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書けますか?小学校で習った漢字
守 誠 (著)
税込価格:500円
出版社:サンリオ
ISBN:978-4-387-13086-4


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「忘れてるよね〜」「読めても書けないとかね」…。ここ10年15年、こういう会話をした、聞いたと言う方は多いと思う。ワープロやパソコンのワードによって職場でも学校でも、本当に手書きで文字を書く機会は大きく減っている。

著者は同じ出版元から「パソコンが奪った漢字を取り戻せー漢字練習ノート」、そして09年のベストセラー「読めますか?小学校で習った漢字」の続編が本書である。クイズ感覚で面白そうだと思ったのが手にしたきっかけだった。小学校で習った漢字である。「ほとんど書けるんじゃないの?」。「間違ったとしても1割くらいだろう」と高をくくった私はバカだった。確かに漢字自体は難しくないのだが、慣用句のようになっている言葉や当て字、地名、暦、動植物、独特な読み方が小学校の漢字を組み合わせるだけでも「アレ?」「しまった」が結構あるではないか!(ここが日本語の深いところでもあるのだが)。
例えば「"まちまち"な服装」「若い"みそら"で借金」「"どっち"でも構わない」「"やや"もすれば」「"ついで"に銀行に寄る」「"わざ"と失敗」…。太字の漢字いかがだろう?もし正解が知りたくなったら辞書を片手に調べることをオススメする(このオススメのような使い方をしているから字を忘れるのだろうな〜)。

漢字はアルファベットと違い、表意文字であり、「右・左」「道」「文」「女・母」「事・史」「鳥」など象形文字から生まれて現代でも通用しているものも沢山含まれている貴重な文字文明である。音でなく意味が大事であって、読み方は極端な話どう読んでもいいわけである。だから朝鮮やベトナムでも漢字は使うことができた。昨今の子供に見かけるキラキラネーム(=変わった読み方をする難読な名前。個人的には好きではない)が可能なのも漢字だからである。
そういえば高校時代に中国人の同級生が「一番苦手なのは漢文だ」と言っていたのを思い出した。「得意じゃないの?」と聞いたら「俺はこのまま読める。何でワザワザ、ひっくり返したり戻したりして読まなきゃいけないんだ。日本人は何でこんなことを考え出したんだ」と怒っていた。言われてみればごもっともだった。外国語なのに読み方を変えて理解してしまう。日本人は完全に消化してしまった。私は日本に漢字が入ってこなかったらどうなっていたのか?と想像してみたことがある。英語を先に知っていたらCatと書いてネコと発音したんだろうか?…なんて。

長い年月をかけて生まれた読み方、組み合わせ、日本独自に出来た漢字(戦後は漢字廃止方向が打ち出されたために略字化され、本来の漢字の意味が分からなくなったものも多いと言う)は私たちの大きな文化の1つである。日本の小学校で習う漢字だけでもこれだけ面白い(分からなくなっていることを喜んでちゃいけないが)。読者は予想以上に「あ、そうだった」と思うことだろう。ちなみに小学校配当漢字表にある漢字は現在1006字だそうだ。


(評者:TOKYO FM 報道・情報センター 総合デスク 横山 茂)


(2014/1/18 UPDATE)

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