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「アラブの春」と音楽 若者たちの愛国とプロテスト
中町 信孝 (著)
税込価格:2,268円
出版社:DU BOOKS
ISBN:978-4-907583-78-1


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2011年に中東で巻き起こった市民による民主化運動「アラブの春」。
エジプトでは独裁のムバラク政権が倒され、エジプト史上初の民主的選挙で生まれたモルシ―政権が誕生したものの、そのわずか2年後、モルシ―政権は軍によるクーデターによって倒され、多くの若者たちは軍主導のこの政権を支持した。
革命も束の間、独裁の逆行。こうした状況はなぜ生まれたのか?
今年は「アラブの春」から5年という節目のため、さまざまな分析を目にしましたが、本書の分析の切り口は明らかに一線を画しています。
本書が挑むのは、エジプトのポピュラー音楽「エジポップ」を分析するという斬新極まりない切り口。
たとえば、エジプトでみられた歌で政治的意見を主張し合う現象。政府へのプロテストソングが話題になると、それに対抗するかたちで別の歌手が政府を支持する歌で答えるといった動きがみられ、また、2011年の一月革命の時にはロックバンドが勝利をおさめ、2013年の六月政変では声なき多数派を代弁するような人気歌手の曲をクーデターを起こした軍部が利用したのだといいます。
音楽に政治を持ち込むべきではないという風潮がある日本では考えられないこうした現象を通し、革命の真実を浮き彫りにする良書です。

(評者:スタッフH)
(2016/4/6 UPDATE)

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