書考空間



東大教授が挑むAIに「善悪の判断」を教える方法 「人を殺してはいけない」は“いつも正しい”か? (扶桑社新書)
鄭雄一 (著)
税込価格:864円
出版社:扶桑社
ISBN:978-4-594-07950-5


本を購入


AI・ロボットの開発が急速に進み、遠くない将来、ロボットと人間が共生する社会が訪れると言われています。
こうした中、気鋭のAI研究者である著者が研究を進めているのが「道徳エンジン」。ロボットが“善悪の区別”を自分でできる仕組みのことで、著者は「ロボットと人間」という異なる存在同士で共有できる道徳システムを構築することができれば、それによって人間同士も立場の違いなどによる分断を乗り越え、多様性社会を発展させていくことができる、と説いています。
この前提のもと、本書で明らかにするのは道徳の課題。
たとえば、『「人を殺してはいけない」という道徳は普遍的だろうか?』という問いに対しては、「どの人間社会でも、『もっともしてはならないと思われること』=『人を殺すこと』が、現実社会では『戦争』『死刑』の形で容認されている」「私たち人間が殺人を容認する根拠は、『社会中心の考え』と『個人中心の考え』の二つに分けることができる」という答えを提示。
これ以外にも、「人間の道徳は、全社会に『共通の掟』と、各社会ごとに異なる『個別の掟』からなり、二重性がある。普段私たちはそれに気づいていない」、「道徳は仲間内の狭い掟であり、生物学的人間一般には適用されない」などを提示。
37年間生きてきて理解しているつもりだった「善悪の判断」が、実は全く理解できていなかったことを思い知らされる一冊です。

(評者:スタッフH)
(2018/5/16 UPDATE)

MESSAGE ★ 番組へのメッセージはこちらから ★ 皆さまからのご意見お待ちしております


ページの先頭へ