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番組スタッフ
10月31日(月)佐々木俊尚●絆重視の反動?「ソロ充」が注目される背景
一人でも充実した時間を過ごす「ソロ充」と呼ばれる人が注目されています。
“一人志向”の高まりの背景にあるものとは?


11月1日(火)速水健朗●「新・四畳半暮らし」を好む若者の実態
コスパを重視する若者に見られる「職住一致」志向。その実態とは?


11月2日(水)ちきりん●日本が直面する「降格する貧困」
貧困問題が社会的に取りざたされる中、日本が直面する「降格する貧困」とは?


11月3日(木・祝)小田嶋隆●原発の廃炉費用、誰が負担すべきか
経産省の有識者会合は10月25日、福島第1原発の廃炉費用が今の年800億円程度から「年間数千億円程度」に膨らむ可能性も示しました。 原発の廃炉費用は誰が負担するのが適切なのでしょうか?
(2016/10/31 UPDATE)
番組スタッフ
乳児用の液体ミルク解禁を求める声が高まっています。
政府は国内では一般に販売されていない乳児向け液体ミルク。政府はこれを安倍政権が掲げる「1億総活躍社会」実現の一環で、育児負担を軽減する狙いもあって解禁に向けて議論を進めています。

液体ミルク最大の特徴は常温で保存できるという点にあります。封を開けて吸い口を装着すればすぐに飲めるので、災害時に役に立つとされています。
子育て世代である私ですら液体ミルクの存在を知ったのはごく最近。
熊本地震時、フィンランドの乳製品メーカーが被災地に液体ミルク200ミリリットル入り紙パック約5千個を無償で提供。被害の大きかった自治体の保育所に配られたというニュースがありました。
東日本大震災時にもフィンランド在住の日本人女性から被災地に液体ミルクが送られ、非常に喜ばれたといいます。

粉ミルクを作るのは粉、あるいは固形のものをお湯で溶いて人肌程度に温めてから使わなければなりませんが、数分はかかってしまいます。
たかが数分なのですが、深夜の夜泣きの時はこの数分がとても長く感じます。深夜の夜泣き時には、精神的負担を軽減してくれるかもしれません。
最近では授乳室を備えた施設も増え、粉ミルクを作るための給湯器が備え付けられていることも珍しくありませんが、それでも外出時に粉ミルクを作ることは手間取ります。
液体ミルクが解禁となれば、外出も気軽に楽しめるようになるでしょう。

男性の育児参加促進も期待されているようです。
赤ちゃんの泣き声というものは、その時の精神状態によっては親であっても辛いもの。父親ならばなおさら、最初は戸惑いを覚えるものではないでしょうか。
自身を振り返ると、泣き止まない我が子を見ていると、泣き続ける我が子への哀れみがそれを止めてやることのできない自身の不甲斐なさへとつながり、感情が負の螺旋迷宮を彷徨うこともしばしばでした。
粉ミルクを作るのは数分の作業ではありますが、妻不在時に我が子の泣き声を聞きながら粉ミルクを作るに時間はとても長く感じたものです。
そんな時に液体ミルクがあれば、精神にゆとりが生まれるかもしれません。
これはどの程度、効果があるかは未知数ですが、父親が例えば日中、赤ちゃんと二人きりで過ごし、授乳期の母親には外出して気分転換してもらうことも気軽に選択できるようになるかもしれません。

乳児の口に入れるものですので、どれだけ安全性が証明されようが手を出しづらいという人もいることでしょう。
食の安全への意識が高い日本人にとって、「常温で保存がきく液体のミルク」と聞くと、きっと防腐剤が入っているに違いないと訝ることもあります。
高温多湿という環境も影響しているでしょうか。
私がドイツで生活して驚いたことの一つに、牛乳が常温で売られているヨーロッパにおいては未開封のミルクを常温で保存するというのは、比較的当たり前です。
「常温」保存への不信感も拭われなければならないのかもしれません。

また私の妻はニュースで液体ミルクを初めて見た時、「外国製品特有の薬品っぽい見た目がイヤだ」と言い放ちました。
確かに日本の乳幼児製品は淡い暖色の色使いと可愛らしいキャラクターがあしらわれていることがほとんどですので、妻の意見にも納得です。まぁ、これは使っていくうちに抵抗がなくなっていくかもしれませんし、仮に解禁されれば日本的なデザインのものが登場するのでしょうか。

と、液体ミルクへの期待と不安を書きつらねましたが、それでも期待の方が勝っているので、課題もあるでしょうが、順調に解禁議論が進められることを願います。
ただ1点。私がどうしても気になるのは液体ミルクの解禁が「一億総活躍」と結びつけられて論じられることです。

政権批判ではありませんが、「一億総活躍社会」という文句がどうも好きになれない私ですので、言葉の裏にあるものを必要以上に読み取って、都合よく解釈しているのかもしれません。
あえてそれでもいうならば、育児の手間と一億総活躍は別ものなのではないか。
私の妻は妊娠を機に仕事を辞めた育児のみに従事する専業主婦です。彼女は我が家では申し分なく活躍してくれているのですが、社会から見ると活躍してないと思われているのか。

育児においては、お金だけではなく時間も限りなく投資したいという親もいます。そんな人にとって確かに液体ミルクは育児の負担軽減になるものの、「生産性」「経済効率」といった
子育て世代の処遇改善は当事者としてどんどん進めてほしいと思いますが、「子育て」という言葉を盾にして、何がなんでも経済の生産性に結び付けられる風潮には辟易してしまいます。

スタッフ・坂本
(2016/10/27 UPDATE)
番組スタッフ
「秋葉原の事件を思い出してアクセルを踏み込み、多数の通行人の列に突っ込もうかと考えたが、思いとどまったことがしばしばだ」
これは、おととい23日、栃木県宇都宮市の公園で起きた爆発事件で自爆したとみられる72歳の男がFacebookに書き込んでいた言葉です。
これ以外にも、男はブログやYouTubeで「個人としてはどうにも対応できない。大きな事件にならなければ問題を見向きもしないという現代の風潮は、非常に不満を持っております」などと社会への不満を吐き出しています。

社会に不満を持つようになったきっかけは、妻との離婚とそれに関わる家裁の判断。
産経ニュースによると、その経緯は以下のようなもの。
合わせてブログも読むと、金銭面での困窮や切迫感が伝わってきます。

・1999年に陸上自衛隊を退官後、再就職が決まらずイライラし、「灯油をまいて火をつける」と妻を脅した。
・精神疾患を患う三女の病気の治療方針を巡って妻と対立し、2011年7月、妻子と別居。
・妻からDVで訴えられ、2012年2月に裁判所から接見禁止命令を受け、その9カ月後、妻に提訴される。
・家裁は2014年1月、離婚を認め約2千万円の支払いを命じる。
・控訴、上告したが、最高裁が棄却し、敗訴が確定。
・今年10月1日、ブログに「妻に退職金は全て使い果し、(中略)僅かばかりの金員を差押没収され、老後の生活は、出来ない」

新聞記事やブログから読み取れる今回の事件のキーワードは「高齢者」「生活の困窮」「巻き添え自殺」。
そしてこの3つのキーワードから連想するのが、昨年6月、神奈川県小田原市付近を走行中の東海道新幹線「のぞみ225号」の車内で起きた焼身自殺事件。
犯人は71歳の男で、周囲に年金の受給額の少なさを愚痴るなど困窮していたのだといいます。

「老人による自爆テロ」。
こんな言葉も出始めていますが、何が一部の高齢者を駆り立てるのでしょうか。

「老人自爆テロ」の恐怖――武器の扱いを熟知する全共闘世代と元ヤクザが危険(「日刊SPA!」2016/8/30) http://nikkan-spa.jp/1188009

去年出版された書籍『老人たちの裏社会』(宝島社)の著者・新郷由起さんは「サイゾー・ウーマン」のインタビューで以下のような指摘をしています。
*****
昔、老人になるのは難しいことでした。身体的にも経済的にも恵まれた人だけしか、老人になるまで生き永らえることができなかったからです。
ところが、今は誰でも老人になれる。だから、年を取って“グレた”のではなく、もともとそういう可能性のあった人が、年を取って顕在化してきたというのはあると思いますね。
(中略)
本のあとがき、カバー袖にも記したように、「死ぬよりも、上手に老いることの方が難しい時代になってしまった」。これが一番言いたかったことです。
<「サイゾー・ウーマン」2015/10/25> 
*****

上手に老いることが難しくなった。
これはとても重い言葉であり、年を重ねるにつれ気難しさを増し、100歳を超えてから孤立していった祖父を思い起こすものでした。
本来、喜ばしいことだった長寿が疎ましがられている。最近はそんな空気も感じます。
世界に先駆けて100歳を超えて生きるのが珍しくなくなった今の日本には、高齢者がどう生きればいいのかの正解、つまりロールモデルが存在せず、それが問題なのです。
今がロールモデルの構築段階だとすれば、今後も思わぬ弊害が表面化していくような気がします。

(スタッフH)
(2016/10/25 UPDATE)
番組スタッフ
10月24日(月)佐々木俊尚 ●日本にファクトチェックメディアが存在しないわけ

政治家の発言が正しいかどうかのチェックを行う、「ファクトチェックメディア」。
アメリカ大統領選が佳境を迎える中、注目を集めています。
そのファクトチェックメディアが日本では存在しない理由とは?

10月25日(火)古谷経衡 ●教育現場の犠牲のもとに成り立つ全国学力テストの底上げ

2016年度全国学力テストの結果を受け、文科省は「各地で学力の底上げが続いた成果」と分析しています。
「学力底上げ」の一方で指摘される、教育現場の犠牲とは?

10月26日(水)飯田泰之 ●世界経済の新たなリスク、崖っぷちのドイツ銀行

国際金融システムの中心に位置するドイツ銀行。新たな経済リスクは暴発するのか?鎮静するのか?

10月27日(木)小田嶋隆 ●25年ぶりのセリーグ優勝、広島カープにみる熱狂が生むビジネスの理想図

これからのビジネスに求められる「熱狂」という要素とは?
四半世紀ぶりにリーグ優勝を果たした広島カープを例に考えます。

(2016/10/24 UPDATE)
番組スタッフ
電通社員の自殺で見直そうとの声がより高まっている「日本の働き方」。それはもはや「普通」ではなく、「異常」と称すべき次元なのかもしれませんが、長時間労働はいけないと言えども、せざるを得ないと言ってそれを従順にやってしまうのが日本人です。
長時間労働となってしまうことは避けられないまでも、せめて心ゆくまでの休養を選択できたらなと思うのですが、難しいでしょう。

何か悲劇が起こるたびに見直そうという声が高まる「働き方」。何度も同じ悲劇を繰り返しながら、それでも中々、システムそのものは変えられない。
何をどう変えたら、誰がどう命じたら日本から「異常な働き方」を変えることができるのか。
定時退社を強制する企業、様々な取り組みを企業が試し、実際に変わりつつあるのでしょうが、それが当たり前になるのはまだまだ先のことのように感じます。

「働き方」など、職種によって様々ですので、一概に長時間労働を是正すればいいというものでもないでしょう。働きたい人はどんどん働く、それが嫌な人はコスパを重視した働き方をするという選択がもっと簡単にできたらいいのかもしれません。
しかし、そんな個人主義的な働き方が浸透するとも思えません。

コストパフォーマンスを重視する思想が時折、非難されますが、時間という有限の資産を有効活用して何が悪いのかと問いたくなります。
時間をかけるほど仕事の成果は高まるなどと私は思っておらず、どちらかといえばコスパ重視の働き方ですので、早く仕事が終わった時などインスタグラムに「仕事を早めに切り上げてこんな時間から映画」と洒落臭い投稿をしたいものです。
しかし、「後ろめたさ」が付きまとうためそんなことはできるはずもありません。

この「後ろめたさ」が本当に厄介です。
限界まで時間をかけて成果を追求したい人、最低限の時間をかけて成果を出したい人。両者が折り合うことなど決してない。どちらも自身が尊ぶ働き方を自由に選択することができ、両者が共存できればいいのですが無理でしょう。
確かに自分が仕事をしている時に、人ががんばっていないところを見ると精神がざわざわします。
この苛立ちを知っているから「後ろめたさ」を感じるのです。
「後ろめたさ」という呪縛があるからこそ、極論ですが、人が死んでしまうという悲劇が起こるのです。

この「後ろめたさ」の呪縛を強固にしているのが、根性論や精神論を疑わない人々の信仰心でしょう。
彼らの厚い信じる心が、信者以外の他者を疲弊させてしまいます。

少し話は変わりますが、先日、お昼のテレビ番組で「体罰はありか」という古典とも言える命題について議論が交わされていました。
10人あまりの出演者のうち、8割が体罰を肯定。
普段は許されない暴力を許されるものに変えてくれるのが「暴力を振るう側の愛」だという理論です。

愛のある体罰なら許されるという意見はよく聞きますが、私は暴力を加えた側が勝手に暴力を被った側の感情を代弁する身勝手さがどうも理解できません。
教師から体罰を受けて、心を入れ替えた人が愛のある暴力として体罰を肯定していることもあるでしょうが、漫画のようにうまくいくのか。「愛のある体罰」の振るう方法を会得するためにはどれだけ人を殴り続ければならないのか、などと訝るわけです。

暴力的な統制を、あるいは暴力そのものを「必要悪」として認める人間が一定数いる限り、悲劇は再び起こりうるのではないでしょうか。
暴力を肯定することで生まれる信頼関係が私には理解できないのですが、「必要悪」だとしてその存在を認める人がいることも事実です。
働き方を変えたいけど変えられないまま時間が過ぎ、再び悲劇が起こるという無間地獄に陥ることだけはなんとしてでも回避したいのですが…。


今の日本は経済成長を目指していますが、成長するのが良いか悪いかの議論はさておき、成長を目指すならば高度経済成長期に見られた「根性論」や「精神論」はできれば廃除してほしいものです。


スタッフ・坂本
(2016/10/20 UPDATE)
番組スタッフ
わたしが住んでいる区では今月上旬から認可保育園の来年4月入園の申し込みが始まりました。
これまでもそうでしたが相変わらずの激戦で、2歳でしかも認証保育園に預けている状況でも認可保育園に入れない可能性があるようです。
わたしは今まさにこの状況で、今回、認可保育園に入れなかった場合、3歳から幼稚園入園も視野に入れざるを得なくなってきます。
幼稚園だとフルタイムで働きながら預けられるところは一部なので、そうなると気にしなくてはいけなくなるのが「時短切れ」です。

「時短切れ」とは、短時間勤務が適用される時期が過ぎること。
現在、短時間勤務が適用されるのは3歳まで。2010年に施行された改正育児・介護休業法では、「事業主は、3歳に満たない子を養育する従業員について、従業員が希望すれば利用できる、短時間勤務制度を設けなければならない」と定めています。
つまり、3歳を過ぎると、原則、短時間勤務は利用できず、時期の延長は事業主と従業員の交渉次第となります。

小学校入学までに適用範囲を広げている会社もあるようですが、わたしの妻の勤め先は原則の3歳まで。
来年4月に認可保育園に入れないとなると、時短勤務を条件に転職という困難な道のりを選択せざるを得なくなってきます。
退職して専業主婦、もしくは主婦パートという道もあるにはありますが…。

これまでは「時短切れ」という言葉すら知らなかったのですが、現状を調べてみると、「時短切れ」を理由に転職を余儀なくされるケースが増えていることも今回、初めて知りました。
*****
ワーキングマザーの間で、短時間勤務(時短)が適用されなくなる時期に派遣など非正規の仕事に変わる「時短切れ転職」が増えている。
残業の多い職場に復帰し、子育てが立ちゆかなくなるケースがほとんどだ。
育児休業など両立支援の枠組みは整えられつつあるが、残業が乗り越えられない壁となっている。
<子育てできず「時短切れ転職」 ワーキングマザー、残業が壁に(「SankeiBiz」2016/10/10)>
*****

そもそも、短時間勤務の適用範囲を3歳までと定めたのは労働政策審議会。改正育児・介護休業法が成立した当時の短時間勤務制度のニーズ調査をもとに定められたといいます。

成立から数年が経った現在の短時間勤務制度のニーズを調べると、最新の調査結果が反映されているのが厚生労働省によるこちらの調査。

平成 27年度 仕事と家庭の両立支援に関する実態把握のための調査研究事業報告書 労働者アンケート調査結果

「短時間勤務制度」を利用したことのある人に、子どもが何歳になるまで利用を希望するか聞いたところ、女性の正社員では「3 歳以上〜小学校にあがる前まで」が最も多く20・5%、「小学校 2 年〜3 年生まで」が15・9%で続いています。
また、女性の非正規社員では「子どもの年齢にかかわりなく、手がかからなくなるまで」が32・8%と最も多く、次いで多いのが「3歳以上〜小学校にあがる前まで」の28・9%。

正社員、非正規社員ともに、3歳を過ぎても利用を希望しており、現行の制度と利用者のニーズとの決定的なズレが浮かび上がってきます。

これに加え、待機児童対策のため、0〜2歳児向けの保育施設が増えた結果、3歳以降の預け先を見つけるのが困難になっている「3歳の壁」や、子どもが小学生になった途端、保育所に代わる放課後の預け先がなく、働き続けるのが難しくなる「小1の壁」も有効な対策が講じられたという話は聞きません。
「女性活躍」を掲げておきながら、結局、女性の活躍を阻んでいる問題が手つかずのままというのが現状なのでしょう。

(スタッフH)
(2016/10/18 UPDATE)
番組スタッフ
10月17日(月)佐々木俊尚●減速するグローバル化と加速する国家回帰
アメリカ大統領選挙で共和党トランプ氏は移民制御と自由貿易の拒否を打ち出し共感を呼び、
イギリスはEU離脱で移民流入を制限。それぞれ世界の大国が「国家回帰」に進むのは何故なのか?

10月18日(火)速水健朗●世界の経済学者の実験場となりつつある日本
量的緩和も機能せず、金利に重きを置いた緩和を行うことにした日本。そんな日本の異常さに世界の経済学者は惹かれるといいますが、その理由とは?

10月19日(水)ちきりん●世界に広がるフィリピン化の波
フィリピンのドゥテルテ大統領が今、世界の関心を引き付けています。
フィリピンでドゥテルテ大統領が支持される背景とは?
そして世界に広がるフィリピン化とは?

10月20日(木)小田嶋隆●奇しくも資本主義懐疑ブームに訪れた「安保議論」
2015年9月に大きな議論の末に成立した安全保障関連法(施行は今年3月29日)。
2015年といえば『21世紀の資本』がベストセラーになった年。他にも資本主義を懐疑する書籍が話題となりました。
安保法制、資本主義への懐疑。奇しくも同時期に行われ始めた二つの議論から読み解けることとは?
(2016/10/17 UPDATE)
番組スタッフ
ミス・インターナショナル世界大会出場者70名が来日しています。世界大会は10月27日(木)に東京で開催されるのだそうです。
2週間後の最終決戦に向けて、ミス・インターナショナルがメディアにこぞって出演し、キャンペーンを繰り広げています。

テレビを見ていると、11日には世界大会出場者70名が記者会見を行い、都内の百貨店を訪れ、慣れないお辞儀の練習に励んだあと、開店の際には、入り口で、実際にお客さまをお出迎えする様子が映っていました。
また、日本の伝統文化への理解を深めようと抹茶をたしなむ場面や、昼食として和食のお弁当を食べる出場者の姿もありました。

日本食がメジャーになったとはいえど、もちろん全ての国でというわけではなく、箸の使い方なんて知る由もないという人もいるはずです。
ニュース番組では、アフリカや東ヨーロッパの国の代表が箸をうまく使えず、「お腹が空いたのに食べられない」と悲しそうな顔をする様子が紹介されていました。中には、箸を諦めてフォークで弁当を食べる女性もいましたが、もちろん「悲しそうな顔」というのは部分だけ切り取られた放送を見た私の私見に過ぎませんので、もしかしたら、「箸を使って弁当を食べる」という日本文化体験は最高の思い出となったのかもしれません、

しかし、「ミス・インターナショナル」世界大会候補者にお辞儀や着付け、箸の使い方などここまで日本文化に触れさせれる必要があるものかと少々、不可思議に思います。

ここまで日本の文化漬けにするからには、今回の世界大会開催都市が日本の東京だからなのだろうかと思いましたが、調べてみるとどうやら違うようです。

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ミス・インターナショナルの候補者は着物の着付けに始まり、風呂敷の包み方など様々な日本文化を体験し、その写真や動画をフェイスブックなどのSNSなどに配信します。ミス・インターナショナルを決めるこのイベントは1960年にアメリカで始まり、1970年代から日本が主催しています。候補者は日本の魅力を世界に伝える役目を担っていて、2週間にわたって東京都内や東北などで親善活動を行うということです。

【テレ朝news ミス・インターナショナル候補者ら 日本文化を体験】
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ミス・ユニバース、ミス・ワールドと混同としてしまいそうですが、ミス・インターナショナルは毎年日本で開催されているもの。日本文化との触れ合いは、定例行事なのかもしれません。
そして触れ合った日本文化を_SNSで世界で発信する言いますが、それって「ミス・インターナショナル」ではなく、もはや「ミス・ジャパン」を決める大会なのではないでしょうか。

先日、トム・ハンクスが映画の宣伝のため来日していました。ハリウッド・スターとされる人が日本の情報番組、バラエティ番組に出演するたびにハラハラし、何だか恥ずかしさを覚えるのは私だけではないでしょう。
ハラハラさせられるのが、ハリウッド・スターに強いられる日本文化の体験です。
先日のトム・ハンクスは60歳になるということもあり、あるテレビ番組は「還暦祝いの赤いちゃんちゃんこ」をプレゼントしていました。
Twitterで人柄の良さが爆発しているトム・ハンクスだけあって、受け取った時に笑顔は見せるのですが、決してちゃんちゃんこを羽織ろうとはしない姿が印象的でした。

外国人に強制される日本文化は伝統的なものから流行りのギャグまで多種多様です。
その無茶ブリに答えられたら「神対応」として評価されるのですが、それも何だかうすら恥ずかしい。

私が恥ずかしさを感じてしまう背景には、「西洋人に感じる劣等感なるもの」が潜在的にあるのかなと分析してみましたが、おそらくそうではない。
わずかながら、日本以外の国でわずかながら生活したことがある経験を思い起こすと、海外のゲストに自身の国の文化をまず強制するということはなかったと記憶します。
まず、日本がどんな国でそこで生まれ育った私がどんな国かをしつこいくらい聞いてこられるのがほとんどでした。もう飽きたというくらいのところで、「私の国では…」と始まる。私がいたドイツでは田舎町も都市部のどちらでもそうでした。

日本という国が特殊で日本人が好かれていると考えるのも傲慢です。自分の話ばかりする人が嫌われ、聞き上手こそ話上手と言われるように、相手にたとえ興味がなくてもまずは聞く。それが国際社会におけるマナーなのかもしれません。

ここ最近、散見される「素晴らしい日本の押し売り」も、恥ずかしさを感じてしまう要因のひとつです。
さも水戸黄門の印籠かのように、日本の文化、製品「をわざわざ外国人の目の前に突きつけ、その反応を楽しむような番組を見てしまうと、その悪趣味さに恐怖すら覚えてしまう。

「おもてなし」という言葉が、2020年過ぎまでは多用されていくことになるでしょうが、「ミス・インターナショナル」世界大会出場者やハリウッド・スターへの日本文化強要を見ていると日本の「おもてなし」って何なのかわからなくなります。
謙遜さが欠けた「おもてなし」はただの善意の押し付けに過ぎません。


スタッフ・坂本
(2016/10/13 UPDATE)
番組スタッフ
大阪ミナミのすし店「市場ずし」難波店で外国人旅行客にわさびを大量に入れたにぎりずしを提供したことが明らかになり、炎上した「わさびテロ」。
先週、多くのメディアがこの騒動を取り上げましたが、その影響からか先週から今週にかけて、“外国人に対する嫌がらせ”ともとれる騒動が相次いで報じられています。

ひとつは、今月5日に韓国のテレビ局が報じたこちらのニュース。

高速バス乗車券で韓国人差別?バス会社は否定(「MBS NEWS」2016/10/6)

韓国のテレビ局YTNの電子版によると、今年4月、大阪に来た韓国人観光客が高速バスのチケットを買った際、係員に名前を聞かれて「キム」と答えたところ、チケットの名前の欄に「キム」とともに朝鮮人の蔑称にあたる「チョン」と印字されていた、と訴えているということです。
半年以上前の出来事が今、報じられた理由は「わさびテロ」。
わさびテロに怒りを覚えた韓国人観光客の兄がYTNに情報提供したようで、わさびテロに乗じた反日報道のにおいもします。

それもひっくるめて気になるのが、係員が「チョン」と印字したこと。
阪急バスは「チケットを発券したのは20代の女性社員で、個別のやりとりまでは記憶にないが、韓国語ができず聞こえたまま入力したもので悪意はなかったと考えている」とコメントしていて、“差別意識はなかった”ことを強調しています。

もうひとつは、これまた大阪で起きた外国人絡みの騒動。

南海電鉄 車掌「多くの外国人で、ご不便を」(「毎日新聞」2016/10/11)

南海電鉄の40代の男性車掌がきのう(10日)、車内で「本日は多数の外国人のお客さまが乗車されており、大変混雑しておりますので、日本人のお客さまにはご不便をおかけしております」という内容のアナウンスを行っていたことが明らかになりました。
この車掌は「難波駅で車内の日本人男性客が『外国人が多くて邪魔』という内容を大声で叫んだのを聞き、トラブルを避けるために放送した。差別の意図はない」と説明していて、こちらもバスチケットの騒動同様、“差別意識はなかった”ことを強調しています。

そして、相次ぐ外国人絡みの騒動のきっかけとなった、わさびテロも“差別意識”を否定。
「市場ずし」がホームページに掲載した謝罪文では、“差別意識がなかった”ことが強調されていました。
*****
すしに多くのわさびを乗せていた件ですが、こちらはそのような事実がありました。
海外から来られたお客様からガリやわさびの増量の要望が非常に多いため事前確認なしにサービスとして提供したことが、わさびなどが苦手なお客様に対して不愉快な思いをさせてしまう結果となってしまいました。
(中略)また、従業員による民族差別的な発言に関してはそのような事実は確認できませんでした(後略)。
*****

一方で、「市場ずし」でわさびテロに遭ったという客のこんな証言もあり、真相はうやむや。
行き過ぎたサービスなのか、差別的行為なのか、判断をしづらくなっています。
*****
私たちが目の前にいて、水を何度も頼んだり、目に涙を滲ませながら寿司を食べていたりする姿を店員が『知らなかった』とは、言い難いと思います
民族的差別の発言について、私たちは確認していません。しかし、それがなくても、今回の件は差別的な行動を取られていたと思います。それがとても悲しいです。
<「BuzzFeed」2016/10/3>
*****

3つの騒動に共通するのは、差別意識はないけれど差別になってしまっていること。いわば、レイシズムの無意識化です。
これは、差別意識をもって差別をすることよりも、治しようがないという意味でタチが悪く、症状が重いように思います。もちろんどちらも悪いのですが、差別意識がある方が治す余地があるだけに、タチの悪さが際立って見えるのです。
何が彼らを駆り立てるのでしょうか。ここ数年の外国人観光客の増加も関係しているのでしょうか。
3つの騒動は、一旦は落ち着いていたレイシズムの高まりとレイシズムが新たな段階に入ったことを感じさせるものでした。

(スタッフH)
(2016/10/11 UPDATE)
番組スタッフ
10月10日(月・祝日)佐々木俊尚 ●EUの著作権法改正案が示す「閉ざされたインターネット」

先月14日にヨーロッパ委員会が発表したEUの著作権法改正案。
情報収集サイトがコンテンツを一部でも表示した場合、料金の請求権を得ることになるものなのですが、この改正案の問題点とは?
元・ヨーロッパ議会インターンのRio Nishiyamaさんにお話を伺います。

10月11日(火)古谷経衡 ●若者の間で与党支持の傾向が強まるわけ

投票行動研究会の調査が示す、若者による与党支持傾向の強まり。その背景にあるものとは?

10月12日(水)飯田泰之 ●東工大も例外じゃない。中国人化する理系研究室

中国人化する理系研究室の実態とは?

10月13日(木)小田嶋隆 ●未来には期待しない。増加する「常温」を楽しむ人びと

今という時間を「常温」で楽しむ人びとが増える背景と実態を、調査結果をもとに読み解きます。
(2016/10/10 UPDATE)
番組スタッフ
記憶に新しい電車の遅延で利用者から詰め寄られ、制服と帽子を脱ぎ捨ててその場を去った車掌のニュース。
運転士の勤務態度をめぐるニュースは後を絶ちません。

「JR西日本の男性運転士が1日に業務上の移動のため乗り合わせた関西線のワンマン列車内で運賃箱に腰掛け、実際に運転していた運転士と雑談していたことがわかった」

こう報じたのは朝日新聞デジタルです。
【JR西の運転士、運賃箱に腰掛け雑談 勤務態度を指導】


社内規定には違反していないものの、JR西日本は「乗客に不快を感じさせる行為」として、2人に勤務態度について指導したそうです。
上記記事のサイトには運賃箱に腰をかける読者提供による写真も掲載されています。
2人の雑談の内容はというと『(線路に出てくる)動物に気をつけよう』『今日はお客さんが多い』といった話をしていた」というもの。居合わせた乗客によると、運転中の運転士は会話しながら隣を度々見ていたといいます。

電車の運転士の勤務態度等はしばしば話題に上るのですが、わざわざニュースにするようなことなのか。
確かに100点満点の勤務態度ではないかもしれないけれど、写真に収めてまで問題視するようなことなのか。
写真提供者にそこまでさせる引き金は何なのか。
不可思議というより、このニュースが醸す「正義のような何か」に恐怖すら覚えます。

従業員が雑談していたくらいでけしからんと報じられるのは日本くらいなのでしょうか。
例えば航空会社の場合。会社によりけりかのかもしれませんが、外国人キャビンアテンダントの気さくさは日本の航空会社以外で海外に渡航した経験のある人であれば、誰もが知るところでしょう。
渡航目的を気軽に尋ねられることもありますし、目的地のおすすめスポットを勝手に教えてくれたりもします。

数年前、アメリカのある航空会社を利用して海外に渡航した際のこと。
私たちの列をサーブしてくれたのは、ヒゲを蓄えた恰幅のよい紳士と形容できる外国人キャビンアテンダント。かなり陽気な彼は鼻歌を歌いながら、飲み物を配っていましたし、向かいの列でサーブする同僚に、現地に到着したら何を食べるかと客を挟んで談笑している。
もっとも驚いたのが、「A or B」のメニューの二択が迫られる食事のとき。陽気すぎる彼は、通路を挟んだ隣の席の肘置きに腰掛けて注文をとってきたのです。
もちろん、「けしからん!」などと怒り狂うことはありませんでした。「外国人の距離感は近い」という古い先入観が私にはあったためでありますが、私の英語理解力がもう少し高かったら、憤りを感じたのでしょうか。
同じことを日本人にやられたら…いや、そもそも「おもてなし最強伝説」がある日本においてはそんなことは確実にありえないでしょう。

「ただしイケメンに限る」という言葉がありますが、砕けた接客においても「ただし外国人に限る」「単線で電車が走る地方の田舎街に限る」「イケメン車掌に限る」とか許される人と

日本の接客は世界に誇るレベルで、時にアジアの他国からわざわざ学びに来るほどだと聞きます。
アナウンスでいちいち客に謝罪したり、病院では「様」をつけて呼ばれることが当たり前になりました。
ものやサービスが余るほどある現代においては、消費者に選択してもらうため、「付加価値」があることが良しとされます。日本のサービス業界隈で起きるインフレはどこまで続くのでしょうか。

「お客様は神様」や「おもてなし」「日本人のきめ細やかさ」という言葉が呪詛のようになって、サービスのインフレを起こし、SNS普及による監視網への怯えが明るみにしなくても良い問題まで私たちの目にさらされるようになりました。

過剰な倫理と道徳的であることが求められ、何かと他人の粗に気付いてしまう現代社会。必要なのは、寛容さというよりもむしろ鈍感さでしょうか。

スタッフ・坂本
(2016/10/6 UPDATE)
番組スタッフ
「自殺の前兆がなく、あまりにも突然のことだった。自殺の原因も不明で、私は何も気づいてあげられなかった」。
これは、中学生のときに父親を自殺で亡くしたという知人の話です。
10年ほど前に聞いた話で、どうして今さら思い出したのかといいますと、きっかけは先週水曜(9月28日)に発売された、宇多田ヒカル8年ぶりのオリジナルアルバム『Fantôme』。
このアルバムの収録曲『花束を君に』の感想をつづったインターネット上の匿名記事を読んでいるうちに当時の記憶が蘇ってきたのです。

自死遺族が宇多田ヒカルの新アルバムを聴いて思ったこと(「はてな匿名ダイアリー」2016/9/30)

「保育園落ちた日本死ね」が投稿されたことでも知られる『はてな匿名ダイアリー』に投稿されたこちらの記事。
投稿者はまず、18歳の夏、父が自殺したことを告白します。
*****
18歳の夏、父が自殺した。部活の合宿中のことだった。
(中略)
「父を殺したのはわたしだ。」
もっと父の変化に気づいていれば、父を止められたかもしれない。
(中略)
あの時から10年近くが経つが、後悔と自責と不安は消えない。
*****

わたしの知人と同じように、父の自殺後、10年近く経っても後悔と自責と不安が消えないという投稿者が、ふとしたタイミングで聞いたのが『花束を君に』。
宇多田ヒカルが亡き母への思いをつづった曲です。
この曲の歌詞を見て、投稿者は涙が止まらなくなったのだといいます。
*****
改めて歌詞を見て、涙が止まらなかった。久しぶりにしゃくりあげて泣いた。
「今は伝わらなくても 真実には変わりないさ 抱きしめてよ、たった一度 さよならの前に」
(中略)
わたしが10年間、どんなに探しても見つからなかった、自分を許してあげるための言葉だった。
*****

この記事でとくに興味深いのは、投稿者が『花束を君に』の歌詞を読むことで抱いた“自分を許した”という感覚。
この感覚は、別の自死遺族が投稿した『はてな匿名ダイアリー』の記事でもつづられています。
*****
その日父は死んだ 私が高校2年生の春だった
父は書き置きを残した
私への言葉だった、お前にはもう何も期待しない、自分の好きな場所で自分のしたいことだけして暮らせと、そう書いてあった
(中略)
私には明確に父を殺したという意識がある
(中略)
結局の所、私はあなたは悪くないと、あなたは生きていても良いんだよと、そう誰かに言ってもらいたかっただけなのかも知れません
<あなたと宇多田ヒカルへありがとう(「はてな匿名ダイアリー」2016/9/30)>
*****

長いこと抱え続けた自責の念はなかなか消えないでしょうし、自分を許すことも難しいはずです。
それを『花束を君に』が可能にしたわけで、同じ境遇にある宇多田ヒカルの言葉だからこそ心に響いたのでしょうが、この2つの匿名記事は宇多田ヒカルのすごさをあらためて感じさせるものでした。
そして、10年前には自責の念で苦しんでいたわたしの知人。その知人にこの歌詞が届いていることを今はただ願っています。
「どんな言葉並べても 真実にはならないから 今日は贈ろう 涙色の花束を君に」

(スタッフH)
(2016/10/4 UPDATE)
番組スタッフ
10月3日(月)佐々木俊尚●1ヶ月の収益を公開した作家が語る「Kindle Unlimited」の可能性
A
mazon.co.jpの読み放題サービス「Kindle Unlimited」がスタートしてからまもなく2カ月。「Kindle Unlimited」で作品を販売した漫画家の鈴木みそさんにその可能性についてうかがいます。

10月4日(火)速水健朗●内容未定

10月5日(水)ちきりん●乱立が止まらない芸術祭の功罪
地域活性化を狙った芸術祭が相次いで開催されるなど、乱立状態にあります。その功罪とは?

10月6日(木)小田嶋隆●聖地巡礼は観光活性化につながるか
ニメ・漫画の舞台やモデルになった「聖地」を認定し、観光活性化を図る「一般社団法人アニメツーリズム協会」が9月16日、発足。聖地巡礼は観光活性化につながるのでしょうか。
(2016/10/3 UPDATE)

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