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日本語を作った男 上田万年とその時代(集英社インターナショナル)
山口謠司 (著)
税込価格:1,987円
出版社:集英社
ISBN:978-4-7976-7261-9

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日本語を作った男 上田万年とその時代
山口謠司 (著)
税込価格:2,484円
出版社:集英社インターナショナル
ISBN:978-4-7976-7261-9

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我々が普段から使っている「日本語」とは、どのようにして生まれたのか――。
明治維新までの日本では、身分や各地の方言に拠る言語を使用し、誰もが理解できる日本語というものは存在していなかった。しかし、文明開化・富国強兵を目指す激動の時代を迎え、「近代国家」をつくるためには「国語」が不可欠であると考え、標準語の制定や言文一致運動に尽力した男がいた。上田万年(うえだ かずとし)である。
本書では、広辞苑を編纂した新村出や言語学者・金田一京助らの師でもあり、近代日本語の成立に大きな役割を果たしたにも関わらず、注目を浴びることのなかった上田万年という男の人生と、彼が傍観者ではいられなかった時代の背景が、500を超えるページ数の中で研究・教育・政治といった多方面から描かれている。それは数多くの人物が登場し、各々の主張や関係が絡まり合い葛藤・衝突する人間ドラマでもある。
現在においても馴染み深い夏目漱石の『吾輩ハ猫デアル』の文体や、歴史的仮名遣いを推す森鴎外の文体の違いも大変興味深く読むことができると同時に、近代日本語がどのようにしてつくられ、またその過程で何が失われていったのか、自分自身の使う言語について考えさせられる1冊である。


(評者:ジュンク堂書店池袋本店 学参担当 湯田)


(2016/6/9 UPDATE)

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