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捨てられないTシャツ
都築響一 (編)
税込価格:2,160円
出版社:筑摩書房
ISBN:978-4-480-87622-5


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梅雨入りし、湿度が高まる、この時期に登板機会が増えるのが「Tシャツ」。
このTシャツに関して、著者はいつの頃からか、「いいのかダメなのか判断に迷うTシャツ」には、着用する本人の確固たる意志や、根拠のない自信や、個人的な記憶が染みついていることが多々あるのに気が付いたのだといいます。
この気づきが、本書の始まり。
自身のメルマガで、読者から「Tシャツにまつわる思い出」を募集、持ち主の略歴を加えて短い文章にしていたのがですが、やがて、持ち主自身が書いた文章をそのまま載せるように。
本書に登場するTシャツ70枚のうち、半分以上は持ち主自身による文章なのだといいます。
そうして集まった「Tシャツにまつわる思い出」。
面白いのは、Tシャツ自体が得体のしれないものが多いことです。有名ブランドのものはほとんどなく、しかも、デザインとしてかっこいいものは皆無に近い。
つまり、ダサいTシャツなのですが、それに深く思い入れ、しかも物語がちゃんとあることに感心するのです。
著者はこう語ります。
「ふと手に取った文庫本で出会った一行や、漫画のひとコマ、ラジオから流れてきた歌のフレーズが人生を変えてしまったり、人生を支えてくれたり、忘れていた記憶へのリブート・スイッチになりうる。そのように、こころに働いてくれる衣服もあるのだと確認できたのが、すごくうれしい」
わたしは数年前、大掛かりな断捨離を捨て、ダサいが思い入れのあるTシャツをすべて処分してしまったのですが、この決断を今更ながら後悔しています。

(評者:スタッフH)
(2017/6/20 UPDATE)

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