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21世紀の民俗学
畑中章宏 (著)
税込価格:1,944円
出版社:KADOKAWA
ISBN:978-4-04-400205-3


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本書は、21世紀の現在起こっている事象を、民俗学を切り口にその意味を読み解くもの。
事象は、自撮り棒、ポケモンGO、聖地巡礼、宇宙葬、無音盆踊り、事故物件と多岐にわたり、たとえば、自撮り棒はザシキワラシと重ね、読み解かれます。
その際、著者は文芸評論家・三浦雅士氏の言葉を一部引用。
三浦は自分たちの数を数えるものは「幻のもうひとり」を必要とするのだといい、さらには「写真の問題を同じような文脈において考えることができる」という。
6人の仲間が自分たちの写真を撮ろうとすると、だれか一人が撮影者にならなければならず、6人全員一緒に一枚の写真の被写体になりえない。それを実現するためには通りすがりの第三者に撮影を依頼するか、自動シャッターを用いるしかない。
そのうえで、現在に至っては、自撮り棒が『幻のもうひとり』=ザシキワラシを体現していると説きます。
ザシキワラシに喩えられた「幻のもうひとり」こそが、写真のいとおしさを生み出してきたのである。自撮り棒に、日本人と写真の関係を回復するとともに、撮影者を実際に「幻」にしてしまう矛盾をはらんだ道具なのである。
現代のテクノロジーと民俗学を掛け合わせることで、現代のテクノロジーが持っているけれど気づいていない魅力に気づかせてくれる一冊です。

(評者:スタッフH)
(2017/8/9 UPDATE)

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