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【常識と非常識の座標】vol.14 「日之丸街宣女子」の売れ方にみる消費行動の異変

番組スタッフ
自分が好きな作家(小説家、映画監督、漫画家など)が絶賛しているというだけで、その作品についついお金を出してしまうということがあります。
最近で言えば、東村アキコさんが絶賛したマンガ『僕の変な彼女』が掲載されているマンガ誌『モーニング』。

<東村アキコさん絶賛 モーニングの新人賞受賞作「僕の変な彼女」Webで公開され話題に>

わたしは、マンガ大賞2015に選ばれた『かくかくしかじか』で知られる漫画家の東村アキコさんが好きなのですが、その東村さんがTwitterで「私の読んだ漫画の、人生読み切りベスト10いや、ベスト3に入る傑作」と絶賛したのが『僕の変な彼女』。
東村さんが絶賛したからには…という期待のもと、このマンガを読むためだけにモーニングを購入しました。
ちなみに、今は「週刊Dモーニング」で全ページが無料で読めるようになっていますので興味を持たれた方はぜひ。一読の価値ありです。

このように有名人が絶賛した作品に興味を持つというのは、よくあること。絶賛したことがきっかけでバカ売れする、というケースも少なくありません。
ではその逆、誰かがこき下ろした作品がバカ売れするなんてことはありえるのでしょうか。ありえないことのように思いますが、今まさにこうした現象が起こっています。

<民主党・有田芳生議員が「悪質な差別煽動コミック」とツイートした『日之丸街宣女子』が大人気に!?>

今、おかしな売れ方をしているのが、先週金曜(15日)に発売したばかりの『日之丸街宣女子』(青林堂)というマンガ。
内容は、主人公の女子中学生・奏が、街宣・ツイッター・電凸を通じて活動していくうちに「外国人参政権とは?」「ヘイトスピーチとは?」といったことを学んでいくというもので、作者も『ジャパニズム』という掲載誌も有名ではありません。

このマンガがなぜ売れているのかというと、ある有名人がこのマンガをこき下ろしたから。
ある有名人とは、民主党の参議院議員、有田芳生さん。有田さんが先週水曜(13日)、Twitterで本の一部内容の画像付きで以下のようにツイート。
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悪質な差別煽動コミックーー岡田壱花・作、富田安紀子・画の『日之丸街宣女子』(青林堂)は、表紙帯から「不逞鮮人」というヘイトスピーチのかたまり。神保町「高岡書店」によると「そんなに売れていません」。野間易通さんなどへの誹謗中傷が満載。
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Amazonのカスタマーレビューに「有田先生のおかげで本当に素晴らしい漫画に出会えました!!ほんとうに感謝です!!!」「普段漫画は買わないのですが、某有田芳生大先生が宣伝していたので迷わず購入しました」といったレビューが多数寄せられていることからも分かるように、有田さんのツイートをきっかけにAmazonではランキングが急上昇。
先週金曜(15日)が発売日だったのですが、18時の段階で2位(Amazon 本のベストセラー)にランクインし、発売日にも関わらず品切れ。今日の16時時点でも2位をキープしています。

このマンガの出版社である青林堂のツイッターアカウントのツイートからも売れ行きの好調ぶりは伝わってきます。

・先週土曜(16日)
「皆様のおかげでアマ2位です!品切れのご迷惑をおかけし申訳ありません。」
・おととい(17日)
「おかげさまで皆様から更なるご注文をいただき、アマゾンの表記が1〜3週間に延びました。ただいま重版中ですので再来週辺りにはこの状態も解消するかと思いますが、品切れ状態が続きご迷惑をおかけし申し訳ありません。」
・昨日(18日)
「『日之丸街宣女子』本日3刷決定!しばらく品薄状態でご迷惑をおかけいたしますが、今しばらくお待ちください。」

こうなると気になるのが、有田さんがこき下ろしたことがきっかけで売れた理由。
確かなことは分かりませんが、帯に『「在日特権を許さない市民の会」元会長 桜井誠氏も激賞!!』と書かれていること、在特会と対立する「レイシストをしばき隊」(現:「C.R.A.C」)をモデルにしたと思われる団体が悪者として描かれていること、有田さんが以前から「在特会の活動は人種差別的なヘイトスピーチだ」と批判していることを鑑みれば、その理由がおのずと見えてくるのではないでしょうか。

とはいえ、これだけ売れているとなると、「思想が背景にある購入」だけでなく、思想とは一切関係ない、話題性にのった「やじ馬的な購入」もあったと考えるのが自然。
わたしもそのひとりですが、わたしがこのマンガを購入した動機は有田さんが言うほどひどい内容なのかを自分の目で“確かめるため”でした。

つまり、ネットで騒がれていることを“確かめるため”の消費。
「土の味」がするとネットで話題になった後、品切れとなった「レモンジーナ騒動」のときも、本当に「土の味」がするのか“確かめたるため”にレモンジーナを購入する消費者の存在が指摘されていました。
「ネットで話題⇒その真偽を確かめるために購入」という新たな消費行動はヒット商品を生み出すヒントになりそうな気もしますが、どうなのでしょう。
サントリーにとっても青林堂にとっても想定外の事態であることを考えると、狙ってこうした現象を起こすのは限りなく不可能に近いのかもしれません。

(スタッフH)
(2015/5/19 UPDATE)

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