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ラブ・ミー・テンダー (東京バンドワゴン)
小路幸也 (著)
税込価格:1,620円
出版社:集英社
ISBN:978-4-08-775434-6

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このシリーズは、本編3作の後に番外編という流れになっています。これが3作目の番外編です。昭和40年代の堀田家には、堀田勘一、サチ夫妻と息子の我南人がいます。近所のアパートに住む大学生や我南人のバンド仲間も毎日やってくるので、現代版と同じように賑やかな堀田家です。シリーズをこよなく愛するファンにとって、「ラブ・ミー・テンダー東京バンドワゴン」は待ちに待った1冊となっているに違いありません。なぜなら、我南人の妻となる秋実が中心となって描かれているからです。「堀田家の太陽と言われた今は亡き秋実」が実在した時代が描かれるのですから、感慨もひとしおです。
その前にシリーズ4作目の「マイ・ブルー・ヘブン東京バンドワゴン」に少し触れさせてください。終戦直後の東京下町にある古本屋東京バンドワゴンには、店主堀田草平・美稲夫妻と息子の勘一が住んでいます。戦災孤児のかずみちゃんや、ご近所さんが出入りするにぎやかな古本屋です。
この2作の番外編は双子のような関係ともいえるのではないでしょうか? 勘一とサチの出会い・その後の恋の行方は、我南人と秋実の出会い方によく似ています。秋実が我南人と遭遇する場面は8作目(番外編です)「フロム・ミー・トゥ・ユー東京バンドワゴン」に書き下ろし短編「野良猫ロックンロール」として描かれています。本作はその続きなのです。秋実が親友の為に戦う相手は昭和の芸能界です。バンド活動をしている我南人や仲間と一緒に、勘一もサチ(なんと!マネージャー)も奮闘します。この機会に番外編2作を再読してみてはいかがでしょうか。未読の方もぜひ!


(評者:文教堂北野店 若木ひとえ)


(2017/5/18 UPDATE)

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