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番組スタッフ
私の周りがスーファミで騒いでいます。先日発表された「ニンテンドークラシックミニ スーパーファミコン」。「スーファミミニ」「ミニスーファミ」などと呼ばれていますが、「ミニファミコン」こと「ニンテンドークラシックミニ ファミコン」と同じように品切れ続出となることは目に見えていて、欲しい人はいかにして正規の価格で手に入れるかを熟慮していることでしょう。

気になるラインナップは全21タイトル。誰もがプレイしたであろうマリオ系の定番にRPG、そして幻の『スターフォックス2』…、この選定にはかなりの労を取ったことでしょう。ミニファミコンが発売された当初、知人と「ミニスーファミが発売されたらどんなラインナップになると思うか」と話し合ったのですが、限られた時間内で答えを出すには至りませんでした。
ヴァーチャルコンソールで手に入れられるのに、「なぜMOTHER2を入れなかったのか」とラインナップに文句も付けたくなりました。

ネットを騒がせる「ミニスーファミ」発表。
これを巡ってツイッターでシャープの公式アカウント「シャープ製品」が炎上、謝罪に至りました。

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問題の発言では、ミニスーファミについて「面白そうだけど…冷静に、私の思い出(年代的にボリュームゾーン世代より少しずれている事が大きい)を価値に換算していくと」と断った上で、収録されている21タイトルについて、「スーパーマリオワールド」(200円)、「ゼルダの伝説 神々のトライフォース」(500円)、「聖剣伝説2」(0円)、「ロックマンX」(0円)、「スターフォックス2」(1000円)などと表で列挙。合計の価値は「4600円」と、実際の価格(税別7980円)よりかなり安く値踏みし、任天堂公式アカウントにリプライする形で投稿していた。
【「シャープ製品」公式Twitterが謝罪 「ミニスーファミ」の価値「4600円相当」と任天堂にリプライ】
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任天堂はこの件に関して今のところ何もコメントはしていませんが、値段をつける行為に怒ったのは誰なのか。
こういった炎上ケースはいつも外野が騒ぐだけ、と思っていた私も自身の思い出を鑑みて僅かながらに怒りを覚えました。ロックマンXは0円じゃないから!、と。

批判が殺到した後、「シャープ製品」は「私の表現が良くなくて、誤解されている方がいるので、正確に表記した表はこちらでございます」と「0円」を「未購入」へと修正した表を公開。

それでも批判は収まらず、「誤解を生むツイートでありました。当該ツイート削除させて頂きました。ご指摘ありがとうございました」とツイートした後、「皆様に不愉快な思いをさせてしまいましたことを、心からお詫びいたします」とした謝罪文を投稿しました。

ツイッターの企業公式アカウントには企業らしからぬツイートをすることで人気となっているものもあります。よく企業公式アカウントの「中の人」に取材した記事等も目にするのですが、どうも私はこの「中の人」という言葉がSNSで使われる場合においては、強烈な恥ずかしさを感じるのです。「中の人」に注目が集まる企業の公式アカウントを見ていると、どうもはしゃぎすぎという印象を受けてしまいます。

この「中の人」の語源は吉田戦車の4コマ漫画『伝染るんです。』と言われています。メインキャラのかわうそが急に身長が高くり、カッパらからの追求に「下の人などいない!」と一蹴する話があり、そこから派生して「中の人」になったとの説が濃厚です。

吉田戦車発の言葉なので、「中の人」という言葉にそもそも「ボケ」や「笑い」の要素が込められていると考えられなくもない。
だから、「中の人」も面白くあろうと努め、時には今回のスーファミの件のように空回りしてしまうのでしょうか。

「シャープ製品」は炎上後、「私の表現が良くなくて、誤解されている方がいる」「誤解を生むツイートでありました」と釈明しました。
最近よく、発言の主ではなく、発言を受け取る相手の想像力が足りないと言わんばかりの「誤解を生んでごめんなさい」という釈明があちこちで使われるように感じます。

政治家の失言においてもそうです。
新しいところで言うと、都議選の応援で「防衛省、自衛隊としてもお願いしたい」と発言し、猛批判に晒された稲田朋美防衛大臣ものちに「誤解招く発言があった」 と釈明、発言を撤回しました。
ほとんどのログが残ってしまうこのご時世に、「取り消す」「撤回する」なんて行為は建前に過ぎないのに…、とも思いつつ。

言葉を有しているのに、それを扱う能力も備えているのに、相手に言っていることが伝わらないという意思疎通の不全。しかしこれほど思考と嗜好が細分化すれば、共通言語を得る方が難しいのかもしれません。
誰にも自分の言いたいことが伝わる、とハナから決めてかかるのは傲慢。誤解されないようにいちいち予防線を張りながら話すのはつまらないですが、「わかりやく話すこと」が求められる職、立場に限っては「できるだけ多くの人が理解できる共通言語」を用いなければならないのではないでしょうか。

スタッフ・坂本
(2017/6/29 UPDATE)
番組スタッフ
昨今の藤井聡太四段フィーバーに関して、気になって仕方がないことがあります。

連勝が続くにつれて、過熱していった「今日は何食べた」報道。
いつの頃からか、対局があると必ずテレビのワイドショーやスポーツ紙が、藤井四段が昼食に何を食べたのかを報じるようになっていました。

ちなみに、偉業を達成した昨日の昼食は「豚キムチうどん」で、夕食は「わんたんめん」。

藤井四段、勝負めしは“原点回帰”ピリ辛「豚キムチうどん」(「 スポーツ報知」2017/6/27)
夜の勝負メシは「わんたんめん」 藤井聡太四段(「産経フォト」2017/6/26)

対局ごとに食事の内容を伝える報道に苛立ちを覚え、「そんなのどうでもいい」と周囲にも漏らしていたのですが、どうやらこれは勘違い。

はてな匿名ダイアリーのエントリー『藤井聡太四段で学ぶ「観る将」入門』によると、「棋士の食事」は将棋ファンにとって一大コンテンツのようです。
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Q.テレビでやってたけど藤井くんが休憩中どんな飯食ったかとかどうでもよくない?
A.
どうでもよくないです。これはとても大切なことです。もちろん彼が出前を注文した店に殺到するような行為は厳として慎まなければなりません。
しかし将棋ファンにとって「棋士の食事」は一大コンテンツでもあります。メインコンテンツとまで言うとさすがに過言です。
<「はてな匿名ダイアリー」2017/6/23>
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「棋士の食事」をコンテンツとして評価しているのはこのエントリーだけでなく、メディアも同様の評価を与えています。
たとえば、産経新聞は「将棋は指さないものの観戦を楽しむ『観る将』と呼ばれるファンの間で注目度の高いコンテンツ」と評価。
「棋士の食事」の見どころまで示しています。
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将棋は長時間に及ぶ頭脳戦。消耗する体力を支えるのが対局中の食事やおやつで、将棋は指さないものの観戦を楽しむ「観る将」と呼ばれるファンの間で注目度の高いコンテンツだ。
(中略)
観る将を自認する『将棋めし』の漫画家、松本渚さんは「食の逸話を持つ棋士は多く個性が垣間見える」と話す。
たとえば主人公が対局相手とうな重の格を張り合う場面は、監修を務める広瀬章人八段(30)の実体験。「自分より格上のうな重を注文され、やられたと思った。劣等感から対局も負けてしまった」と広瀬八段は振り返る。
<「産経WEST」2017/6/27>
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また、『棋士とAIはどう戦ってきたか』など将棋に関する著書が多数ある、将棋ネット中継記者の松本博文さんによると、対局のネット中継により棋士が何を食べたかに注目が集まるようになったと指摘しています。
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インターネットが普及し、ウェブ上での将棋中継は、当たり前のものとなった。
そこでは盤上だけではなく、盤外の多くの情報が、あっという間に伝えられる。その際に、大きく注目を集めるようになったのは、対局者が何を食べるのか、という点である。
私は2003年から、将棋のネット中継に携わってきた。以後、ネットで情報を伝える側にいる。
そこで改めて思うのは「対局者が何を食べたのか」という情報に対する、反響の大きさである。
「将棋の内容は全然わからないけれど、対局者が何を食べているのかだけは、いつも見逃さずにチェックしています」
ネット上のさまざまな将棋ファンから、そんなことを言われるようになった。
<「cakes」2016/5/17>
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実際、ニコニコ生放送では対局の合間にある「おやつ」の時間を中継していて、これがまた人気。
和菓子と洋菓子どちらを選ぶのか、どのぐらいの量を食べるのか、どうやって食べるのか、といったことに注目する人が一定数いて、「おやつ」の時間自体がコンテンツとして成立しているというから驚きです。
「おやつ」の時間は将棋の内容を楽しむ純粋な将棋ファンからしてみれば邪道なのでしょうが、将棋ファンの裾野を広げるという意味ではいいことなのかもしれません。

(スタッフH)
(2017/6/27 UPDATE)
番組スタッフ
6月26日(月)佐々木俊尚●洋服は“生鮮食品“?アパレル業界を悩ませる「量産型女子」
他の女子と同じようなファッション、メイク、ヘアスタイルをしている女子「量産型女子」の実態とは?

6月27日(火)古谷経衡●「倍速世代」のコンテンツ消費
日経MJによると、ドラマや映画など様々な動画コンテンツを早回しの倍速で見る若者が増えているのだといいます。

6月28日(水)飯田泰之●ミレニアル世代のお金・意識調査で見えて来た2025年問題の憂鬱
株式会社ジャパンネット銀行が2000年以降に成人・あるいは社会人になる「ミレニアル世代」のお金に関する意識・実態調査を行い、先週その調査結果を公表。そこから何が見えてくる?

6月28日(木)小田嶋隆●シンギュラリティは幻想!?人工知能の不都合な真実
2045年、シンギュラリティは本当に到来するのか?
シンギュラリティの到来を疑うことで見えてくるAIの真実とは?
(2017/6/26 UPDATE)
番組スタッフ
東京都議会選挙を睨んでか、政権支持率の落ち込みを鑑みてか、政局が騒がしくなってきました。
支持率が落ちれば、それなりの策を講じるのが定石。
先日、安倍総理は通常国会閉幕を受けて記者会見を開きました。
国家戦略特区での獣医学部新設をめぐって陳謝。
語気を荒げたこと、加計学園問題の調査が二転三転したことなどを謝ったわけですが、前向きなことも述べて国民をひきつけなければなりません。
安倍総理はこの日、こんなことも述べました。

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一億総活躍社会の実現に向けて、「その本丸は『あらゆる人にチャンスを創る』ことだ。これまでの画一的な発想にとらわれない『人づくり革命』を断行し、日本を『誰にでもチャンスがあふれる国』へと変えていく。そのエンジンとなる有識者会議を、この夏、立ち上げる。いわば『みんなにチャンス!構想会議』だ」と述べ、来月中に、人材投資への具体策を検討する新たな有識者会議の体制を整える考えを示しました。そのうえで、人づくり改革を推進するための担当大臣の設置を検討する考えを示しました。
NHK NEWS WEB 首相 みずからの姿勢反省 信頼回復に努める
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『人づくり革命』…。何だかどこかの宗教の経典に出てきそうな、壮大なお言葉です。
誰が考えたかわからない「人づくり」という言葉。どうやら安倍総理のお気に入りのようで、昨日も…。

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安倍総理大臣は、経済界や業界団体の代表らとともに生産性の向上についての取り組みを検討する政府の協議会であいさつし、「生産性向上のカギはまさに『人づくり』だ」として、人材投資への具体策の検討に向け積極的に提言してほしいという考えを示しました。
この中で、安倍総理大臣は、「生産性向上のカギはまさに『人づくり』だと考えている。私は、次なる安倍政権の柱を『人づくり革命』とすることにした」と述べ…(略)
NHK NEWS WEB 首相「生産性向上のカギは人づくり」
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日本は「ものづくり」が抜きん出た国と言われます。「ものづくり」で経済成長を成し遂げた国、ということで次は「人づくり」で革命を起こし、再び経済成長の足がかりとするのでしょう。

経済政策を見ていていつも思うのですが、つまるところ政府が追い求めようとしているのは「高度経済成長期からバブル崩壊前の輝かしさ」のように感じます。
その時代の旨みを知っている人たちだけで、何やらあれこれ策を打ち立ててキャッチコピーとなる言葉とともに訴求しているような気がして、日本がイケイケだった頃を知らない私にとっては、彼らが語る青図は「青」なんて爽やかなものでなく、どちらかといえば「セピア色」に映るのです。
これぞネットスラングで言うところの懐古厨なのではないか、とも思ってしまいます。

そんな懐古主義臭さ、セピア色感を悟られないように「人づくり」と言う言葉が作られたのかもしれませんが、どうも私には浮世離れしているように思えてなりません。神話に登場する言葉と言われたら納得できるのですが…。

そして、同じく記者会見で飛び出した「みんなにチャンス!構想会議」。
「みんなにチャンス」という言葉とそこに添えられた「!」…。思わず目眩がするような、普通の社会人をしていたら中々出会えない独特のセンスを爆発させています。
誰がこの言葉で行こうと思ったのか。どう行けると思ったのか。不思議です。

一億総活躍社会実現のための「人づくり革命」と「みんなにチャンス!構想会議」。確かに、皆に活躍する機会が与えられるのは肯定する以外の選択肢がないものでもあります。
しかし、「みんなにチャンス!」という文字面を見ても、「人づくり」という言葉と同じように「いや、多分そういうことじゃない」と言いたくなるのですが…。いや、そもそも「一億総活躍」が受けれ難い…。

先の国会で総理が繰り返した「印象操作」という言葉。しかし、私も有権者として、あまりピンと来ない言葉の創造によって、何だかダサいな思う同時に、これからやろうとすることに不安を覚えるというある種の「印象操作」がなされてしまっていると感じるのは仕方がないでしょう。
若い世代に刺さる言葉の模索が難しいならば、万人受けのする無難なわかりやすい言葉を用いて政策を提示し、実行して欲しいものです。

スタッフ坂本
(2017/6/22 UPDATE)
番組スタッフ
内閣府が今月12日に始めた、「おとう飯(はん)」キャンペーン。
まだ始まったばかりですが、評判があまりよろしくありません。

夫よ、もっと料理を 内閣府が「おとう飯」キャンペーン(「朝日新聞デジタル」2017/6/13)

これは、男性へ簡単な料理を提案し、イクメンの増加を目指す施策。
キャンペーンの概要には、「簡単に、手間を掛けず、多少見た目が悪くても美味しければ、それがおとう飯」とあります。
*****
これまで料理なんかできないと思っていたあなた、立派な料理を作らなければいけないと思っていたあなた。いいんです。おとう飯ならいいんです! 
簡単に、手間を掛けず、多少見た目が悪くても美味しければ、それがおとう飯。
*****

おとう飯についてわたしは、イクメンの増加を目指す点は賛同できないものの、料理をしたことがない夫が料理を始めやすくなる、つまり、夫が感じている料理のハードルを下げる意味では評価に値すると捉えていました。
全面的には賛成しないけれども、やることに多少の意味はあるという評価です。

ただ、ネット上の反応は否が多数で、批判のポイントは以下の3つ。

・妻がつくるご飯は、手間を掛け、見た目もよくて、美味しくなければいけないのか
・男を舐めている
・労働時間の削減が先決

このうち、わたしが気になったのは1つ目の批判。
おとう飯は、妻が作る料理は「手間を掛け、見た目もよくて、美味しくなければならない」なんて一言も言っていないのに、概要に書かれている「手間を掛けず、見た目が悪くても美味しければいい」を勝手に悪い方向に解釈し、キャンペーン自体を批判しているのです。

「ごはんを炊いて、具沢山のみそ汁を作ればいい」と説く、つまり、料理は手を抜いてもいいというお墨付きをくれる土井善晴さんの『一汁一菜でよいという提案』がベストセラーになっている昨今の空気を踏まえると、なぜ夫にだけ料理の手抜きを許すのか、という思いもあるのでしょう。
それにしても、理不尽な批判のように思います。

勝手に悪い方向に解釈するといえば、先月、「ワンオペ育児の賛美にしか見えない」などと批判された、「ムーニー」のCMも同様。

ムーニーのおむつCMに「ワンオペ育児を賛美しないで」批判⇒ユニ・チャーム「取り下げはせず」本来の意図は?(「ハフポスト」2017/5/10)

このCMは、子どもを出産した女性が、オムツ替え、買い物、食事など、初めての家事・育児に取り組むという内容。
夫はほとんど登場せず、家事・育児に奔走するのはこの女性のみ。
次第に女性の表情には苦悩の表情が浮かぶのですが、子どもが笑顔で指を握り返した様子に励まされた女性は笑顔になり、「その時間がいつか宝物になる」という字幕が出て終了。

このCMが、1人で家事・育児をこなさなければならない状態を指す「ワンオペ育児」を賛美しているようにしか見えないとの批判を受け、ネット上で話題となりました。

批判の声を受け、ユニ・チャーム広報室の担当者はハフポストの取材に対して、「子育ての理想と現実にギャップがあった、ということに悩む、母親のリアルな日常を描いて、それを応援したいという思いがありました」と答えていて、そもそもワンオペ育児を賛美するつもりはさらさらないのです。

それでも、応援というプラスのメッセージは受け取らず、ワンオペ育児賛美というマイナス面を勝手に解釈し、批判しているのです。

おかしな話ではありますが、ワンオペ育児が社会問題化しつつあり、家事・育児に非協力的な夫が許されない空気が蔓延する昨今、炎上を避けるという意味では家事・育児絡みのコンテンツは作らないのが賢明なのでしょう。

(スタッフH)
(2017/6/20 UPDATE)
番組スタッフ
6月19日(月)佐々木俊尚 ●中国で起きている移動革命

今、中国では「シェア自転車」なるものが急速に広がっています。
こうした現象が示す“移動革命”のすごさとは?

6月20日(火)速水健朗 ●崩壊から四半世紀…今、バブルから学ぶべきこと

バブル回帰の機運が高まる今、バブルから学ぶべきことを考えます。

6月21日(水)ちきりん ●「反緊縮」を支持したイギリスの若者。そして日本は…

日本を覆う「緊縮」と「世代間対立」について考えます。

6月22日(木)小田嶋隆 ●日本に大富豪のヒーローが育たないわけ

「アメコミ」と「日本のヒーロー」の成立過程における決定的な違いとは?

(2017/6/19 UPDATE)
番組スタッフ
日々、色々なことが本当に起こります。あまりにも色々なことが起こりすぎて、その時系列がわからなくなり、挙句、あったことすら忘れてしまう…。
あまりにも情報が多すぎて、その出来事を整理するのが本当に疲れます。
自分の記憶がおかしいのか、それとも時間感覚のせいなのか。

はてなブックマークの匿名ダイアリーに【ネットの速度が早すぎる】という投稿がありました。
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shi3zがヨッピーへの煽り記事を書いたのが朝7時、それにツイッターやFBで反論が入り丁々発止、昼過ぎには追記や訂正が何度もなされ、マストドンのコメまで拾い上げられ、ハゲがまとめはじめて、俺が仕事から家に帰って今日始めてはてブを見るころには敗北宣言に100近いブコメがついて消し炭しか残ってねぇ。
流れ早すぎだろ。お前らネットに住んでんのかよ。
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ことの発端となったのは広告記事のタイトルに【PR】表記をつけるか否かの議論。今更この問題について説明するのもはばかれますので、詳細は省きますが、6月頭の出来事にもかかわらず、今更詳細を記すのは野暮、恥ずかしいと思いたくなるほど、過ぎ去りし一瞬の出来事のように思われます。

私は上記のエントリに激しく同意してしまいました。
そして、「ネットの旬」とは何なのかと考え、その答えを掴み損ねます。
バズっている言葉、大小の炎上、賛否分かれる議論…話題は尽きないですが、やはりネット発の事件、事故、議論は賞味期限が短いなと思う限りです。

こんなに、流行や話題のサイクルって早かったかなと思うのですが、猛烈な勢いで閲覧される、消費されるというSNS時代の潮流も関係しているのでしょう。

テレビのニュースを見ていると、毎日のようにネットで話題の出来事が大なり小なり取り上げられています。もちろん知らないニュースもあるのですが、私は平日は結構、ネットからニュースを摂取しているので、テレビが取り上げるタイミングとネットでバズったそれのラグに面食らうことも少なくありません。
番組でも、ネットで話題の出来事を取り上げたりするのですが、ドンピシャの旬に重ねるのも中々難しいのですが…。

ここ最近、いくつかのSNSで「パワーワード」という言葉を頻繁に見かけるようになりました。
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パワーワード(power word)とは、「力のある言葉」や「インパクトのある言葉」を指す言葉である。
与える「影響」の詳細は問わないので、「前向きな」「希望に満ちた」というポジティブな影響を与えそうな言葉だけでなく、「呪詛」「絶望的な気分になる」といったネガティブな影響をもたらす言葉をも含む。
ニコニコ大百科「パワーワード」
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私がいつからこの言葉を目にしているのか記憶はすでに曖昧なのですが、曖昧というか欠如しているのですが、いざ使ってみようと思った時、何だか今更使うと恥をかくかもしれない言葉のように感じて、結局使っていません。

情報の量も圧倒的ですが、消費する回数も圧倒的。だから、すぐに飽きるのです。
ネットの海の底に化石となるべく沈んでいく様々な情報。そして、猛烈な加速度と量で押し寄せる情報。
この時の流れに誰が追いつけるのでしょうか。
だからこそ、何だかよくわからないけど古くなる感じのしない学園問題等がいつまでも取り上げられているのでしょうか。

時が加速する…。
何だかジョジョ6部のメイドインヘブンが発動しているかのような感覚に陥っているなと思う次第です。

スタッフ・坂本
(2017/6/15 UPDATE)
番組スタッフ
アメリカでは『ラ・ラ・ランド』を超えるヒットを記録し、日本では9月公開予定の映画『ドリーム 私たちのアポロ計画』。
この映画のタイトルが批判を受け、『ドリーム』になったことが先日、報じられました。

「ドリーム 私たちのアポロ計画」邦題変更 「ドリーム」に(「ITmedia」2017/6/9)

この映画はNASAを舞台に、1960年代の宇宙開発競争を描いた作品で、原題は『Hidden Figures』。
主に描いているのは人類初の有人宇宙飛行を目指す「マーキュリー計画」であり、元々のタイトルにあった「アポロ計画」ではないため、タイトルの付け方に批判的な声が相次ぎました。

BuzzFeedは早速、この映画を配給する20世紀フォックスに取材。
担当者が改悪とされるタイトルを付けた理由を明かしています。
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「映画の内容としてはマーキュリー計画がメインであることは当然認識しています」
「その上で、日本のお客様に広く知っていただくための邦題として、宇宙開発のイメージを連想しやすい『アポロ計画』という言葉を選びました」
<「BuzzFeed」2017/6/8>
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ここで印象的なのは、「お客様に広く知っていただくため」という部分。
内容に則していることよりも、インパクトのあるタイトルが最優先になっているのです。

少し古いインタビューになりますが、ウォルト・ディズニー・ジャパンの宣伝プロデューサー、脇坂守一さんも同じようなことを言っています。
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ネット媒体の増加で、人々が情報を得る場所は増えているが、そのなかから選択してもらうことは難しくなっている。皆が熱心に映画の情報を調べて、劇場へ足を運んでくれるのならば別だが、残念ながらそうではない。
まずは、タイトルで目をひかないと、作品情報を見てもらうところまで行かない。
<「日経トレンディ」2012/10/5>
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一方、洋画の日本版タイトルを批判する側で共通しているのは、「原題のままでいい」という「原題至上主義」。

現在公開中でいえば、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス』。
こちらは、2014年に公開されてヒットした『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』の続編で、原題は『Guardians of the Galaxy Vol. 2』。
続編であるにもかかわらず、「リミックス」と続編であることを感じさせないタイトル付けに1作目のファンは不満を抱き、原題に戻すよう主張。

11月公開予定の『マイティ・ソー バトルロワイヤル』も同様で、これはアメコミが原作の「マイティ・ソー」シリーズの最新作で、原題は『THOR RAGNAROK』。
マイティ・ソーは北欧神話がベースにあり、原題にある「RAGNAROK(ラグナロク)」は終末戦争を意味する言葉のため、原作ファンは北欧神話との無関係の「バトルロワイヤル」に変更されたことに反発し、「ラグナロクのままでいい」という意見が圧倒的に多い。

「X-MEN」シリーズの主要キャラクター・ウルヴァリンの単独シリーズの最終作である『LOGAN』が、地味な原題のまま公開され、初週2位、2週目4位と、そこそこのヒットとなっていることも「原題至上主義に拍車をかけています。

私も映画が好きなので、洋画は「原題のままでいい」という気持ちは分かります。
好きな作品のシリーズに、変なサブタイトルを付けられたら怒りたくもなります。
でも、映画好きの顔色を窺って、「原題のまま」を貫いても、所詮、映画好きの心にしか響かないのです。

『アナと雪の女王』は、原題である『Frozen』のまま公開したら、あれほどヒットしたでしょうか。
『ベイマックス』も、原題の『BIG HERO 6』では相当、苦戦したでしょう。
日本の配給会社が独自に付けたダサい邦題は、映画ファンからはこき下ろされるのが常ではありますが、映画ファン以外の心に刺さる可能性がないとは言い切れないはずです。

映画好きが洋画の邦題を“改悪”と判断するのは早すぎるというのが、わたしの印象。
“改悪”と判断するのは公開後、結果が出てからでも遅くないのではないでしょうか。

(スタッフH)
(2017/6/13 UPDATE)
番組スタッフ
6月12日(月)佐々木俊尚●「曲がり角にさしかかった私たちの社会」
話題となっている書籍「人類の未来(NHK出版新書)」。
シンギュラリティの時代(2045)にはスマホ(AI)が赤血球と同じサイズになり、
しかも性能は10万倍になり、人体中に入り込み病気をチェックするどころか
癌も撲滅するため、人間の寿命は120〜300歳に延びると言います。
今週のタイムラインは、現実味を帯びてきた未来、そしてその未来は果たして幸せなのか?
そして、そもそもそんな未来へ自分は間に合うのか?ギリギリ無理なのか?を考えます。
月曜日は「人類の未来」著者の吉成真由美さんにお話をうかがいます。

6月13日(火)古谷経衡●もしも「シンギュラリティ」が起こったら…
もしシンギュラリティが起きたら、その瞬間いったい何が起きるのでしょうか?
SF小説ではどのように描かれているのでしょうか?

6月14日(水)ちきりん●内容未定
内容未定

6月15日(木)小田嶋隆●「ホモ・デウス」が示す人類の超人化
イスラエルの歴史学者で、世界的ベストセラーとなった『サピエンス全史』の著者、
ユヴァル・ノア・ハラリ氏が、今年2月に新作を発表。
日本では未発売の新作のタイトルは『ホモ・デウス 未来の短い歴史』。
この本が示す人類の未来の姿とは?
(2017/6/12 UPDATE)
番組スタッフ
アメリカ時間の6月5日に開催されたAppleの恒例イベント、年次開発者会議「Worldwide Developers Conference (WWDC) 2017」。
今年はどのような新たなハードウェア、ソフトウェアが登場するのか、世界が注目します。

新たなハードウェアとして、登場したのが音声対応アシスタントのSiriで各種操作ができる家庭用スマートスピーカ「HomePod」。

スマートスピーカ、AIスピーカーが下半期の大きな潮流になると昨日、何かの新聞で読みました。「声で指示するのは恥ずかしい」と思う国民性が日本にはあるような気がするので、定着するかどうかは疑わしいのですが…、Appleが後塵を拝している感は否めません。

私は昆虫の複眼など、小さいものがビッシリと密集したものが生理的に苦手ですので、デザインについていけない。
「HomePod」というネーミングももう少し何とかならなかったのかと思ってしまいます。

ネーミングといえば、デスクトップOS「macOS High Sierra」にも疑問符が浮かびます。
マストドンでプログラマーの清水亮氏は次のように述べていました。

shi3z (shi3z@mstdn.onosendai.jp)
【ヨセミテはギリ有名な観光地だからいいけど、なんで山にしたかな。まあエルキャピタンはもっとひどいと思ったけど】

shi3z (shi3z@mstdn.onosendai.jp)
【想像できないんだよ。ハイシエラとか。どこだよ。行ったことねえよ。シアトルに住んでてカリフォルニアの会社の社長やってるオレでも想像できない地名にするんじゃねえよ】

思えばiPhoneと名前は画期的でした。
世界中が憧れ、パクった小文字の「i」のようなネーミングはもう見られないのでしょうか。

毎度毎度、ユーザーの期待を裏切りきれていないと言われながらも、それでも注目を集めるAppleの新製品。
私もAppleの新製品を常に気にし、時としては人柱になることも厭わずに新製品を即試しているので、十分信者と呼ぶに足るでしょう。
Appleオタクか、と問われたら違うと答えます。私が考えるオタクには「極めた人」という概念があるので、私はAppleの何も極めていない。
信者とは信仰するものに関して、絶対的優先順位を自分の中に確保している

娯楽が多様化したと言われる昨今。何かをとことん極める「オタク」よりも、興味を持つものに対して時間やお金を投資する優先順位を設けているタイプの「オタク」、「信者」が増えているのでしょう。

Appleがどれだけ新製品発表でがっかりさせてくれようが、Appleの最新情報を探るためのHP、実際に購入するためのゴールド、それをひとまず何とか使いこなそうとするMPは何とか用意してある…という感じです。
しかし、私の生活を振り返ると一つのメーカーのために同じような優先順位を設けていることはなく、年数回、必ず新製品をチェックし、不満を言いながらも購入するという一連の行為を「信者たちの当たり前」にしているAppleとは大した企業です。

ここ最近、信者をいまいち喜ばしてくれないAppleでしたが、昨年、iPhone7に買い換えた時、久しぶりに電撃が走りました。ケースなしで使ってみて初めて、漆黒のべっこうような質感の良さがわかり、Apple PayによるSuicaを使ってみて、なぜそれが最注目機能とされたのかが理解できました。
人の評価はわかりませんが、私の中ではこれまでのiPhone史の中でベスト。

ジャーナリストらはAppleの新発表がなされるたびに、それが「新時代を築く」かのような表現で評価を下しますが、「騙されたと思って使ってみて」と言われているかのようで、試してみるとなるほど新時代到来とも思えなくもない。

信者たちに新たな教典を与え、経験な宣教師たちによりそれが伝播されていき、代え難い信仰心を根付かせる。これらを成し得た企業こそが、その業種は問わず、覇者なのでしょう。

スタッフ・坂本
(2017/6/8 UPDATE)
番組スタッフ
スポーツ庁がスポーツ基本計画の中で掲げた「スポーツが嫌いな中学生を現在の半分に減らす」という目標に反発の声が上がっています。

スポーツ嫌いダメ?国の目標波紋 「体育の恨み」影響も(「朝日新聞デジタル」2017/6/3)

スポーツ庁の昨年末の調査によると、運動やスポーツが「嫌い」や「やや嫌い」な中学生は16・4%。
微増傾向にあり、このままでは将来、運動しない大人が増えてしまうことを懸念し、5年かけて現在の16・4%を8%に半減させる目標を打ち出したのだといいます。

この目標に対し、ネット上では「強制しないでほしい」「余計に嫌いになる」といった反発の声が上がっているわけですが、わたしは反発したくなる気持ち、なんとなく理解できます。

なぜかというと、わたし自身、中学時代、体育の授業が嫌いだったから。
体育の授業というのはスポーツを楽しむというより、すでにそのスポーツを習っている生徒と習っていない生徒の優劣をはっきりさせるものであり、習っていない生徒にとってみれば面白みはないに等しい。
習っている生徒と習っていない生徒がなぜか一緒のチームになる団体競技であればなおさらで、習っていない生徒は習っている生徒からミスを責められる。
こんな状況では、その競技が嫌いになるのは必然とも言えます。

音楽プロデューサー・ヒャダインさんは朝日新聞の取材に対し、以下のように答えていますが、まさにこれが習っていない生徒側の不満です。
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体育が嫌なのは恥をかかされるから。周りに迷惑をかけている申し訳なさ、馬鹿にされているんだろうなという自虐。ネガティブな感情ばかりが渦巻くんです。
<「朝日新聞デジタル」2017/6/3>
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このように体育嫌いだったわたしですが、好きなスポーツがないわけではありません。
唯一、好きと断言できるのはテニスで、これは授業ではなく自主的に部活として選択したから。
授業で強制的にやらされていないことが、好きにつながっているわけです。

スポーツ嫌いを助長しているともいえる体育。
『運動部活動の戦後と現在 なぜスポーツは学校教育に結び付けられるのか』(青弓社)によると、構造的な問題があるといいます。

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学校教育における学校や教師のパターナリスティックな教育的働きかけが、子どもの自由を制限し、遊戯そしてスポーツを成立させないかもしれない。
逆に、遊戯そしてスポーツそれ自体を大切にしようと、子どもの自由を全面的に肯定すれば、一切の教育的働きかけが否定され、学校教育そのものが成立しないかもしれない。
そう考えると、遊戯としてのスポーツが、その遊戯の性質と相容れない学校教育に結び付けられることに、原理的な矛盾があるようにも思えてくる。
(中略)
竹之下(※体育学者の竹之下休蔵さん)は、スポーツを体育の手段とすることに問題と感じていた。
スポーツは非日常的なことがらであり、それを「真面目なもの」である教育や体育の手段とすれば、その瞬間にスポーツの特性が保持できなくなり、スポーツはスポーツでなくなってしまう、というわけである。
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遊戯としてのスポーツと教育が相容れない。これでは体育が楽しくなるはずがありません。
体育の授業が変わらない限り、スポーツ嫌いが減ることは期待できないわけなのですが、スポーツ基本計画の「今後の取り組み」には具体的な策は示されていません。

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国は,体育・保健体育の学習指導要領の改訂において,体力や技能の程度,障害の有無及び性別・年齢にかかわらず,スポーツの多様な楽しみ方を社会で実践できるよう,指導内容の改善を図ることにより,生涯にわたって豊かなスポーツライフを実現する資質・能力の育成を図る。
<文部科学省「スポーツ基本計画」> 
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体育で団体競技をやる際には、その競技に対するレベルに分けるべき、との意見もありますが、これでは習っていない生徒の劣等感が増大するだけ。
団体競技は体育から排除し、個人競技のみに絞るぐらいの大胆な変更が必要なのではないでしょうか。

(スタッフH)
(2017/6/6 UPDATE)
番組スタッフ
6月5日(月)佐々木俊尚 ●上陸目前、スマートスピーカーで何が変わるのか?

「Amazon Echo」「Google Home」などのスマートスピーカーが私たちの生活にもたらす変化とは?

6月6日(火)速水健朗 ●「レスキャッシュ社会」への移行は必要か

「レスキャッシュ社会」(現金の少ない社会)への移行を唱えた本『現金の呪い』が話題になっています。この本が示す「レスキャッシュ社会」への移行は日本経済に何をもたらすのでしょうか?

6月7日(水)飯田泰之 ●同性カップルの子作りを可能にする「IVG」の功罪

同性カップルの子作りを可能にするかもしれない「IVG(体外配偶子形成)」。その功罪とは?

6月8日(木)小田嶋隆 ●アイドルに代わってつぶやくAI登場、AIによるエンタメ

アイドルのツイッターをAIが行うという実験から、AIによるクリエイティブの未来を考えます。

(2017/6/5 UPDATE)
番組スタッフ
先月末、政府は017年版の自殺対策白書を公表しました。

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年間の自殺者数は03年の3万4427人をピークに減少。15年に2万4025人、16年は2万1897人となり、22年ぶりに2万2000人を割った。
人口動態統計を基に15年の死因順位を5歳ごとの年齢層別に見ると、10代前半や40歳以上は「がん」が最多で、2位に「自殺」「心疾患」が並ぶ。一方、15〜39歳はいずれも前年と同様に「自殺」が最も多い。(略)
全体の自殺死亡率(人口10万人当たりの自殺者数)は18.5人で、先進7カ国の中で最も高い。
<時事通信:若い世代の死因、自殺最多=15〜39歳「深刻」―政府白書>
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他の先進国と比べて若者の自殺率が我が国では深刻のようですが、この憂うべきニュースにサッカー日本代表の本田圭佑さんが、
自身のツイッターで「他人のせいにするな! 政治のせいにするな!! 生きてることに感謝し、両親に感謝しないといけない。今やってることが嫌ならやめればいいから。成功に囚われるな! 成長に囚われろ!!」とツイートし、批判が集まっています。

本田選手なりの強く生きろというメッセージなのでしょう。
社会の自殺率が高い背景には一体何があるのか。本田圭佑氏が指摘するように、他人のせい、政治のせいにしてしまう自殺者個人が悪いのか。
私もそれほど遠くないところに、自殺でこの世を去った知り合いがいますが、誰かのせいにして死んでいったわけではありません。精神の病の果てに自ら死を選んだと聞いています。

自殺というものを初めて社会学的に分析したとされる古典的名著、デュルケームの『自殺論』(中公文庫)にはこうあります。
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まず、本人の置かれている外的状況がある。自殺をはかる人びとは、あるいは家族の悩みがあったとか、自尊心が傷つけられていたとか、あるいは貧困や病苦に苛まればければならなかったとか、また何かの道徳的なあやまちの自責にかられなければならなかったとか、等々。ところが、すでにみてきたように、それらの個人的な特殊な事情は、社会的自殺率を説明するものとはなりえないだとう。
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19世紀の社会学者、エミール・デュルケームは個人的事情は自殺率には関係になく、社会にこそ原因があると語ります。
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それぞれの時点において自殺率を規定しているものは、その社会の道徳的構造である。それゆえ、各民族には、人びとを自殺へ駆りたてる、一定の効果をもったある集合的な力が存在していることになる。自殺者のとるその行動は、一見したところ、あたかもかれの個人的気質の反映にすぎないようにみえるが、じつはそれは、ある社会的状態の結果であり、またその延長であって、当の社会的状態を外部的に表現しているのである。
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どのような社会的要因が「死」にいたらしめるのか。概ね共通しているのが、「絶望」でしょう。
同じく19世紀を生きた哲学者のキェルケゴールは「絶望」という感情をテーマに『死に至病』(岩波文庫)という著書を残しています。
「死に至る病」だとして「絶望」を論じたのです。
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絶望は死病にとりつかれている者に似ている、ーこの者はそこに横たわりつつ死に瀕しているのではあるが、死ぬことができないのである。(略)死という最後の希望さえも逃げられないほど希望がすべて失われているのである。死が最大の危険である時、人は生を希う。彼が更に怖るべき危険を学び知るに至るとき、彼は死を希う。死が希望の対象となる程に危険が増大した場合、絶望とは死にうるという希望さえも失われているそのことである。
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絶望から脱する希望について、キェルケゴールは次のように記しています。
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信仰者は絶望に対する永遠に確かな解毒剤ーすなわち可能性ーを所有している、なぜなら神にとってはあらゆる瞬間において一切が可能なのであるから。これが信仰の健康である。健康とは矛盾を解消する能力である。この場合矛盾とは、人間的には破滅が確実であるにもかかわらず、しかもなお可能性が存在する、というそのことにほかならない。
一般に健康とは矛盾を解消しうる能力である。

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信仰とは何も宗教に限った意味で理解しなくても良いでしょう。
本田圭佑氏を敬愛するという感情もまた信仰です。本田選手のツイートに救われたという人がいない、ということは否定できません。

若い世代の自殺率が深刻な日本。この悪しき状況はいつまで続くのか。果たして問題は若者だけに限るのか。
キェルケゴールは次のように記しています。
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一般に精神的な事柄に関しては人間は年とともに自ら何物かに到達するということはない、(略)その逆に精神に関しては人々は年とともに自ら何物かを失うということがきわめて容易に起るのである。おそらく人々は年とともに自分のもちあわしていた僅かばかりの熱情・感情・想像力と僅かばかりの内面性を失う、それから人々は無論また自ら何物かにーすなわち世間人特有の処世術に到達するのである。
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年を老いていくにつれ、精神は痩せ細り、若者よりも絶望しやすい可能性がある。
これについては、デュルケームも同様のことを指摘しています。
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事実、自殺傾向が、青年期から壮年期にかけて絶え間なく増大していき、晩年には、しばしば最初の十倍にも達することが明らかになっている。これは、けっきょく人びとを自殺へ駆りたてる集合的な力が、時を追ってすこしずつかれらのなかに浸透していくにすぎないためである。
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歴史の偉人の慧眼を信じるならば、自殺へ駆りたてる社会の集合的な力が精神に浸透していくとすれば、自殺率が高い社会の中で生きた若者たちが老いた時、さらなる悲劇的社会と絶望が待っているような気もするのです…

スタッフ・坂本
(2017/6/1 UPDATE)

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