yes!~明日への便り~presented by ホクトプレミアム 霜降りひらたけ

yes!~明日への便り~presented by ホクトプレミアム 霜降りひらたけ 第五十五話 飛び立つスロープ -【東京篇】 建築家 ル・コルビュジエ-

yesとは?

  • 語り:長塚圭史
  • 脚本:北阪 昌人

『自分にyes!と言えるのは、自分だけです』
今週あなたは、自分を褒めてあげましたか?
古今東西の先人が「明日へのyes!」を勝ち取った 命の闘いを知る事で、週末のひとときを プレミアムな時間に変えてください。
あなたの「yes!」のために。

―放送時間―
TOKYO FM…SAT 18:00-18:30 / FM OH!…SAT 18:30-19:00
@FM(FM AICHI)…SAT 18:30-19:00 / FM長野…SAT 18:30-19:00
FM FUKUOKA…SAT 20:00-20:30 /FM軽井沢…SAT 18:00-18:29

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第五十五話飛び立つスロープ

東京都台東区、上野公園内にある『国立西洋美術館』は、2016年、「ル・コルビュジエの建築作品―近代建築運動への顕著な貢献―」の構成資産として、世界文化遺産に登録されました。
この美術館を設計したル・コルビュジエという建築家は、フランク・ロイド・ライト、ミース・ファン・デル・ローエとともに、「近代建築の三大巨匠」と呼ばれる人です。
『国立西洋美術館』は、今から57年前の1959年に開館しました。入口に、ロダンの「地獄の門」や「考える人」を有し、館内には、モネの「睡蓮」や、ルーベンスの「豊穣」、モロー、クールベ、ミレー、ルノワールにゴーギャンなど、名立たる画家の作品が常設で展示されています。
建物の平面は、正方形。7本の円柱が荘厳な雰囲気を醸し出し、ル・コルビュジエが愛した高床式、ピロティという技法も取り入れられています。
印象的なのは、2階。中央吹き抜けのホールを囲むのは、回廊状の展示室。ル・コルビュジエは、これを「無限成長建築」と名付けました。
将来、拡張すべきときには、外側に建物を継ぎ足せる構造になっているのです。
また日本初と言われる免震構造、地盤から絶縁する本格的な免震レトロフィット工事を行っており、幾多の災厄からこの美術館を守ってきました。
1954年に巨匠への依頼が決まり、彼は翌年の1955年に来日します。このときのわずか8日間の滞在が、最初で最後の日本旅行になります。
1956年に届いた基本設計案をもとに、ル・コルビュジエの弟子たちが、のちに世界文化遺産になる美術館を建てたのです。
彼の設計は、日本の建築家に大いなる影響を与えました。
丹下健三、磯崎新。もしル・コルビュジエというひとがいなかったら、東京の風景は変わったものになっていたことでしょう。
今もなお、その存在感を放ち続ける、そんなル・コルビュジエが人生でつかんだyesとは?

20世紀建築の巨匠、ル・コルビュジエは、1887年スイスに生まれた。父は時計の文字盤職人。母はピアノ教師だった。
彼が生まれたラ・ショート・ド・フォンという街は、フランスとの国境近くの山に囲まれた場所。中世の宗教戦争に負けたひとたちが、難を逃れ、自分たちの食いぶちを得るために、時計産業を興した。
その静かな不屈精神は、代々受け継がれ、精密な機械を操る文化が、根付いた。
コルビュジエの父もそんな職人だった。
父は、息子に家業を継ぐことを願った。
息子コルビュジエは、父と同じように地元の美術学校に入り、蓋つきの装飾時計の職人になるべく、彫金とデザインを学んだ。
このままいけば、一生、ふるさとから出ることのない時計職人になる。でも、ル・コルビュジエは、優秀過ぎた。
若き校長のレプラトゥーニ先生は、いちはやく、彼の卓越したデザイン力に着目する。
「この子は、他の子にはない力がある。森に入れば、自然の造形が幾何学的な美しさを持っていることも理解している。木々がなぜ強い風にも強靭なのかもわかっている。この子には、何か、ある!」
この先生には信念があった。それは、「建築は全ての芸術の母である」ということ。
こうして、コルビュジエは、校長先生の推薦により、地元の建築家の見習いになる。
人には必ず転機がある。往々にしてそのきっかけは、他者からやってくる。

近代建築の巨匠、ル・コルビュジエは、1955年11月、カラチ経由で日本にやってきた。
国立西洋美術館建設予定地の視察のためだった。
たった8日間の日本滞在。彼の心を最もうったのは、京都の桂離宮だった。庭園、杉苔の素晴らしさ。茶屋たちが卍型に配置された美しさ。
日本の建築には、彼の琴線に触れるものがたくさんあった。
それらは、全て、国立西洋美術館の設計図案に生かされた。
ル・コルビュジエには、建築を志してからの信念があった。
それは「住宅は、住むための機械である」。
いかにも、スイスの時計職人の家に生まれた経験が推察できる。
機能的であり、装飾を嫌い、幾何学的で美しい。
住宅に限らず、彼の建築には過度な装いがなかった。
それはおそらく、彼がそこに住む人のことを考えたから。
その美術館に訪れる人のことを思ったから。
中途半端な自己顕示欲はあらゆる仕事を汚してしまう。
大切なのは、自分の仕事が誰のためであるかということだ。

建築家、ル・コルビュジエは、自らの設計に5つの要素を重視した。「スロープ」「屋上庭園」「水平連続窓」「自由な平面」そして高床を支柱で支える「ピロティ」。
特に「スロープ」には並々ならぬ思い入れがあった。
拡がり、開放。それはきっと、時計の文字盤の世界にないものだった。
父が生涯やりとげた時計職人。でも彼は野心を抱き、世界に飛び出し、建築家になった。
真っ白な設計図に何を書いてもいい。何をしようとかまわない。
でも、彼は知っていた。人間は、自分が観てきたもの、自分の体験したものから始めるしかない。
彼の頭には常に、正確な時を刻む時計の音が鳴り響いていたのかもしれない。

1965年8月27日午前11時。
フランスのカップ・マルタンの海岸にコルビュジエの姿があった。77歳の彼は、夏の陽射しに目を細め、海風に身をあずけ、波音を感じながら、海に入り、やがてそのまま帰らぬひとになった。
亡くなる前に、こんな言葉を残している。
「我が人生は、めまいを起こすほどの速さで過ぎ去った。終わりがすぐ近くにあることさえ気づかぬこの人生で、私に起こったことは、全て頭の中で起こり、形を整え、だんだん形を変えていく」。
彼は越えようとしていた。死ぬ寸前まで、自分という時計の文字にスロープをつくり、飛び出そうとしていた。
そしてその思いこそが、世界文化遺産にたどり着いた。

【ON AIR LIST】
Dancing on the Graves of Le Corbusier's Dreams / Karl Hyde
#9 Dream / John Lennon
Both Sides Now / Joni Mitchell
進水式 / KIRINJI

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今週のRECIPE

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霜降りひらたけとじゃがいものバター炒め

20世紀建築の巨匠、ル・コルビュジエの故郷であるスイスでは、じゃがいも料理がよく食されていますが、今回は、じゃがいもを使ったこちらの料理をご紹介します。

霜降りひらたけとじゃがいものバター炒め
カロリー
172kcal (1人分)
調理時間
10分
使用したきのこ
霜降りひらたけ
材料
【2人分】
  • 霜降りひらたけ
  • 1パック
  • じゃがいも
  • 小1個
  • ピーマン
  • 1/2個
  • ベーコン
  • 2枚
  • バター
  • 10g
  • 小さじ1/4
  • 黒こしょう
  • 適量
  • パセリ
  • 適量
作り方
  • 1.
  • 霜降りひらたけは食べやすくほぐす。
  • 2.
  • ベーコンは2cm幅に、ピーマンは輪切りにする。じゃがいもはよく洗い、皮ごとくし形に切る。
  • 3.
  • フライパンにバターの半量を熱し、じゃがいもを炒め、蓋をして5分程蒸し焼きにする。
  • 4.
  • 火が通れば、残りのバターを加えて、ベーコン、霜降りひらたけ、ピーマンの順に炒める。塩、黒こしょうで味を調え、刻んだパセリをちらす。
  • recipe LIST

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PROFILE

  • 長塚 圭史

    語り:長塚 圭史

    1975年生まれ。東京都出身。96年、演劇プロデュースユニット「阿佐ヶ谷スパイダース」を旗揚げ、作・演出・出演の三役を担う。08年、文化庁新進芸術家海外研修制度にて1年間ロンドンに留学。帰国後の11年、ソロプロジェクト「葛河思潮社」を始動、三好十郎作『浮標(ぶい)』を上演する。近年の舞台作品に、『鼬(いたち)』、『背信』、『マクベス』、『冒した者』、『あかいくらやみ~天狗党幻譚~』、『音のいない世界で』など。読売演劇大賞優秀演出家賞など受賞歴多数。
    また、俳優としても、NHK『植物男子ベランダー』、WOWOW『グーグーだって猫である』、WOWOW『ヒトリシズカ』、CMナレーション『SUBARUフォレスター』など積極的に活動。

  • 北阪 昌人

    脚本:北阪 昌人

    1963年、大阪生まれ。学習院大独文卒。
    TOKYO FMやNHK-FMなどでラジオドマ脚本多数。
    『NISSAN あ、安部礼司』(TOKYO FMなど全国FM37局ネット)、『ゆうちょ LETTER fo LINKS』(TOKYO FMなど全国FM38局ネット)、『世界にひとつだけの本』(JFN)、『AKB48の私たちの物語』(NHK-FM)、『FMシアター』(NHK-FM)、『青春アドベンチャー』(NHK-FM)などの脚本・構成を担当。『プラットフォーム』(東北放送)でギャラクシー賞選奨、文化庁芸術祭優秀賞受賞。『月刊ドラマ』にて、「ラジオドラマ脚本入門』連載中。
    主な著書に『世界にひとつだけの本』(PHP研究所)、『えいたとハラマキ』(小学館)がある。

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NEWS

OA 100回 記念特別企画 『ジョンとヨーコ、それぞれのyes!』
西田尚美さん長塚圭史さん
風も、雨も、自ら鳴っているのではありません。 何かに当たり、何かにはじかれ、音を奏でているのです。
誰かに出会い、誰かと別れ、私たちは日常という音を、共鳴させあっています。YESとNOの狭間で。 今週、あなたは、自分に言いましたか?YES!ささやかに、小文字で、yes。
明日(あした)への希望の風に吹かれながら、自分にyes!と言ったひとたちの物語をお贈りしている「yes!~明日への便り~」。
7月22日と7月29日の2週にわたり、番組100話記念スペシャルとして、軽井沢にゆかりのある、ジョン・レノンとオノ・ヨーコの物語をお届けします。
二人のインタビューや数多くの著作物をもとにフィクションでお送りするドラマ『ジョンとヨーコ、それぞれのyes!』。

オノ・ヨーコ役は女優の西田尚美さん朗読は、長塚圭史さんでお送りします。

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