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前田敦子はキリストを超えた 〈宗教〉としてのAKB48 (ちくま新書)
濱野 智史 (著)
税込価格:777円
出版社:筑摩書房
ISBN:978-4-480-06700-5


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出版前から、そのタイトルだけで物議を醸した本書。
宗教学者の島田裕巳氏は「“前田敦子はキリストである”ならまだいい。キリストは意地が悪い。弟子が自分を裏切ることを最後の晩餐と言ったり、ユダが裏切ることも予言している。それと前田敦子のイメージは重ならない」と斬り捨てました。
もちろん、私も読むまでは、前田敦子がキリストを超えているわけがないと思っていました。
本書は宗教的に見た前田敦子、AKBではありません。AKBのビジネス戦略には、“宗教にも似たコミュニケーション・システム”があると著者の濱野智史氏は語ります。
そしてタイトルにもある“前田敦子はキリストを超えた”を命題に、キリスト教、宗教にみられる共通点を浮き彫りにして、AKB現象の真髄を“信者”の視点でつづっています。例えばAKB信者以外でも知っている前田敦子の「私のことは嫌いでもAKBのことは嫌いにならないで下さい」という発言には、アンチと向きあった前田敦子と、ゴルゴダの丘で処刑されるキリストの“利他性”を重ねています。

興味がない人には全く興味がない…、一生興味を持つことがないかもしれないAKB現象。
外から見ると、薄ら寒い印象を持ちますが、内側から見ると、AKB現象にからむ多種多様な“構造”は、誰かを救済しうる宗教のそれと似ているようです。
AKB48に全く興味がない人も間違いなく楽しめる一冊です。

評者:スタッフ・坂本
(2012/12/17 UPDATE)

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