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ターミナルから荒れ地へ 「アメリカ」なき時代のアメリカ文学
藤井光 (著)
税込価格:1,998円
出版社:中央公論新社
ISBN:978-4-12-004833-3


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文学は社会を映すといいますが、本書は文学の分析を通し、アメリカ社会の今を捉えようとする試み。翻訳家で大学教授でもある著者が“アメリカ文学の今”を俯瞰するエッセイ集です。
著者によると、アメリカの作家はアメリカを語らなくなっているようで、その理由はアメリカ人にとってアメリカが特別な国ではない感覚が強まっているから。
希望に満ちあふれた国として捉えることができなくなっているのだといいます。
アメリカを語らなくなったのは、非英語圏生まれの作家たちの存在感の高まりも大きく、アメリカという枠を離れつつある若手作家たちにとっての先駆者は、カズオ・イシグロや村上春樹。特定の国家や共同体に縛られることのない無国籍な寓話が好まれているようです。

今月12日、フロリダ州で起きたアメリカ史上最悪の銃乱射事件。
この事件は「銃規制」「イスラム過激派対策」「移民問題」「同性愛者」といったアメリカの抱える様々な難題をさらけ出したとされます。
この事件をうけ、アメリカ文学はどう変わるのでしょうか。これまで気にならなかったアメリカ文学の動向が妙に気になってくる一冊です。

(評者:スタッフH)
(2016/6/21 UPDATE)

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