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いま、本屋さんがオススメする小説はこれ!(2016/4/14)

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木曜日は、「カルチャー」。


4月12日に、2016年の「本屋大賞」が発表されました。
今年で13回を数える「全国書店員が選んだ いちばん!売りたい本」
その上位5冊をご紹介します。



第5位『 朝が来る 』辻村 深月(講談社)

第4位『 永い言い訳 』西川美和(文藝春秋)

第3位『 世界の果てのこどもたち 』中脇初枝(講談社)

第2位『 君の膵臓をたべたい 』住野よる(双葉社)

第1位『 羊と鋼の森 』宮下奈都(文藝春秋)


以上、4月12日に発表された「全国書店員が選んだ いちばん!売りたい本 2016年本屋大賞」トップ5でした。
そして今日は、ライターで書評家の杉江松恋さんに「羊と鋼の森」について解説していただきました。


中西:まずこの「羊と鋼の森」はどんなストーリーなんでしょう。


杉江:このタイトルはピアノのことを表しています。“羊”は弦を叩くハンマーの部分の羊毛、“鋼”は弦、ワイヤーの部分ですね。この物語はピアノの調律師が主人公の小説なんですよ。主人公は17歳のときにピアノの調律を間近で見て、それに魅せられた戸村という青年が主人公で、彼が先輩のもとで一人前の調律師として成長していく物語です。


中西:どんなところが書店員さんに支持されたと思いますか?


杉江:まずはとても“美しい小説”だということですね。物語の舞台となっているのは北海道なんですが、そこで育った主人公の戸村から見た北海道の情景がものすごく美しいんですね。


中西:杉江さんは実際に読まれて、どんな感想を持ちましたか。


杉江:タイトルもそうなんですが、比喩がすごく美しい小説なんですね。で、ピアノの小説なので、音楽の小説になるんですが、音楽を弾く側から描いた小説というのはよくあると思いますが、調律師という立場から描かれた小説というのは非常に珍しく、大変に面白いと思いました。音楽を文章で表現するのは非常に難しいと思いますが、見事に音楽が聞こえてくるよい小説だったと思います。


中西:作者の宮下奈都さんはどんな方なんですか。


杉江:この方は純文学の作家さんですね。デビューの媒体もそういうところだったんですけれど、こういう地味ですが良い情景を描かれる作家さんで、ここ数年本屋さんでも人気があった方なんです。いつか本屋大賞を獲るだろうなぁ、という機運はありましたね。


中西:この小説はどんな方に薦めたいですか。


杉江:ふたつあるんですが、この小説はピアノの小説ということもあって、演奏するシーンも出てくるんですが、ピアノはとても残酷な楽器で、演奏のうまいヘタや将来性のあるなしまで、すぐに分かってしまうと思うんです。それでも努力し続けるピアノ演奏家と、演奏家としての道は断念しても、また違う道で頑張ろうという選択が描かれたりもするので、自分に才能があるなしで悩んでいる方にはぜひ読んで欲しいですね。
もうひとつは、19歳の主人公が成長していく過程が描かれた「成長小説」なので、10代や20代の方に読んでいただくと、自分に思い当たるふしが絶対にあるので楽しく読んでいだだけると思います。さらにその親御さんの世代の方に読んでいただけると、お子さんとその感想を語らいたくなるような作品です。


今日は、「全国書店員が選んだ いちばん!売りたい本 2016年本屋大賞」についてご紹介しました。