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番組スタッフ
先週金曜(26日)、日本経済新聞の電子版にアップされた記事に目がとまりました。

「熱意ある社員」6%のみ 日本132位、米ギャラップ調査(「日本経済新聞」2017/5/26)

見出しどおり、日本には「熱意ある社員」が全体の6%しかいないことを伝える記事で、根拠とするのはアメリカの世論調査会社ギャラップの調査。
ギャラップが世界各国の企業を対象に実施した従業員のエンゲージメント(仕事への熱意度)調査によると、日本は「熱意あふれる社員」の割合が6%。
しかも、アメリカの32%と比べて大幅に低く、調査した139カ国中132位と最下位クラスだったといいます。

どんな設問を投げて、こうした結果が導き出されたのかは不明ですが、わたしにとっては妥当な結果という印象。
なぜかというと、仕事に熱意を持ったことが一度もないからです。
わたしにとって仕事は基本、嫌なものであり、できればやりたくないもの。やりたくないのにやり続けているのは養わなければいけない家族がいるからで、熱意は皆無。
家族を路頭に迷わせてはいけないという危機感だけがわたしのお尻を叩き、仕事に向かわせているだけ。
それだけに「熱意」や「やりがい」という言葉を目にする耳にするだけで、どす黒い感情がわき上がってくることもあります。

こうしたわたしの仕事へのスタンスは極端かと思いきや、ギャラップの過去の調査結果を見る限り、そうでもなく、「90%近くの人にとって仕事は不安の種」であることを示す調査結果があります。
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ワシントンDCに本部を構える世論調査会社ギャラップが2013年に発表した分厚い報告書によれば、自分の仕事が好きで「仕事に主体的に携わって」働いている人よりも、むしろ「仕事に主体的に携わることなく」働いている人のほうが2倍も多くこの世界にいるということです。
(中略)
自分の仕事に対して積極的に関わっている労働者は、実にたった13%しかいません。そうした人々は自分の仕事に情熱を感じ、所属する組織の発展のために日々を過ごしています。
一方、私たちの大多数、63%ほどは、消極的な態度で仕事に関わっています。残りの24%は仕事に身を入れないどころか、それを嫌っています。
この世界で働く90%近くの人々にとって仕事は、満足より、むしろ不安の種になっているというのです。
<『なぜ働くのか(TEDブックス)』(朝日出版社)>
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これ以外にも、わたしが仕事への熱意に嫌悪感を抱く理由はあり、それは先日、勤めていたシステム開発会社を辞めた知人の影響。

知人は仕事に熱意を持っている側の人間で、その熱意を数人の同僚は知っていたそうで、同僚たちが熱意を利用して面倒な仕事を知人に押し付けることが常態化。しかも、上司にはバレない程度の小さくて面倒な仕事を押し付けていたようです。
熱意があるだけに、最初は前向きにこなしていたのが、押し付けが常態化したことで心のダムが決壊。
会社を辞めるに至ったといいます。

…やはり、仕事に熱意なんていらない。熱意があると、ろくなことがないのです。

*****
少しでも楽に生きたいというのが、人間が生得的に携えている欲求である。働きの良し悪しにかかわらず、まったく同じだけの報酬しか得られないのだとすれば、雇用者の許すかぎりにおいて、その仕事ぶりはぞんざいで、だらしないものとなるのである。
<「なぜ働くのか(TEDブックス)」(朝日出版社)>
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これは、近代経済学の父、アダム・スミスの言葉。
仕事に対するスタンスは、これぐらいがちょうどいいのかもしれません。

(スタッフH)
(2017/5/30 UPDATE)
番組スタッフ
5月29日(月)佐々木俊尚●経産省「次官・若手プロジェクト」の提言は何が問題なのか
経済産業省の若手職員で構成する「次官・若手プロジェクト」が作成した資料「不安な個人、立ちすくむ国家〜モデルなき時代をどう前向きに生き抜くか〜」が公開され、議論を呼んでいますが、その理由とは?

5月30日(火)速水健朗●「働き方改革」に抜け落ちた視点
政府主導で進む「働き方改革」に抜け落ちた視点とは?

5月31日(水)ちきりん●半導体メーカー「NVIDIA」が進めるAI革命
AI時代の寵児になろうとしている半導体メーカー「NVIDIA」とはどんな会社?

6月1日(木)小田嶋隆 ●インターネット検索20年目の年に浮かび上がるグーグルの功罪
インターネット検索が登場して今年で20年。グーグル検索は19年に。グーグルの功罪とは?
(2017/5/29 UPDATE)
番組スタッフ
最近、私の周りで映画『帝一の國』が異様に高く評価されています。
複数の人から同作を勧められたので、人に流されやすく、ミーハーな私は「これは観ておこう」と思うに至りました。
先日、ネットでチケットを購入し、映画館に足を運んでみたのですが、今をときめくイケメン俳優だらけのポスターを改めて見てみると、「え、これ、彼らのファンだけがおもしろいヤツなんじゃないの」と直前になって 腰が引けてきました。

主役の赤場帝一を演じるのは菅田将暉。野村周平、竹内涼真、間宮祥太朗、志尊淳、千葉雄大らが脇を固めます。
内容は総理大臣を目指す主人公を中心とした、生徒会長選で繰り広げられる熾烈な政局、権力闘争を描いたもの。原作は『ジャンプスクエア』で連載していた同名の漫画。

「えーい、ままよ!」と心の中で叫びながら、本編が始まったのですが…、
イケメン俳優だらけの学園モノと侮るなかれ。実におもしろい。

コメディ要素満載で、学校における血を流さない戦争=政治=生徒会長選に命をかける面々の緊張感がそれを一掃引き立てます。本題である権力闘争、派閥争いに勝敗が決する流れも爽快感がある。

これって、原作を超えているのではないか。私はそう思いました。
原作、作者・古屋兎丸氏を高く評価する私の知人も絶賛。特に森園億人が素晴らしいと。
そして、これは近年稀にみる漫画原作映画の大成功例だとも評価していました。

仕事仲間で、映画『帝一の國』が原作同等におもしろい、あるいは原作超えしていると話していると、ある人が「有史以来、原作が映像を超えたことなどない」と言い放ちました。

「個人の想像力によって生み出された脳内のビジョンにはどんな映画もかなわない」
「ゆえに人間の想像力こそ最強」
と、何かの漫画のラスボスみたいなことを論じておられたのですが、一理あるかもしれません。いや、一理では少ないかもしれません。

人間の想像力こそ最強…。人類が生み出すどんな文化、文明よりも、その創造主である人間の脳みそこそ素晴らしい。聞こえは確かに良いです。

しかし、数値化できない想像力においても、「乏しい」とか「欠如」という言葉が添えられることがその証拠であるように、貧か富か、その差異が存在するわけです。数値で可視化できないにもかかわらず。
私たちそれぞれの想像力には激しい隔たりもありうるからこそ、最強かどうかなんて所詮個人の資質によるのではないでしょうか。
原作ありきモノがおもしろいと思うにいたるのは、もちろん想像力の乏しさに由来するのではないでしょう。
原作至上主義はどこにもいらっしゃるでのですが、原作レイプという言葉があるように、それだけファンの期待を裏切る作品が量産されていることもまた事実でしょう。
しかし、レアケースかもしれませんが、原作を超えると評価される映画は存在します。

とはいえ、「おもしろい」という感覚はどこまでも限りなく主観に近いものです。
そして、その「おもしろい」という感覚は、経験や知識、見た映画、読んだ本、旅先での出来事など、インプットしたものでみるみる変化します。

インターネットバンキングログインの合言葉で「好きな○○は?」に答えるとき、どれも今はそんな好きじゃなくてモヤモヤすることが最近よくあります。
「好きな作家は?」というクエスチョンを設定した当時、よく読んでいた作家をパスワードに選んでしまったのですが、その作家は今でも読み返したくなるほどではない。
子供の頃に好きだった○○は?と過去に限定してくれたら、それはずっと変わらないのでモヤモヤしないのですが。

スタッフ・坂本
(2017/5/25 UPDATE)
番組スタッフ
1995年のピーク時には発行部数653万部を誇った「週刊少年ジャンプ」。
先日、発行部数が200万部を割ったと報じられました。

週刊少年ジャンプ、200万部割れ ピークの3分の1弱(「日本経済新聞」2017/5/16)

日本雑誌協会が5月16日に発表した「2017年1〜3月の印刷部数」によると、2017年1〜3月の平均週間発行部数は191万5000部。
「週刊少年マガジン」も96万4158部(1998年のピーク時は425万部)、「週刊少年サンデー」も31万9667部(90年代は150万部前後)と、3大少年マンガ誌は3誌ともピーク時に比べ、大幅に発行部数を減らしています。

ジャンプ、マガジン、サンデーという3大少年マンガ誌が軒並み紙の発行部数を減らすなか、発行部数をほとんど減らしていない少年漫画雑誌もあり、それが小学館の「コロコロコミック」。
2017年1〜3月の発行部数は76万3333部で、2008年4〜6月が88万3333部と比べると12万部の減少。
ジャンプが約87万部、マガジンが約79万部、サンデーが約55万部の減少なので、減り幅の小ささが際立ちます。
なぜ、「コロコロコミック」の発行部数はあまり減らないのでしょう。 

ひとつは、“ターゲットがぶれないこと”。
「コロコロコミック」の和田誠編集長は日経MJのインタビューで、こう語っています。
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読者は95%以上が男子です。コアターゲットは小4から小6。この3学年で70%を占めます。
女の子に比べだいぶ成長が遅い。女子が恋愛やおしゃれに興味を示すなか、相も変わらず、うんこ、おちんちんで喜ぶ。これはもう時代が変わっても不変ですね。
僕らは『うんこ・ちんちん原理主義』と呼んでいます。
(中略)
『チャンプロード』という暴走族を扱う雑誌が昨年休刊しました。読者を色々な層に広げすぎたのが失敗だったそうです。今もこの教訓は胸にとどめています。女の子やおしゃれに興味をもったら、快くコロコロを卒業してください、と言っています。
この年代(小4〜小6)しか共感できない、すごく大きな情熱があるんですよね。
<「日経MJ」2017/5/10>
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「うんこ」と言えば、『うんこ漢字ドリル』シリーズが累計で100万部を超えるベストセラーになっていますが、「うんこ」は時を経ても支持され続けるコンテンツということなのでしょう。

もうひとつの理由は推測ですが、電子書籍の影響が少ないため。

ここ数年、マンガ誌やコミックスを電子書籍で購入する人が増えているようで、「ビジネスジャーナル」http://biz-journal.jp/2017/05/post_18975.htmlによると、電子書籍のシェアの8割はコミックで、講談社の今年2月期の決算では紙の売上不振をデジタル収入でカバーして増収増益。
さらに、ジャンプはスマホアプリ「少年ジャンプ+」で「週刊少年ジャンプ」の電子版を販売(定期購読もしくは1冊ごとの購入)、マガジンもスマホアプリ「マガジンポケット」で1か月遅れではありますが「週刊少年マガジン」が無料で読めることなどから、電子書籍が紙の発行部数を食っているとの見方があります。

ただし、「コロコロコミック」は電子書籍の影響の例外。
コアターゲットである小4〜小6の男子が親の承諾なしに電子書籍を購入することは考えにくく、親が小4〜小6の男子に電子書籍で「コロコロコミック」を買ってあげることも考えにくい。電子書籍の影響を受けなかったからこそ、発行部数もあまり減らなかったということなのでしょう。

(スタッフH)
(2017/5/23 UPDATE)
番組スタッフ
5月22日(月)佐々木俊尚 ●インスタグラマーが起こす素人革命

素人が撮った写真に商業的価値が生じる時代の到来。こうした状況が意味することとは?

5月23日(火)古谷経衡 ●東大ディープラーニング公開講座がなぜ社会人に人気なのか

東大ディープラーニング公開講座に社会人が集まる理由とは?

5月24日(水)飯田泰之 ●増加する“看取り難民”、見守る側の改革の現状

来たる多死時代、看取りの今と改革の手立ては?

5月25日(木)小田嶋隆 ●「東京さくらトラム」が「都電荒川線」から奪うかもしれないもの

「東京さくらトラム」という言葉によって、オリンピックという権威に組み込まれようとしている地域密着型の都電荒川線。その功罪とは?
(2017/5/22 UPDATE)
番組スタッフ
来る総裁選を睨んでか、自民党の派閥をめぐる動きが慌ただしくなってきました。
そんな中、見過ごすことができなかったのが安倍総理が「四天王を作りたい」と言っていたというニュース。

【毎日新聞:安倍首相 細田派に「四天王を作りたい」】

これはフェイクニュースに類するものかもしれないと察知し、調べてみたらば四天王として名前が上がった議員の反応もあり、どうやら本当に四天王結成の動きがあったようです。

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安倍晋三首相(党総裁)が、下村氏を所属する最大派閥・細田派(清和政策研究会、96人)を背負う四天王の一角に挙げたことについて「ありがたい」と述べ、破顔した。
【産経新聞:自民・下村博文幹事長代行、安倍晋三首相の「清和研四天王」指名に破顔】
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「四天王」を作りたい。一国の長、政権与党の長の願いにあまりにも空想めいてはいないか、と色々と心配にさせられたのですが、安倍総理の父、安倍晋太郎氏が現役の頃も「安倍派四天王」があったそうです。

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清和研では首相の父・安倍晋太郎元外相が領袖時代、森喜朗元首相、三塚博元蔵相、塩川正十郎元財務相、加藤六月元農水相の実力者が「安倍派四天王」と呼ばれた。
【産経新聞】
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例えば、自分の上司、会社の社長が「四天王を作りたい」と言い出したら、どう思うでしょうか。人格形成期に少年漫画を普通に読んできた普通の大人である私は、何たる厨二病的発想かとの感想を抱かざるを得ません。

そもそも「四天王」とは…仏教における4人の守護神のことを意味します。
仏教用語だとしても、少年漫画で育った多くの40代未満の世代にとって「四天王」とは漫画やアニメ、ゲームに登場するというのがお決まり。
「四天王」と呼ばれる4人のくくりは、もはや「古典」に類する設定ではないでしょうか。

私が人生で初めて出会った四天王は何かと記憶を辿ってみました。
ルビカンテ、バルバリシア、カイナッツォ、スカルミリョーネ。 「ファイナルファンタジー4の」ゴルベーザ四天王です。
私より少し上の世代に、初・四天王は何かと聞きましたら、漢字は違いますが「男塾」の死天王をあげました。(影慶、羅刹、卍丸、センクウ)
「四天王」設定はもはや古典と思っていたのですが、そう言えば、去年の大河ドラマ「真田丸」では「徳川四天王」が登場していました。

「ハンター十二支ん」「七英雄」「王下七武海」「十本刀」「護廷十三隊」…
漫画やアニメ、ゲーム等の創作における「ナンバリング集団」は枚挙にいとまがないですが、物語の展開を加速させる存在です。
良くも悪くも話が続けられます。

「四天王」でグーグル検索した時、一番上に来る第二検索ワードは「最弱」。
インターネットでは「奴は四天王の中でも最弱」というのが、ネタと化しています。
よって、もし本当に自民党における「四天王」が生まれてしまった場合、そのメンバーの誰か何か良からぬことがあった時に「所詮、奴は我ら四天王の中でも最弱」とネタにされてしまうのは、予測可能な未来です。
というか、もうすでに冒頭ニュースの反応として散見されるのですが…。

実生活で、中高年の上司が、知人が「四天王を作るんだ」と言い出したら、どうでしょうか。信心深い人なら、本来の意味に則って使っているかもしれないのでまだ良いかもしれません。
しかしこのご時世、四天王を作ろう!なんて自ら本気で言うのでしょうか。
「四天王」という言葉が悪いのではなく、漫画が悪いのではなく、父の系譜だとしても、使われる場所と目的が少年漫画的です。
幹部集団を設けたいのならば、ワードセンスが無さすぎる。
政治における「良いワードセンス」とはどういうものなのかはわかりませんが、「党三役」のような簡素かつそこそこ権威を感じる言葉を新たに作れば良いのではないかと思うのです。

ナンバリングされた集団は何かかっこいい。
父の系譜なのかもしれませんが、仮にも「何かかっこいい」という感覚で政が進められるとしたら、それは中々、ぞっとさせられることです。

「安倍派四天王」は置いておいて、現実の世界で「四天王」と呼ばれていた人たちで私が思い出したのは「ものまね四天王」くらいでした。

スタッフ・坂本
(2017/5/18 UPDATE)
番組スタッフ
痴漢の疑いをかけられた男性が逃走するケースが相次いでいます。
今月11日にはJR新橋駅で痴漢の疑いをかけられた男性が線路に降りて逃走。今月12日にはJR上野駅で痴漢の疑いをかけられた男性が改札を突破して、ビルから転落死。そしてきのう(15日)、東急田園都市線の青葉台駅で痴漢行為を指摘された男性がホームから線路に飛び降り、電車にはねられて亡くなりました。
この他にも都内では3月中旬以降、同様のケースが6件起きています。

こうした状況を受け、再燃しているのが「痴漢を疑われたら逃げるのが正解か否か」という議論。
被害者の話が鵜呑みにされ、えん罪でも無罪判決を勝ち取るのは難しいことを描いた映画『それでもボクはやってない』の印象があまりにも強烈で、逃げるが正解と思い込んでいたのですが、これは一昔前の考え方。
今は、「逃げずにその場で疑いを晴らす」、もしくは「弁護士を呼ぶ」が正解のようです。

弁護士の甲本晃啓さんは「弁護士ドットコム」の記事で「決して逃げず、その場で疑いを晴らす努力をすべき」と主張。
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残念ながら、過去には『被害者』の話が鵜呑みにされて、えん罪であっても何週間も勾留されたり、無罪判決を勝ち取るまでに長期にわたって裁判で争ったりしたケースがありました。報道もされましたので、そのインパクトが大きく、そのことが『逃げる』気持ちを助長しているのではないかと思います。
しかし現在は、『被害者』の話だけで逮捕されたり、起訴されたりするのは、むしろレアケースです。捜査機関も、えん罪の可能性を相当慎重に判断するようになっています。ですので、決して逃げず、その場で疑いを晴らす努力をするべきです
<線路への立ち入り「逃走」相次ぐ…「痴漢」を疑われた場合、どう行動すべきか?(「弁護士ドットコム」2017/5/13)>
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弁護士の三浦義隆さんも自身のブログで「その場を動かず弁護士を呼ぶというのがベターな選択」と指摘しています。
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従来、弁護士の中には「走って逃げろ」との見解を述べる人もいたが、私はこれには反対だ。
走って逃げ切れればいいが、今はあちこちにビデオカメラもある。現に逃走している以上、逃亡や罪証隠滅のおそれは高いとみられるから、尻尾をつかまれた場合には、むしろ逮捕・勾留のリスクが高まる行為だ。
(中略)痴漢を疑われ、取り囲まれるなどして立ち去らせてくれない場合は、「その場を動かず弁護士を呼ぶ」というのがベターな選択だろう。
(中略)昔は否認していれば勾留されるし勾留延長もされるのが当たり前だった。映画「それでもボクはやってない」は10年ほど前の作品だが、その頃はたしかにそうだった。でも今はそうではない。
<痴漢を疑われても逃げるべきではない理由(「弁護士三浦義隆のブログ」2017/5/12)>
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「逃げずにその場で疑いを晴らす」のが世界と言われても、それはおそらく、そう簡単なことではありません。
そこで求める声があがっているのが、痴漢えん罪対策として電車内に防犯カメラを設置すること。痴漢が疑われたら、防犯カメラの映像を確認することで疑いを晴らすことができるというわけです。

実際、防犯カメラの設置は広がりつつあり、2009年には埼京線が、2011年には京王電鉄、昨年3月からは東急電鉄がすでに一部車両で設置、そして東京メトロは今年3月に設置を発表。
東急電鉄は2020年までに全車両、東京メトロは来年度以降、順次、全車両での設置を進めるといいます。

とはいえ、痴漢えん罪対策につながるかというと微妙なところ。痴漢えん罪対策が目的で設置しているわけではないので仕方がないのですが、「JR東日本」広報部の方にお話を伺ったところ、「すぐにはつながらないのでは」という印象を受けました。
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――導入当初は全体のうち2編成のみで、しかも全車両ではなく大宮寄りの先頭車両のみだった。防犯カメラの設置を広げることは可能?
2009年の導入当初、利用者の方からプライバシーに関する意見がありました。このようなご意見も含め、拡大に向けては総合的に判断する必要があります。

――痴漢を疑われるケースが起きた場合、すぐに防犯カメラの映像を確認できる?
防犯カメラには第三者も多数映っていまして、プライバシーの問題があるため、映像を確認できるのは警察の方のみ。警察の方もすぐには見ることができず、捜査の手続きを踏んだうえで協力することとなります。
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すべての車両のすべての号車に設置することに立ちはだかるプライバシーの問題。そして防犯カメラの映像をすぐに確認できない問題。
こういった問題を解決しないと、痴漢えん罪対策にはつながらないような気がします。

(スタッフH)
(2017/5/16 UPDATE)
番組スタッフ
5月15日(月)佐々木俊尚●「死ぬくらいなら会社辞めれば」ができない理由
話題のマンガが示す「死ぬくらいなら会社辞めれば」ができない理由とは?

5月16日(火)速水健朗●ヤフコメにみるヘイト書き込みの根深さ
ヤフー・ニュースのコメント欄を分析することで見えてきた、ヘイト書き込みをするユーザーの実態。
その実態が示すヘイト書き込み対策の難しさとは?

5月17日(水)ちきりん●「『まだ忘れてないの?』と言われても、政治家の失言を問い続けるべき理由」
ここ最近、目立つ安倍政権の失言。あえて政治家の発言の「揚げ足を取り」「重箱の隅をつつく」ことの必要性とは。

5月18日(木)小田嶋隆 ●日本のロックはいま、どこにあるのか
最近あまり聞かれなくなったと言われる「ロック」という言葉。その理由とは?
(2017/5/15 UPDATE)
番組スタッフ
テレビの地上波放送以外にも様々な映像、動画を楽しむことができるようになって久しいですが、動画配信サービス「Hulu」が何やら巷をざわつかせています。
「Hulu」日本版が5月17日をもって大幅リニューアルし、URLを「hulu.jp」から「happyon.jp」に変えるというのです。

「ハッピョン」と読みたくなる新たなドメインに「ダサい」との批判まで出ていますが、そのダサさはさておき、企業や商品、サービスのアイデンティティを担うドメインから「Hulu」という言葉が消えることに、「Hulu」契約者として解せない気持ちを隠しきれません。
このたびの変更には様々な憶測を呼んでいるようですが、果たして真相は…。

お金を払っているユーザーという立場にあぐらをかいているわけではないのですが、「解せない」変化があると、もうHuluじゃなくてもいいのかなと思えてきました。
Huluじゃなくても他に動画配信サービスは多種あることですし、Netflixの海外ドラマ、オリジナルコンテンツへの力の入れ具合はHuluを明らかに凌いでいるように見えるので、もうHulu視聴を解約しようかという家族会議を開いたのですが…、答えは継続視聴。
Huluにしかないコンテンツに魅力を感じ、家族ともどもお世話になっており、その部分においてはNetflixでは代替が不可能という結論でした。

amazonプライム会員である理由から我が家ではamazonプライムビデオも視聴することができます。
Huluでもamazonプライムビデオでも配信されていない新作はiTunesでレンタルして視聴する…。
至極の海外ドラマをNetflixで視聴したい…。

テレビ地上波放送が視聴率に苦戦する原因として、娯楽の多様化が指摘されます。
娯楽の選択肢が増えすぎた昨今。動画配信サービスだけで見ても、絶対唯一の強者がいない群雄割拠状態となっています。
群雄割拠状態だからこそ、我が家はHuluとamazonプライムビデオと複数契約しているのですが…、これは我が家だけに限った特殊な状況ではないでしょう。

Netflixも月額1000円未満で契約できるので思い切って決断してもよいのですが、思い切れない。
かつて私はあらゆる時間を削って海外ドラマを一気見していたのですが、子育て真っ最中の今、海外ドラマにハマってしまうと日常が崩壊してしまうのではないかと、あらぬ恐怖に囚われています。

Huluで見られるコンテンツは3万本、amazonは2.3万本。そのうち、我々家族が見る数は週10作品程度。
見たい作品を見ているつもりなのですが、圧倒的コンテンツ数から鑑みて、もっと見たいものが実は外(Netflix)ではなく内にあるのかもしれない、とその場を止まることを良しとしています。
つまり、Huluとamazonの二大体制に拘束されたままで良いと思えてくる。

ミヒャエル・エンデの短編に『自由の牢獄』という作品があります。
はぶりのよい商人だった、盲目の乞食が主人公。かつての自らの成功は、自身の能力と賢明さと信じうぬぼれていたのですが、あるとき美しい女性が現れ、彼を誘惑します。
実はこの女性は魔王が姿を変えたもので、乞食は彼女を抱こうとした瞬間、丸天井に覆われた建物の中に飛ばされてしまいます。
この建物の壁には無数の扉が。彼はここから逃げようと試みるのですが、逃げ出すことができません。
扉が多すぎるのです。どの扉も同じように見えるのですが、ある扉の向こうにはライオンが待ち構えていて食われてしまうかもしれない。別の扉の向こうには、深淵が口を開けていて、そこに落ちてしまうかもしれない。ある扉は財宝へと続いているかもしれない。
しかし、彼はあらかじめ扉の向こう側を知ることができないため、どの扉を開けるかを決めることができません。
やがて、彼は扉への関心を失ってしまうのです。

選択肢がありすぎる現代の状況は、どことなく『自由の牢獄』を私に思い起こさせます。

選択肢がありすぎるから、次に何かを選択する欲求、そこに至る行動力が薄れてきているのではないか。
選択肢がないのも不自由ですが、選択肢がありすぎるというのもまた不自由だなと思う次第です。

スタッフ・坂本
(2017/5/11 UPDATE)
番組スタッフ
東京電力福島第一原発事故で帰還困難区域となっている浪江町の十万山で4月29日に発生し、1週間後の5月6日に鎮圧した山火事。
この火事をめぐるデマが拡散し、波紋を呼んでいます。

福島・浪江の火事でネットにデマ情報「放射性物質拡散」 雁屋哲さんや地方紙も言及(「産経ニュース」2017/5/8)

デマが大きく拡散したきっかけは和歌山県南部を中心に発行している夕刊紙「紀伊民報」のコラムで、その該当部分がこちら。
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現地の事情に詳しい彼によると、放射能汚染の激しい地域では森林除染ができておらず、火災が起きれば花粉が飛ぶように放射性物質が飛散するという。
<「紀伊民報」2017/5/1>
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マンガ『美味しんぼ』の原作者・雁屋哲さんも自身のサイトに「福島で森林火災・強風により放射性物質飛散中」と題する記事をアップ。
Twitterには、火事により「放射性物質が花粉のように飛散する」といった書き込みが相次ぎ、デマが拡散していきました。

その後、紀伊民報の記事はネット上ですぐに問題視され、「風評被害を助長する」「いたずらに不安をあおるな」といった声が寄せられたことから、紀伊民報がコラム欄で陳謝する事態となっています。
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福島県の発表では火災現場周辺の空間放射線量には大きな変動がなかった。火災は8日目に鎮圧され、新たな拡散は心配するほどではなかったというのだ。
そうなると、僕の不安は杞憂(きゆう)であり、それによって多くの方に心配をかけ、迷惑を与えたことになる。まことに申し訳ない。陳謝する。
<「紀伊民報」2017/5/8>
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ちなみに、上記のコラムで言及している福島県の発表がこちら。
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従前より火災現場周辺に設置してあるモニタリングポストでの空間線量率の測定結果については、火災前と比較して大きな変動はありません。
<「福島県HP」>
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今回のデマ拡散で興味深いのが、紀伊民報のコラムと雁屋哲さんの記事が根拠とする情報元がおそらく同じであること。
紀伊民報には「東京電力で賠償を担当していた元社員」、雁屋哲さんの記事には「東京電力で賠償を担当していた元東京電力社員」とあり、おそらくは同一人物。
情報元からのメール内容もほぼ同じなので、これは間違いないでしょう。
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東北、関東、北信越、静岡、愛知の人は最低限、次のような自己防衛の対策がオススメという内容だった。
内部被ばくしないよう換気はしない。外出時は二重マスク。家庭菜園にはしばらくビニールシートをかぶせる。雨が降ったときは必ず傘を差す。1週間ぐらいは毎日朝昼晩、みそ汁を飲む……。
<「紀伊民報」2017/5/1>
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東北関東甲信越、静岡、愛知の人は、最低限、以下の対策をオススメします。
○無駄に内部被曝しないように換気はしない
○外出時は2重マスク
○家庭菜園はしばらくビニールシートを被せて対応する(ビニールシートを外す時は完全防備しましょう)
○雨が降った時は必ず傘をさす
○一週間くらい、毎日、朝昼晩、味噌汁を飲む(わかめの味噌汁がベスト、味噌は半年以上熟成されたもの)
○子供のいる家庭は特に、水を買っておく
<「雁屋哲の今日もまた」2017/5/5>
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内部被ばく対策として「1週間ぐらいは毎日朝昼晩、みそ汁を飲む」と書いている時点で信じる方がどうかしていると思ってしまいますが、これを含む情報が拡散したのもまた事実。
そもそも不安をあおる情報は拡散されやすいと言われているなか、ここに「元東電社員」という肩書きが加わったことで妙な信憑性を帯び、拡散したのが今回のケースということなのでしょう。

(スタッフH)
(2017/5/9 UPDATE)
番組スタッフ
5月8日(月)佐々木俊尚 ●世界で支持される「超保守」「新自由主義」と日本の「リベラル」

フランス大統領選挙の決選投票はマクロン氏が勝利しました。
そのマクロン氏は中道・リベラル層から支持されるも掲げる政策は新自由主義。対立候補のルペン氏も超保守的な政策で人気を得ています。
毛色はまったく違うものの「超保守」「新自由主義」はそれぞれなぜ支持されるのでしょうか?

5月9日(火)古谷経衡 ●鉄血のオルフェンズにみる「文化が継承されない社会」の実態とその生き方

賛否を呼んだ最終回から1ヶ月ほど経とうとしていますが、未だ議論の尽きないアニメ「鉄血のオルフェンズ」。
同作に描かれた「共同体の再生産がないために文化が継承されない社会」とは?

5月10日(水)飯田泰之 ●働き方改革の最先端を担う“週休3日”を巡る事情

ヤフーでは新年度から育児や介護など特定の社員を対象に週休3日制度を始めています。
健全な週休3日制が実現する可能性とそこに至るための課題とは?

5月11日(木)小田嶋隆 ●「何が正しいか?」がぶつかり合う世界に生まれた雑誌「たたみかた」

4月15日に創刊された新たな雑誌『たたみかた』の創刊の背景、意義に迫ります。
(2017/5/8 UPDATE)
番組スタッフ
花見がてら子供を連れて訪れた近所の公園。
その時は平日で、保育園の子供達もやってきて、中々騒がしい空間となっていました。
男児のDNAには戦隊モノの「ごっこ遊び」をするというのが組み込まれているのか、あるいはこの世の理か。
このときも、今放送中の最新戦隊モノ「キュウレンジャー」ごっこが始まりました。

ストーリーが展開することで、追加メンバーが増え、6人以上になることはもはや戦隊モノでは当たり前ですが、キュウレンジャーは初期メンバーが9人ということでも話題となりました。
しかもその9人は全員宇宙人でヒューマンタイプと非ヒューマンタイプの混合、
悪の組織から地球を救うのではなく、すでに悪の組織に支配された宇宙を解放するために戦う、など既存の戦隊モノ概念を打ち破る様々な試みがなされています。
9人の究極の戦士だから「キュウレンジャー」なのですが、放送から3ヶ月弱ですでに11人目の仲間も登場しています。

大人ですら注目してしまう「キュウレンジャー」。もちろん子供にも人気なのだなと、公園のごっこ遊びを見ていました。
主役の赤が2人、女の子が劇中では男性が演じるオレンジ、男の子がピンク、そして、ゴールドが2人と中々カオスな子供たちの設定。
公園内を探索して悪者(おそらくアクダイカーン)を倒すというそれなりのストーリーがあったのですが、数分先にはどうなっているのか、何をしているのか想像通りにならないのが子供というもので、悪を倒すという話はさておき、キュウタマダンシングが始まりました。

キュータマダンシングとはキュウレンジャーのエンディングテーマ。ダンシングだけあって、ラッキィ池田氏の振り付けによるユニークな踊りが軽快な曲とともに繰り広げられます。
このキュータマダンシングが放送初回からかなり話題となりました。
卑猥と取れなくもない歌詞。踊りも小川直也さんの「ハッスル、ハッスル」のような腰を振るものがあったりと、大人がちょっとクスクスしてしまう歌で、子供と一緒に歌って踊れと言われたら照れが生じる。
しかし、公園で子供たちは宴もたけなわ大団円と言わんばかりに大声で歌って踊っていました。男女入り乱れて。

それが3週間ほど前の出来事で、先日の日曜日。
キュウレンジャーのキュータマダンシングを見て、愕然としました。
フリがマイナーチェンジされていたのです。
小川直也さんの「ハッスル、ハッスル」的な振りが、腰を振らない別のものに変わっていました。あの、ふざけた感じが良かったのに。

キュータマダンシングを歌う松原 剛志さんは変更があった放送後に「キュータマダンシングの振付もマイナーチェンジして、より元気なイメージに!女の子も思い切りできるダンスにパワーアップしました!」とツイート。

善悪のわからない、分別のつかない子供を導くのは大人の役目。
「子供が恥をかく前に大人が先回りして対策を講じる」という理由から、誰かがあの踊りにクレームを入れたのでしょうか。
保育園年長の男の子を持つ私の知人も、ショッピングモールでのキュウレンジャーショーを見て、「あんなにキュータマダンシングは盛り上がるのになぜ?」と熱を帯びた疑問の声を上げています。
あの踊りであんなに楽しそうだった子供を見て、微笑ましいと思った私も自身の感覚が鈍いのかもしれません。

先にも述べたように、キュウレンジャーは色々と「冒険」しています。
キュータマダンシングも挑戦的です。
キュウレンジャー側はその挑戦的な探究心を貫き通して欲しかった。
今回の件がクレーマーによるものかどうかはわかりませんが、同じような事例が昨今続く度に、

商品やCMは予防線を張るかのように注釈だらけ。注釈が付いていない隙を付くと言わんばかりにやってくるクレームはいともたやすく企業を屈服させます。
正義や倫理の言葉を重ねながらも、結局はクレームの本質とは「嫌い」という主観だったりすることもしばしば。
嫌いという原始的感情はリスクも責任も伴わないので、クレームを入れたがる人は自身が嫌いと思うものに、いともたやすく批判の声を上げる。だからこそ、ある程度、責任を負った企業が責任のないクレームに屈してしまうのは当たり前のことかもしれません。

誰もが「好き」になるものを提供することは難しいです。誰かの「好き」を追求すると「嫌い」の声が高まるし、そのバランスを重視しすぎた結果、「好き」でも「嫌い」でもなく、宙ぶらりんなものが出来上がってしまう。
そんな空気に息が詰まりそうになって、悪役、嫌われ役を喜んで受け入れる人に注目が集まるのも理解ができます。
責任のないクレーマーたちにより、好きなものや楽しみが奪われていくとなるとそれはとても物悲しいです。

スタッフ・坂本
(2017/5/4 UPDATE)
番組スタッフ
「結婚していない人」が否定的にいじられているのを見ると、あまりいい気はしません。ただ、そのいじりに目くじらを立てすぎる風潮にも違和感を覚えます。
このように思ったのは、こちらの騒動がきっかけ。

菊川怜「祝・脱独身」にフジ社長「もう少し配慮が」(「オリコンニュース」2017/4/28)

女優の菊川怜さんが4月28日、司会を務める朝の情報番組で結婚を発表。
番組冒頭で、くす玉を割ると「祝 脱・独身」と書かれた幕が垂れ下がったのですが、この「祝 脱・独身」という言葉に違和感を抱く人が続出しています。

たとえば、漫画家の瀧波ユカリさんはTwitterで「『菊川怜結婚』というトレンドをタップしたら、とくダネ!で「祝脱・独身」というくす玉の前で花束を渡されている菊川さんの画像が出てきて泣きたくなった。感動じゃないよ。『独身から脱出したこと』を祝うハラスメントを朝8時からテレビでやってることが情けなくて」と違和感を表明。

また、フジテレビの亀山社長も「(番組が)家族的で、ある種、祝い事を茶化した中で出てきた垂れ幕だと思うんですが…。テレビは多くの人が見ていますし、画面の中だけのものではないので、そういう配慮はもう少しあってよかったのかなと思います」と苦言を呈しています。

わたしは、この垂れ幕にネット上の反応ほどの違和感を覚えなかったのですが、それはおそらく、この朝の情報番組をわりと視聴していたおかげで、菊川さん自身が独身をネタにしていたことを認識していたから。
菊川さんは度々、自分が独身であることを自虐的に語り、笑いを取っていたので、今回の「祝 脱・独身」の垂れ幕がその独身ネタのおとしどころと捉えたわけです。

ただし、これは菊川さんの独身ネタを認識している者ならではの解釈。
多くの人は独身ネタを認識しておらず、しかもネット上には「祝 脱・独身」の垂れ幕の画像だけが切り取られ、垂れ幕を叩く要素だけが拡散し、炎上。
番組内における菊川さんの立ち位置を無視した今回の炎上には、多少の違和感を覚えてしまいます。

「脱・独身」の垂れ幕が炎上する一方で、結婚に関する表現で称賛されているものもあり、それが4月から放映されているゼクシィのCMのキャッチフレーズ。

ゼクシィ「結婚しなくても幸せになれる時代」 新CMに寄せられた共感(「J-CASTニュース」2017/4/30)

「結婚しなくても幸せになれるこの時代に、私は、あなたと結婚したいのです」
このキャッチフレーズが「誰の生き方も否定してないから良い」などと評価されていて、脚本家の一色伸幸さんもTwitterで「誰かを否定しない」ことを評価しています。
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菊川怜さんの「祝・脱独身」は、独身を抜け出したいものと決めつけているから反発を招いた。ゼクシィの「結婚しなくても幸せになれるこの時代に、私は、あなたと結婚したいのです」は素直に受け入れられる。届く言葉は、誰かを否定しない。
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たしかに近年、「嫌婚」という言葉が一般化し、結婚したくないという考え方も市民権を得つつあります。

国立社会保障・人口問題研究所が公表した「2017年版 人口統計資料集」によると、生涯未婚率は男性で23.37%、女性で14.06%と、男女ともに過去最高を更新。
クリエイティブサーベイがBSジャパンと共同で実施した意識調査で「現在、独身であることに危機感を感じるか」と聞いたところ、男性は「全く感じない」「あまり感じない」が65%、女性は「全く感じない」「あまり感じない」が54%と、男女ともに過半数以上が独身であることに危機感を感じていないことが明らかになっています。

さらに、博報堂ソロ活動系男子研究プロジェクト・リーダーの荒川和久さんは自著「超ソロ社会 『独身大国・日本』の衝撃」のなかで、こう指摘。
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すべての人が結婚するのが正常ではない。むしろ、今思えば、高度経済成長期、ほぼ100%が結婚していた皆婚社会のほうこそ、長い日本の歴史の中でも異質なものであり、異常だったとみなした方が自然。
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結婚するのが普通という固定観念の揺らぎをひしひしと感じます。

そんな空気に上手く乗っかって称賛された、今回のゼクシィのキャッチフレーズ。
「多様性を認める」という今っぽい空気が溢れ出ていますが、同時に「多様性を認めるべき」という圧力も感じます。
多様性を認めることは大事。ただ最近は「多様性を認めるべき」という声が高まっているせいか、押し付けがましさが伴ってきたようにも思います。

(スタッフH)
(2017/5/2 UPDATE)
番組スタッフ
5月1日(月)佐々木俊尚●シニア向け昼ドラ「やすらぎの郷」に込められたメッセージ
人気のシニア向け昼ドラ「やすらぎの郷」。なぜ今、支持されるのか?
人気の理由を考察します。

5月2日(火)速水健朗●「デジタル」が「紙」を凌駕する時代に突入したマンガ市場
デジタルコミックスが近々紙のコミックスを凌駕するというデータが出版科学研究所から発表されました。マンガ市場はどうなっていくのか。

5月3日(水・祝)ちきりん●豊洲移転で再浮上“ゼロリスク”の無駄
豊洲移転を阻む安全についての意識は、ゼロリスクを巡って収拾のつかない事態に陥りつつありますが、果たして…

5月4日(木・祝)小田嶋隆●「見守り活動」は犯罪抑止につながるのか
我孫子市の女児殺害事件を受けて、存在意義が揺れている「見守り活動」。
果たして、効果があるのか、考えます。
(2017/5/1 UPDATE)

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