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真ん中の子どもたち
温又柔 (著)
税込価格:1,404円
出版社:集英社
ISBN:978-4-08-771122-6

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真ん中の子どもたち
温又柔 (著)
税込価格:1,404円
出版社:集英社
ISBN:978-4-08-771122-6

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この本を紹介しようと決めてから、ずっと悩んでいます。どう説明したら、この本の面白さが伝わるだろうかと。
第157回芥川賞候補作となった本書は、日本人の父と台湾人の母の間に生まれた主人公が、母親の母語である中国語を学ぶために上海へ留学した一か月間が物語の中心に据えられています。が、あらすじからは伝えきれないすがすがしさ、例えるならば、夏の終わりの夕暮れに吹く風に肌をなぶられるような爽やかさが全編にあふれていて、読んでいてとても気持ちがいいのです。
そして、そんな心地よさの中から不意に顕れる、ヒリヒリするような他者との、また自分自身の在り方についての摩擦。「母親が台湾人なのに、どうしてその程度の中国語しかできないの?」という、中国人学生から発された悪意なき疑問。「あなたの中国語には、南方の訛りがありますね。悪い癖はなおしましょう」という教師からの指摘に、台湾人である主人公は、身を引き絞られるように苦しみます。
若者が自分のアイデンティティを確立するまでの青春小説、と言うとなあんだ、と思われそうですが、独善的なところは微塵もありません。「青春小説? ヘッ!」という方にも、一読の価値あり、とお薦めしたい一冊です。


(評者:ジュンク堂書店池袋本店 青柳)


(2017/9/14 UPDATE)

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