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高崎山のオスザルたち
松井 猛 (著)
税込価格:1,500円
出版社:西日本新聞社
ISBN:4-8167-0606-2


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ニホンザルが生息する大分市の高崎山から姿を消して1か月が過ぎたため、高崎山自然動物園が“死亡認定”した伝説のボスザル「ベンツ」。
現在、高崎山動物園が餌付けをしているニホンザルは約1350匹超。2つの群れ(B群とC群)があり、その両方でトップを経験した唯一のサルがベンツで、しかも最長老。人の年齢に換算すると110歳程度と言われています。
上記のようなベンツの伝説的なエピソードを熱心に伝えるニュースをみている内、「高崎山にはなぜ多くのサルが生息しているのか?」など様々な疑問が湧き、その疑問の答えを知るため、本書を手に取ってみました。

本書は、高崎山自然動物公園で30年以上にわたり、サルを観察し続けてきた松井猛さんが、ニホンザルのオス社会の実態を克明に記録したもの。
もちろん、“高崎山に多くのサルが生息している理由”も明記されています。
1947年、当時の大分市長の上田保さんが、高崎山の麓に押し寄せて畑を荒らす厄介な存在だったサルに目をつけ、サルをてなずけ観光資源にしたいと考えたのがはじまり。
その後もサル寄せの努力を続けた結果、1952年、餌付けに成功。
火野葦平の小説「ただいま零匹」で一躍有名になり、翌53年、高崎山自然動物公園を開園、大分県が誇る一大観光地になったようです。

ヒトから餌をもらうようになって61年になる、高崎山のサル。
楽して暮らせるようになった反面、失ったものも大きいのではないでしょうか。
野性動物は死期を悟ると、群れから離れ、静かに死を迎えるといいます。
死期を悟り、姿を消したベンツが4度にわたって捜索されたという事実を知ると、失ったものの大きさを思わずにはいられません。

(評者:スタッフH)
(2014/1/31 UPDATE)

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