yes!~明日への便り~presented by ホクトプレミアム 霜降りひらたけ

yes!~明日への便り~presented by ホクトプレミアム 霜降りひらたけ 第百十六話 見えない目で、見る -【青森篇】板画家 棟方志功-

yesとは?

  • 語り:長塚圭史
  • 脚本:北阪 昌人

『自分にyes!と言えるのは、自分だけです』
今週あなたは、自分を褒めてあげましたか?
古今東西の先人が「明日へのyes!」を勝ち取った 命の闘いを知る事で、週末のひとときを プレミアムな時間に変えてください。
あなたの「yes!」のために。

―放送時間―
TOKYO FM…SAT 18:00-18:30 / FM OH!…SAT 18:30-19:00
@FM(FM AICHI)…SAT 18:30-19:00 / FM長野…SAT 18:30-19:00
FM FUKUOKA…SAT 20:00-20:30 /FM軽井沢…SAT 18:00-18:29

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第百十六話見えない目で、見る

青森県青森市にある棟方志功記念館は、青森が生んだ世界に誇る板画家、棟方志功の文化勲章受章を讃え、その偉業をのちのひとたちに伝えるために、1975年、昭和50年に開館しました。
建物は、校倉づくり。大切な宝物を後世に残す東大寺正倉院と同じつくりです。
記念館を校倉づくりにしたことに、青森のひとたちが、いかに棟方志功の作品を大事にしているかがわかります。
棟方にとって、青森に生まれ育ったということは、とても大きな意味を持っていました。
彼に絵筆をとれと教えてくれたのは、空を舞う凧の絵と、ねぷたでした。
和紙に墨で絵をしるすねぷたの造形は、彼に壮大な夢を与えたのです。
棟方は、自らを“板画家”と名乗りましたが、その板画家のハンの字は、通常使われる版画のハン、出版社のハンではなく、板という字を使いました。
板に向き合い、板に命を吹き込んだ彼の思いの強さの表れです。
晩年、彼の右目は、まったく見えませんでした。
左目もほとんど見えず、それでも彼は板に刃を入れ続けました。
彼は、こう書き記しています。
「まことにおかしなもので、わたくしの右眼は、刃物を持つと見えてきます。筆で書いている時は、全然判別できぬような細かい字でも、米粒のような字でも、線、点でも、板刀を持つと彫れます。神様がそのように育ててくれているので、有り難い極みです」
板画には、彼がいうところの、間接性があります。
肉筆で画く絵とは違い、板画には、板の特製を知り、板の気持ちに寄り添う優しい心が必要なのです。
生涯、子どものような純粋な魂を持ち続けた板画家、棟方志功が人生でつかんだ、明日へのyes!とは?

世界的な板画家、棟方志功は、1903年9月5日、青森市に生まれた。
産声があまりに大きいので、近所では鬼が生まれたのではないかと言われた。
15人兄弟の三男坊。最初の記憶は、天井の黒く光る太い梁。
高い場所に神棚があり、稲荷様が鎮座していた。
祖母も両親も信心深く、それは子どもたちに引き継がれた。
志功の父・幸吉は、刃物の鍛冶職人。
その腕の良さは評判で、父が鍛えた鉈(なた)、鉞(まさかり)、鎌は、博覧会で賞をとるほどだった。
真っすぐで、嘘がつけない性格。
そのため、好きな仕事はするが、嫌いな仕事はいっさいしない。
家にお金がなくても、酒をあおり、好きな釣りに興じた。
どんなに貧乏でも、母・サダは愚痴ひとつ言わなかった。
怒りっぽい父に何を言われても耐え続けた。
幼い志功が父の逆鱗に触れ、囲炉裏にあった鉄瓶を投げつけられたとき、母は志功をとっさにかばった。
鉄瓶は母の眉間にあたり、流血。
それでも母は頭に手ぬぐいを巻き付け、文句ひとつ言わず、父を、家族を支え続けた。
母が病に倒れ、42才で生涯を閉じたとき、誰よりも大声で泣いたのは父だった。
「サダ!サダ!」。母の棺の蓋をうち付けるとき、父はこう言った。
「おめえさを打づのも、こいで最後だ。うんと泣け!うんと泣け!」
志功は、そんな父と母の姿を見て育った。
父からは職人の仕事ぶりを、母からは忍耐を学んだ。

棟方志功が初めて見た絵は、寺に飾られていた地獄絵だった。
祖母は、幼い志功にその絵を見せた。つないだ手に汗がにじむ。
泣き叫び逃げ惑うやせ細った人間。血の池、針の山。
怖かった。
でも同時に、鬼の形相に強く魅かれた。
ぎょっと開かれた目。懺悔する姿。
たった1枚の絵に、人生の深淵を感じた。
小学校では、国語と習字が得意だった。
大きな声で教科書を読むと、担任の工藤さかゑ先生に褒められた。
「よろしい、よろしい」。必ず2回、言ってくれた。
うれしくて、さらに元気いっぱいに読んだ。
漢字の書き取りも上手で、黒板に出てきて書いた。
志功は背が低かったので、先生が台座を用意してくれた。
図画は、大好きだったのに、優はもらえなかった。
他の生徒は、ただお手本を真似る。
志功はただ真似るのが嫌だった。
お手本の中の好きな部分を拡大する。
たとえば鯛が描かれていれば、その鯛の目だけを大きく描いた。
図画の先生は、ほめてはくれない。
それでも志功は、自分の流儀を変えなかった。
志功の絵の素晴らしさをわかったのは同級生のほうだった。
「シコ(志功)、絵かいてケロ」と紙を持ってくる。
絵を画いてやると、真っ白い紙を1枚くれた。
家が貧しかったので、その白い紙が有り難かった。
絵を画いていると、小さくて目が悪く運動神経もない自分が、大きくなったような気がした。
同級生同士で、「オメエ、大きくなったら、なんになる?」と話し合う。
幼い棟方志功は、こう答えた。
「セカイイチになる」
以来、彼のあだ名は、「セカイイチ」になった。

棟方志功は、18歳のとき、ゴッホの『ひまわり』を見て衝撃を受けた。
その圧倒的な存在感と生命力。
その作品は、ゴッホというひと自身だと思った。
「ああ、自分もこんな作品をつくってみたい。これこそが、オレだという作品を画いてみたい」。
「わだば(わたしは)、ゴッホになる」そう思った。
絵に没頭する。しかし、画いても画いてもコンクールに落選。
仲間は師匠の弟子になることをすすめたが、嫌がった。
ゴッホも、我流。誰にも教えをこうたことはない。
師匠についたら、師匠以上にはなれない。
自分は誰も歩いたことのない新しい道を歩く。
やがて、彼は気づいた。
尊敬するゴッホが影響を受けたものが、日本にあった。
葛飾北斎、安藤広重らの、江戸時代の木版画。
「この道より我を生かす道なし、この道をゆく」という武者小路実篤の言葉を胸に、版画の道に進むことを決めた。
決めたらもう、ただ突き進む。
板にたずね、板とともに生き、板の命を彫り出した。
彼は自らを、板を極める道と書いて、「板極道」と呼んだ。
彼は晩年、こんな言葉を残した。
「愛シテモ、アイシキレナイ。驚イテモ、オドロキキレナイ。歓ンデモ、ヨロコビキレナイ。悲シンデモ、カナシミキレナイ。ソレガ板画デス」
彼は、問う。
あなたが生涯かけてやりたいものは、なんですか?
あなたはそれに魂を込めていますか?
見えない目が見えるくらいに。

【ON AIR LIST】
名も知らぬ花のように / Yae
I'm In Love With You / Kari Jobe
ひまわり / 福山雅治
歌うたいのバラッド / 斉藤和義

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今週のRECIPE

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霜降りひらたけの根菜汁

今回は、棟方志功の生まれ故郷、青森で多く生産されている、長芋を使った料理をご紹介します。

霜降りひらたけの根菜汁
カロリー
162kcal (1人分)
調理時間
30分
使用したきのこ
霜降りひらたけ
材料
【2~4人分】
  • 霜降りひらたけ
  • 2パック
  • 長芋
  • 30g
  • 人参
  • 20g
  • 大根
  • 50g
  • 長ねぎ
  • 1/2本
  • 油揚げ
  • 1枚
  • 味噌
  • 100g
  • 大さじ2
  • 900cc
  • しょう油
  • 少々
作り方
  • 1.
  • 霜降りひらたけは小房にほぐす。長芋、人参、大根をいちょう切り、油揚げを細切りにする。
  • 2.
  • 長芋、人参、大根を油をひいた鍋に入れ、中火で炒める。水を加えて油揚げを入れ、アクをとり、根菜に火が通るまで煮る。
  • 3.
  • 味噌、しょう油で味を調える。
  • 4.
  • 最後に霜降りひらたけと1cm幅に切った長ねぎを加え、ひと煮立ちさせる。(お好みで、しょうが・ごま油を加えることで、体を温め、おいしさを引き立てます。)
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番組へのメッセージ

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PROFILE

  • 長塚 圭史

    語り:長塚 圭史

    1975年生まれ。東京都出身。96年、演劇プロデュースユニット「阿佐ヶ谷スパイダース」を旗揚げ、作・演出・出演の三役を担う。08年、文化庁新進芸術家海外研修制度にて1年間ロンドンに留学。帰国後の11年、ソロプロジェクト「葛河思潮社」を始動、三好十郎作『浮標(ぶい)』を上演する。近年の舞台作品に、『鼬(いたち)』、『背信』、『マクベス』、『冒した者』、『あかいくらやみ~天狗党幻譚~』、『音のいない世界で』など。読売演劇大賞優秀演出家賞など受賞歴多数。
    また、俳優としても、NHK『植物男子ベランダー』、WOWOW『グーグーだって猫である』、WOWOW『ヒトリシズカ』、CMナレーション『SUBARUフォレスター』など積極的に活動。

  • 北阪 昌人

    脚本:北阪 昌人

    1963年、大阪生まれ。学習院大独文卒。
    TOKYO FMやNHK-FMなどでラジオドマ脚本多数。
    『NISSAN あ、安部礼司』(TOKYO FMなど全国FM37局ネット)、『ゆうちょ LETTER fo LINKS』(TOKYO FMなど全国FM38局ネット)、『世界にひとつだけの本』(JFN)、『AKB48の私たちの物語』(NHK-FM)、『FMシアター』(NHK-FM)、『青春アドベンチャー』(NHK-FM)などの脚本・構成を担当。『プラットフォーム』(東北放送)でギャラクシー賞選奨、文化庁芸術祭優秀賞受賞。『月刊ドラマ』にて、「ラジオドラマ脚本入門』連載中。
    主な著書に『世界にひとつだけの本』(PHP研究所)、『えいたとハラマキ』(小学館)がある。

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NEWS

特別版『オードリー・ヘップバーンが教えてくれる、明日へのyes!』
常盤貴子さん長塚圭史さん
風も、雨も、自ら鳴っているのではありません。 何かに当たり、何かにはじかれ、音を奏でているのです。
誰かに出会い、誰かと別れ、私たちは日常という音を、共鳴させあっています。
YESとNOの狭間で。
あなたは、自分に言っていますか?
YES!ささやかに、小文字で、yes!
毎週土曜日、明日(あした)への希望の風に吹かれながら、自分にyes!と言ったひとたちの物語を朗読でお届けしている番組『yes!明日への便り』。 1月8日は、その特別版「オードリー・ヘップバーンが教えてくれる、明日へのyes!」をお送りいたします。
2018年に没後25年を迎える稀代の大女優オードリー・ヘップバーンの波乱万丈な人生―女優になるまでの波乱に満ちた半生、輝かしい女優時代、ユニセフ親善大使として世界中の子どもたちに尽くした晩年までを、 女優の常盤貴子さんが演じます。
長塚圭史は「語り」の部分やオードリーの夫、また彼女の人生に影響を与えた映画監督の役を担当します。女優、オードリー・ヘップバーンが、私たちに教えてくれる、明日へのyes!とは?

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