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美貌の文化史 神と偶像 (中公文庫)
矢田部 英正 (著)
税込価格:780円
出版社:中央公論新社
ISBN:978-4-12-205773-9


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20%以上の視聴率を記録した、女性アイドルグループのセンターを決めるイベント。
決して美人とは言えないメンバーがセンターに選ばれたためか、世間の評価は賛否両論。ちなみに有吉弘行さんは「(そのメンバーは)ブスとして有名なわけで、ブスの時代なのかな」と鋭い(?)分析をしています。
「決して美人ではない女性が人気を博す」という現象。首を傾げたくなる人もいるかと思いますが、日本人にとっての“美貌”の条件を突き詰めた本書によると、こうした現象は江戸時代の初期から見られたことのようです。
根拠とするのは、「歌舞伎の開祖とされる「出雲の阿国」は美人ではなかったらしい」という話。歌と踊りに関しては幾多の書物に名を残していますが、その容姿を褒めた記述は見つかっていないとのこと。この話は冒頭に紹介した結果を彷彿とさせます。
著者の「ごく普通に見える少女らが、アイドルとして偶像化され、国民的な人気を博すような独特の感覚は、現代にはじまったことではなく、江戸時代の初期からそうで、もしかしたらもっと古い時代から肌身に沁み着いたものではなかろうか」という分析にもどこかうなずけてしまう。
「特筆されることがないほどの凡庸な容姿は、それも大衆の心を広くつかむために意図して作られた設定であったかもしれない」
著者のこの指摘からもわかるとおり、不思議とアイドルグループを運営する側の狡猾さが透けて見えてくる一冊です。

(評者:スタッフH)
(2013/6/21 UPDATE)

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