語り手:乳酸菌

トンネルを抜けるとそこはおなかの中だった…。 乳酸菌は今日も人と生きている。 ボクらは乳酸菌。古くからこの星に住み、 人間や動物の体に宿り、日々活動しています。 そんな乳酸菌たちが宿主と一緒に喜んだり、悲しんだり。 時には励ましたり…おなかの中から 語りかけるストーリィをお楽しみください。

メッセージ

番組ではメッセージを募集しています!番組の感想や乳酸菌くん(語り手)へのメッセージをお寄せください。

2011年10月02日(日)

息子の初キッチン

ボクの宿ぬしは、32歳の女性です。
彼女は今、ペペロンチーノを食べています。
香ばしく香るニンニクに、少しやわらかめのパスタ、青々としたパセリ…

あれ? 今日はずいぶんゆっくり食べるんだね。
ねぇ、おなかの調子でも悪いの?

女性:ふふ、おいし。

そう、そんなはずはありません。
彼女のおなかは、ボクら乳酸菌が悪玉菌と戦い、
調子を整えていますから!
理由は、ほかにありました。
今日のお昼は、彼女にとって記念すべきものだったのです。

まだ子どもだと思っていた小さな息子が、夫と一緒に、初めてキッチンに立ったのです。
彼女はただ、この時間を少しでも長く味わっていたかったのです。
たいせつに、ゆっくりと。

女性:ほんと、おいしい。

ヒトの健康がそうであるように、人の幸せも、日々、小さなことから作られていきます。
宇宙で無数の星が輝くように、彼女のおなかのなかでは、100兆個もの乳酸菌が活動しています。
ボクら乳酸菌は、そんな小さな宇宙から、彼女の毎日を見守っています。

女性:ねぇ、また作ってね。今度は少しだけ、ニンニク控えめで。

うん、確かに。あと、もうちょっと麺もアルデンテでね。
じゃあ、また、日曜のお昼に。