK高校なのではないか、ということになり、
K高校に非難や苦情の電話が殺到したというのです。


さらにK高校は「確認したところ、本校の生徒ではない」という文章をホームページに掲載し、
動画との関係を否定するにいたりました。
その文書には「このことは、PTA会長、同窓会長等にも連絡してございますが、
保護者の方々にも第三者から尋ねられ不愉快な思いをされることが
あるかもしれませんので、文書で連絡することといたしました」
とも記されています。

わずかながら「K高校がかわいそう」「K高校を非難したやつは謝れ」という声が
ありますが、特に目立った謝罪の動きは見られません。

あまりにも無責任すぎると思うのは私だけでしょうか。
恫喝された小学生のことを思うと、やはり憤りを感じます。
ネットで犯罪をひけらかした人物の素性が特定されることに、
ある種の快感を覚えるというも多いと思います。
今回の件も、ネット上で話題となり、「特定する人」が動かなければ、
学校や警察は動かなかったことは事実です。

「正義の暴走だ」という声もありますが、私は「ネット上の特定行為」は
「ただの暇つぶしの娯楽」に過ぎないと思います。

無責任な正義の暇つぶしに付き合わされ、あらぬ疑いをかけられたK高校も十分、
被害者です。今回の件で、その高校の志願者が減り、今後の学校運営に支障を
きたす…ということだってありえなくないからです。

被害を受けた高校のために、「特定したヤツを特定しよう」という動きには
決していたらないでしょう。なぜなら、娯楽に過ぎないからです。
無責任な正義の仮面をかぶった娯楽が、再び無関係な誰かを
傷つけることがないといいのですが…。


スタッフ:坂本
(2012/5/24 UPDATE)
番組スタッフ
インターネットで最近、「ワンボイス」という言葉や「#One_voice」というハッシュタグを見かけることはありませんか?

「One Voice」は、選挙活動におけるインターネットの使用解禁を呼びかけるキャンペーンです。

One Voice Campaign
http://onevoice-campaign.jp/index.php



現行の公職選挙法では「文書図画」にあたるとして禁止されている、公示期間中の候補者Webサイトの更新や、ブログ・SNS・動画を通した情報発信、有権者による特定の候補者の支援サイト開設など、インターネット全般を使った選挙活動(「ネット投票」ではありません)の実現を求める運動です。

公選法改正に向けた議論は10年以上も続いており、2010年の参院選直前には与野党間で合意を見たものの、政局の混乱によって法案は成立せず、現在は「継続審議」、つまり持ち越し案件という状態にあるのだそうです。一定数の議員は賛成しているのに、世論の盛り上がりに欠けるために優先順位が低く、後回しになっているといいます。

この現状を打破したいと、5月8日にキャンペーンサイトがオープン。この2週間で、若年層を中心に急激な盛り上がりを見せています。

ちなみに、火曜日コメンテーターの岸博幸さんも、このサイトに賛同メッセージを寄せていますので、岸さんファンの方はぜひチェックしてみてください。

「One Voice キャンペーン」は次の国政選挙からのネット選挙運動解禁を目指し、今国会での法案成立に向けて活動中。今日このあと18時からは、各党の国会議員と有識者を交えた「One Voice サミット」が開催されます。




Twitterのタイムラインに突如流れ始めたこの言葉に興味を持った私は、ワークショップが急遽開催されることを知り、先週の土曜日、巣鴨に行ってきました。
会場はシェアアパートメント&シェアオフィスの「RYOZAN PARK(リョウザンパーク)」

RYOZAN PARK
http://ryozanpark.jp/



キャンペーンの趣旨に共感したRYOZAN PARK運営者の竹澤徳剛さんが、会場を無償で提供したとのこと。このあたり、今風なつながりかたを感じます。

Photo01


参加者は20名ほど。Facebookページでのイベント告知から開催まで5日間ぐらいしかなかったと思いますが、20〜30代前半の若い人の姿が多く、フットワークの軽さとキャンペーンへの関心の高さがうかがえました。

イベント主催者の植原正太郎さんの挨拶のあと、運営担当の永井一二三さんによる会場説明。
竹澤さんもこちらのお二人も、キャンペーンの『中の人』ではなく、キャンペーンに賛同し、活動内容をもっと深く知りたいという思いから自発的にイベントを企画し、協力しているそうです。
志を同じくする個人が集まって、誰に統率されるということでもなく、ひとつの集合体になっているのだなあ、という印象です。

Photo02
<左から、原田さん、植原さん、永井さん>


次に、席が近い参加者同士で自己紹介をしました。このグループが、後のワークショップで一緒に案を出し合う「チーム」になります。

そのあと、キャンペーン発起人の一人、原田謙介さんによる趣旨説明が始まりました。

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現在、政治家は有権者のうち声を届けるのがうまい一部の意見に耳を傾けている。
本当は、それ以外のたとえば大学生や子育て中の人にも政治に対する要望はあって、政治家もその人たちの意見を知りたいはずだが、声が聞こえてこないから何を考えているのかわからない状況、お互いにすれ違っている状況なのではないか。

僕は、日本の人たちが『政治に無関心』だとは全然思っていない。『若い人の政治への無関心が高まっている、若い人の低投票率が問題になっている』と言われるが、それはウソ。若い人の政治への関心はデータを見ると高まっている。他の世代に比べると投票率は低いが、年代だけ見ると上がってきている。若い人は政治なんてどうでもいいやと思っているわけではない。ただ、それが伝わっていないのは、政治にうまくアプローチできていないから。

僕らの声は『No Voice』に見られている。言いたいこと、主張したいこと、困っていることはあっても、それが世論になっていないから、政治に届いていない。『No Voice』から『One Voice』に変えることによって、力を持つきっかけにできればいいなと思う。小さな声を上げて、小さな声の集まりで政治が、法律が、社会が変わるという体験を作りたい。

僕らはキャンペーンを通して、政治と有権者の新しい形を作れればいいなと思っている。オバマ大統領の選挙キャンペーンやアラブの春の実例があるように、SNSという新しいものを使えば人がまとまり、あらたに意見を発することができ、双方向性の何かが生まれてくる。
いままでは届きにくかった一人一人の声が、まさに『One Voice』となって力を持つような時代になっていると思う。

今回はネット選挙運動解禁に的を絞って活動しているが、「One Voice キャンペーン」はそれだけではなく、もっと大きな、一人一人の声で何かが変わっていくという体験を作るものにしたいと思っている。「ネット選挙運動解禁」は、そのひとつの成功体験にしたい。

1950年に公職選挙法が制定されたときは、立候補者の財力の違いによって選挙活動が不公平にならないように、文書図画の枚数に制限が加えられた。インターネットの画面は「文書図画」と見なされ、現在は使用を禁止されているが、いまとなっては明らかに時代とずれている。

現在の選挙で当選を左右するのは「あの人は●年間、毎朝駅前に立ってしゃべっていたから」「ポスターのうつりがいいから」「昔お世話になった人だから」「知り合いの知り合いだから」・・・政治家に本来求めるべき、政策立案・遂行能力の部分は票に反映されていない。
政治家が政策について説明したり、僕らが政治家に質問したりする機会が少ないからでは?

僕がソーシャルムーブメントを作りたい理由は、日本がすごく好きだから。
「働くときは海外に行くからいいや」「将来は海外に住むからいいや」「企業を作ってそこで成功していくから日本のことはどうでもいいや」と言う友達もいるが、僕は日本人みんながもっと日本を好きで、生まれてくる自分のこどもに対して「おまえの将来は明るいぞ、日本は楽しいぞ」と言える国にしたいから。
一人でできることではなくて、1億3000万人が少しずつ動くことによって実現するのではないかと思って、こういう活動をやっている。
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続いての質疑応答では、活発な意見交換がなされました。参加者のなかには「ネット投票のためのキャンペーンだと誤解していた」という方も複数。
私も、拾い読みをしたTwitter上の意見のなかで、ちょっと気になっていたことを質問してみました。

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Q.
このキャンペーンが始まってからTwitterのタイムラインを眺めていましたが、若い方がすごく賛同していることを感じると同時に、「このキャンペーンはどこにつながっているの?誰が後ろについているの?誰得?」ということを懸念して、趣旨には賛同するけどキャンペーンには参加しない、という意見も見られました。そういった人たちへのメッセージを聞かせてください。

A.
「誰得?」に関しては、「誰もが得をする」と思っています。有権者にとっては、選挙期間中の情報取得手段がひとつ増えるということで、誰も損をしないと思います。もしかすると、一部の業界とか団体とかが得をすることがあるかもしれませんが、そのような小さな偏りは現行のどの法律にも言えることです。政治家にとっても、いままでとは違ったやりかたで政治をやろうとか、違った方法で政治家になろうと思っている人は得をするかもしれませんが、目的はあくまでも、有権者がネットで広く情報に触れられるように、というところです。
また、「誰が後ろについているの?」ということですが、誰もついていません。影響力を持っている誰かに押される可能性はゼロではありませんが、そこには注意を払っていて、いろんな人から広く話を聞くようにしています。僕らがもともと目指している本質をずっと貫けるようにしようと思っていますが、もし「どっちに向かっているのか危ないな」と思ったら、そういう声を上げてもらえれば、そこで方向修正しようと思います。
++++



休憩をはさんで後半のワークショップでは、参加者がグループに分かれて、このキャンペーンを広めていくためにどんな活動をしたらいいのか、という具体案を挙げていきました。

「アニメやマンガとコラボして冊子を作り周知活動をする」
「アパレルとコラボしてみんなで同じTシャツを着て渋谷のハチ公前に集まる」
「eラーニングのようにネット上で勉強会を開く」
「高齢者層を引き込むために、まず自分の親や祖父母にSNSの使い方を教える」
「YouTubeやUStreamで番組を作る」

など、工夫を凝らした興味深いアイデアが出てきました。


インターネット選挙運動を解禁したら世論迎合政治になるのでは、といった懸念の声もありますが、票田を向いて政治をしているのはいまも同じ。世の中のことに無関心と批判されがちな若い人たちが、自分の声が汲み取られて社会に反映されていく可能性を知ることで政治への意識を変えることに、このキャンペーンの何よりの意義があると、私は感じました。

ただ、ふと考えてみると、選挙期間中だけ政治に注目するというのもちょっとアンバランスなこと。本来ならば、有権者は日頃からもっと政治に接することができるはずです。
お気に入りの作家やアーティストと同じように、政治家のブログを定期的にチェックしたり、会いにいって話をしたりというのは、現状でもできない話ではありません。
そんな自戒も込めつつ、日常生活に政治を引き寄せるひとつのきっかけとして、このネット選挙運動解禁キャンペーンには期待しています。
みなさんは、どうお感じになりますか?



(水曜タイムラインWeb担当:たけなか)
(2012/5/23 UPDATE)
番組スタッフ
飲酒絡みの不祥事が相次いでいる福岡市が出した、前代未聞とも言える、全職員(約1万6000人)が対象の「禁酒令」。

法的根拠はなく、あくまでも要請ですが、昨日から来月20日までの1か月間、公私を問わず自宅以外での飲酒は原則禁止で、飲食店以外にも、友人や同僚の家も含めて外出先での飲酒を控えるよう求める方針だといいます。

これに対する、ネット上の反応は賛否両論。
「これは画期的だな。見直した」と称賛する意見がある一方で、「ただの市長のパフォーマンスだろ」「福岡市の公務員は幼稚園児か小学生か」といった全否定するコメントも数多く見られました。

では、当事者である福岡市の職員は、今回の禁酒令をどう思っているのかといいますと、
「西日本新聞」(2012年5月20日)によると、「ある程度ショック療法も必要だと思う」
と肯定する意見がある一方で、「酒がやめられない人は、禁止しても飲むのでは。解決につながるのかは分からない」と否定する意見もあるなど、こちらも賛否両論。

また、経済的打撃を被る可能性のある市内の飲食店からは、「禁酒令のおかげでガラガラ。6月の大口予約もキャンセルになりました」「飲食店にとっては打撃。個人のモラルの問題なのに」「大切なお客さまが減るのは困る。これが市職員だけではなく、ほかにも波及するのが怖い」などと不安視する声が上がっています。

このように賛否両論、波紋を呼んでいる禁酒令。福岡市の高島市長は・・・
*****
酒を飲んで不祥事を起こした職員を「一部の腐ったミカン」と厳しく断じ、「彼らのために『どうして自分たちのプライベートまで制限されるのか』と思うかもしれないが、異常事態を自分のこととして考えてほしい
*****
と理解を求めていますが、
今回の禁酒令は「一部の腐ったミカン」、「腐ったミカン予備軍」の心に響くのでしょうか。
また、福岡市を悩ます飲酒による不祥事を減らすことにつながるのでしょうか。


ドラマ『3年B組金八先生』の中で、主役の坂本金八は、
「箱の中に腐ったミカンがひとつあると、他のミカンも全部腐ってしまう。だから、腐ったミカンを見つけたら、すぐに箱から捨てなければならない」
「我々は機械やミカンを作っているんじゃないんです。人間を作っているんです。そして、人間の性根が腐りきってしまうことなんか、絶対にありえないんです
と言い放っています。

名ゼリフといわれるこの言葉を信じるのであれば、不祥事を起こした職員を排除するのではなく、他の何かしらの手段を講じるべき、ということなのでしょう。
しかし、「禁酒令」が今とるべき手段として相応しいといえるのでしょうか。

前例を見てみると、「禁酒令」の効果には首を傾げざるを得ません。
過度の飲酒を社会問題として扱い、その解決策として酒の製造・販売・運搬を「禁酒法」によって取り締まったアメリカでは、もぐりの酒場が登場するなどして成果が得られず、法律自体が廃止となっています。

また、平均寿命の短さや高い自殺率など、国が抱える社会問題の根底にある酒の、夜間販売を禁止する「夜間禁酒令」をとっているロシアでも、問題は解決せず、禁酒令の抜け穴を突き、荒稼ぎする業者が各地に現れる始末。

こうした前例から考えると、禁止することは問題を解決には導かず、新たな問題を生み出しているような気がします。
これを福岡市の問題に置き換えると、バレないよう市外で飲酒をする人が続出し、飲酒運転による事故が多発する、そんなことも起こりうるかもしれません。

ただ、禁酒令が、全く意味がないこととは思っていません。
冒頭で取り上げたネット上の「福岡市の公務員は幼稚園児か小学生か」というコメントが示すように、禁酒令には、本来、飲酒が許されている大人が、子どものように飲酒を禁止されているという“恥ずかしさ”が根底にあるように思います。

その“恥ずかしさ”に「一部の腐ったミカン」の方々が、もしも気付いてくれるのであれば、すぐには問題の解決につながらないにしても、今回の禁酒令も無駄ではない、意味があることと言えるのかもしれません。


<web担当:H>
(2012/5/22 UPDATE)
番組スタッフ
5月17日、学費支援プラットフォーム「studygift(スタディギフト)」が開設。
Google+でフォロワー数が日本一になった、早稲田大学社会科学部3年生の坂口綾優さんが、学費の支援を呼びかけ、炎上とも言えるような賛否両論が巻き起こりました。

++++++++++++++++++++
「studygift」とは、学校に行きたくても学費が払えないという学生が
「大学で学びたい事」や「将来の大きな夢」を語り、
学費を支援してくれるサポーターを探す事が出来るプラットフォーム。
サポーターが支援できるのは、目標金額の75%までとし、
支援対象者自らが、残りの25%を自力で集めるというルールになっています。
http://studygift.net/home.php
++++++++++++++++++++

今回の募集内容は、そんな坂口さんが、SNSと出会ったことで成績不振となり、
奨学金が止められて学費が支払えなくなってしまったため、支援を求めるというもの。
ネット上では、主に支援対象となった坂口さんに対して批判が集中しています。

主な批判は、以下のような理由が中心となっていました。
*成績が下がったから奨学金がもらえなくなったという原因
*「就職」という目標以外、深く語られていない本人の将来像
*本当に奨学金を受けたくても受けられない人がいるという現実


その一方で、賛成派の意見は・・・
*大学の奨学金は成績重視、「studygift」は成績関係なしで支援できる
*保護者の経済状況から影響を受けずに、望んだ教育を受けられる仕組みは重要
*自分の個性を活かして学費を稼ぐ賢い方法


「坂口さんを優秀な学生ではない」と考えるか、
「個性のある学生に投資するシステム」と捉えるか、
この境界線にある誤解に、今回の問題があるようです。
だからこそ私は、この「studygift」自体に問題があるように思いました。

そもそも大学は、専門分野を学習・研究するための場所です。
しかし、勉強以外の面でも、そこで出会う人々や、体験した出来事から学ぶことも多く、
単に学業だけの場所ではないとも思います。

そういう意味で、坂口さんがSNSに時間を費やしたり、
麻雀を楽しんだりしていることは、ごく普通の学生生活だと言えますし、
(授業をサボって海外旅行に出かけた点は一般的かどうかわかりませんが…)
そういった学生が、「Google+」フォロアー数No.1という個性を武器に、
いわば“一芸支援”を求めることは、とても面白い試みだと思います。

その反面、学業以外の活動を積極的に行い、その結果、奨学金を失うのは自己責任。
失敗から得られる教訓も、いつかはかけがえのない財産になります。
その失敗から学ぶ機会を失ってしまった彼女は「困っても誰かが何とかしてくれる」
という感覚のまま、人生を続けていくことにもなりかねません。
「学費支援=学習の場を与える」という主旨のなかで、
大人の悪知恵を教える構図になってしまうのは、企画の良さを台無しにし、
支援者に、システム自体の危うさを感じさせてしまうのではないでしょうか?

「昔の学生は苦労したから、若世代も同じように頑張れ」とは思いません。
しかし、苦労させたくない気持ちと、単に甘やかすことは、
やはり大人が、明確に区別すべきだと思うのです。

今年3月の政府の報告によると、2010年春に大学・専門学校を卒業し、
正規雇用で就職した56万9000人のうち、
およそ35%が、たった2年で離職しているそうです。
(参考:首相官邸・政策会議「雇用戦略対話 第7回会合」資料より
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/koyoutaiwa/dai7/siryou1.pdf

●就活大学生の労働意欲低下 ゆとり教育の弊害、過保護など原因/2月15日 産経BIZ
また、今年2月に産経新聞が発表した調査結果によると、
企業が新入社員に求める能力を聞いたところ、82%の企業が
「粘り強さ・ストレス耐性」と回答したといいます。
http://www.sankeibiz.jp/compliance/news/120215/cpd1202150932008-n1.htm

就活に駆り立てられながらも、多くの若者が早期退職をしてしまう時代。
学費支援プラットフォーム「studygift」が、単なる炎上マーケティングではなく、
多くの支援者を集めるシステムになるためには、
学生の個性だけをとりあげて評価するのではなく、
いかに勇気を持って厳しく接することが出来るか、
このジレンマを乗り越えることが、重要な鍵になるのではないかと思いました。

担当:梅木
(2012/5/21 UPDATE)
番組スタッフ
昨日、ある女子大生が作ったサイトがグーグル検索急上昇ワード5位にランクインしました。
そのサイトの名は「メチャクチャにヤバイ就活生・近藤佑子を採用しませんか?」
その名の通り、東京大学大学院生の近藤佑子さんが、誕生日記念企画として
自己PRのために作ったサイトで、アップと同時に瞬く間に話題となり、
一時はサーバーダウンまでしたそうです。

サイトは出身地や学歴を紹介した「ヤバイ就活生・近藤佑子とは?」、
「近藤佑子の自己PR」「近藤佑子の趣味特技」「ゆうこの就職活動家日記」
などで
構成されています。「近藤佑子と面接」という項目には、
“いま注目を集める就職活動家、近藤佑子に色々な質問をぶつけてみた”として、
採用担当者のために、ご丁寧に「志望業界は何なのか」「学生時代に力をい入れたこと」などが
インタビュー形式でつづられています。本当の面接では中々言い辛い
「企業選びの軸」も必見です。

そして、最後にある「まずは面接から…」をクリックすると
「メチャクチャにヤバイ就活生・近藤佑子」のTwitterアカウントに飛びます。

Twitterの反応を見てみますと、「ぜひ弊社に!」「雇いたい」「彼女の就職活動は成功する」といった声が目立ちます。確かに私自身、彼女に会ってみたいと思いました。

実際に「メチャクチャにヤバイ就活生・近藤佑子」を雇いたいと思った人は多いようで、
テーマごとにTweetをまとめるサイトTogetterには「近藤佑子を面接したそうな人リスト」というまとめも誕生しました。
「弊社に面接に来ませんか?」「●●職を募集していますのでぜひ」というコンタクトが見られます。

個性横並びの一括採用の中で、「メチャクチャにヤバイ就活生・近藤佑子」は、
私たちに新しい就職活動の形を示してくれたのではないでしょうか。
勇気と技術は必要とされますが、ネットの反応を見ると、「買い手市場」と言われる就職氷河期に、
「メチャクチャにヤバイ就活生・近藤佑子」は間違いなく「売り手市場」に立っています。


よくある胡散臭いサプリメントの広告サイトのような作りですが、
ちなみに、元ネタとなったと思われるのは少し前に話題になった
謎の一般男性・長島さんの「イケてるしヤバい男 長島からのお知らせ」という婚活サイト。
長島さんがいかにヤバい男かをユニークにPRしています。

彼女がなぜ、今回の行動に至ったのか。
本人に聞かない限り、その真意はわかりませんが、
彼女のブログには「就職活動」に対してこうつづってありました。

++++++++++++++++++++++++++
就職活動で「がんばったこと」や「困難を乗り越えた経験」を問われても、ネタになるようなトピックは多い(サークル、寮、ボランティア、バイト、受験、研究)にもかかわらず、どうしてもうまく言えず、面接のたびに気まぐれで違うトピックを答えていた。

(中略)

友人からも「ゆうこちゃんはそのうち決まる」と言われたり、就活相談をしても「あなたは大丈夫でしょう」と言われ、私自身もかなり自信はあったと思う。けれどなかなか決まらないのは、このような企業の求めている枠組みと私がズレているからだろう。(それ以外にもちょっと問題はあると思うのだけど、書いたら本気で自分ダメ人間だと思ってしまって凹むので、ここでは割愛します…)

そういう私を欲しがる企業あると思ってたんだけど考えが甘かったですね。まあまわりの素敵な方々が就職決まったのも遅かったって聞くし、就活生というコンテンツ力の高さを生かして引き続きがんばろうと思います。

++++++++++++++++++++++++++++
kondoyukoのカルチュラル・ハッカーズ


否が応でも「自分の個性」と向き合わなければならない就職活動。
そんな中で彼女が(ネタかもしれませんが)自分の個性と向き合い続けた結果、
誰でも閲覧可能なネットの世界に、個人情報、自己PRをあえてさらすことで、
究極の自己分析とセルフマーケティングとなりえたのだと思います。
彼女の動きが話題となり、「異常」とも言われる日本の就職活動に
風穴を開けてくれたら…そんなことを願います。


スタッフ:坂本
(2012/5/17 UPDATE)
番組スタッフ
先週の「話題のクラウドファンディング。プロジェクトオーナーにお話を伺いました」に続き、今週は、プロジェクトの管理と後方支援を行う運営会社(プラットフォーム)の方にお話を聞きつつ、私が個人的に漠然と考えているあるアイデアが、クラウドファンディング・プロジェクトとして成立し得るのか?というところも、こっそり便乗質問してきました。

まずは、日本国内の代表的なクラウドファンディング・プラットフォームである3社に、自社サービスの特徴や強みをお話しいただきました。


+++
motion gallery(http://motion-gallery.net/)運営 大高健志さん

クリエィティブ系の案件に注力していて、特に映画に強みがあります。
他のクラウドファンディングサイトと比べると、プロジェクトの質が高いのが特徴だとは良く言われています。(カンヌパルムドールを始め、海外・国内の有力な賞を受賞している方のプロジェクトが複数ある)

支援者1人当りの支援額が断トツに高く、1万8000円。他社様は大体5000円前後と伺っておりますので、やはりプロジェクトの質が高いからかなと思っております。

サイト手数料を日本で最も低い10%に設定している点も大きな特徴です。10%は、決済代行会社の手数料も含めての数字ですので、同じ基準で他社様と比較した場合、CAMPFIRE様の20%や、READYFOR?様の17%からすると、大変低く設定させて頂いておりまして、プロジェクト支援というサイト特性に大変叶った設定にさせて頂いております。

+++
READYFOR(https://readyfor.jp/)代表 米良はるかさん

私たちのサービスの特徴は、国内最大規模の合計額かつ社会性の高いプロジェクト並びに公共性の高いプロジェクトを多く扱っている点です。
途上国で活躍している方や、被災地支援や、学会の開催など社会全体にとって、有益だと考えられる個々の小さなアクションをみんなで応援できるような仕組みを提供できていると考えており、今後もそういった社会性の高い活動はメインとして、取り扱っていければと思っております。

更に、プロジェクト1つ当たりの支援者人数が高いことも特徴です。現在までに70近くのプロジェクト数が掲載されているにもかかわらず、1プロジェクト当たりの平均支援人数は100人を超える人数となっています。
これは、1プロジェクト1プロジェクトが多くの方に共感されるコンテンツを提供しているとわかる秘訣です。国内で最も資金を集めた(820万円)の陸前高田に図書室を作るプロジェクトもその一つですね。

大量にプロジェクトを出していくと、プロジェクトの質が落ちていくのが普通ですが、そうならないように、私たちは1プロジェクト1プロジェクトをキュレーションさせていただき、一緒にプロジェクトの最適化作業を行なっていきます。

+++
CAMPFIRE(http://camp-fire.jp/)広報 矢崎海さん

日本の代表的な3社のなかではもっとも規模が大きいプラットフォームです。
現在、120以上のプロジェクトをサイトに掲載しています。これは、他社の倍近くあると思います。
パトロン数の多さ(7〜8000人)も強みです。

規模が大きくなる理由としては、扱うプロジェクトの幅広さが挙げられると思います。
ひとつの分野に偏ることなく、社会貢献からビジネスまで、さまざまなジャンルのプロジェクトをカラフルに掲載することで、支援したい方にたくさんの選択肢を提示しています。

これまでに蓄積したノウハウをもとに、プロジェクトを達成しやすくするためのご提案もしています。たとえば、私たちのプラットフォームでもっとも多い支援額は5000円ぐらいの金額帯なのですが、そのあたりに魅力的なリターンを設定するためのアドバイスなどをさせていただいています。
+++


なるほど。前回のインタビューでオーナーの狐塚さんが「既に掲載されているプロジェクトに、「テクノロジー」と「プロダクト」という項目が多かった CAMPFIRE を選んだ」とお話しくださいましたが、それぞれのプラットフォームに明確な特徴があり差別化されているので、自分の考えているプロジェクトはどこに適しているのか、検討するときの参考になりそうです。

続いて、狐塚さんのプロジェクトも担当されたCAMPFIREのチーフキュレーター・出川光さんに、キュレーションをする上で心がけていることを伺ってみました。


+++
投稿されるプロジェクトに対して、具体的にはどんなサポートをされるのですか?

私たちはキュレーターとして「もともとのコンセプトや方針には絶対に触れないこと」という点に気をつけています。たとえば、「CGの炎や煙を手書きできるアプリ」というプロジェクトに対して「手書きじゃなくてクリックで描けるようにしたらよいのでは?」とは言いません。オーナーさんがやりたい内容や指針は変えないように、プロジェクトページの文章や画像はオーナーさんに準備していただきますが、私たちは集まりをよくするための「見せ方」の部分に絞って、「フィードバックシート(写真)」を使ってアドバイスしています。


Photo01


どんなプロジェクトにも「ストーリー」があります。お金がないことや苦労しているところを見せたくないために、そういうストーリーを隠しがちなオーナーの方が多いのですが、建前ではない「後ろ側」が見えた方が支援者の共感を引き出しやすいので、たとえばアプリ開発であれば開発の様子やメンバーの写真など、背景を想像しやすいプロジェクトページづくりをお願いしています。
+++


プロジェクトの「ストーリー」は、たしかにとても重要な要素だと思います。支援者は物質的な見返りだけでなく、プロジェクトが育つ過程の疑似体験にも投資していると言えるでしょう。


最後に、私が漠然と考えているこんなアイデアがプロジェクトとして成立し得るか、訊ねてみました。


+++
【お年寄りの家庭でも安心してペットが飼えるようにするための「何か」】

独居老人や老夫婦だけの世帯では、「自分がこの先、寝たきりになったり死んでしまったりしたら面倒が見られないから」と、ペットを飼いたくても飼わずにいるという話を聞いたことがあります。

そんな方々も安心してペットを飼えるようにするために・・・

・スタッフが定期的に家庭を訪問して、必要であれば給餌やトイレ掃除、散歩などを代行する。
 ※ペットと人間の両方の健康観察ができると思います

・世帯の方が入院したり亡くなったりして飼育を続行できなくなったとき、ペットの引き取り先を探す。

※「何か」と書いたのは、何のための資金を集めるのか、まだイメージできていないからです。組織を作って末永く活動していくための資金なのか、スタートアップのための資金なのか、そこも漠然としています。



(出川さん)
CAMPFIRE の特徴として、継続的な支援は難しいということがあります。募集期間が終わると支援できる期間が終わってしまうので、継続的な活動資金をちょこちょこ募って育てていくというのは難しいのです。どちらかというと、最初に走り出すための「バネ」と考えていただきたいので、この場合で言うと、立ち上げのためのホームページでもいいですし、ペットの餌代とか、お年寄りに配るガイドブックの印刷費用とか、何か具体的な形が欲しいですね。

もともと団体はあって、メンバーも揃っていて、やることも決まっていて、ただ、これをやるためのお金がないので支援してください、という形がわかりやすいと思います。
100万円なら100万円が集まっていく過程で、パトロンになった人から情報がSNSを介してシェアされていくので、広報的な効果を見込みながら、活動を始めるための「バネ」にする、というイメージが近いと思います。

プロジェクトとしては立ち上げのための具体的な何か(目標)のためにプロジェクトを立てていただく。そして、お金の集め方は「リターン」の設計に尽きます。
たとえば「東日本大震災で被災した地域のお母さんたちに、ハンドステッチによる刺繍や刺し子を仕事として依頼する」という復興支援のプロジェクトがあるのですが、そのケースであれば、お返しに刺し子の入ったシャツやコースターがもらえます。自分の支援したお金がモノになって自分のところに返ってくるという、実感のあるリターンを細かく設定すると、いいプロジェクトになります。



+++
私のプロジェクトは、まだ詰めが甘く、リターンの設定も難しそうですね・・・

そうですね。でも、リターンは必ずしも「モノ」でなくても、パトロンの方の満足感にはつながるんです。
たとえば「被災地に楽器を送る」というプロジェクトがあるのですが、この場合、支援者の手元には何も戻ってきません。けれども、楽器と一緒に同封してくれる手紙のなかに、パトロンとして自分の名前がクレジットされるというリターンがあるので、承認要求や、自分がどこかの誰かとつながっているという気持ちが満たされるのです。
たとえば、1万円のパトロンの方はこのおばあちゃんを支援できるという風にして、その1万円で餌を買って届ける代わりに、パトロンさんには、そのおばあちゃんからのお礼の絵手紙や、ペットの成長の過程を綴った日記を送りますとか。
額面的に釣り合っていないようでも、心が満たされるリターンの設定ができればいいと思います。

プロジェクトとそれに対するリターンで、パトロンの方にどれだけ当事者意識を持ってもらえるか、にかかっています。実際のモノじゃなくても欲しくなるような、支援してよかったと思えるようなリターンを考えるのが、クラウドファンディングの「肝」です。
+++



オーナーからの活動報告という形でプロジェクトの進捗をともに追いかけることで、支援者はその裏側にあるストーリーも共有する。「パトロン」という言葉には「不遇の芸術家を支える大富豪(私ではない)」というイメージを抱いていたのですが、このクラウドファンディングを通して、ぐっと身近なものになりました。
はからずも震災以降、日本に根付きつつある寄付や支援という気持ちの表し方と相まって、今後ますます広く浸透するのではないでしょうか。
これからも注目していきたいと思います。



(水曜タイムラインWeb担当:たけなか)
(2012/5/16 UPDATE)
番組スタッフ
「橋下市長、市内の小中学生にツイッターを義務化」
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大阪市の橋下徹市長は13日、市内全ての小中学生に短文投稿サイト「ツイッター」の利用を義務付ける方針であることを明らかにした。早ければ6月にも「ツイッター利用条例(仮)」案を市議会に提出、可決した後、2学期が始まる9月からの本格施行をめざす。
******

皆さんはこのニュースを見て、何か違和感を覚えましたか?

実はこれは、現実のニュースを風刺や皮肉を交えて伝える、パロディニュースサイト「虚構新聞」が掲載した記事。つまり、ウソのニュースです。

昨日、掲載されたこの記事を、本当のニュースだと信じ込んだTwitterユーザーが、Twitter上で拡散。そのため、このニュースを事実と誤認する人が続出、ネット掲示板が炎上するなど、ちょっとした騒ぎとなりました。

今回の騒動に対するネット上の主な反応は、以下の通り。

「嘘を嘘と見抜けない人が多かったわけか」
「見出しだけで信じる人はデマ拡散する人です。自分で考えないし確認もしない。虚構と書いてあっても気づかないで しかも怒ってる人もいる。自称ジャーナリストなんて記事に虚構って書いてないんだよ。」
「大阪市長の圧倒的な知名度は虚構新聞でネタにすればギャグになるし、問題点の風刺でもある。」
「虚構新聞はジョークだと分かり切ってる分、普通の新聞より良心的だと思う。普通の新聞は、本当の事も載せるし嘘も載せるし、本当の事を材料にして作った妄想も載せる。」

ユーザーのネットリテラシーを指摘する声、虚構新聞を称賛する声が多く見られたように思います。

一方、当事者である虚構新聞は騒動をうけ、Twitter(@kyoko_np)で、「現実にありえないことをお伝えするのが本紙のポリシーですが、今回非常に多くの方から『橋下氏ならやりかねない』と思われたのが最大の誤算でした」「今後はもっと現実離れした虚構報道を心がけます。申し訳ありませんでした」と皮肉を交え、謝罪。

さらに、ネットリテラシーについては、
******
「虚構新聞は記事のタイトルに最初から『虚構新聞』と入れておけ」というご批判は理解できますが、言い換えると、それは本紙読者のリテラシーをバカにしているのではないかとも思うのです。「電子レンジを猫の乾燥に使わないでください」という注意書きと同じレベルではないでしょうか。
******
といった持論を展開しています。

たしかに、今回の騒動はサイトの主旨や記事の詳細を確認せずに、リツイートする人が多数いたことに起因しており、問題の本質はネットユーザーの真実を見抜く目が鈍ってしまっていること、ネットリテラシーの低下なのかもしれません。

しかし、その一方でわたしは、ネットリテラシーの低下以外にも、この騒動によって考えなければならない別の問題があるのでは、とも思ってしまいます。

わたしの考える別の問題とは・・・今、現実に報じられているニュースの中に“虚構のような印象を受けるもの”が数多く混じっていることです。

たとえば・・・
今年の夏の「電力需給予測」において、二転三転する関電管内の電力不足の数値を伝えるニュース。
大飯原発が再稼働すると、関電管内の電力需給は再稼働しない場合の14.9%の不足から、わずかにプラスになるという試算を伝えるニュース。


これらは、大手メディアが現実に報じているにもかかわらず、“虚構なのでは”と疑いの目で見てしまうニュースの代表と言えるのではないでしょうか。

311後、まずは報じられたニュースを疑ってみるという習慣が身についた方も少なくないでしょう。
それを前提に考えると、今回、虚構新聞が掲載した「橋下市長、市内の小中学生にツイッターを義務化」という虚構のニュースは、現実に報じられている上記のニュースよりも現実味があったとも言えるでしょう。

今回明示したのは極端な例ではありますが、現実のニュースを疑うがあまり、もしかしたら、「現実のニュース」が虚構っぽく、「虚構のニュース」が現実っぽく見えてしまうという、逆転現象が起きているのかもしれません。

しかし、これは本来、あってはならないこと。「現実のニュース」の虚構っぽさを排除するためには、どうすればいいのでしょうか。

信頼できる識者が「現実のニュース」の虚構っぽさを指摘し続けること。
信頼できる識者とは誰なのかという問題はありますが、おそらくこれぐらいなのでしょう。


<web担当:H>
(2012/5/15 UPDATE)
番組スタッフ
何かと話題に事欠かない、橋下徹・大阪市長率いる「大阪維新の会」。
そんな大阪維新の会 大阪市議団体が、5月議会へ提出しようとしていた
ある条例案をめぐり、波紋が広がっています。

■維新の会「家庭教育支援条例案」を白紙撤回/読売新聞(5月8日)
問題となったのは、「家庭教育支援条例案」のなかで、
“愛情不足が発達障害の症状を誘発する要因”とした上で、
「わが国の伝統的子育てで予防・防止できる」と記されていたこと。
これに、発達障害の子供を持つ保護者団体などが「偏見を助長する」と抗議。
市議団幹部は、「家庭教育の専門家に案文作成を依頼し、
参考資料とするつもりだったが、条例案として公表してしまった」と苦しい回答。
保護者団体側に謝罪し、条例案を白紙撤回することになりました。

障害への理解が、世間一般で広がりを見せる中での、今回の条例案撤回。
あまりにも勉強不足を否めない状況が、露呈してしまう結果となりました。
これに対し、ネット上では・・・

*維新の会の教育改革には期待していたが、なんとも頼りない
*今回の件で、維新の会がド素人の集団である事が分かった


また「発達障害」の記述についても・・・

*発達障害について理解が広まりつつあるのに、
 政治家が全く理解していなかったのは酷い
*「伝統的子育て」なるものから学ぶべき事はあるかもしれないが、
 先天的な障害までどうにか出来るという美化された哲学はむしろマイナス


そもそも発達障害とは・・・
++++++++++++++++
発達過程の何らかの原因によって、認知、言語、社会性、運動などに出る障害。
脳の機能的な問題が原因で起こるもので、知的障害、広汎性発達障害(自閉症)、
高機能広汎性発達障害(アスペルガー症候群・高機能自閉症)、
注意欠陥多動性障害(AD/HD)、学習障害(LD)などがあります。
++++++++++++++++
出典:「家庭のドクター 標準治療 最新版」(発行:日本医療企画)

ちなみに余談ですが、私の友人で、まさに大阪在住で
注意欠陥多動性障害(AD/HD)の息子さん(中学校1年生)を抱える
主婦がいるのですが、今回の件について話を聞いてみたところ・・・

「政治家ですら理解していないから、障害はいつまでも障害のまま。
こんな条例は、支援じゃなくて、単に親の足かせになるだけ。
うちの子は薬で症状を抑えられるけど、
もっと大変な思いをしている家族はたくさんいる。
もし育て方で治るのなら、むしろその方法を教えて欲しい。」
(※回答要約)

…と、怒りを顕に語っていました。

発達障害は、身体的な障害があるわけではないため、
周りの理解をなかなか得られないという現状があります。
また、先天的な障害である場合も多く、
「障害があるのは育て方が悪いせいだ」と言われてしまうと、
親たちは、いわれのない虐待の罪を着せられたまま、
暮らさなければならないのです。

たとえ参考資料とはいえ、行政機関がこんな乱暴な条例案を検討していたことに、
私は、恐怖すら感じてしまいます。

しかしなぜ、大阪府はこんなトンデモ条例案を発案したのでしょうか?
発達障害の子を抱える家族と、「家庭教育支援条例案」の境界線にあるものは、
一体、何なのでしょうか。

そもそも今回の問題点は、非科学的な教育理論だけではなく、
権力を使って、各家庭に干渉しようとする姿勢にあると私は思います。

そのベースとなっているのが、ある学者が提唱する「親学」という考え方。
「親学」とは、発達障害をはじめ、児童虐待や引きこもりなどは、
伝統的な子育ての文化が失われたから起こっている、というもので、
国や行政が保護者を教育することが必要だと説いています。

安倍晋三内閣時代には、この「親学」の考え方をベースに、
教育再生会議での議論が行われ、批判が上がったことから
提言が見送られるという出来事もありました。

4月10日付けの産経新聞では、そんな一度見送りになった提言を、
安倍元首相が再び持ち出していると報じられていました。

■「親学」議連が発足 安倍、鳩山氏ら超党派/産経新聞(4月10日)
安倍元首相を中心に、鳩山元首相、公明の山口代表など議員約50人が結集し、
「親学推進議員連盟」が発足。今回の大阪市の条例案に似た「家庭教育支援法」の
制定を目指しているそうです。

かつて安倍晋三元首相は、目指すべき日本の姿を
『活力とチャンスと優しさに満ちあふれ、自律の精神を大事にする、
世界に開かれた、「美しい国、日本」 』と表現しました。

確かに近年は、子供達の学力低下や、児童虐待、捨てられた子供のニュースが
後を絶たず、教育や子育てを見直すべき時期であることは確かです。
しかし、単に政治的信条に沿う教育法を「日本の伝統的な子育て」と祀り上げ、
その陰で、たくさんの苦しむ人々を出してしまうことが、
「美しい国、日本」の姿だとも思えません。

大阪維新の会の「家庭教育支援条例案」から垣間見えた「親学」という考え方。
そこに根ざす“子育ては「親の責務」、その国民を育てるのは「国の責務」”という
大義名分に、まるでマインドコントロールのような怪しさを感じるのは、私だけでしょうか。

担当:梅木
(2012/5/14 UPDATE)
番組スタッフ
ゴールデンウィークから世間を騒がせはじめたソーシャルゲームのコンプガチャ問題
コンプガチャ(=コンプリートガチャ)とは、有料の抽選くじ方式で、
数種類の特定アイテムをそろえると、希少性の高いアイテムが入手できる仕組みです。
景品表示法に抵触する可能性があるとして、問題が浮き彫りにされ、
先日、各社がコンプガチャを自主規制するとの見解を示しました。

+++++++++++++++++++++
プラットフォームを運営するグリーやディー・エヌ・エー(DeNA)、ミクシィ、
サイバーエージェント、ドワンゴ、NHN Japanの6社は9日夜、
自社で開発する内製ゲームについて、コンプガチャを5月末までに
すべて廃止すると発表した。また、6社のプラットフォーム上でゲームを
配信する外部の開発会社(SAP)についても、コンプガチャの
全面廃止に向けてガイドラインを作成し、早急に公開すると
した。
<日本経済新聞 コンプガチャ全廃へ  2012/5/9>
+++++++++++++++++++++

このニュースを知った当初、私は欲しいものを手に入れるためにお金を使うことの
どこが問題なのか疑問でしたが、コンプガチャが景品表示法で禁止されている
絵合わせ」にあたるかもしれないというのです。
「絵合わせ」とは、特定の絵柄を数種類揃えることで景品がもらえる仕組みのことを指します。
週明けにも消費者庁はコンプガチャが違法であるとの見解を示すようです。
景品表示法から見て、コンプガチャの何が“黒”かというと…

+++++++++++++++++++++
景表法には、景品付きのくじなどを規制する「景品規制」が定められている。
スーパーなどの福引で、あまりに高額な景品につられ、必要のないものを
購入しすぎることを抑制する狙いがある。この規制対象を細かく定めた告示に、
コンプガチャが対象となり得る項目があることがわかったという。
以下が、その文言だ。「2以上の種類の文字、絵、符号等を表示した符票のうち、
異なる種類の符票の特定の組合せを提示させる方法を用いた懸賞による
景品類の提供は、してはならない」。こうあるように、
いわゆる「カード合わせ」による景品の提供は、その金額によらず禁止されて
いる。
<日本経済新聞 消費者庁、来週にも「コンプガチャ」違法見解 2012/5/9>
+++++++++++++++++++++
…のだそうです。

何よりも私が驚いたのは、自主規制を発表した各社の『スピード』です。
コンプガチャとは画期的発明であり、急成長にいたる一翼を担った
システムだそうですが、そんな「打ち出の小槌」をあっさりと
捨てられる各社の対応にある種の敬意を払ってしまいます。
しかし、コンプガチャ自主規制にいたる『スピード』は
新たな収益システムを生み出すのは比較的容易だということの裏返しなのかもしれません。

今回の問題について、運営側はどのように思っているのでしょうか。
各社代表のコメントが発表されましたが、私が気になったのは
サイバーエージェントの藤田晋社長のコメントです。
藤田社長は日経新聞の取材に対して、次のように語っていました。

+++++++++++++++++++++
「正直、カード合わせを禁じる法律を知らなかった。今朝、詳細が書かれた
記事を読んで経緯を知り、納得したので、すぐにストップするよう役員にメールで指示しました」
「コンプガチャが出てきてからソーシャルゲーム市場が跳ね上がった。
もともと高収益だったソーシャルゲームが、“異常”が付く高収益になった。
みんなやらざるを得ない。でも、この1年は異常だった。僕もヘンだと思っていたし、
いい機会だと思う。健全な成長をたどるよう、ちゃんと戻していき
たい」
<日本経済新聞 コンプガチャ全廃へ  2012/5/9>
+++++++++++++++++++++

ソーシャルゲームを運営する側の法に対する「無知さ」、
「コンプライアンスの欠如」も問題であるように思います。
昨年11月、グリーがDeNAを提訴しました。ゲームコンテンツの開発メーカーに対し、
グリーの運営するSNS「GREE」にゲームを提供した場合、DeNAは
同社の運営するSNS「モバゲータウン」にそのメーカーのゲームコンテンツを
リンクさせなくすることで、結果的に「GREE」へのゲーム提供を妨害したためだそうですが、
提訴した理由について、グリーの田中良和社長は
「(近年のインターネット業界には)犯罪を犯してでも勝てばいいんだという人が
横行する社会になってきたというのが、個人的な感想
」と述べたそうですが、
その言葉が自らの首を締めることになりそうです。

「コンテンツ」よりも、「収益」に重きを置くソーシャルゲーム業界の
実態が明らかになった今回の問題ですが、とてつもないスピードで
日々進化を続けているソーシャルゲーム業界がこれをきっかけに失速してしまうとは思えません。
次にどんな課金システムを生み出すのか…、良くも悪くも色々な意味で私は注目しています。



スタッフ:坂本
(2012/5/10 UPDATE)
番組スタッフ
最近、私のTwitterのタイムラインでしばしば見かける「クラウドファンディング」という言葉。何かを実行したい人がプロジェクトを立ち上げ、その志に賛同する人々からネットを通じて少額のお金を集めて、プロジェクト遂行のための資金にするというものです。

先月発売された津田大介さんの著書「動員の革命 ソーシャルメディアは何を変えたのか」(中公新書ラクレ)でも多くのページを割いて紹介されているので、知ってる!とか興味ある!という方も多いのではないでしょうか。

プロジェクトのオーナー(立案・遂行者)と資金を提供する支援者を結ぶプラットフォームとして、アメリカでは「Kickstarter(キックスターター)」、日本では「CAMPFIRE(キャンプファイヤー)」「REARYFOR?(レディーフォー)」「motion gallery(モーションギャラリー)」などが有名です。


プロジェクトの内容は、実にさまざま。たとえば、こんなものがあります。

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陸前高田市の空っぽの図書室を本でいっぱいにしようプロジェクト(※成立済み)
https://readyfor.jp/projects/an_empty_library

ハイチ人医師を日本の医療教育で育成し、結核患者を救いたい!
https://readyfor.jp/projects/haichi-doctor

69歳の職人が彫る人生最大のドラゴンアート、職能を活かし新しい市場を共に創る(※成立済み)
http://camp-fire.jp/projects/view/218

カンヌ映画祭・ベネツィア映画祭を制覇した巨匠キアロスタミが、新作『Like someone in love』を日本で撮る!
http://motion-gallery.net/projects/1
+++++++++++



プロジェクトを支援したいと思った人は、数段階ある支援額(チケット)からひとつを選択し、クレジットカードで購入します。チケットに応じて、支援者が手にする「見返り」は異なります。成果物そのもの、優先的にサービスを受ける権利、自分の名前を載せてもらえる権利、などなど。
また、プラットフォームのサービス内容によって、購入した時点で課金されるタイプと、オーナーが設定した期日までに目標額に到達しなければプロジェクト自体が不成立となり、課金されないタイプがあります。
プロジェクトが成立すると、プラットフォームはカード決済などの手数料を差し引いた残りをオーナーに支払います。

寄付と共同購入の両方の性格を持つクラウドファンディング。ソーシャルメディアの普及によって、資金を調達したい人とそれを支援したい人がダイレクトにつながる、新しい可能性を持った手法であることは間違いありません。



前置きが長くなりましたが・・・
今日は、実際にプロジェクトを立ち上げた方に、お話を伺ってみました。
CAMPFIRE で「CGの炎や煙を直感的に作れる世界で最初の手描きアプリ『Sparta』の開発」というプロジェクトを進行中の、狐塚諒太さんです。

Sparta プロジェクト
http://camp-fire.jp/projects/view/237



テレビ・映画から音楽 PV、ゲームまで、CG は今や映像表現に欠かせない技術。とはいえ、そのアプリを実際に利用するのは業界の一部の人たちで、そうでない人にとっては恐らく、ほとんど縁のないもの、ではないでしょうか。CG という言葉の浸透度に比べて、市場はニッチな気がします。

プロジェクト紹介ページで「私はSpartaの開発資金を集めるために色々な方法を探していました。最初はVCや個人投資家から資金を得ることを考えていました。しかし、R&Dの期間が長すぎる点(ここまで15ヶ月)などが原因で、これは上手くいきませんでした」と経緯を説明する狐塚さん。クラウドファンディングを使ってみて、どんな感触を得ているのでしょうか?


++++++++++
1)プラットフォームが複数あるなかで、CAMPFIRE を選んだ理由を教えてください。

同業者のプロジェクトが成功したということもあって、元々 Kickstarter というアメリカのファンディングサイトで始めようと思ったんですが、米国市民でないと参加できないということを知りました。そこで、日本で行えるサイトを探した所、CAMPFIRE と READYFOR? が見つかりました。

自分が見つけた時点では、2つのサイトに大きな差はないという評判で、当初どちらにすべきか悩みました。結果的には、既に掲載されているプロジェクトに、「テクノロジー」と「プロダクト」という項目が多かった CAMPFIRE を選びました。

++++++++++
2)「Sparta」プロジェクトの立ち上げ日は4月26日、期間は60日、目標金額は50万円に設定されていますね。

「立ち上げ日」は間違いありませんが、「期間」は61日です。なので、6月25日(月)が最終日になっています。

これは、CAMPFIRE チームから「立ち上げ日から60日後がちょうど日曜日になってしまうので、ラストスパートのお手伝いをするのが難しくなってしまいます。61日に変更しても大丈夫でしょうか?」というお話があったからです。

++++++++++
3)プロジェクト立ち上げに際して、CAMPFIRE のために要した準備期間やその内容は?(例:プロジェクトホームのコンテンツ(紹介文や動画のデモなど)を準備するのに10日かかった、そのための撮影機材を新規購入するのに2万かかった、など)

CAMPFIRE チームから最初に連絡があったのが3月21日なので、準備期間は1ヶ月ちょっとかかったことになります。当初は、プロジェクト用ページがすぐに掲載されないことを不思議に思いました。しかし、これは「CAMPFIRE チームが、直接プロジェクト用ページの校正を行っている」という期間でした。

最終的に4回ほど校正を繰り返しましたが、「最初のバージョンに比べて格段に見やすくなった」と思ったことを覚えています。この校正作業を、他のサイトが行っているかどうかはわかりませんが、結果的には良い期間だったと思います。

++++++++++
4)プロジェクト立ち上げから今日で12日目ですが、「何日目で何%達成する」といった大まかな目安は持っていましたか?それに対して、ここまでの出足は期待どおりですか?

正直、当初は「お金を集めるのは難しいだろうな」と悲観的でした。自分の周りには「プロジェクトを始めた」という人はいなかったし、なにより「プロのデザイナー向けアプリ」というニッチなカテゴリを選ぶことになったため、「ほとんど人が集まらないかも」と思っていました。

しかし、最初の1週間で目標額の40%を超える資金が集まりました。これには驚きました。ほとんどの支援者が同業者であることや、最高額の10万円の支援者がすぐに見つかったこと。本当にすごい勢いで、プロジェクトの情報が、SNS 上で広がっていくことを実感しました。

++++++++++
5)「見返り」の設定にはどんな工夫をしましたか?

「クラウドファンディングに強いプロジェクトは、ガジェット系のプロジェクト」ということを事前に聞いていました。しかし、自分のプロジェクトは「アプリ開発」というものだったので、物質的なリターンが見込めない点で、何をリターンにすべきか悩みました。

その後、「クラウドファンディングは寄付というより、割引券付きの予約販売が近い」という意見を聞き、開発中のアプリの使用権を2ヶ月、半年、1年と分けて、リターンとすることにしました。資金が十分ではない起業の初期段階で、「開発する前にアプリの販売ができる」という点はすごく助かります。

++++++++++
6)クラウドファンディングを利用してみての感想をお聞かせください。

ファンディング自体は半分程度しか進んでいないので、まだ成功には遠いですが、「これを始めて良かった」と思っています。アプリのプロモーションという意味でも効果があったし、これまで面識の無かったデザイナーが、アプリの体験版を試してくれる機会も増えてきました。

また SNS を通じて、個別に「活動報告」などの情報を支援者に送ることで、これまで繋がりの薄かった人とも積極的に意見を交わすようになりました。特に嬉しかったことは、支援者になった人が、ファンディングプロジェクト自体を、継続的に応援してくれるようになったことです。

++++++++++


個人が目的を達成したいときにハードルとなる資金調達や周知の面を、プラットフォームが効果的にサポートする。オーナーと支援者は相互にフィードバックし、よりよい内容に磨いていく。プロジェクトの成立に向けて、関わっている人全員が協力し合う、そんな構図が見えてきました。

次回は、プラットフォームの方にお話を伺いたいと思います。



(水曜タイムラインWeb担当:たけなか)
(2012/5/9 UPDATE)
番組スタッフ
毎日新聞が、今月2日に一面で報じた『「パラサイト中年」300万人』というニュース。

総務省統計研修所が昨年まとめた推計によると、35〜44歳の6人に1人、約300万人が未婚のまま親と同居。
90年代に指摘された当時20〜30代の「パラサイト・シングル」の多くが、中年世代になっても依存を続けているとみられているのだといいます。


このニュースに対する識者の反応は、「パラサイト・シングル」という言葉を造った中央大学の山田昌弘教授が『自立できない未婚者が増えれば、少子化が進行し、生活保護を受ける人が増える可能性も高まる』と言っているように、「パラサイト中年」が増えている状況が今後、社会に何らかの悪影響を及ぼすという論調が多いように思います。

一方、ネット上の反応は「パラサイト中年」を否定する意見は少数。肯定する意見の方が多いような印象を受けました。
<否定派>
要するにスネかじりの穀潰しだろ。
<肯定派>
仕事もしないで中年になっても親のすねかじってるってんなら問題だと思うし、勤労や納税の義務を果たしてないから非難されても仕方ないと思うけど、仕事はした上で親と同居する分には好きにしたらいいと思うが。

また、「結婚してたら二世帯住宅とかいうのに結婚してなかったら寄生虫扱いかよ」など、報道の仕方を批判する意見も数多くみられました。

波紋を呼んでいる「パラサイト中年」報道ですが、そもそも「パラサイト中年」は問題視すべき存在なのでしょうか。

まずは前提となる「パラサイト・シングル」とはどのような存在なのか、その定義をおさらいしたいと思います。
毎日新聞(2012/5/2)によると、「パラサイト・シングル」とは・・・
社会人になっても自立せず、親に依存して同居を続ける未婚の若者を指す造語。
自分の収入を趣味などの消費に充てて優雅な生活を送る様子が「親に寄生(パラサイト)している」ように見えたことが語源となった。最近は、親と同居する未婚者の総称として使用される。


この定義の中で注目すべきは「自分の収入を趣味などの消費に充てて優雅な生活を送る様子」という部分。この部分によって、悪い印象を植え付けられている気もします。
また、「パラサイト・シングル」という言葉が造られた当時は、上記のような状況だったと思われますが、今はどうなのでしょう。

調べてみると、「パラサイト・シングル」の別の側面が見えてきました。
総務省によると、2002年までの5年間に家族の介護・看護を理由に離職した人は52万人。
そして次の5年間は56万人に増えています。
つまり、「パラサイト中年」の中には、親の介護のため、やむをえず結婚せずに親と同居している人も少なくないことが推測できます。

また、学習院大学経済学部の鈴木亘教授は、「パラサイト・シングル」の中年化について、自身のブログ(2011/10/26)に次のような見方を示しています。
******
現在はむしろこのパラサイト・シングル化の動きを、家族内の「リスク・シェアリング」として積極的に見て良い面もあるように思われる。
しかも、そのリスク・シェアリングは、子どものリスクを親が支えるだけではなく、高齢化する親のリスクを子どもが支える側面も観察されており、決して一方的な関係ではない。また、親の経済的利用可能性が階層化を進めるというよりは、むしろ、経済的にまだ余裕のある親が生活の苦しいパラサイト・シングルを支えて、双方の経済力が平準化する(中和する)という所得再分配の機能も存在しているようである。
もっともこの共生家族は、その一代限りで完結して終わり、次世代には続かないという問題がある。

******

「親のすねをかじり、優雅な生活を送る」という、パラサイト・シングル像は、今は昔。
非正規雇用の増加や高齢化した親の介護など厳しい社会状況により、かつてのパラサイト・シングル像は変質していったような気がしてなりません。
今、定義し直すのであれば、「生きていくためにやむをえず親と同居する若者」といったところでしょうか。

子どもが自立できないだけでなく、親も子どもが自立しては生きていけない時代。
「パラサイト中年」は、こうした生きづらい現代の象徴なのかもしれません。



<web担当:H>
(2012/5/8 UPDATE)
番組スタッフ
連休直前の日本を震撼させた、京都府亀岡市の無免許運転事故
事故直後に、被害者の個人情報が加害者側に漏洩していたこと、
『被害者の名前だけ報道されて、加害者の名前は報道されない』といった苦言が
被害者側から出たこともあり、改めて「少年法の改正」を求める声が高まっています。

その一方で、事故直後は、毎度のことながら通称“特定班”と呼ばれる
不特定多数のネットユーザーが加害者の身元を割りだし、
4月23日事件当日中には、Google検索急上昇キーワードの一位に加害者の名前が浮上。
加害者である顔写真や交友関係なども晒され、
もはや実名報道の自粛が無意味な状態にもなっています。

事実上、実名報道同然の状態ながら、
今、多くの人が少年法を見直すべきだと考える原因は、どこにあるのでしょうか?

そこで今日は、亀岡事故に端を発した「少年法改正を求める賛否の境界線」
考えてみたいと思います。

まずは、ネット上にあがっている意見を集めてみました。

●実名報道に賛成派の意見

・遺族にとっては、加害者が未成年かどうかなんて関係ない
・実名報道されないから、加害者側の罪の意識が低くなる
・マスコミが報じないなら、ネットが真実を暴くまで
・加害者が少年法で守られるのなら、親の名前を公表すべき

●反対派の意見

・こういう子を持った親も、ある意味で被害者
・直接の原因ではない加害者の親戚などまで巻き込んでしまう
・実名報道だと、報復や嫌がらせが行われる可能性がある
・名前の公表より、事故原因や検証結果の方が重要

賛成派・反対派の声が交差する中、こんな指摘も見つけました。

“加害者の名前が流出しているけど、
気に入らない人物の名前を犯人と偽って拡散される可能性もある”



そもそも、この少年法改正の声が高まった理由の一つに、
事故の重大さに見合わないと思われる刑の軽さがあります。

●無免許運転の少年、刑期は7年前後か/産経新聞(4月25日)
記事によると、容疑者の少年に科されるであろう刑罰は、
“7年以下の懲役もしくは禁錮、または100万円以下の罰金”とのこと。

凶悪犯罪事件に匹敵する大事故にして、あまりに刑が軽すぎるのでは?
という憤りは、誰もが感じたことと思います。

しかし、既に実名報道同然の状況下でありながら、
加害者にさらなる社会的な報復を追わせようとする動きに対しては、
私は、恐怖を感じてしまいます。

現に、事故直後の実名特定の際には、
誤って関係のない人に濡れ衣を着せてしまうという冤罪騒動にも
繋がってしまっていました。

また、被害者が運ばれた救急救命センターのブログから発覚した
「マスコミの過剰報道」も問題となっています。

どちらも、暴走する正義を振りかざすあまり生まれてしまった残酷な結果。
我々が事件の傍観者でしかない以上、少年法よりも先に見つめ直すべきは、
事故から派生してしまう、こうした新たな被害ではないでしょうか。

今回のような大事件・大事故は、直後から徐々に風化していく傾向にありますが、
“起こらずに済んだはずの愚かな事件・事故”を未然に防ぐために、
我々はどうしたらいいのでしょうか?

私個人の意見としては、事件・事故直後と同様に、容疑者の少年が負う損害賠償も、
大きく取り上げられるべきだと思います。
(今回の事件に関しては、あくまでも賠償責任を負った場合の仮定ではありますが…)

「お金」で償うことに嫌悪感をおぼえる方もいるかもしれません。
もちろん、お金で被害者の悲しみが癒されるわけではありませんが、
どんなに加害者が誠意を見せたところで、
被害者と加害者という立場が変わらないのも事実です。

それゆえ、少年が負うであろう償いが、具体的に大きく報じられることで、
罪の意識の向上と、将来の抑止効果を生み出すのではないかと思うのです。

あまりにも痛ましい交通事故が、立て続けに起こってしまったここ数週間。
私自身も含め、誰もが、事故を起こしてしまう可能性があること、
自動車が高速で走る鉄の凶器であることを、改めて認識しなければなりません。

担当:梅木
(2012/5/7 UPDATE)
番組スタッフ
今週、生涯未婚率が発表されました。
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50歳時点で一度も結婚したことがない人の割合である生涯未婚率(2010年時点)は、
男性20・1%、女性10・6%と、初めて男性が2割台、女性が1割台に達したことが30日、
わかった。 政府が6月初めに閣議決定する2012年版「子ども・子育て白書」に盛り込まれる。

(2012年5月1日 読売新聞)
+++++++++++++++++

少子化がますます進んでしまう、将来の社会保障制度に影響を与える由々しき事態だ
…という声もあるようですが、『生涯未婚率』の増加よりも、私はそもそも、
『生涯未婚率』という言葉に疑問を感じます。

『生涯未婚率』とは…
+++++++++++++++++
「45〜49歳」と「50〜54歳」未婚率の平均値から、「50歳時」の未婚率
(結婚したことがない人の割合)を算出したものです。生涯を通して
未婚である人の割合を示すものではありません。ただし50歳で未婚の人は、
将来的にも結婚する予定がないと考えることもできることから、
生涯独身でいる人がどのくらいいるかを示す統計指標として使われます。

(公益財団法人 生命保険文化センターHPより)
+++++++++++++++++

50歳で未婚の人は、結婚する予定がないと考えられる…だそうですが、
果たして「生涯未婚」とくくってしまっていいのでしょうか。
晩婚化が進み、中高年のための結婚相談所、
お見合いパーティーも増加していると言います。
そんな事情もふまえて、果たして50歳という年齢を、
生涯独身かを見極めるボーダーラインに設定することに疑問を感じるのは私だけでしょうか?
来年付き合っている彼女と結婚しようと思っていたのに、
結婚してないばかりに「生涯未婚」に区切られた…なんていう男性もいるのかもしれません。


「年の差婚」が流行りつつあるという背景も加味しなければならないように思います。
実際、私の回りにも年の差カップルが増えました。
恋愛コラムニストの永瀬久嗣さんは以下の理由で「年の差婚」が増加していると述べています。
+++++++++++++++++
1.男女の精神年齢の差の広がり
女性の社会進出が進んだことにより、精神年齢が以前よりもさらに高くなった。
同年代の男性がこれまで以上に子供に見えてしまうほど精神年齢のギャップが生じている
2.経済的問題
若い男性の経済力がかなり低下していることも理由。若い男性よりも金銭的に
余裕のある年の離れた男性に、経済的魅力を感じる女性も増えているのでしょう。
3.世代間のギャップの低下
SNSなどのコミュニケーションツールの発達により幅広い年代の人と交流しやすくなり、
世代間のジェネレーションギャップを感じづらくなってきていること。
4.男性の晩婚思考と女性の早婚思考の高まり
男性と肩を並べてキャリアを積む女性が増える一方で、早期退職して
家庭に入ることを理想とする女性も増えている。

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参考:世間の声は賛否両論!? 「年の差婚」が増えている理由にはSNSが関係していた!
   | キャリア | マイナビニュース

SPA!2/7・14号の特集記事「40代独身男のリアル」で、都市部在住の
40代未婚男性100人(結婚経験のある人は除く)を対象にしたアンケートによると、
42%の男性が年の差婚を希望しているという結果も出ています。


今回の生涯未婚率の結果は、政府が6月初めに閣議決定する
2012年版「子ども・子育て白書」に盛り込まれるとのことですが、
昨年の内閣府「2011年度版 子ども・子育て白書」にも
未婚率の推移を示したグラフが掲載されています。
驚くべきことに、そこには40代以上の生涯未婚率の推移は全く記されていないのです。
年齢別未婚率の推移は「25ー29」「30ー34」「35ー39」の3世代しか示されていません。
「恋愛」「結婚」というものは、その時代の世相が強く反映されるものです。
晩婚化が進むなど、結婚が多様化する今の世相を反映していないグラフに
何の意味があるのでしょうか。


50歳前後の統計を取って、生涯独身かどうかを計るなんて、
時代錯誤もいいところだと思います。

可能であれば、人生を全うした時点でその人が結婚していたか否かを調査するべきです。
世相を反映していない「子ども・子育て白書」を閣議決定する民主党に
「子供政策」をゆだねることが不安でなりません。


スタッフ:坂本
(2012/5/3 UPDATE)
番組スタッフ
福島県の浪江町が、役場機能移転先の二本松市で、町民を対象にホールボディカウンターを使った独自の内部被ばく検査を始めました。

+++++++++++++++++
(4月27日:福島民報)
独自の内部被ばく検査開始 浪江町、役場機能移転自治体で初
http://www.minpo.jp/pub/topics/jishin2011/2012/04/post_3796.html

記事より抜粋:
1日50人を検査する。測定に要する時間は約2分で、町職員が結果を説明する。
(中略)
約2万1000人の町民のうち、18歳未満や妊婦を優先した県の内部被ばく検査を受けたのは約17%。町は1年以内に希望者全員が受診できるようにする。
+++++++++++++++++


ホールボディカウンターというと、内部被ばくを測定できる稀少で高額な機械でありながら、設置場所の条件やバックグラウンド(自然放射線)の遮断、体が小さい子どもの測定方法などで基準が定まっていないために、検出された数値の読み方が難しい・・・といった話も見聞きするので、そうした基準が早く決まって、検査を提供する側、受ける側の双方が安心して利用できるようになればいいなと思います。


さて、今回は、そんな「内部被ばく」を取り上げた、鎌仲ひとみ監督の最新映像作品「内部被ばくを生き抜く」を観てきました。


内部被ばくを生き抜く 公式サイト
http://www.naibuhibaku-ikinuku.com/



Photo01



+++++++++++++++++
まもりたい!未来のために。

内部被ばくの時代を私たちは
どうやって生き抜いていくのか?

原発事故後の日本で
命を守りながら前向きに生きていきたい
全ての人たちへ。
専門家たちと福島からのメッセージ!
+++++++++++++++++


というキャッチフレーズがついたこの映画は、
広島への原爆投下で被爆し、その後66年、被ばく者の診察を続けている肥田舜太郎さん。
チェルノブイリ原発事故や、湾岸戦争で使われた劣化ウラン弾の被害に遭った子どもたちを医療支援している鎌田實さん。
東京大学アイソトープ総合センター長で、毎週末被災地にボランティアで通い放射線量の計測を続けている児玉龍彦さん。
45年の臨床経験を持ち、ベラルーシのゴメリ州でチェルノブイリ原発事故の被ばく者を診ているスモルニコワ・バレンチナさん。
4人の医師それぞれの体験や研究に基づく、内部被ばくについての見解や対処方法の「語り」と並行して、二本松市で生活を続けることを決意した、あるお寺の一家の姿を追いかけています。

300年以上続くお寺「真行寺」で幼稚園を営む佐々木道範さんは、高額な機械を購入して、園児に出す給食の牛乳の放射線量を毎日測っています。高圧洗浄機による水洗では除染の効果があまり見られなかったために、屋根も張り替えました。子どもたちを守り、土地の人たちと長く暮らし続けていくために「除染するしかない。一生かけてやっていくしかないのかな」と覚悟を口にする佐々木さん。
妻のるりさんも、「ここで暮らすと決めたからには、どうにかして『被ばくしない方法』を探し出して、続けていくしかないと思う」と言います。

鎌田医師はこう話しています。
「一度汚れた体はキレイにならないんだ、ということではない。保養の期間をきちんと設けて食品の管理をしていけば正常になる」


この作品から一貫して感じるのは、「内部被ばく」という言葉や事象を扇動的に扱ったり、それを悲観したり絶望したりするのではなく、「できるだけ避けていこう、そのためには」という粛々とした姿勢です。長い葛藤の末の決意から生まれた姿勢なのだと思います。だけどそれでも、ふと垣間見える、終わらない葛藤。


るりさんが鎌仲監督とのやりとりの中で発した、お弁当づくりの合間の一言

「栄養や彩りは二の次、セシウムさえ入ってなければ・・・」

を聞いて、先日、空間線量測定器を借りに行ったときの渋谷区役所の職員さんの言葉を思い出しました。

「(放射線量を気にするあまりに輸入食材しか食べない人もいる、という話になって)人間の修復能力を信じて、不安に飲み込まれないで、美味しいものを食べて免疫力を高めたほうがいいのかな、というのが、私の個人的な意見です」

東京に住む者としては、これはこれで正しい意見だと思うのですが、実際にその土地に暮らし続ける母親という立場になったら、私も子どもを守りたいという気持ちから、栄養や彩りは二の次、と考えてしまうかもしれません。



「葛藤の後の粛々とした姿勢、それをみて葛藤する私・・・」みたいなことを考えながら上映室を出たら、こんな予告チラシを見つけました。


Photo02


TPP特集。こちらもおもしろそうです。



上映館「アップリンク」のサイトにはまだ告知が出ていないようですが、気になる方は期日が近づいたらチェックしてみてください。


アップリンク
http://www.uplink.co.jp/top.php





(水曜タイムラインWeb担当:たけなか)
(2012/5/2 UPDATE)
番組スタッフ
『年収5000万円 超人気芸人「母に生活保護」仰天の言い分』

「女性セブン」(2012/4/26)に掲載されたこの記事をきっかけに、ある人気芸人に対して、ネット上では非難の声が集中、物議を醸しています。

「女性セブン」の記事によると、ある人気芸人は推定年収5000万円ほどあるにもかかわらず、母親に対する扶養義務を負わずに、母親に生活保護を受給させ続けていたというのです。

このままでは分かりにくいので、生活保護と扶養義務の関係性についても解説します。
生活保護を受給するためにはいくつか条件があり、その中の一つに「親族で助けてくれる人がいるかどうか」というものがあり、もし助けてくれる親族がいる場合は、扶養義務が優先され、生活保護は受給できません。

これを今回のケースにあてはめると、人気芸人は母親を扶養する義務があったものの、扶養義務を負わずに、母親に生活保護の受給を続けさせていた、ということのようです。

「女性セブン」に端を発したこの騒動は、ネット上で過熱していきます。
まず、「日刊サイゾー」が芸人の名前を実名で報道。
さらに、「livedoorネットリサーチ」では、「売れっ子芸人の母が生活保護 納得できる?」と題するアンケートを実施。
その結果、2410名が投票し、このうち92.7%が「納得できない」と答えています。


「納得できない」と答えた理由としては、以下のようなものが挙がっていました。
・生活保護は生きていく為の最後の砦。親類がいるなら必要ない。
・税収40兆円の国で、生活保護費で食い潰されている額3兆円。真面目に働いて納税する者が馬鹿を見るレベル。
・生活保護の不正受給の厳罰化と資格調査をしっかりすべき。

今回のケースは、人気芸人が絡んでいるため、騒動が大きくなりましたが、生活保護の不正受給自体は以前から問題視されてきたかと思います。

最近では、ネット上で「働きたくないので、ナマポ(生活保護を表すネット用語)の受け取り方教えてください」などといった、不正受給に関する情報交換が当たり前のように行われていることも問題となっています。

一方で、生活保護の受給者は昨年12月時点で207万人を突破し、過去最多を更新。受給世帯数も150万7940世帯と、こちらも過去最多。さらに支給額は3兆円を超えています。

こうした生活保護に関するニュースと必ずといってもいいほどセットにされ、報じられるのが生活保護の不正受給。

不正受給が生活保護の受給者数を押し上げているような印象さえ受けますが、実は生活保護の不正受給者は、受給者全体の1%程度なのだといいます。

******
厚労省の調査によると、10年度の不正受給件数は2.5万件、受給者の1%程度。
それよりも重要な問題は、高齢者や単身者、失業者などの貧困をどう食い止めるのか、生活保護の自然増加をどう反転させるか、の議論である。

******
「週刊エコノミスト」(2012/4/3)
“国立社会保障・人口問題研究所社会保障応用分析研究部長・阿部彩さんの記事”より


さらに、若者の生活保護受給者が問題視されていますが、実は生活保護受給者の約半数は65歳以上の高齢者なのだそうです。

******
実は、厚労省のデータによれば、生活保護受給者の約半数は65歳以上の高齢者である。
もちろん「働けるけどめんどくさいから生活保護で済ませちゃえ」というけしからん現役世代も少数はいるだろうが、統計上は、仕事が見つからず体力的な問題も抱えた高齢者が中心ということになる。
本質は、老後の社会保障がザルになっているということだ。最低保障年金のような未納者もカバーできるような仕組みを作って、財源は消費税等で広く負担する仕組みを一日も早く導入するしかない。

******
「週刊SPA!」(2011/10/4)
”「若者はなぜ3年で辞めるのか」の著者で人事コンサルタント・城繁幸さんの記事”より


厚労省の統計、識者の意見を総合すると、生活保護に関して問題視すべきは不正受給や若者ではなく、高齢者。
しかし、先月、厚労省が示した対策はどうでしょう。

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厚生労働省は9日、首相官邸であった国家戦略会議で、生活保護受給者が働いて得た収入の一部に当たる保護費を自治体が積み立てておき、生活保護を抜ける際に本人へ返す「就労収入積立制度(仮称)」の創設を検討する方針を示した。
収入が増えた分保護費も減らされる現行制度の原則が働く意欲を失わせているとの指摘があり、同制度の導入で受給者の就労を促す考えだ。

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毎日新聞(2012/4/9)

厚労省が示したのは低所得者の生活保護からの自立支援を強化するための新制度。
これから働く若者を対象にした制度のように思えますが、果たしてこの新制度が生活保護受給者の減少につながるのでしょうか。

統計や識者の話を信じるのであれば、生活保護問題に対して講じるべきは、高齢者の雇用対策、そして老後の社会保障の充実のような気がします。


<web担当:H>
(2012/5/1 UPDATE)

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