書考空間



アースダイバー東京の聖地
中沢新一 (著/写真)
税込価格:1,620円
出版社:講談社
ISBN:978-4-06-220944-1


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人類学者である著者による、地形と人文学を融合した研究「アースダイバー」。本書では、このアースダイバーの視点で「築地市場」と「明治神宮」を分析しています。
著者によると、この2つの場所は「生きた聖地」。
著者は「まるで白いキャンバスの上に緻密な絵画を描いたように、この二つの場所には、日本人の思考が『聖地』に見出してきた空間の構成原理が、ほとんど純粋な状態で実現されている」と語っています。
具体的にはどのような点をもって聖地とするのか。
築地市場に関しては「一見するとカオスに見えるのだけれども、よく見るとそこに整然たる秩序が作り上げられている」と評価。日本人はアジア人の中でもそういうカオス的制御が上手だが、その特性が築地市場の内部では見事に生かされているのだといいます。
一方、豊洲新市場に関しては、市場の敷地全体が2本の大きな道路によって分断されていて、4分割された土地のそれぞれに、卸売棟や仲卸棟などが分離されて置かれていることなどから、「なまものを扱う市場の仕事場にふさわしくない構造をしている」と指摘しています。
今年10月に豊洲市場への移転が決まった築地市場。もう決まったとはいえ、市場としての機能への疑念が強まる一冊です。

(評者:スタッフH)
(2018/1/11 UPDATE)

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