ビジネスマン、OLのネタ帳になるトピックを、毎日お届け!キャッチアップしておきたいトレンドをランキング形式で紹介しながら、毎日ひとつの話題にフォーカスしていきます。

2017年ベストセラーランキング(2017/12/7)

カテゴリー:1113
null

木曜日は、「カルチャー」。


今日は書籍・雑誌の流通業、日本出版販売が発表した
【 2017年ベストセラーランキング 】のトップ5をご紹介!



第5位『 騎士団長殺し 』村上春樹(新潮社)

第4位『 日本一楽しい漢字ドリル うんこ漢字ドリル 』(文響社)

第3位『 蜜蜂と遠雷 』恩田陸(幻冬舎)

第2位『 ざんねんないきもの事典 』今泉忠明 監修(高橋書店)

第1位『 九十歳。何がめでたい 』佐藤愛子(小学館)


こちらのランキングは、昨年11月26日から今年11月25日までの集計です。
そして今日取り上げるのは、8月24日発売の作品で、今回の年間ランキングでも18位にランクインしている『 漫画 君たちはどう生きるか 』
最新の週間ベストセラーランキングで1位にランクインしているこちらの作品について、この作品を企画した、マガジンハウス書籍編集部・編集長の鉄尾周一さんにお話を伺いました。


僕が読んだのは大学生のときなので、30年以上前。父から勧められて「たまにはこういういい本を読んでみろ」ということで読んだんですけれど、すごく心に染みるところもありつつ、ちょっと説教くさいな…というところもあり、素晴らしい本であるということは自分でも分かっていたんですけれど、そのあとに宮崎駿さんや前書きを書いて下さった池上彰さんとかが、この本は素晴らしい歴史的な名著である、ということをインタビューでおっしゃっているのを聞いて、その思いは強くなっていました。で、自分でも時々読み返したり、というような本ではあったんです。
ただ、すごくクラシックな名著なので、旧仮名遣いで読みにくかったり、時代設定も戦前だったりするので、今の若い人たちは多分読まないだろうな、という風には思っていたんです。それが、自分の編集部にいる若い人たちが、「僕はこの本が大好きです」と発言するのを聞いて、こういう若い人たちにもこの良さは伝わるんだ…ということがひとつのヒントになり、昔は手紙を書いていたのが電話になり、それが今はメールが普通で、電話することすら事件だったりすると思うんですけど、そういう風に時代によって伝わりやすい伝え方というのは変わってくるものかなと思っていて、日本だったら小説をマンガにするのが、もしかすると一番伝わりやすい伝え方なんじゃないかと思って、マンガ化に挑戦しました。

舞台は昭和のはじめ。中学生の主人公・潤一は、父親を亡くしてお母さんと二人暮らし。その近所に、お母さんの弟で勤務先の出版社が倒産した、元編集者の叔父さんが引っ越してきます。
あるとき、叔父さんと銀座のデパートの屋上にのぼった潤一は、雨粒ほどに見えるたくさんの人を見ているうちに、人間はちっぽけな存在だと気づいて怖くなります。
ひとりひとりの人間は“分子”のように小さな存在。自分もそう。世の中はその集まりで成り立っていることを「発見」するのです。
そのことを話すと、叔父さんは地動説を唱えたコペルニクスの発見になぞらえて、潤一に「コペル君」というあだ名をつけました。子どもから大人への階段を上り始めたコペル君。叔父さんをメンターとして「生きる」ことについて、たくさんの“気づき”を得ていきます。


このマンガを読んだ万里恵さんは「私もこの本を読ませていただいて、やっぱりコペル君に自分を投影して本を読み進めていったんですが、コペル君がいろんな悩みや壁にぶつかって、そこを乗り越えていく姿を見ていると、人間は自分で決定をして苦しむことも出来るし、そこから立ち直ることも出来るし、過ちを正せるところが人間の良いところだと。年を重ねると失敗が怖くなったり、出来るだけ傷つかないように行動しがちになっている自分がいたんですが、そうではない。正しい姿を子どもたちにも見せたいな、という感じがしました。」とおっしゃっていました。


マガジンハウスの鉄尾周一さんは、2017年のいま再注目された理由のひとつに「時代の共通性」を挙げました。


この本書かれた80年前は、戦前の軍部が強くなっていて不安を感じていた時代だと思うんです。それと同じように、今も世界的な不安もありつつ、日本の中でも生活が豊かになったという実感はあんまりないし、少子高齢化で地方は住む人がいなくなるとか、「不安な時代」というのが同じようにあって、そういう時代にはストレートで真っ当なことが心に響くんじゃないかと思っていて、そういう名作が輝く時代が“いま”なんじゃないか
というのがひとつあります。
ちょっと前までは働き方の時代だったと思うんです。どんな風に働いて、どんな風にお金を儲けるか、みたいな本が売れていたんですけれど、いまはどちらかというと、生き方をどうやって模索するかという時代にだんだんシフトしてきていて、そういうことを探している方にはこの本を読んでいただくと、ヒントみたいなものが隠されていると思うので、若い方はもちろんですが、いくつになってもそういうことを考え続けていらっしゃる全ての方に読んでいただきたいと思っています。

『 漫画 君たちはどう生きるか 』は、本体価格1,300円でマガジンハウスから発売中です。