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目くじら社会の人間関係
佐藤直樹(著)
税込価格:929円
出版社: 講談社
ISBN:978-4-06-291503-8

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何でみんな怒っているのか。なぜ他人に対して厳しいのか。ニュースやワイドショー、SNSを見て、「世間」の不寛容さを痛感し、「そりゃかの国であんな宰相も生まれるわ」と思いたくなるわけです。
強烈な倫理観の押し付け。正しさの同調圧力。これらに満ち満ちた「一億総目くじら社会」の構造を解き明かす本書。
まず著者は「世間」という概念は日本にしかないものだと語ります。近代化によって「社会」という言葉が日本にもたらされ他のですが、、もともともsocietyという言葉が持つ「人間関係」という意味までは定着しませんでした。「個人」もまた江戸時代にはなかった言葉なのだそうです。
ヨーロッパのようにキリスト教による支配がなく、社会も個人も形成されなかった日本。その代わりに人的関係として現在まで続いてきたのが「世間」だと著者は解説。
近代以降の「世間」が厄介な点として著者があげるのが、「共同体の掟」とは異なり、そのルールが法律のように明文化されているわけではないため「みんな」という不安定な基準に頼らざるを得なくなっているという点。確かに、「世間」の暗黙の了解や同調圧力に私たちは縛られて来ました。「法のルール」がヨーロッパの社会では重要視されているそうですが、日本の「法のルール」よりも「世間」や「みんな」の正しさが基準となることは往々にしてあります。

著者は日本の「世間」が抱える数々の病理、症例を列挙しながら居心地やよい「やさしい世間」を模索していきます。「世間」に疲れた人、そうでない人もぜひ読んで欲しい一冊です。

スタッフ坂本
(2018/4/17 UPDATE)

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