書考空間



善き書店員
木村 俊介 (著)
税込価格:1,890円
出版社:ミシマ社
ISBN:978-4-903908-46-5


本を購入

電子書籍の普及やネット書店などの影響により、苦境に立たされている街の本屋さん。
昨年は創業99年の老舗書店が閉店するなど、その現状はかなり厳しいようです。
本書は、そんな本屋さんで、日々普通に働いている普通の書店員にじっくり話を聞いたインタビュー集です。
私は本屋で働いている人といえば、本好きの人が大好きな本に囲まれて楽しく働いているというイメージを持っていました。
しかし、本書に登場する書店員が共通して話していることは、本屋の仕事はきつくて大変だということ。
仕事内容はほぼ肉体労働で、離職率も高く、労働に見合ったお金がもらえないという理由でやめていく人も多いのだとか。
ある書店員は「年下の人間に対しては、とにかく、ほんとうに好きじゃなければやめたほうがいいよといわざるをえない世界になっていますよね。」と語る。
棚には売れる本や売らせようとして送られてくる本ばかりが目立ち、自分の意図があまり反映されていないという寂しさがある。けれど一番に求められているのは、とにかく本を売って売上を伸ばすこと。
書店員はジレンマに陥りながらも、その書店ならではの良さを作ろうと様々な工夫を凝らしながら働いているのです。

もちろん本書には、辛いことばかりが語られているわけではありません。
地方の書店で働くある書店員は本屋のおもしろさをこう語る。「自分が見聞きしたり旅をしてきたことすべてがフィードバック可能なのが本屋という場所なんですよ。それが本屋のいちばんおもしろいところなんじゃないでしょうか」。
現代の書店業界や本屋で働く人たちの現状を知ることができ、書店員の喜びや苦悩が生々しく伝わってくる一冊。
本書を読んで書店に足を運べば、これまでにない視点でその良さを感じることができるはずです。

(評者:スタッフ・武市)

(2014/1/20 UPDATE)

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