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東京の夫婦
松尾スズキ (著)
税込価格:1,512円
出版社:マガジンハウス
ISBN:978-4-8387-2961-6


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「大人計画」を主宰し、作家、演出家、俳優として活躍する著者は2007年、10年間連れ添った妻と離婚。その7年後の2014年、20歳年下の女性と再婚しています。本書は、この再婚にまつわる、著者らしいゆるめのエッセイ集。
流れる空気はかなりゆるいのですが、「夫婦とは何なのか?」という問いが散りばめられていて、油断ならない。
私の心に重く響いたのは、「子供を持たない」という約束の下、再婚したというくだり。
自分の遺伝子を持って産まれてきた子供を育てるという人生にポジティブなビジョンを見いだせない著者を、妻は「欲しくないと言っている人の子供を産むのは嫌だよ」と言い、受け入れる。
一方で著者はこんな疑問も抱きます。
「子供を持つつもりはない、という二人が結婚する意味とはなんだろう」。
そして、「その大きなクエスチョンが、僕たち夫婦が抱える負債であるともいえる。人生に対してその負債を日々返済する。それが、今の僕らの夫婦生活であるから、傷つくことも少なくはない。でも、それでも、僕たちは間違いなく家族であり、夫婦なのだ」と語ります。
夫婦のかたちというのは人それぞれで「夫婦とは何なのか?」という問いには明確な答えなど存在しません。でも本書は、その答えの一例を示してくれているような気がします。

(評者:スタッフH)
(2017/9/13 UPDATE)

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