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富岡製糸場と絹産業遺産群
今井 幹夫 (編著)
税込価格:1,296円
出版社:WAVE出版
ISBN:978-4-87290-694-3


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先月、世界文化遺産への登録が決定した「富岡製糸場」ですが、教科書で見たことはあっても、詳しいことは知らないという人も多いのではないでしょうか。
「富岡製糸場」は明治政府が日本の近代化を推進するために1872年(明治5年)、群馬県富岡市に建てられた、国内初の官営工場です。
建築物の設計はフランス人で、「木骨レンガ造」という、レンガと木材を組み合わせた、和と洋のいいとこ取りをしているのが、建造物群の特徴です。「日本版産業革命」の担い手としての側面も期待されていた「富岡製糸場」は、当時の水準からすると、とてつもなく大規模な工場として計画・建設されており、世界最大規模の威容を誇っていました。
そこに全国から工女たちが集まり、高度な製糸技術によって生み出された高品質な生糸は、世界でも評価されました。
そして官営から民営に切り替えられた富岡製糸場は、昭和50年頃を境に、化学繊維の普及などで生糸の需要が減るようになり、ついに昭和62年に操業を停止。115年という生糸生産の歴史に幕を下ろすことになりました。

日本の製糸業をリードする役目を担っていた富岡製糸場ですが、それ以外にも製糸業をめぐる重要な事業があり、互いに支え合っていました。
それが「絹産業遺産群」として富岡製糸場とともに、世界文化遺産登録された3つの遺産です。
養蚕専門教育機関「高山社」の遺構の「高山社跡」。養蚕技術を開発・普及させた功労者、田島弥平が住んでいた住居の「田島弥平旧宅」。そして、蚕種貯蔵技術の革新を担った場所「荒船風穴(あらふねふうけつ)」の3つです。

本書は、「富岡製糸場と絹産業遺産群」について解説している本ですが、明治時代の産業にまつわる雑学本といった体裁となっています。それは、時代背景や世相なども知って重層的に「富岡製糸場と絹産業遺産群」を眺めるほうが、歴史をもっと楽しめるのではないか、という著者の意図があるからです。
話題の富岡製糸場を通して、技術大国・日本の凄さが十二分に伝わってくる内容となっています。

(評者:スタッフ・武市)
(2014/7/21 UPDATE)

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