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丸善 丸の内本店 フィクションランキング トップ5(2015/1/15)

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木曜日は、「カルチャー」。


1月15日の夕方、第152回芥川賞・直木賞が発表されます。
そこで今日は、丸善 丸の内本店のフィクションランキングをご紹介!
こちらは1月1日から7日までの集計によるものです。



第5位 池澤夏樹「古事記」(河出書房新社)

第4位 月村了衛「土漠の花」(幻冬舎)

第3位 山崎拓巳「神の門」(きずな出版)

第2位 水野敬也「夢をかなえるゾウ3」(飛鳥新社)

第1位 米澤穂信「満願」(新潮社)


昨年の山本周五郎賞を受賞し、直木賞候補にもなった「満願」。こちらは日数を定めて神仏に祈願、または修行し、その日数が満ちる意味です。「週刊文春ミステリー」「このミステリーがすごい」「ミステリーが読みたい」で年度の1位に選ばれたこの作品について、文芸評論家で書評家の杉江松恋さんに紹介していただきました。


「満願」の作者・米澤穂信さんは、1978年生まれで20代でデビュー。初期の頃は、学生を主人公にした青春ミステリーの書き手として注目されていましたが、現在は謎解きミステリーの書き手としては最有力者と言われるくらいの実力の持ち主です。
「満願」というのはもともとシリーズとして書かれたものではなくて、バラバラに6つの短編が収められているのですが、こちらには一つの共通点があって、登場人物たちが自分の置かれた立場から謎解きをしなければならなくなる、という切実な感情が描かれています。謎を解かないと自分の置かれたところから運命を切り開いていけない、というところがあって、読者にはそこが“死に迫る描写”として面白いのではないかと思います。
特に、この中で面白いなと思うのは「死人宿」という作品が特徴的です。文章の中に出てくるさりげない情報が、あとでどういう風に使われるか?大変意外性があります。恋人に逃げられた男性が、その恋人が旅館で働いていることを知り、もう一度会いたくて訪ねていくが、実はその旅館は自殺者が出ることで有名な宿で、その夜にもひとり、遺書を書いていることが判明するんです。男性は恋人をもう一度振り向かせるために、彼女が思い悩んでいる「もう自殺者を出したくない」という願いから、宿泊者の中にいる自殺志願者を見つけだそうとするお話です。
また、表題作の「満願」という作品は、青年が学生時代に下宿の主人の奥さんにほのかな憧れを持って眺めるという作品で、その奥さんが事件に巻き込まれていくことになるが、謎解きの興味と当時に、自分が苦学生だった頃の青春時代に思いを馳せる…という内容にもなっているので、これはミステリーとはまた違う意味でも楽しめるのではないかと思います。


寒い日は暖かい部屋で読書にふけるのも良いのではないでしょうか?
今日は【 丸善 丸の内本店 フィクションランキング トップ5 】をご紹介しました。