書考空間


漱石漫談
いとうせいこう (著),奥泉光 (著)
税込価格:1,728円
出版社: 河出書房新社
ISBN:978-4-309-02561-2

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日本文学の最高峰に鎮座する夏目漱石。作家や作品についての評論が尽きることのない漱石について、いとうせいこう氏と奥泉光氏という作家二人が“漫談“形式で語る本書。
タイトルに漫談とあるように、普通に読んでいたら気づかないような漱石作品の裏設定、失敗や矛盾、ボケに突っ込みを入れていきます。
意地が悪いけれど、もしかしたら光栄なことなのかもしれない、と思わされるほど著者ふたりのツッコミが秀逸。
例えば冒頭で突っ込まれる『こころ』。圧倒的ボリュームを誇る遺書部分。漱石の熱量を認めるも、四つ折りになった遺書を懐に入れたとあるシーンに対し、原稿用紙200枚と言われるものをどう懐に入れるのかと指摘。
『三四郎』のヒロイン、美禰子がいとうせいこう氏はいけ好かないと語りますが、私は美禰子の“技術“に悶々とさせられた口です。
『吾輩は猫である』で猫が鼠を捕まえるシーンがあるのですが、漱石が持つ言葉の力全てをぶつけて、一つの戦争のように描かれると奥泉氏は言います。ほとばしる漱石の才能を猫対鼠の戦争で読み返したくなりました。
この類の本は、「著者が論じるものを実際に読んでみたくなるかどうか」が全てだと思います。本書はやすやすとそれをクリア。
漱石作品を読んだことはない人はもちろん、読んだことがある人は新たな発見をもたらしてくれます。

スタッフ坂本
(2017/6/13 UPDATE)

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