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組長の妻、はじめます。 女ギャング亜弓姐さんの超ワル人生懺悔録
廣末 登 (著)
税込価格:1,404円
出版社:新潮社
ISBN:978-4-10-351191-5


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本書は、サブタイトルにあるとおり、「亜弓姐さん」と呼ばれる無名の女ギャングの懺悔を記録したものです。この「亜弓姐さん」という女ギャングが何をしたかというと、大規模な車窃盗。100人以上の手下を従えていた窃盗団のリーダーで、本書には、窃盗の手口、刑務所を行き来する生活はもちろん、結婚、出産、出産直後の服役、離婚、そして悪事から足を洗い、再婚、その再婚相手がヤクザの組長となり、自身が組長の妻になるまでの波乱万丈な半生が記されています。
本書の面白さは、著者の専門が犯罪社会学という点。「亜弓姐さん」に興味を持ったきっかけも犯罪社会学の視点で、ここがとくに示唆に富んでいるのです。
「犯罪社会学を専門とする私が知る限り、一般的な女性の犯罪とは、|影犯箸△襪い肋規模な同性グループによる窃盗、売春や薬物事犯などの被害者無き犯罪、C棒を主犯とする従属低犯罪、け纏殺人、などが一般的です。とりわけ、昨今は、インターネットなどの新時代コミュニケーションの普及により、売春や薬物事犯が看過できぬ社会病理として指摘されています。ですから、この平成の世の中に、窃盗団の女首領というのは珍しいなと思ったのです」
夫や子供という「強い人的なつながり」を得て、悪事から足を洗った更生の道筋を「社会的絆(ボンド)理論」という言葉を用いて、ほんの少しだけ解説している部分にも注目。
座間市のアパートで9人の遺体が見つかった事件は「社会的絆」が失われたことが凶行へとつながったとの分析もあり、「人はなぜ犯罪を犯すのか」という観点でも興味深く読むことができる一冊です。

(評者:スタッフH)
(2017/12/7 UPDATE)

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