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自由学校 (ちくま文庫)
著者 獅子文六 (著)
税込価格:950円
出版社: 筑摩書房
ISBN:978-4-480-43354-1


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昭和を代表する小説家、獅子文六が本書で描くのは、戦前と戦後で何やら様変わりしてしまった一組の夫婦。
夫婦の仲を劇的に変えたのは戦後、日本人が得た「自由」という価値観でした。
うだつの上がらない夫の五百助とその妻・駒子。双方、出自は良家ですが、戦争の混乱により没落してしまいます。夫の給料も当てにならない家計。妻は英語と手芸の内職でそこそこの稼ぎを得るようになります。
戦争中、モンペを履いて、バケツを持って駆け出すなどして、日本を支えていた女性たちは、戦争が終わってみれば日本男子に愛想がつき、我が夫を無視するようになります。
戦争は女性たち「自分の力で自分を食わせる」という革新をもたらしたのです。
では、夫の方はどうか。五百助は五百助で妻の働きぶりに迷惑を感じるようになります。
些細な喧嘩で、夫に家を出ていけと言い放った駒子。それに従う五百助。
求めていた自由を得た二人ですが、それぞれ皮肉にも「不自由」をしいられるようになります。
戦後の「自由」は人々の暮らしや風俗、男女の恋愛感までも一変させてしまいました。
「自由」という聞こえの良い言葉に翻弄される戦後日本を一組の夫婦を通じて、悲喜劇として描き出す本書。戦後とは「悲喜劇」そのものだったのかもしれません。

スタッフ・坂本
(2016/7/4 UPDATE)

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