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アマゾンの料理人 世界一の“美味しい”を探して僕が行き着いた場所
太田 哲雄 (著)
税込価格:1,620円
出版社:講談社
ISBN:978-4-06-220877-2

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”世界一予約が取れない”と言われたスペインの「エル・ブジ」で修行をした著者。
理科の実験のような独創的な料理が生み出されるということは、私でさえも知っていました。
この時、著者の中では世界が認める最先端の料理への疑問が芽生えていたそうです。
そしてイタリアで研鑽を積み、その後、ペルーに渡り「国を動かす」ほどの力を持っているとされる、ガストン・アクリオの元で働きます。

いわば料理のエリートコースを歩んできた著者がなぜ、「アマゾンの料理人」となったのか。
ペルーの国土6割を占めるのがアマゾン。
ここ数年、南米は世界中のグルメたちから、新しい美食の地として注目を集めているといいます。とりわけペルーは、アンデスの山岳地帯と熱帯雨林のアマゾン、長い海岸線をもつ食材の宝庫なのだとか。
「アマゾンに通うようになって価値観が大きく変わった。そこでの暮らしは、野性的、イコール野蛮ととられることもある。(中略)だけど僕は、道に座り込んで一心不乱に骨つきチキンにかぶりつく人たちの貪欲さに、心を動かされる。この人たちの力強さには勝てない、と思うのだ。
僕は、調理場に困ってストイックに料理を追求したいとは思わない。料理人が主役になるような料理を作るのではなくて、料理を通じて、人と人、人と社会の関係を築いていきたいのだ」

地元民の大好物、ゾウムシの幼虫やナマズ、カピバラのハムなどあらゆるものが集うアマゾンの市場。
夜になると法律では禁止されているサルやアルマジロ、オオサンショウウオまで売買されるのだとか。
行ってみて食べてみないと理解し得ない「美食」なのかもしれません。

そして、著者はカカオとともに生きる部族と運命的な出会いを果たします。
カカオの取引では加工者が利益の大半を手に入れていたため、カカオの生産者の懐はなかなか潤おっていませんでした。
著者はチョコレートビジネスではなく、カカオをそのまま原料として扱うビジネスの道を歩み出します。

日本には美食があふれていますが、本当にシンプルかつクリアな味わいのものはきっと少ない。
情報に踊らされることなく、自分の目で見て、足を運び、食べてみる。これが本当に美味しいものと出会うための条件なのだと本書は教えてくれます。

坂本
(2018/2/12 UPDATE)

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