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日本女子大学生の世の中ウオッチ 2011−2014
是恒 香琳 (著)
税込価格:1,944円
出版社:パド・ウィメンズ・オフィス
ISBN:978-4-86462-075-8


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普通の女子大生が社会の問題をどう考えるか、同世代の若者たちをどう見ているのか。現役女子大生である著者が、2011年から2014年までの大学生活で体験した大学自治、教育実習、就職活動など日常的な出来事から、憲法や反原発運動など社会的な問題まで、それらと真摯に向き合い、考察し、浮上した疑問に対してその時点での「解」を導き出す本書。

私は著者のことを全く知らないのですが、おそらく読んだ人のほとんどが同じことを感じると思います。それは、「これが女子大生なのか」という畏敬の念です。
大人ですら、考えることを避けがちで、たとえ考えたとしても口に出すこと、ましてや文章にすることなど尻込みしてしまう問題を、知性と好奇心に裏打ちされたことがうかがえる文章力と鋭い観察眼でもってして、著者はのぞみます。
「女性とはこうあるべき」というような、フェミニズム的な観点から語られるかと思っていたのですが、そうでもありません。大学が全面禁煙となり、社会全体で進む分煙を取り上げ、「一つの価値観に統一された社会は、異常だ」と論じ、大学やSNSにはびこる「前向きな言葉」に疑問を持ってみるなど、「多様化する社会において、安易に“解”に飛びつかない」姿勢がうかがえます。そこが、私が本書を読んで大いに共感できた部分の一つです。
そして、もっとも共感できたのが、「自分の言葉をガラクタとして扱わない」という点です。私たちは著名人や学者、権威が書いた文章には、あまり考えることもなく納得し、それらの文章を自身の考えと混同してしまいがちです。そこに“自分自身”はありません。全く普通の女子大生が、世の中をよくよく観察して、自分の言葉で綴る、考える。
そんなひたむきさに敬意を表したくなる一冊です。

評者:スタッフ・坂本
(2014/7/9 UPDATE)

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