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番組スタッフ
先週金曜(25日)の昼過ぎに報じられた、こちらのわいせつ事件。

手術後の麻酔が残る30代女性にわいせつ疑い 東京の40歳外科医の男を逮捕「私、やっていません」(「産経ニュース」2016/8/25)

変態医師によるただのわいせつ事件かと思いきや、予想外の展開を見せています。

逮捕されたのは、東京・足立区の病院に非常勤で勤務する外科医の男。
今年5月、病院で手術後の診察と称して、女性患者の胸を触るなどわいせつな行為をした疑いで逮捕されました。女性は全身麻酔を伴う手術を受けた直後で意識はあるものの、体が自由に動かせない状態だったといいます。
外科医の男は容疑を否認していますが、女性の体から外科医の唾液が検出されたと報じているメディアもあり、この時点でわたしは“クロ”に違いないとの印象を抱いていました。

ところが、このニュースが報じられてから約3時間後の午後3時、病院はこの逮捕を「不当逮捕」だとしてホームページに抗議文を掲載しています。

非常勤医師逮捕の不当性について

病院側が不当逮捕の根拠として示しているのが「術後せん妄」
「術後せん妄」とは、手術後1〜3日たってから急激に錯乱・幻覚などを起こす精神障害のことで、病院側は次のように説明しています。
(※抗議文にあるA氏とは今回のわいせつ事件の被害者のことです)
*****
当院の調査でA氏の術後の供述は、全身麻酔による手術後35分以内のことであり、その内容は、手術前の恐怖や不安と全身麻酔で行った手術後せん妄状態での幻覚や錯覚が織り交ざったものと確信する。さらにA氏は満床在室の4人部屋におり、術後の経過観察に看護師が頻回に訪床する病床にいた。多くの目がある環境の中でA氏の供述の様な事が誰にも知られず行われたとは考えられない。
この様に当院として医学的、客観的に状況や経緯を検討し、その調査結果を警察に提示したにもかかわらず、警察は「A氏の証言に信憑性がある」と判断して非常勤医師の逮捕にまで踏み込んだのである。
この様なことが許されれば、今後、施術医師が術後診察に病室を訪れることを躊躇う要因ともなり、正当な医療行為に制約を付すことになりかねない。
*****

第一印象では“クロ”だと思い込んでいたのが病院側の抗議により“グレー”になり、以下のまとめに目を通すと、より白みが増してきます。

外科医師が麻酔中の女性患者にわいせつ行為で逮捕→医学クラスタが関係論文の翻訳や考察を展開(Togetter)

数人の医師による見解がまとめられているのですが、たとえば医師2年目だというTwitterユーザー(@sekkai)によるこちらの見解。
*****
術後にせん妄で幻覚を見ることはよくあるし、ましてや麻酔薬のケタミンは副作用に幻覚が出ることは有名で、物的証拠も同室患者さんからの証言もないのに突然逮捕だなんて、警視庁は大野病院産科医誤認逮捕事件から全然学んでないね
*****

ちなみに、このTwitterユーザーの書き込み後半にある「大野病院産科医誤認逮捕事件」を、今回のわいせつ事件と重ねるTwitterユーザーは一定数いて、誤認逮捕がもたらす悪影響を、口をそろえるかのように訴えています。

この「大野病院産科医誤認逮捕事件」というのは、福島県大熊町の県立大野病院で2004年、帝王切開を受けた女性が手術中に亡くなった事件のこと。
福島県警は2006年2月、執刀した医師を逮捕し、裁判では「過失」か「通常の医療行為」かが争点となりましたが、結局、「通常の医療行為」と判断され、2008年に無罪判決が言い渡されました。
最終的には無罪となったものの、この事件がきっかけで産婦人科医不足が加速したともいわれ、実際、2004年に2万326人だった産婦人科医は、2006年には1万9184人と1000人近く減っています。かなりの悪影響です。

今のところ、今回のわいせつ事件で逮捕された外科医がクロだという確たる証拠も、シロだという確たる証拠も報じられていません。
報じられているのは被害者の供述のみ。それに加え、逮捕前に「術後せん妄」に関する調査結果を提示しているにもかかわらず、警察が逮捕に踏み切ったという事実が警察への疑いを強めます。
クロかシロかの判断にはまだ時間がかかるのでしょうが、今の時点での逮捕はやりすぎなのではないでしょうか。

(スタッフH)
(2016/8/30 UPDATE)
番組スタッフ
8月29日(月) 佐々木俊尚 ●ロボット記者が変える報道のあり方

リオ五輪でワシントン・ポストが本格稼働させていたロボット記者(人工知能)。
このロボット記者の普及が報道にもたらす影響とは?
ITジャーナリストの島田範正さんにお話を伺います。

8月30日(火) 速水健朗 ●スポーツに費用対効果を求めるのはナンセンスか

選手強化に投じるお金とその成果の落としどころを考えます。

8月31日(水) ちきりん ●検索では辿りつけない「ダークウェブ」の実態

犯罪の温床となり、注目を集めるダークウェブ。その実態とは?

9月1日(木) 小田嶋隆 ●1964年の文学者で読み解く2020年の熱狂

冷めやらぬオリンピックの熱狂。文学者たちから見えてくる2020年とは?

(2016/8/29 UPDATE)
番組スタッフ
強姦致傷の疑いで逮捕された俳優の高畑裕太容疑者。
このニュースを知った時、「お母さんがかわいそう」 …。多くの人と同じように私はそう思ってしまいました。

繰り返し報じられる互いを思い合う母と子の関係、母と同じ道を志した息子、それを厳しくも温かく見守る母、そこにいたるまでの諍いや苦難、一瞬で崩れ去る若き俳優が手にした栄光…

いや、母が子を甘やかしすぎたからではないか、という見方もできるでしょう。
今年の春、ある番組で母は息子に対し、「あんたが何か不祥事を起こしたら、アタシが大事な仕事を失うの」と手紙を送ったと言います。
かつて大物女優が息子の不祥事で、多くの仕事を失うという前例があったからでしょうか。
人気商売だからかもしれませんが、我が子に「あんたが不祥事を起こしたら…」という言葉を投げかけることはとても奇妙。
それって、息子の内なる暴力性のようなものを認識していたからの発言なのでは、と意地悪く勘ぐることも可能です。

「真田丸」の薫って出てくるだけで何かおもしろいことが起こるんじゃないかと期待してしまうのですが、もししたらこれが見られなくなるかも…、本当に気の毒でかわいそうだと思わされます。

しかし、誰よりもその気持ちを慮ってあげるべきは被害者の女性です。
被害者女性の素性を深く掘り下げるということはもちろんできませんので、テレビ、ネット問わず母と子の物語に目が行きがちです。母と子の物語が事件に脚色をして、本当にいたわるべき存在を薄めているようにすら思えてきます。

母と子の物語などではなく、許されざる強姦事件です。
1人の人間の人生がおそらく、滅茶苦茶になっているのです。
私が知るある弁護士は企業法務を中心に活動するかたわら、性犯罪被害にあった女性を全力で支援しています。彼はある女性被害者に、裁判の合間に腕の良いカウンセラーを用意しました。
再び暴行の被害に合うケースだったため、自宅を解約させ、ビジネスホテルで住まわせたと言います。それと同時に社会復帰へのステップとして自身の弁護士事務所で雇うことで、就労支援をしました。
その弁護士が言うには強姦、暴行の被害に合った女性の多くがPTSDを発症し、癒えるまで長い時間を要する心の傷を負うのだそうです。普通に働けない、生活できなくなる人も珍しくないと言います。場合によっては、自立に至るまでの生活基盤を彼が整えてあげるのだそうです。

事件から3日経過し、被害者をいたわる気持ちも徐々に聞かれるようになりました。
しかし、それは母と子の物語の中で、フォローのように添えられるだけ。
被害者をいたわる気持ちは暗黙の前提なのか、決してそれに重きを置いて聞かれることはありません。
強姦という悪行の実態をもう少し私たちは知る必要があるのではないでしょうか。
あるいは事件をどう思うかは受け手に任せるほど、事実だけをもっと淡々と羅列してもいいのではないでしょうか。

作り手の結論ありきの構成・脚色と過剰な感情移入。
事件、事故はメディアを介することで、「ストーリーメイキング」なるものが加わります。
その事件、事故のどこにどう注目し、どのような感情を抱きながら見ると良いのか、SNSや卒業アルバム、地元の友達をたどりながら様々な手法で受け手を誘っていく手法です。

この「ストーリーメイキング」は先のオリンピックでも見られました。
吉田沙保里選手が惜しくも銀メダルとなった女子レスリング53キロ級決勝。
男性アナウンサーが吉田選手に乗り移って心情を勝手に代弁するかのような実況がポエムすぎるとして、批判されました。
【日テレアナの“ポエム実況”に批判殺到 吉田沙保里が乗り移ったかのような描写】
このアナウンサーだけではありません。オリンピックの実況を見ていると、何やら皆、アテネ大会での名実況「伸身の新月面が描く放物線は、栄光への架け橋だ」のような一言を残してやろうという呪縛に囚われてるようにも思われました。

事件、事故、ニュースに「ストーリーメイキング」を加えるということは、作り手が想定した1つの結論に受け手を導くということです。
インターネット内には喜怒哀楽、様々な情報が飛び交っています。SNSや掲示板により私たちの感情が可視化されたのです。その感情は1種類だけではありません。
昔なら作り手が織りなす物語が自身の感情とそぐわないなら、テレビのチャンネルを変えるという選択肢があったのですが、今ではネットで批判することが可能です。
だからこそ、創作めいた心揺さぶるニュースよりも、淡々と述べられる事実こそ求められるのではないでしょうか。

スタッフ・坂本
(2016/8/25 UPDATE)
番組スタッフ
NHKの夜のニュース番組「ニュース7」が“貧困”の当事者として取り上げた女子高校生に、ネット上で「このレベルでは貧困ではない」との批判が出ている問題。
批判している人たちは何を根拠に貧困のレベルに達していないと主張したのでしょうか。この主張は間違っていますし、間違いの根っこには“貧困に対する無知”があるように思います。

“貧困に対する無知”とは何なのか。その話にいくまえにまずはこれまでの経緯をおさらい。
まず問題の発端となったのが先週木曜(18日)に放送されたこちらのニュースで、その中で取り上げられた女子高校生の生活ぶりがこちら。

・小学生のときに両親が離婚。一緒に暮らす母親が働きながら家計を支えている。
・自宅には冷房がなく、夏はタオルに包んだ保冷剤を首に巻き、暑さをしのいでいる。
・自宅にパソコンがなくパソコンの授業についていけないのに、パソコンは買ってもらえず、買ってもらったのはキーボードのみ。これをきっかけに自らの貧困を意識。
・アニメのキャラクターデザインの仕事に就くため、専門学校への進学を希望していたが、入学金を工面することが難しく、進学をあきらめた。

この放送後、1万数千円する画材が映っていたこと、アニメやマンガ関連のグッズが大量に映っていたことを根拠に、ネット上で「貧困ではないのでは」という疑いが浮上。
その後、女子高校生のTwitterアカウントが特定され、同じアニメ映画を5回観たことや好きなアニメのグッズを大人買いしていること、1000円以上するランチを頻繁に食べていることなどが次々と明かされていきました。

さらに、この流れに便乗するかたちで自民党の片山さつき参院議員がTwitterに「チケットやグッズ、ランチ節約すれば中古のパソコンは十分買えるでしょうからあれっと思い方も当然いらっしゃるでしょう」などと書き込み、事を荒立てる展開に。
この書き込みの後、片山さつき氏に対する批判が出ましたが、それでも女子高校生への批判は収まっていないのが現状です。

その批判の根っこにあるであろう、“貧困に対する無知”。
実は貧困には「絶対的貧困」と「相対的貧困」があり、「絶対的貧困」は食べる物が不足し、命さえ危うい状態にある人のこと。
今朝の東京新聞に「今回のバッシングを見ると、貧困といえば、アフリカ諸国の飢餓状態などをイメージする人が一定数存在する」とあるように、貧困と言われるとこちらをイメージする人がほとんどなのではないでしょうか。
わたしも「貧困=飢餓状態」というイメージを持っていたひとりです。
一方、「相対的貧困」とは所得が全人口の中央値の半分に満たない人のこと。
2012年時点の厚生労働省の調査では、相対的貧困とされる人の年間所得は122万円未満とされています。
今回の女子高校生はおそらくは「相対的貧困」。
多くの人が持つ貧困に対するイメージと現実のズレが「このレベルでは貧困ではない」との批判を生んだように思います。

今回、多数見られた「貧困なんだから趣味にお金をつかうな」という批判も無知がゆえのもの。
以下のブログ記事を読むと、この批判も見当はずれであることが分かります。

貧困JKの炎上から何が分かるか(「T.が過去を振り返る」2016/8/20)

*****
01.貧困とは、一定より家庭が貧しい状況であり、実際にあの記事の彼女は母子家庭であり、一般家庭より貧しいのは事実である。
02.そういう環境にいると、色々不便を感じることや、実際他の家庭と比べて金銭的に厳しいので、その余裕のなさは精神にくる。
03.精神的な余裕がないことというのは生きていくうえで非常に問題であるので、それをなるべく解決しなくてはならない。
04.その方法として一番よく使われるのが趣味である。 
つまりまとめると、「貧困層こそが趣味に興じる必要がある」ということである。
*****

間違ったイメージで捉えられ、修正するタイミングを失っていた貧困。今回の件をきっかけに正しいイメージが広がり、貧困者バッシングが少しでも減ることを願うばかりです。

(スタッフH)
(2016/8/23 UPDATE)
番組スタッフ
8月22日(月)佐々木俊尚●「時間かせぎの政治」への危機感
7月10日に行われた参議院選挙。野党は野党共闘を実現したものの、与党議席数3分の2獲得を阻止することはできませんでした。
この結果を「時間かせぎの政治」と捉えるのが、北海道大学の吉田徹教授。
「時間かせぎの政治」とは?

8月23日(火)古谷経衡●「有権者登録制度」で政治への関心は高まるか
「有権者登録制度」で政治への関心は高まるのか?その可能性を探ります。


8月24日(水)飯田泰之●「政治情報分析」が生み出した政治の新たなスタイル
情報やイメージをコントロールし、移ろいやすい世論に対応する新しいスタイルの政治が始まっているのですが、そのカギを握るのが「政治情報分析」という手法。
「政治情報分析」は政治のかたちをどう変えたのか?

8月25日(木)小田嶋隆●冷戦期の幻影に惑わされる、覚悟なきニッポンの野党
野党の呪縛となる冷戦期の意識とは?そこから解放される手段と可能性はあるのか?
(2016/8/22 UPDATE)
番組スタッフ
クライマックスを迎えようとしているリオデジャネイロ五輪。
今日、日本卓球男子の歴史に初の偉業が刻まれました。
日本男子のエース、水谷隼選手と言えば、時に聞く人を挑発するかのような強気な発言で知られます。
惜しくも銀メダルとなった男子団体ですが、卓球王国・中国でも最強の馬選手に競り勝った際、水谷選手は高らかとガッツポーズをいめました。
水谷選手のガッツポーズに対して、シングルスでの銅メダル獲得時、球界の御意見番、張本勲氏が14日朝のテレビ番組で「あんなガッツポーズはいけない」と「喝」を入れ、各方面から非難を食らったようです。

張本氏の一見、無粋ともとれる「喝」は度々物議を醸してきました。
例えば昨年。キング・カズこと三浦知良選手に対し「J2は2 軍だから頑張っても意味がない」、「はやく現役をおやめなさい」という「喝」が波紋を広げました。

日本には、特に芸能、スポーツ界において「御意見番」と称される人が数多存在します。
「御意見番」と呼ばれる人はおそらく自らをそれと名乗ったことはないかもしれませんが、芸能、スポーツ界においては(1)物事をよく見据え、説得力あるコメントを述べる人、(2)誰もが言いにくいことをあえて言う人、言わされる人、(3)リップサービスの意味合いが強い発言をする人…に分類されるでしょうか。
しばしばことを荒立てるのが、(2)と(3)のタイプです。

欧米は他者の批評や皮肉をエンタメ的なものとして成立させる地合いが整っています。
日本のそれは不完全であることは明らかですが、代わりに存在しているのが「御意見番システム」なのでしょうか。
26カ国を対象にしたある調査では、日本人は硬派なニュースよりも軟派なそれを好むという傾向が浮かび上がりました。ここで言う硬派なニュースとは政治経済ネタなど、軟派なニュースとはエンタメ、スポーツなどを指します。

【参考:ハフィントンポスト/日本人のニュースメディア接触、先進国の中で際立つ特異性、ロイター調査が浮き彫りに】
この軟派なニュースを好むという日本人の国民性も、「御意見番」の存在意義に関係しているのでしょうか。

御意見番に何かを聞けば、ワイドショーは盛り上がりますし、それなりの人に時事ネタを振っておけば芸能・スポーツニュースを少々かき混ぜ、鮮度を保つことも可能です。
こう見ると「御意見番システム」を導入し、活用することで得をするのは、いわゆる作り手だけなのかもしれません。

「喝」と「あっぱれ」という叱咤と賞賛の二元論で他者を批評する張本氏(が出演するコーナー)。
無粋な「喝」は時に世間をかき乱します。炎上します。
しかし、無関係の人がこの無粋な「喝」に対して、遠くから批判してもおそらく意味はない。
「喝」を下されたアスリートが反論をすれば事情は違います。
本人からの異論・反論には「おお、よく言い返した!」と言わんばかりに張本氏は「あっぱれ」で応えるでしょう。
思うに、何かと物議を醸す御意見番としての張本氏にとって、「喝」と「あっぱれ」は自己防衛機能付きの優れた遠隔攻撃型武器なのではないでしょうか。
「喝」によって生じた不協和音を自身の「あっぱれ」でリライトすることができる張本氏。
人はそれを「男気」と呼ぶかもしれませんし、「恥の上塗り」と呼ぶかもしれません。

水谷選手は張本氏の「喝」に対し、「相手も命を懸けて来る。戦場ですからね」とガッツポーズへの理解を求めました。
今度の日曜日の放送でおそらく張本氏は「あっぱれ」で自身の発言をリライトしてくるのではないでしょうか。

事実、キング・カズへの「おやめなさい喝」の際、カズは「光栄です」と答えました。
これに対し、張本氏は「先輩からの助言だと言ってくれる」として「あっぱれ」と評したのです。
これはこれで物議を醸したのは記憶に新しいところ。

先の都知事選でもそう思わされましたが、長寿社会だからこそ晩節を汚さずに老いる方法を模索したいものです。自身の発言が永遠に記録される時代なのですから。

スタッフ・坂本
(2016/8/18 UPDATE)
番組スタッフ
飲食店でたまに目する「○○お断り」の貼り紙。
「ペットお断り」「一見さんお断り」などは定番で、最近ではポケモンGOの影響で「電源目当ての客お断り」を掲げる飲食店も増えつつあるといいます。
そんななか、東京サマーランドが公式ブログで「刺青がある人の入園お断り」の告知をしたところ、一部の人がこの告知を問題視し、ちょっとした騒ぎとなりました。

東京サマーランド、イレズミ・タトゥー入園規制めぐるブログについて謝罪 ネットで賛否両論(「ねとらぼ」2016/8/12)

問題とされたのは、8月9日に「時間とお金は大切に」というタイトルで投稿されたブログ記事。
このブログ記事に対し批判の声があがったため、東京サマーランドは「一部の方々へ不快感を与える内容がありましたことを先ずお詫び申し上げます」と謝罪し、記事を削除しています。

ブログ内容に関するお詫び(「東京サマーランド公式HP」2016/8/11)

早速、ウェブ魚拓でブログ記事の内容を確認してみたのですが、かなりの正論。間違ったことは一切、書いていません。
以下はブログ記事の抜粋ですが、何が一部の人を不快にさせたか分かりますか?

*****
東京サマーランドでは平成20年よりイレズミやタトゥーのある方の入園をお断りしています。もう8年続けています。
他の施設より2年程遅れて実施しました。その影響でイレズミの方が集中し、園内はまるで品評会状態に....
(中略)
イレズミを身体に入れる自由があるようにイレズミの方の入園をお断りする自由もあるのです。
パーティー会場やゴルフ場なんかでもドレスコードがあると思いますがそれと似たようなもので当園が決めた当園のルールです。
(中略)
イレズミ等のある方はサマーランドを利用することはできないので来ても時間やお金の無駄になるという話です。
*****

不快にさせた原因は、「告知の文言」。
たしかに、「イレズミを身体に入れる自由があるようにイレズミの方の入園をお断りする自由もあるのです」や「イレズミ等のある方はサマーランドを利用することはできないので来ても時間やお金の無駄になるという話です」あたりは言葉が少し乱暴。イレズミがある人への挑発との印象も受けます。
8年も前から「お断り」をしつづけているのに、「お断り」が浸透しないことへの不満もあったのでしょう。苛立ちも言葉の端々から感じます。
不快感を覚えた一部の人の気持ちも分からないでもありません。もちろん、「不快」とTwitterで書き込むほどの不快感ではないのですが。

一部の人を不快にさせたとはいえ、告知の効果は絶大。
炎上したことで記事にもなり、多くの人に「東京サマーランドはイレズミのある人お断り」であることが知れ渡ることになりました。
わたしも今回の炎上をきっかけに「お断り」の事実を知ったひとりです。
なかなか浸透しなかった「お断り」が一気に浸透したという意味では、この文言は正解だったのでしょう。

(スタッフH)
(2016/8/16 UPDATE)
番組スタッフ
8月15日(月) 佐々木俊尚 ●アルゴリズムはベストセラーを予測できるか

「ベストセラーを予測できる」との売り文句で9月の出版前からアメリカで賛否両論を呼んでいる書籍「ベストセラー・コード」。
この書籍が主張する、アルゴリズムによるベストセラー予測は可能なのでしょうか?
その実現の可能性と、実現した場合の影響を考えます。

8月16日(火) 速水健朗 ●世界で宗教離れが進むわけ

先日、毎日新聞が「一神教が支配的なエジプトで無神論を唱える若者が出てきている」と報じました。大学生6000人を対象にした調査で12・3%が無神論者だと判明したのだといいます。
こうした流れはエジプトだけでなく、フランス、ドイツなど世界中に広がっています。
世界で進む宗教離れの背景にあるものとは?

8月17日(水) ちきりん ●ツイート禁止通知にみるオリンピック商業主義の拡大

連日のメダルラッシュに沸くリオオリンピック。そんななか、「公式スポンサー以外の企業は五輪関連のツイートを禁止する」としたアメリカオリンピック委員会(USOC)の通知が物議を醸しています。
ツイート禁止通知がオリンピックにもたらす影響とは?

8月18日(木) 小田嶋隆 ●次に来るのは“触る”技術!?ハプティクスのもたらす未来

今年、注目を集めているVR。このVRにさらなる要素を付け加えることになるのが、離れている物体の感触を伝える「ハプティクス」という触覚技術です。
市場規模50兆円をくだらないとされる新技術の事情とは?
(2016/8/15 UPDATE)
番組スタッフ
先週末から急に、ネット上で見慣れない言葉を目にするようになりました。
「アウティング」。
他人が同性愛者であることを勝手にバラすことを指す言葉で、先週金曜(5日)に報じられたこちらの訴訟をきっかけに頻繁に使われ始めています。

「同性愛、LINEで暴露され死亡」遺族、一橋大を提訴(「朝日新聞デジタル」2016/8/5)

この訴訟を起こしたのは、同性愛者であることを同級生にLINEでバラされた後、建物から転落死した一橋大学法科大学院の男子学生の遺族。
転落死したのは、同性愛者であることを同級生にバラされ、大学が適切な対応を取らなかったためだとして、大学と同級生に合計300万円の損害賠償を求めました。

同性愛を周囲にバラすに至った経緯は以下のようなもの。
他の記事にならい、転落死した男子学生をA、バラした同級生をZとします。

Aは昨年4月、Zに恋愛感情があることを告白。
Zは告白に対し、「恋愛感情に応えることはできないが、これからも友達でいよう」と返答。
ところが2か月後の6月、Zは同級生10人でつくるLINEのグループに「おまえがゲイであることを隠しておくのはムリだ。ごめん」と実名を挙げて投稿。
Aが同性愛者であることを周囲にバラしました。

これが「アウティング」です。

その後、AはZに会うと吐き気や動機がするようになり、大学のハラスメント窓口にも相談したものの、その2か月後の8月、授業中に発作を起こして校舎から転落し、死亡。

Zは裁判で「恋愛感情を打ち明けられて困惑した側として、アウティングするしか逃れる方法はなく、正当な行為だった」と主張しているのに対し、遺族側は「あの一言で息子の人生が変わったことが許せない。自分のとった行動を理解して、きちんと責任をとり謝罪してほしい」とZを非難。
Aの妹は「一瞬にして兄の人生を、家族の人生を変えられてしまいました。生前、兄が被告男性(=Z)を訴えたいと言っていたので、本人の無念を晴らすために提訴しました」とのコメントを出しています。

これが報道によって明らかになっているアウティングに至る経緯ですが、よく分からないのがZの「アウティングするしか逃れる方法はなかった」という言い分。
わたしは同性に告白された経験がないので、Zの困惑を理解することは不可能です。同性に告白された者だけが抱く、計り知れない困惑があった可能性もあります。
ただ、一旦は穏便に済ませておきながら、アウティングという最悪の行為に走った理由として腑に落ちるものではありません。

このように被害者ともいえるAの肩を持ち、ついついZを非難したくなるのがこの訴訟。
でも、よくよく考えると、同性愛者でもなく同性から告白されたこともないわたしが、同性愛者の気持ちも同性愛者に告白された者の気持ちも理解することなどできるはずもないのに、Aの肩を持ち、Zを非難するのはおかしな話です。

この訴訟について調べているうち、以前、親しい人にだけゲイであることをカミングアウトしている友人がこんな話をしていたのを思い出しました。
*****
ゲイをカミングアウトしたら、やたらと「分かる、分かる」と“同性愛に理解あるアピール”をされたことがある。これはかなりウザかった。
(その人は)普通に異性と付き合っているだけに、余計に「分かる」という言葉が薄っぺらく感じた。
*****

この友人からカミングアウトされてから10年以上経ちますが、わたしは未だに同性愛というものを理解できていません。
それでも付き合いがつづいているのは、「自分は理解できない」ということを前提に理解した気になって接したことが一度もないからだと自負しています。

理解できるはずもないのになんとなく理解した気になってしまうことは同性愛に限らず、多々あります。パラリンピック、24時間テレビがあるこの時期はとくに意識する障害者もそのひとつでしょう。
こうした人たち理解したいと考えるのは悪いことではありませんが、“理解あるアピール”がときに当事者をイラつかせることも忘れてはなりません。

(スタッフH)
(2016/8/9 UPDATE)
番組スタッフ
8月8日(月)佐々木俊尚●24条改正案で予測する、改憲後の個人の姿
憲法改正の発議に必要となる衆参3分の2の議席をコントロール下に置いた安倍政権。実際に改憲への動きが進められるとすれば、まず手を付けられるのは最も論点の割れる9条ではなく、24条だとみられています。24条の中身とは?

8月9日(火)古谷経衡●「女性の自立」と「男性への従属」の狭間にある女子マネージャー
第98回全国高校野球選手権大会の甲子園練習が2日、甲子園球場で行われ、大分の女子マネージャーがユニホームを着てグラウンドに立ち、大会関係者から制止される一幕がありました。何かと議論を呼ぶ女子マネージャーについて考えます。

8月10日(水)飯田泰之●小学校の英語教育強化から考える、日本人と英語にまつわる誤解
次期学習指導要領の審議まとめ案で英語教育の強化方針が示されました。小学5、6年生の英語が年間の授業時間も70コマ分(※1コマは45分)に倍増されます。小学校の英語教育強化案は英語力の強化につながるのか?

8月11日(木・祝)
番組はお休みです。
(2016/8/8 UPDATE)
番組スタッフ
19名の命を奪った相模原市の障害者施設での殺傷事件から10日が経ちました。
許されざる犯罪者が掲げた「大義」の身勝手さと理不尽さ、何よりそれがいともたやすく実行に移されたことに、この問題をどう捉えるべきなのか一時は混乱しましたが、ようやく頭の整理が付けられそうな気がします。
障害者介護の苦悩も一部では取り上げられました。これに焦点を当てて深堀りすると、凶行をどこかで肯定してしまうことにはならないか。ただの凶行で片付けた方がいいのか。でもそうすると、犠牲者が報われないのではないか。報われる犠牲って何だ!?と考えれば考えるほど、別の疑問が浮かび上がり、明確な答えに辿りつくことのできなかった今回の問題。
もし明確な答えがあるのならば、それに辿りつくことができるのは障害者と近い距離にある人しかいないのではないか。考えの及ばない私はそう思いました。

許されざる凶行です。許してはいけないという道理は十分わかります。
しかし、道理は道理に過ぎず、事件が投げかけたと私が考える問いの答えには至りません。
答えに至る指針となるのは、道理よりももっと体温のある見解以外にない。

不倫問題で声を潜めている感のある乙武洋匡氏。彼ならこの問題をどう捉えるのか。
「世間には貴方を受け入れない人もまだいるかもしれないが、それなりに発言力と説得力があった貴方だから今こそ私たちに教えて欲しい」と思ったりもしたものです。

数年前に私の同級生が起業しました。障害を持った児童の放課後支援施設を立ち上げたのですが、彼の実家は代々の家業があり、それを継ぐとばかり思っていたので少々驚かされました。
なぜ、家業のある彼が起業したのか。
私は知る由もなかったのですが、彼の息子は生まれながらに重度の発達障害を持っていたのです。
同じような境遇にある家族を支えるため、何より我が子がいつか自立して生きていける日のため、彼は起業しました。

そんな彼は相模原の事件をどう思うのか。考えの及ばない私をどうか導いて欲しいと思ったのですが、事件後、彼のSNSは特に更新されず。
しかし、先日ようやくFacebookに相模原の事件を受けて彼が思ったことが綴られました。
障害を持つ我が子のために起業した彼ですら、今回の事件が問いかけるものは複雑過ぎたと語ります。
そして、何らかの答えを見つけるために文献、資料、他者の考えを参考にしたそうで、(本来なら彼の答え全文を紹介したいのですが)彼は「社会性」「協働」「種の保存」という言葉でもって、許されざる犯罪者を全否定してくれました。 私の頭のもやもやが少し晴れました。

誤解されそうな言い方かもしれませんが、日本は障害者とそうでない人の距離がありすぎるような気がします。
年に1度、日本テレビが長時間のチャリティー番組で障害者の苦悩や挑戦を紹介し、感動を呼びます。
障害者が抱えるものに思いを馳せることはできますが、感動に結び付けられるとどうも「特別」な印象を抱かざるを得ません。他の人はどう思うかはわかりませんが、この感動によって抱いてしまう「特別」がかえって障害者とそうでない人の距離を縮められないのではないかと私は思うのです。実際に出演している人同士の距離は縮まっているのでしょうが、もっと「普通であること」に重きを置いた演出にした方が良いのでは、と考えます。

今年はEテレの障害者情報バラエティー「バリバラ」が24時間テレビの放送日、大団円を迎える時間帯に「検証!『障害者×感動』の方程式」と題し、メディアで取り上げられる「感動的な障害者像」について生放送で検証するとして話題を呼んでいます。 『障害者×感動』という「特別」を疑う声が高まりつつあるのかもしれません。

少し前に大ヒットしたアメリカのテレビドラマ「ブレイキングバッド」。主人公ウォルター・ホワイトの息子ジュニアは脳性麻痺のため、軽度の言語障害と歩行障害を持っていました。
ジュニアの脳性麻痺は「設定」ではありません。演じた俳優本人も脳性麻痺を患っているのです。 ジュニアを演じたRJ・ミッテは俳優としてメディアに登場することで、障害者支援の一助を担っていると言います。
チャリティー番組に見られる『障害者×感動』による「特別感」ではなく、障害者が普通のメディアに普通に登場する機会がもっと増えれば、相模原の事件が投げかけた「わからないもの」がもっとわかるようになるのかもしれません。

スタッフ・坂本
(2016/8/4 UPDATE)
番組スタッフ
神奈川県相模原市の障害者施設で入居者19人が刺殺された事件から今日で一週間となります。
連日のように事件の続報が伝えられるなか、とくに気になっているのが難しい問題をはらんでいる「被害者の名前の非公表」です。

神奈川県警が被害者の氏名を公表せず、事実確認に“壁” 障害者団体は疑問視「逆に障害者差別では」(「産経ニュース」2016/7/31)

神奈川県警が被害者19人の名前を非公表とするのは、「遺族が氏名などを出したくないとの意見を持っている」ため。
この県警の判断に、ある大手新聞社の記者は以下のように異論を唱えています。
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神奈川県警「現場が障害者の入所する施設で、氏名の非公表を求める遺族からの強い要望があった」→匿名発表だと、被害者の人となりや人生を関係者に取材して事件の重さを伝えようという記者の試みが難しくなります。
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この主張に対し、ネットの一部では批判の声があがっており、その批判はおおむね以下のようなもの。
「他人の不幸で飯を食いたいだけなのにそれを正当化するな」。

こうした批判の背景には、ここ数年で問題視されるようになったメディアスクラムに対する嫌悪感があるのでしょう。
近年では今回と同じように、実名報道をめぐってマスメディア批判に発展するケースが目立ちます。
先月のバングラデシュのテロ事件では政府が被害者の実名公表を控えたものの、各報道機関の独自取材により実名が報じられ、これに批判の声もあがっていました。
ただし、今回はこれまでと違い、被害者が障害者。これによって「公表しないことが差別」という視点が加わり、問題はさらに複雑化しています。

たとえば、立命館大学生存学研究センターの特別招聘教授、長瀬修さんは「名前を公表しないことは植松容疑者の思想に重なる」と指摘。
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名前を公表せず、19人の人間を記号化してしまうことは、『障害者は人間ではない』という植松聖容疑者の思想に重なる部分があるのではないか。
<「産経ニュース」2016/7/31>
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精神科診療所の患者を追ったドキュメンタリー映画『精神』を手掛けた映画監督の想田和弘さんは「タブーにすればするほど、タブー感は強まっていく」と語っています。
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タブーにすればするほど、タブー感は強まっていく。普通に対応するということが大事なのに、警察の対応は真逆だ。腫れ物に触るような、タブーを強めるような。組織の誰が、どういう意図で決断したのか。
<「カナコロ」2016/8/1>
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遺族に配慮し、実名を公表しないと、それを差別と捉える人がいる。
被害者が健常者であれば生じなかった新たな視点であり、答えの出しようがないややこしい問題です。
彼らにしてみれば、障害者を健常者と同じ存在と認識するのが理想なのでしょう。でも、それはおそらくは不可能。
新潟青陵大学大学院の碓井真史教授はこう指摘します。
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人は差別が好きだ。人は他の人と比較することで自分自身のイメージを作る。
人は、自信があるときには自分より優れた人物と比較して自分を正しく見ようとし、自信がないときには自分より弱い相手を比較して、歪んだ優越感を得ようとする。
<「iRONNA」>
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今回の実名報道をめぐる議論が障害者をめぐる理想と現実の距離をあらためて可視化したわけですが、今後、この距離が縮まることはあるのでしょうか。
今年も今月末に放送される「障害者×感動」がウリの番組が支持されているうちは、まずありえないのは確かです。

(スタッフH)
(2016/8/2 UPDATE)
番組スタッフ
8月1日(月) 佐々木俊尚 ●ポケモンが「反イスラム」となってしまう宗教的要素

世界を熱狂の渦に巻き込む一方、反イスラムとされるポケモン。イスラム教とポケモンの相容れない関係とは?

8月2日(火) 速水健朗 ●ポケモンGOは地方創生につながるか

「ポケモンGO」は地方創生につながるのか?自民党の提案をきっかけにその可能性を探ります。

8月3日(水) ちきりん ●中国製『Pokemon GO』は登場するか?文化“爆買い”中の中国

各国で配信が始まっているポケモンGO。中国でも待ち望む声が強いものの、ゲームのベースとなるGoogleを禁じている現状では実現は不可能。
情報が入ってくるのにプレイできない苛立ちに中国政府はどう対処するのでしょうか?

8月4日(木) 小田嶋隆 ●拡張現実「AR」が変える街並みの概念

「ポケモンGO」によって普及が期待されるAR(拡張現実)。普及した場合、“建築や街並”にもたらされる変化とは?

(2016/8/1 UPDATE)

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