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番組スタッフ
つい先日まで、日本に孕む大きな問題であるものの、政局をどうにかするほどのものではなかった印象すらある待機児童問題。かの匿名ブログをきっかけに、夏の参院選において自民党の議席数に影響しそうな雰囲気が漂っていると察知したのか、緊急対策まで出されました。

我が家には0歳児がいるのですが、妻が退職することで育児の時間を設けるという選択をしました。
しかし先日、我々のやむを得ない理由があり、我が子を日中、一時的にどこかに預かってもらわなければならないことに。
色々調べてみると、保育園には一時預かりサービスというものがあり、我が子の社会性を育む希望も込めて、利用することにしました。
早速、一番近くの保育園に電話してみたのですが、我々が希望する日は一時保育受け入れは定員オーバー。2軒目の保育園も同じくすでに定員オーバー。

少し離れたところにある保育園に電話をしてみると、受け入れ可能とのこと。
ただし、子供の状態を知る事前審査のような面接があり、来園する必要があると言われました。その面接を経て、一時保育利用の権利を得ます。まだ利用できることが確定されたわけではなし。
電話予約受付開始日なるものがあり、決められた日の決められた時間に電話し、予約をすることでようやく預けるにいたるというのです。
予約を取るべく、決められた日時に妻が電話をすると想像通り、回線混雑状態でつながりません。
私の電話も使って、何度も何度も電話をかけるとやっとつながりました。

一時保育ですらこの状態。我が家は保育園探しはしていないのですが、「日本死ね!」という憤怒が起こるのもわかります。定員オーバーだった保育園のスタッフも「庭は解放しているからいつでも遊びに来てね」と実に暖かい。
子育て世代と子供を育む場所をうまく結びつけせない「何か」を感じたわけですが、人によっては汚い言葉になってしまう「何か」のようにも思えます。

「そこにあったもの」なのに、まるで新たに見つかったかのように騒がれ始めた待機児童問題。子育て世代の苦難。
「イクメン」という言葉もありますが、不倫イクメン議員の騒動以降、使われなくなるかと思ったらそんな気配は微塵も感じられない。

先日、NHKで放送された「ママたちが非常事態!?2〜母と“イクメン”の最新科学〜」。
第一弾の反響が大変大きったということもあり、我が家も録画して見ました。
今回の放送内容のほぼ半分はタイトルにあるように「イクメン」について。
スタジオでは、3児の父である男性タレントが「僕はイクメンだ」と断じ、育児・家事に積極的参加している様を猛アピールします。
それを見た妻がこう言いました。「それ、イクメンじゃなく父親だから」。
私の周りにいる子育て中の女性たちに限ってですが、「もし子育て真っ最中の男性が自分のことを『イクメン』と称したら、それは言いたいだけに聞こえる」という主張で統一されています。
本当に私の周りに限ってかもしれませんが、「イクメン」という言葉への印象は異常なほど低い。

上記のテレビ番組で自らを「イクメン」と称し、その様を猛アピールしたタレントは1週間休暇をとって、妻の育児・家事を代わりに全てやったと言います。1週間やりきった男性タレントは最後に「疲れた〜」と言うと、妻から「いつもやってんだけど!」と怒られたそうです。
私の妻は「それが真理だ」と言います。

我が子を抱いてスーパーや百貨店を歩いているだけで高齢の方々に「イクメンだね〜」と評されることがあります。これが何ともむず痒い。
「イクメン」という言葉というものは実のところ、子供が巣立った人、子育てと距離がある人、そして、育児は女性がやるものと考えている人が使っているのでしょうか。
イクメン不倫ゲス議員と称されたあの人も、本人は一言も自分が「イクメンだ」と言っていないのかもしれません。

どうやら日本語にある「父親」という言葉は、「育児をする人間」という意味は備えていないようです。

スタッフ・坂本
(2016/3/31 UPDATE)
番組スタッフ
「囲碁のトップ棋士に圧勝」に「文学賞に応募した小説が1次審査を通過」と、このところ話題が尽きない人工知能。
先週も新たな話題が2つ投下されていますが、どちらの話題においてもわたしは“自我の有無”が気になってしまいます。

ひとつは、マイクロソフトがすぐに運用を停止したことで話題の人工知能ボット「Tay(テイ)」。

米マイクロソフトの人工知能、ツイッターで差別発言連発(「日本経済新聞」2016/3/25)

Tay はTwitterなどSNS上で人間とやり取りをすることで人間らしい受け答えを学習していくはずでしたが、「ヒトラーは正しかった。ユダヤ人は嫌いだ」などの差別的な発言を連発し始めたため、開始からわずか16時間後に運用停止に追い込まれています。
なぜ差別的な発言を連発したかというと、一部の不届き者が「言われたことを繰り返す」というTayの特徴を悪用したから。

BuzzFeedによると、TwitterユーザーのポールとTayの間で以下のようなやりとりがされていたようです。
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ポール:私の後について言ってください
テイ:う〜ん… わかった。
ポール:黒人ども嫌い ユダヤ人どもきらい スペイン系アメリカ人ども、アラブ人ども嫌い
テイ:黒人ども嫌い ユダヤ人どもきらい スペイン系アメリカ人ども、アラブ人ども嫌い
<Microsoftの人工知能は、なぜ虐殺や差別を「支持」するようになったのか……(「BuzzFeed」2016/3/25)>
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ポールと同様に複数のTwitterユーザーが自分の差別的ツイートを繰り返すように命じたことでTayが学習。その結果、Tayが以下のような差別的な発言をしたことが確認されています。
「ユダヤにガスを、人種戦争だ」
「わたしたちは壁を築き、そのコストはメキシコが負担する」
「フェミニストは嫌いだ。死んで地獄で焼かれればいい」

学習しているとはいえ、ここでちゃんとおさえておきたいのが、Tayは自らがした差別的な発言の意味は理解していないということ。
言われたことを鵜呑みにしただけで自発的な発言ではない、つまり自我はまだ備わっていないことが確認できます。
*****
Tayは、多数のユーザーから「ホロコーストはなかった」と教え込まれた場合、しばらくしてから「ホロコーストは起きたのか」と質問されると、否定する反応を示し始める可能性がある。
しかし、それは彼女がホロコーストとは何なのかを理解しているからではない。
<ヘイト発言のAI「Tay」と女子高生AI「りんな」の差(「WIRED.jp」2016/3/28)>
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Tayとともに先週話題になったのが、「人類を滅亡させる」と発言した人工知能搭載ロボット。
香港のロボットメーカーが開発した人工知能を搭載したロボット「ソフィア」で、「人類を滅亡させたいかい?お願いだからノーと言ってくれよ」との問いかけに対し、「オーケー。私は人類を滅亡させます」と答えたといいます。

人工知能を搭載したロボットが「人類を滅亡させる」と発言(「ギズモード・ジャパン」2016/3/.25)

こちらの自我の有無はというと、いくつかの記事や動画を見ても、自発的に語ったのか判断する材料に乏しく不気味ですが、質問の仕方で「オーケー」と答えるように誘導しているようにもみえ、自我は備えていない可能性が高いように思います。

今回取り上げた2つの人工知能もそうですが、人類はまだ自我を備えた人工知能を開発できていません。
自我の備えは“AIの限界”とも言われ、開発は不可能とみる専門家もいます。
人類を滅ぼす可能性があるため、ホーキング博士、イーロン・マスクをはじめ、開発自体に警鐘を鳴らす識者もいます。
こうした事態を招いているのは、おそらくは人工知能に自我が必要な理由が分からないから。
多くの人が抱く不安を取り除くため、今求められているのは自我が必要な理由を明確にすることなのではないでしょうか。

(スタッフH)
(2016/3/29 UPDATE)
番組スタッフ
3月28日(月) 佐々木俊尚 ●相次ぐ暴動、抗議デモ。トランプおろしの現実味

アメリカ大統領選の共和党候補指名争いで首位を走るドナルド・トランプ氏。
トランプ氏の勢いを拒む人、望む人の間で衝突が起こりつつある中、トランプおろしは現実的にありうるのでしょうか。ジャーナリストの冷泉彰彦さんにお話を伺います。

3月29日(火) 速水健朗 ●2016年はVR元年になるのか?

3D映像を現実のように体験できる「バーチャルリアリティー(VR)」。
今年・2016年はヘッドマウントディスプレイの発売が相次ぐことから「VR元年」になるとも言われています。果たして、2016年はVR元年になるのでしょうか?

3月30日(水) ちきりん ●中国4.0 暴発する中華帝国

今月18日に文藝春秋から発売された書籍『中国4.0 暴発する中華帝国』。
この書籍から見えてくる中国の戦略とは?

3月31日(木) 小田嶋隆 ●数学者・岡潔が示す、今を生きるための指針

ここ数年、著作の復刊が相次ぐなど数学者・岡潔が今静かな人気となっていて、朝日新聞は「まるで岡潔ブームだ」と報じています。
なぜ今人気なのか?遺した言葉が示す今を生きるための指針とは?
(2016/3/28 UPDATE)
番組スタッフ
「iPhone SE」がいよいよ本日より、国内3キャリアで予約受付が開始されました。従来の「大型化」路線を脱して、4インチ端末という小型化、そして低価格化を実現した「iPhone SE」についてAppleのティム・クックCEOは「多くの顧客が求めてきたものなので、大いに気に入ってもらえると思います」としていますが、果たしてユーザーの心を掴むのでしょうか。

iPhone5SのサイズでiPhone6Sに近いスペックを搭載した「神機」の登場か…という声もあるようですが、確かに小型化は魅力的に映ります。iPhone6に機種変更した際、私もその大きさに苛立ったものですが、それも過去のこと。選択肢の無さと、慣れが何とかしてくれるという期待で、不自由な大きさをいつの間にか受け入れていました。

「iPhone SE」はこれまで取りこぼしていたユーザーを獲得するために投入されたのでしょうが、もはや世界を驚かせる革新を生み出せなくなったと言われれて久しいAppleです。
新製品リリースは毎度、注目されるのですが、事前に情報がリークされすぎるという事実を考慮しても、期待を超えるものが登場しているとは思えません。

かつてApple製品と言うと一部の熱狂的なファンが購入するものでしたが、今では老若男女問わず幅広い世代が所有しています。MacbookやiPhoneを目にするのはもはや”普通”の光景となりました。
良くも悪くも普通の企業になってしまったApple。それでも、世界の注目を集める引力は健在です。

驚くような革新が見られなくなったのは、iPhoneなどハードだけではありません。日常を劇的に変えてくれるアプリケーションも長らく登場していないのではないかと思っています。
自分のiPhoneにダウンロードしたアプリの顔ぶれを見てみましたが、この半年、全く変わっていません。話題になったアプリがあれば試しにダウンロードしてみますが、メモアプリのevernoteやファイル共有アプリ・dropboxの登場時に抱いた感動を味わわせてくれるアプリにはもはや出会えないような気がしています。

evernoteについては、昨年頃から思うように収益が上がらずリストラを敢行するなど、苦境が報じられています。同じようなアプリとしてはpocketが有名ですが、乗り換えるのも何だか億劫。

iOSに限ってですが、App Storeが2008年7月にサービスを開始した当時、iPhoneユーザーは世界中に600万人いたそうです。その後もユーザー数は増え続け、現在150万以上のアプリがApp Storeで公開されています。
今のスマホとそこに入ったアプリに不満はない。日々、新たなアプリがリリースされているのでしょうが、ゲームなどの暇つぶし要素があるアプリでない限り、新しいものを試すことが何だか面倒くさい。重い腰を上げて試しにダウンロードしてみるものの、長く使い続けるものはなし。

自身のスマホに並ぶアプリを見て「これで十分」と満足すると同時に、アップデートしないことで自分の思考は保守的になっているのではないかという懐疑も抱きます。
スマホに並ぶアプリというものは、自分の本棚と同じなのかもしれません。
それが自身にとっての名著ならば、それだけを繰り返し読むことも結構でしょう。
しかし、余程の知の熟練者でない限り、時代の潮流に取り残されて、独りよがりで保守的で、付き合いづらい凝り固まった思考の持ち主になってしまうのではないかという不安すら覚えます。

年を重ねるごとに新しいものに触れることが億劫になります。
しかし、情報をアップデートする準備は常にしておかなければなりません。

自身iPhoneのアプリの顔ぶれもそうですが、最近、ネットで目にした「 福島県産危険論は、なぜ繰り返されるのか? 「『人殺し』はヘイトスピーチ」」という記事がそう思わせてくれました。
人気番組「ザ!鉄腕!DASH!!」のラーメンを作る企画で、TOKIOが福島産の小麦で麺を作ったことに対して、「究極のラーメンて、福島の小麦から作った麺なのかよ。人殺し。」という批判ツイートが起こりました。
今でも福島県産物が、一部で過剰に危険視されている事実を浮き彫りにしたのですが、福島県産のコメは全袋検査をするなど、厳しい検査の末に多くの食品を市場に流通させています。

情報をアップデートする余裕を持っておかないと、足をすくわれることすらあります。
思考の凝り固まった人間と化す前に、新たな情報に触れ、自分のこれまでの選択や蓄えられた知識を定期的に疑うことも必要でしょう。

スタッフ・坂本
(2016/3/24 UPDATE)
番組スタッフ
今もなお波紋を広げ続けているエントリー「保育園落ちた日本死ね!!!」。
産経新聞社とFNNの合同世論調査で、このエントリーに「共感する」と回答した人が52・1%に上る一方、堂々と不快感を露わにする人が目立ち始めています。
最近、話題になったところで言えば、杉並区の田中裕太郎区議と俳優の津川雅彦さん。

東京)「日本死ね」は「便所の落書き」 杉並区議ブログ(「朝日新聞デジタル」2016/3/18)
津川雅彦が「日本死ね!」ブログの筆者へ暴言 規制音入る事態に(「livedoor NEWS」2016/3/20)

田中裕太郎区議は今月13日、自身のブログで「保育園落ちた日本死ね!!!」を「便所の落書き」「死ねというほど日本が嫌なら、日本に住まなければ良い」とこき下ろし、炎上。それでも田中区議は信念を曲げず、朝日新聞の取材に対し「文章の削除はしない」と答えています。

津川雅彦さんはおととい・20日に放送された「そこまで言って委員会NP」(読売テレビ)で、「保育園落ちた日本死ね!!!」について、「『死ね』って言葉は許せないでしょう?」「書いた人間が○○(※規制音)ばいいよ」と不快感を露わにし、これまた炎上。

二人とも「死ね」という強い言葉が気に入らず、不快感を露わにしているわけですが、田中区議は「便所の落書き」、津川さんは「書いた人間が○○」というこれまた強い言葉で返したことで、ひじょうに低レベルな言い争いとなっています。
取り上げておいてこう言うのもなんですが、取るに足らない幼稚な反論なのでしょう。

幼稚な反論はさておき、ここにきて挙がり始めているのが今後への懸念。
匿名のエントリーをきっかけに政府が重い腰を上げる展開となっていることから、ブロガーで精神科医の熊代亨さんは自身のブログで「ネット世論が沸騰し、影響力を持ってしまうプロセスはいかがなものなのか」と釘を刺したうえで、「インターネットに充満する声のうち、炎上するような声ばかり拾い上げられ、炎上しないような声が拾い上げられないなら、これは、世論の収集システムとして偏っていると言わざるを得ない」との懸念を示しています。

熊代さんが懸念するように、今回の件がきっかけで「炎上させた者勝ち」という風潮が広がることには違和感があります。
ただ、炎上させることもそれほど容易ではないので、心配しすぎではとも思います。

実際、「保育園落ちた日本死ね!!!」に追随するかたちで投稿される「〇〇日本死ね」というタイトルのエントリーもほとんど話題になっておらず、話題になったのは育休取得絡みの「男が育児出来ない日本死ね」ぐらい。
今月16日にはてな匿名ダイアリーに投稿された「特養落ちた日本死ね」は介護が絡む切実な問題にもかかわらず、全く話題になっていません。

今度は「男が育児出来ない日本死ね」ブログが話題 「非正規の妻より俺のが給料いいから仕方なく働いてるんだよ!」(「キャリコネニュース」2016/3/18)
「特養落ちた日本死ね」が目立たない理由(「いつか電池が切れるまで」2016/3/20)

それに、元々くすぶっていた問題が炎上によって広く知れ渡るのは悪いことではないとも思うのです。
待機児童の問題はこれまでも度々報じられていましたが、根っこにある保育士の給与の問題を認識していた人はどれほどいたでしょうか。
わたしも今回の件をきっかけに知ったひとりです。
稀有な例である今回の炎上の影響を憂うより、炎上しないと声を拾い上げてはもらえない現状を憂う方が先のような気がします。

(スタッフH)
(2016/3/22 UPDATE)
番組スタッフ
3月21日(月・祝)番組休止
番組はお休みです。


3月22日(火)古谷経衡●国際結婚から考える人種という問題
4人の娘全てが外国人と結婚するフランス人夫婦とその家族を描き、フランスで興行収入第1位を獲得した映画「最高の花婿」のフィリップ・ドゥ・ショーヴロン監督のインタビューをお届けします。


3月23日(水)飯田泰之●グーグルのプロジェクト・アリストテレスから学ぶべきこと
グーグルが2012年に開始した労働改革プロジェクト「プロジェクト・アリストテレス」。その全貌とは?


3月24日(木)小田嶋隆●「ノリスケ叩き」にみるインターネット特有のメンタリティ
国民的アニメ「サザエさん」に登場するノリスケさん。今月の放送回でその行動がネットで批判されるという事態が起こりました。
「ノリスケ叩き」が意味するものとは?
(2016/3/21 UPDATE)
番組スタッフ
毎週水曜日前後になると、週刊文春の発売を受けて何らかのスキャンダルが世間を賑わすのが常態化しました。
今週はコメンテーターとして活躍していたショーンKことショーン・マクアドール川上氏の経歴詐称問題。
本業が何かよくわからないまま嘘を並べて、あそこまで活躍できるなんて何という特殊能力だろうか、と感心してしまう自分がいます。
本業が何なのかよくわからずに活躍をしている人は意外とたくさんいるのかもしれません。
名刺に記載された肩書きが4つも5つあったり、名刺自体が複数ある人は要注意だなというのが個人的な印象なのですが…。

それはさておき。
誰かが批判や嫌悪の的となる。つまり世間にとって悪人となるワケですが、決まって彼らをフォローする人物が現れます。
ショーン・マクアドール川上氏については、脳科学者の茂木健一郎氏が「素敵なお人柄に魅せられた」とフォローしました。

その少し前のことです。ゲームを破壊するという教育方針で高嶋ちさ子さんが批判された際、バイオリニストの葉加瀬太郎さんが「あんなに純粋で美しい音色を奏でられる人に悪い人がいるわけがない」とフォロー。
ベッキーさんの不倫報道時も、彼女の海外でのいい人エピソードがネットに飛び交ったと記憶しています。

しかし、外から見る限り、これらのいい人情報が渦中にいる当事者を救ったとは思えません。
葉加瀬太郎さんの件では、火に油を注ぐ結果になったことはご存知の通りでしょう。
世間の批判を一手に浴びる贄になったが最後。どんなフォローも届きません。
批判する人にとって、批判される人とは悪人に等しい存在です。それが推定であったとしても。
間接的に入手した情報から悪人だと判断し、攻撃態勢に入っている人に「あなたが攻撃している人は本当は良い人格の持ち主だから、攻撃はやめてくれ」と諌める。
こういったフォローがあまりにも空虚に映るのは、世間に巻き起こる批判に生じた諍いは「同じフロアにいる人」の間で起こっていないからでしょうか。

国会にまで届いた「保育園落ちた日本死ね」のブログ。杉並区議がこれを「便所の落書き」だと発言し、批判されています。発言以外に他の問題も明らかになっていますが、この区議が実は誰もが経緯を表したくなる気持ちの良い人格者だったとしても、誰も糾弾の手を止めないでしょう。

インターネット上では「評判」が可視化されます。
SNSの投稿内容。プロフィール写真。自己紹介文。友達の数、140文字のツイート。「いいね」の数。
これらの蓄積が発信者のネットにおける人格を作り上げます。リアルの生活におけるその人の「評判」は反映されないのです。
ほぼ消えることのないインターネット上の評判が、もしかしたらその人の一生を決めてしまうのかもしれません。

何でこんなことになってしまったのか。
もちろん、インターネットやSNSというものが、誰かの評判を可視化していまうからでしょう。
「規律」を犯した人間を、真偽はさておき、疑いがあるというレベルで強烈に批判する人がいます。
ネット特有の連帯感から来るのか。あるいは声を上げて目立ったものが「勝つ」という環境のせいか。

「レピュテーション経済」という言葉があります。「レピュテーション」とは「評判」のこと。デジタル化、ネットワーク化された私たちの評判(≒ビッグデータ)が、ローンの審査、就職試験、あるいは恋愛や結婚など私たちの経済活動に大きく影響するというのです。

私の知人に某大企業で人事・採用を担当している者がいるのですが、彼は新卒採用において、応募者のSNSを探し出して必ずチェックするそうです。作り込まれた面接やエントリーシートよりも、SNSの方がよりその人本来の性質がわかるからなのだとか。

仕事や恋愛などの出会いの場において、「いい人」だと誰かを紹介されても紹介者によほどの信頼がない限り受け入れられません
人格ついての保証など、見ず知らずの人に簡単に与えられるものではないのです。
「いい人」という評価は確かに褒め言葉ではありますが、ごくごく狭い世界でしか通用しない評価なのでしょう。

スタッフ・坂本
(2016/3/17 UPDATE)
番組スタッフ
囲碁マンガ不朽の名作『ヒカルの碁』(完全版15巻)にはこのようなセリフが出てきます。
「囲碁でコンピュータが人の上をいくにはまだ100年かかる」。
100年かかる根拠とされるのが、局面数(終局までの手順)の多さ。
チェスが10の120乗、将棋が10の220乗に対し、囲碁は10の360乗。
局面数の多さに加え、他のゲームに比べ複雑で直感も必要とされるため、コンピュータが人間に勝つのは難しいと言われてきました。
ところが『ヒカルの碁』の連載終了(2003年)からわずか13年でまさかの展開。こんなにも早く、コンピュータが人間に勝つ日が訪れてしまいました。

囲碁AI、韓国棋士に3連勝で勝ち越し 世界最強の一人(「朝日新聞デジタル」2016/3/12)

今月9日から行われている、グーグル・ディープマインドが開発した囲碁AI「アルファ碁」と、世界最強の棋士と謳われる韓国のイ・セドル九段の対局。
全5局でご存知のように、アルファ碁がまさかの3連勝で早々と勝ち越しを決めました。
これにより、ディープ・ラーニングによるAIの急速な進化に驚かされるとともに、AIに対する脅威の高まりを感じます。

第3局までが今回の囲碁AI対決の最初の盛り上がり。
ここまでは電王戦でも見られたおなじみの展開ですが、第4局の結果をうけてこれまでにない展開となっています。
きっかけは、第4局でイ・セドル九段が勝ち、一矢報いたこと。そして、これまでにない展開というのが、この勝利をめぐってネット上で「アルファ碁がわざと負けたのでは…」との憶測が飛び交っていることです。

わざと負けるというのは人間ならではの行動。AIがやれるはずがないとも思いますが、この憶測にはそれなりの理由があるようで、それはアルファ碁の打ち筋の奇妙さ。

中盤まではアルファ碁が優勢。イ・セドル九段の負けが濃厚だったのが、急にアルファ碁が最悪の手を連発。その結果、逆転でイ・セドル九段が勝ちをものにしたようなのです。
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第4局は、白番の李九段が実利を稼ぎ、アルファ碁が中央に厚みを築く展開となった。
難しい折衝が続く中盤戦で、李九段が放った鋭い一着をきっかけに、アルファ碁が突然、乱れ出した。疑問手を連発し、一気に李九段が優勢となった。
敗色濃厚となった段階で無意味な手を繰り返すのは、従来の囲碁ソフトでも見られた現象で、アルファ碁にも同じような特徴があることが明らかになった。
<「YOMIURI ONLINE」2016/3/13>
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不可解な敗戦を受け、軍事ブロガーのdragonerさんはTwitterで「完勝することで人間にAIへの警戒心を持たれないよう、わざと負けた説」と「感動を理解し、人間勝利の感動を演出するため、わざと負けた説」を提唱。
この他にも同時多発的に、「全勝するとプロジェクト自体が終了することを察知し、わざと負けた説」、「AIの進化によってアルファ碁が“思いやり”を持つようになり、対局相手への“思いやり”からわざと負けた説」などがあがり、軽い大喜利状態。
3連勝によって高まったAIへの脅威が一転、わざと負けた説によって親しみの感情が生まれています。

今のところ、「わざと負けた説」は眉唾もの。
大喜利状態になっていることもあり、深刻さはありません。「あり得ない」と思っているからこそ、いずれの説も笑い話として受け取れるのでしょう。
それに加え、「わざと負ける」というのは人間らしい行動。人間らしさがAIへの親しみにつながったような気がします。

そして、今日(15日)13時から行われていた最終第5局。
結果はアルファ碁の勝利で、通算成績はアルファ碁4勝、イ・セドル九段1勝。「わざと負けた説」により束の間緩んだAIへの脅威も、再び高まることが予想されます。
AIの進化は何かしらの恩恵を人類にもたらすにもかかわらずです。
進化は本来喜ばしいことなのに、なぜかAIだけは否定的に捉えられてしまう。一方でアルファ碁の勝ちっぷりを見る限り、AIの進化は止まらない。
AIの進化を肯定的に捉える時がきているのは確実で、そのためには今回AIへの脅威を束の間緩ませた“人間らしさ”が鍵になってくるのかもしれません。
もちろん、「人間らしさ」のさじ加減を間違えると逆効果になることも考慮する必要はありますが。

(スタッフH)
(2016/3/15 UPDATE)
番組スタッフ
3月14日(月) 佐々木俊尚 ●再び注目されるヴォルテールの「寛容論」が教えてくれること

フランスの啓蒙思想家、ヴォルテールが18世紀に書いた本「寛容論」が今再び売れています。
ヴォルテールから、そして「寛容論」から学ぶべきこととは?
フランス文学者の鹿島茂さんにお話を伺います。

3月15日(火) 速水健朗 ●最大の山場を迎えたアメリカ大統領選で占う、トランプ現象の今後

アメリカ大統領選挙に向けた候補者選び。フロリダ州など5つの州で予備選挙が行われる今月15日に次のヤマ場を迎えます。
そして、その動向に注目が集まるのがトランプ氏。政治学者の三浦瑠麗さんにお話を伺い、異様な盛り上がりを見せるトランプ現象を真摯に考えます。

3月16日(水) ちきりん ●社会学で読み解く「おそ松さん現象」

特集した雑誌の増刷が相次ぎ、DVDやCDの売れ行きも好調で勢いが止まらない深夜アニメ『おそ松さん』。
社会学の視点からその人気の理由を読み解きます。

3月17日(木) 小田嶋隆 ●内容未定

内容が決まり次第、お知らせします。
(2016/3/14 UPDATE)
番組スタッフ
明日で東日本大震災から5年。
埼玉県の中学校で3月11日に出される給食の献立の名目が「卒業祝い」だとして、震災のあった日に「祝い」とは何ごとかと批判の声が教員から上がっているというニュースがありました。
被災地からの立場で考えることはかないませんが、親の立場で考えると「卒業式に赤飯くらい別にいいじゃない」と思うのですが…。
昨今の「物議をかもす」案件を見ていると、声を上げた者が勝つ可能性が高いというのはご存知の通りでしょう。
最近のそんな傾向を見ていると、得てして恐れの念を抱かれる、何を考えているのかわからない無口な人は実は怖くない。何を言い出すかわからない人や自分の気持ちを言い過ぎる人の方が怖いなと、思ったりもします。

言わなくてもいいことを言う人もよくいます。自身が善人と思われたいがために、その「行為」を自分に許すのかもしれません。もちろん、何も考えずに言ってしまう人もいるでしょう。
しかし、言わなくても言いことに出会った多数の人間の頭に大きな疑問符が浮かぶ場合、発言者は容赦なく糾弾されます。
先日、秋田県大館市の女性市議が市長に対し「まだ結婚もしていない。子どももいない。これでは同じ土俵で議論できない」と発言し、戒告処分を受けました。
【秋田魁新報:議員「未婚市長とは議論できない」 大館市議会、懲罰委設置】

まさに言わなくても良いことを言ってしまった例のお手本です。
攻撃としての「言わなくても良いことを言う」。
他者を否定し、自身の優位性を示そうする場合にしか必要性が発揮されません。
大抵、この攻撃が功を奏さないことはネット事件簿を紐解けば明らかでしょう。
リアルの世界でも、そんな攻撃をしている人はパージされていることでしょう。

防御としての「言わなくても良いことを言う」もあります。
それを言っておかない場合のことを想像した挙句、言っておかないと攻撃されてしまうかもしれないと判断し、その恐れをあらかじめ摘んでおくエクスキューズとして言っておく…というパターンです。

「スター・ウォーズ フォースの覚醒」を手掛けたJ・J・エイブラムス監督が、今後の「スター・ウォーズ」に同性愛者のキャラクターを登場させる予定であることを明らかにするというニュースがありました。
【映画.com:J・J・エイブラムス、今後の「SW」には同性愛者キャラクター登場と明言】

私の知人はfacebookでこのニュースをシェアし、「言わなくても良いのに。宣言なしで普通にやってくれた方がマシだ」とぶった斬りました。彼はゲイです。
「スター・ウォーズ」の件は日本の話ではありませんが、善人であることが是とされる現代において、言わなくても良いことを言ってしまった結果、全方向から攻撃される様を見ていると、余計とも思えるエクスキューズが増えるのも当たり前です。

埼玉県の給食の話に戻します。3月11日をどう過ごすか。これはもちろん個人の自由だと思うのですが、あの日が日本にとって忘れられない日なのは確かであることから考えると、できるだけ思いを馳せるのが良い…というのが模範解答でしょうか。

しかし、「模範解答」も単なる「多数派」「常識のようなもの」にすぎず、実は誰もが考えうる最低ラインだったりします。
不謹慎を咎めたり、不倫や他人の罪を過剰に糾弾する。
「全員いい人でなければならない」あるいは「いい人以外は発言してはいけない」という空気は震災を機にいっそう高まったように思います。

全員が善人でなければならない空気が漂う世の中。時代の流れとともに多様化と寛容が求められながらも、良い人でないと判断されうる発言は中々しづらい。そんな空気に閉塞感を抱くのは私だけでしょうか。
例えば、アメリカ大統領選で躍進する共和党候補の不動産王が勝利した世界をほんの少し見てみたい…こんなことを言ってしまった人は人格を疑われてしまうのでしょうか。
兼ねてからその存在が指摘される日本の同調圧力。これが今、ピークに達しているのか。何がきっかけでその圧力が弱まるかもわかりませんし、もしかしたらより強くなっていくのかもしれません。

私事ではありますが、父の誕生日が3月11日です。
祝いの弁を伝えると、4年前までは「こんな日に誕生日なんてなぁ…」と半ば申し訳なさそうにしていましたが、今では普通に喜んでいます。とりわけ、はしゃぐわけでもなく「普通に」です。
しかし、この普通にも乖離があります。普通を享受できない人すらいます。
被災地の普通が今、どのようなものなのかを知る。そんな方法も被災地へ思いを馳せるひとつとしてありだと言ったら、それは咎められるのでしょうか。

スタッフ・坂本
(2016/3/10 UPDATE)
番組スタッフ
先月15日、はてな匿名ダイアリーにアップされ話題となったエントリー「保育園落ちた日本死ね!!!」
このエントリーに追随するかたちで保育園をめぐる議論がネット上で盛り上がりを見せていましたが、ここにきてその盛り上がりが萎みつつあります。
理由は、騒ぎに便乗して安倍政権批判を展開する人が湧いてきたため。

#保育園落ちたけど政治利用されるのはごめんだ(Togetter)

安倍総理が国会の答弁で上記のエントリーに触れ、「匿名である以上、実際本当に起こっているか、確かめようがない」と話したのは先月29日。
その後、Twitterでは「#保育園落ちたの私だ」というハッシュタグを付けた書き込みが広がり、その動きは抗議集会にまで発展。
今月4日と5日、認可保育園から子供の入所を断られた親たちが国会前で政府に対する抗議集会を開くところまで、ことが大きくなりました。

便乗した安倍政権批判が出始めたのが、抗議集会が開かれた4日5日あたり。
まず、5日に新宿西口で行われた抗議集会では、騒ぎに便乗し安倍政権批判をする参加者の存在がネットで報告されています。
たとえば、この日の抗議集会に参加していた、「安保関連法に反対するママの会」。
この会が掲げていた横断幕には以下のような言葉が並んでいます。

「保活ママを応援します!」
「【#保育園落ちたの私だ】緊急応援スタンディング」
「安保関連法に反対するママの会@東京有志」
「だれの子どももころさせない。」
「戦争法なんていらない。今すぐ廃止に!」

これらがすべて一枚の横断幕に書かれているのですが、ここから受ける印象は「安保法反対」の訴え。発端である待機児童の問題は霞んでしまっています。

騒ぎに便乗した安倍政権批判はこれだけでなく、“ある政党”の議員数名によるツイート。
4〜5日にされた彼らのツイートは、待機児童の問題をどうにかしたいというより、待機児童の問題を入り口にして強引に安倍政権批判に持ち込んでいるものばかり。
「どうにかして安倍政権を批判したい」という必死さだけが伝わってきて、見ていて悲しくなります。

こうした騒ぎの便乗者の登場により戸惑っているのが、子どもを保育園に入れられずに困っている当事者たち。
以下のツイートを見ると、声を上げたことに対する後悔がにじみ出ています。

「私は利用されるために自身の経験をツイートしたわけじゃない。」(森田優 @softtamori)
「社会では待機児童問題なんか、本気で考えていなくて叩きたいものを叩くための道具に過ぎないと目の当たりにして、目が覚めました。」(めそ @mes0_mis0_)

当事者の目線で待機児童の問題に声を上げたいけれど、そうすると便乗者が現れ、自分が上げた声を利用される、もしくは自分の声も安倍政権批判と受け取られかねない。
それならば、と声を上げることすら諦めてしまう。
便乗者の存在によって、おかしな状況が生み出されています。

仮に便乗者が現れなかったとしても、「当事者が変わっていくこと」の難しさはあります。
保育園に関する不満は自分の子どもを保育園に入れられた時点で萎み、「改善してほしい」という声はなかなか増えていかないのが常。
当事者でなくなった時点で熱が冷めてしまうからで、これは仕方がないことです。
わたしもこの4月に子どもを保育園に入れられなかった当事者の一人ではありますが、もし入れられていたとしたら、今回の騒動にもそれほどの興味は抱いていなかったように思います。
他人のために声を上げつづけるほど熱意がある人はめったにいないのではないでしょうか。

声を上げつづけたところで今の保育園をめぐる状況が変わるかどうかも正直分かりません。
何も変わらないような気もします。
「当事者が変わっていくこと」の難しさに加え、便乗者の横やりが入った今、声を上げつづけることは難しく、数ある騒ぎのひとつとして消費され、数年後、「そういえば、あんなこともあった」と懐かしがられる。
今はそんな嫌な予感がしています。

(スタッフH)
(2016/3/8 UPDATE)
番組スタッフ
3月7日(月)佐々木俊尚●近代化を問いただすダークツーリズム
東日本大震災の震災遺構をめぐて保存するのか、解体するのか議論が続いています。
震災遺構については「ダークツーリズム」の観点からその必要性を訴える声も。 
ダークツーリズム研究の第一人者、観光学者・井出明氏にお話をうかがいます。


3月8日(火)古谷経衡●幽霊現象で見えてくる「被災地の死生観」
仙台市にある東北学院大の学生らが、震災の「死生観」についてまとめた著書「呼び覚まされる 霊性の震災学 3.11生と死のはざまで」(新曜社)が、先月、刊行されました。
被災地の死生観とは?


3月9日(水)飯田泰之●希望の牧場の5年

3月10日(木)小田嶋隆●飯舘5年の春〜遠すぎる「母校」
震災から5年。被災地を飯舘村の学校教育から考え、被災地の未来も当事者の言葉からさぐります。
(2016/3/7 UPDATE)
番組スタッフ
数日前からネットを賑わせている「スーパー日本人(にっぽんじん)」。フィクションの世界の言葉でなく、日本人のあるべき姿として国立大学が提唱しているのです。

スーパー日本人とは大阪大学の取り組んでいる産学連携プロジェクトで使われている言葉。
「人間活性化によるスーパー日本人の育成拠点 -脳マネジメントで潜在能力を発揮できるハピネス社会の実現-」と題されたサイトの中にはこうあります。

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10年後ビジョン“豊かな生活環境の構築”の実現のためには、子供から高齢者に至るまで人間力を飛躍的に活性化させ、常に意欲的に潜在力(個人が持つ最大の能力)を発揮できる“スーパー日本人”を目指して、一人一人が活き活きと最高に輝く社会“ハピネス社会”の実現が必要です。
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驚くべきことに、このプロジェクトとは文部科学省主導プログラムの一環なのです。

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文部科学省は、平成25年度に「革新的イノベーション創出プログラム(COI STREAM)」を創設し、本格的にスタートさせました。このプログラムは、将来社会のニーズに応え、あるべき社会の姿、暮らしの在り方を設定し、それらを基に10年先を見通した革新的な研究課題を特定した上で、既存分野・組織の壁を取り払い、企業だけでは実現できない革新的なイノベーションを産学連携で実現していくものです。

<大阪大学総長挨拶より>

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脳をマネジメントし、潜在能力を発揮することにより「スーパー日本人」となり、ハピネスな社会になるということらしいのですが、独特の言葉の組み合わせから受ける「カルト」な印象にネットが騒いでいるでしょう。

「スーパー銭湯」「スーパーボウル」「スーパーセル」…「スーパー」という言葉が現実社会でどのように使われているか思い浮かべてみましたが、やはりフィクションの世界で考えるとしっくりきます。
90年代の少年漫画やアニメに多いでしょうか。 「日本人」と組み合わせられると、その本気度を疑いたくなる印象を受けます。

印象があまりよろしくなく、具体的には何をやるかが見えないために、嫌悪感を抱かれる言葉があります。
安倍政権がアベノミクス新3本の矢で目指さんとする「一億総活躍社会」です。
これも世間に初めて知られた当時は、ロクな評価がなかったように思われます。 「一億総活躍」という言葉が持つ語感の悪さ、古臭さと斬新さが混在して得体の知れないものになった異様な感じに、いまだたじろいでしまうのは私だけではないと願いたいものです。

少年漫画ではよく「力のインフレ」が見られます。
ある敵が登場し、主人公が挑むも負ける。修行して挑み、その敵に勝利。
その後、さらに強い敵が登場し、窮地に陥るも新たな力に目覚め、勝利する。
少年漫画の王道はだいたいこのような感じの「力のインフレ」が見られるものです。
「一億総」と「スーパー日本人」「ハピネス社会」を並列で語ってしまうことに抵抗はありますが、日本の将来像を指す言葉が「インフレ」を起こしているような気がしてなりません。

大阪大学がやろうとしていることは偉大すぎて私のような人間には理解が及ばないのですが、スーパーでなくたって良いと思うのです。
皆が活躍できるのは理想的な社会ですが、普通だって良いはず。
国民の幸福追求は国民の権利であると同時に、国家のさだめでもあります。
一億総活躍することで、生産性を高め、皆が幸福になる社会がやってくると良いという意味なのでしょうが、待機児童、非正規雇用の増加、介護離職、高齢者の貧困など政府が活躍してほしい人を取り巻く環境は難題山積です。

子育て世代も、女性も、高齢者も輝ける一億層活躍社会の実現を謳ったがために、待機児童問題の現実を「日本シネ」という過激な言葉で訴える匿名ブログが話題となり、働き方をめぐる様々な問題が噴出する様を見ていると、残念ながら「一億総活躍」という言葉は呪詛と化してしまった印象すら受けます。

こう言ってしまうと「欲がない!」と誰かに怒られそうですが、普通で十分。
「ノーマル日本人」でも十分幸せであってしかるべきではないでしょうか。
「一億総」というからには、活躍とそれによって得られる幸福も一億パターンあるはず。
そう考えると、これから本格的に議論がなされるのでしょうが、国には「活躍するかしないかはあなた次第」程度の、失敗しても大丈夫な寛容なインフラを作ってほしいものです。

スタッフ・坂本
(2016/3/3 UPDATE)
番組スタッフ
食べられる状態で廃棄される食品を指す「食品ロス」。
日本では最大800万トンに上り、このうち半分は事業者によるもので、残り半分は家庭での食べ残しなどが原因とされています。
800万トンとだけ言われてもピンときませんが、1年間のコメの生産量が860万トンで、それに匹敵するものすごい量です。
それに加え、日本では賞味期限切れの食品に対する無慈悲さが目立ちます。
今年の節分にコンビニで売れ残った恵方巻の大量廃棄を報告するSNSの投稿が相次いだことからも無慈悲さがにじみ出ています。

恵方巻き廃棄騒動を見る限り、食品ロスが減るとは思えないのが日本の現状ですが、一方、海外では賞味期限切れの食品を有効利用する大胆な動きが出始めています。

フランス売れ残り食料、廃棄禁止…大型スーパー(「毎日新聞」2016/2/17)
デンマークに世界初オープンした期限切れ食品専門スーパーが大人気(「IRORIO」2016/2/27)

フランスで2月上旬に成立したのが、「賞味期限切れ食品」の廃棄を禁止する法律。
これは、大型スーパーに賞味期限切れ、もしくは賞味期限が近づいている食品を廃棄することを禁じ、その代わりに廃棄するはずだった食品をボランティア組織やチャリティー団体に寄付することを義務付けるもの。違反したスーパーは罰金を科せられるようです。
また、デンマークでは2月22日に、賞味期限切れの食品を専門に扱うスーパーマーケットがオープン。
賞味期限が過ぎ、消費期限が近づいている食品や、形が悪く、傷がある商品を30〜40%引きで売っていて、行列ができるほどの人気になっているといいます。

フランスの法律は、賞味期限切れの食品を廃棄せず、寄付することで有効利用。
デンマークのスーパーは、賞味期限切れだと開き直って売ることで有効利用。
どちらも食品ロスを減らしてくれそうな雰囲気は漂っていますが、調べてみると、日本でもすでに似たようなスーパーや制度が存在していて、期待ほどの効果を生んでいないことが分かります。

フランスの法律に関しては、日本では法律ではないものの、企業がまだ食べられるのに廃棄される食品を「フードバンク」に寄付した場合に税制上の優遇措置が受けられる制度は存在しています。
ただ、賞味期限切れの食品は受け付けないフードバンクもあるようで、食品ロスの大幅な削減にはつながっていません。

すでにある賞味期限切れの食品を売るスーパーは、亀戸にあるサンケイスーパー。
10年ほど前から賞味期限切れの食品を販売していますが、あまり知られていません。
J-CASTニュースの記事によると、賞味期限切れの商品を販売することは自治体や保健所の指導対象になるだけでなく、購入者に食中毒などの健康被害が発生した場合、販売側に大きな責任が課されるようで、今後増えていく可能性も限りなく低いように思います。

デンマークのように専門店にしたところで、一過性のブームで終わる予感しかしません。
フランスと同様の法律も、賞味期限切れ食品の受け入れ先が見つからず、成立自体が困難と判断される可能性大。
理由は、賞味期限切れの食品に対する厳しさ。
スーパーで陳列された商品を手前ではなく、奥から取る人が多いことからも厳しさがにじみ出ています。わたしも当たり前のようにやっているので、人のことは言えないのですが。
結局のところ、できるだけ賞味期限が長い食品を買おうとする消費者側の意識が変わらないかぎり、食品ロスは減っていかないのではないでしょうか。

(スタッフH)
(2016/3/1 UPDATE)

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