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小林弘幸さんが選ぶ人生の小説 ベスト3(2013/7/18)

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木曜日は「カルチャー」。


昨日、第149回芥川賞・直木賞の受賞作が決まりました。
そこで今日は、中西さんの代わりにパーソナリティーを務めてくださった
順天堂大学医学部教授の小林弘幸先生に
『人生の小説 ベスト3』をご紹介いただきました。



第3位『 太陽の季節 』石原慎太郎

現在は衆議院議員としても活動されている石原慎太郎さんが1955年に発表し、
芥川賞・文学界新人賞を受賞した短編小説です。
裕福な家庭に育った高校生の主人公は、ボクシングに熱中しながら
酒やタバコ、ケンカ、バクチ、女性関係と無軌道な生活を送ります。
それまでの世代とは価値観が異なる新しい生き方に共感を覚えた若者たちは
小説の中の生き方を模倣し、彼らは「太陽族」と呼ばれました。
それは、今につながる若者の姿が生まれた瞬間だったかもしれません。
この小説について小林先生はこうおっしゃっていました。


この小説は、この時代をもう“戦後”というのを止めよう、というのを
打ち出した作品で、私は高校・大学・社会人と3回読み返してみましたが
毎回作品から受けるインプレッションが違いまして、特に現代がどうやって
変わっていくかというのを如実に表しています。これがすごく新鮮に思えて、
こういう小説を読むと、自分も何かを変えていかなくてはならないな、と
思わされる作品ですね。

第2位『 峠 』司馬遼太郎

歴史小説の大家が1966年から1968年まで毎日新聞に連載した作品。
主人公は幕末の越後長岡藩家老・河井継之助という人物。
近代的な合理性と先見性、そして実行力を持ちながらも、綿々と続く
「藩」や「武士」という社会と身分を捨てず、長岡藩の家臣として、
武士として新政府軍と戦う主人公の悲劇を描いています。
この小説について小林先生はこうおっしゃっていました。


これは最初に読んだとき、すごく泣けました。幕末当時、幕府軍か官軍の
どちらかに属していなければならない、という環境の中で「独立国を作ろう」
という強い意志を持っていながら、悲運にも薩長と戦わなければならなかった
主人公なんですが、彼は常に“ぶれない”んですね。権力にぶれることがなければ、
周りの環境にもぶれない。常に一本、道が通っているという姿勢が
「こうやって生きていかなければならない」という気持ちを強くさせてくれた本です。

第1位『 白い巨塔 』山崎豊子

ひとりは苦学生として奨学金を得て、猛勉強の末に医師会の実力者の
婿養子となり頂点を目指す男。もうひとりは両親を早くに亡くし、
医療に打ち込むのは患者のためで、当然出世には無関心な男。
この正反対なふたりの意志が勤める大学病院の医局を舞台に、
出世・権力・金・医療ミスなど医学界の腐敗を追及した社会派小説。
1966年の映画化以来、何度も映像化されていますので
田宮二郎さんや唐沢寿明さん主演のテレビドラマを見た方も多いでしょう。
この小説について小林先生はこうおっしゃっていました。


これは、我々医師にとっては「絶対に読んでおくべき本」でして
ふたりの異なるタイプの医師、そのどちらを目指さないといけないか…?
実はふたりとも良いんです。それが環境に惑わされ、乱れてしまったという部分があって
やはり時代の流れとかそういったものを如実に表した本なんですね。
特に1990年代後半からは医療訴訟が大きな問題となっていまして、そのポイントを
描いたような部分もありまして、これからはこういったことをどうやって解決していくかが
我々の使命だと思っています。

小林先生がおすすめする3冊、まだ読んだことのない方はぜひ手に取ってみてください。
今日は【 小林弘幸さんが選ぶ人生の小説 ベスト3 】でした。