語り手:乳酸菌

トンネルを抜けるとそこはおなかの中だった…。 乳酸菌は今日も人と生きている。 ボクらは乳酸菌。古くからこの星に住み、 人間や動物の体に宿り、日々活動しています。 そんな乳酸菌たちが宿主と一緒に喜んだり、悲しんだり。 時には励ましたり…おなかの中から 語りかけるストーリィをお楽しみください。

メッセージ

番組ではメッセージを募集しています!番組の感想や乳酸菌くん(語り手)へのメッセージをお寄せください。

2013年06月02日(日)

写らない涙

ボクの宿ぬしは、29歳の男性です。
彼、ブライダル・カメラマン。
表には出ないけれど、ボクらと同じ、大切なお仕事。
今日も、幸せいっぱいの式場で、最高の写真を撮らなくちゃね!

式が進むと、新郎新婦のお色直し。
このブレイクのスキに、花嫁のお父さんにフォーカス!すると…
ああ!
さっきまで笑っていたのに、メガネをとって、目頭を抑えて……。

そして、式はクライマックス。
プロジェクターに映し出される、小さな頃の写真をバックに、花嫁が、ご両親へ、お手紙を…。

花嫁:「大好きな、お父さんとお母さんへ。こんな風に手紙を読むのは、初めて…、いや、小学校の参観日に作文読んで以来かな。あのときの作文、覚えてる?初めての、ピアノの発表会の話。緊張で震えていた私の手を、お父さんとお母さんがギュッと握って、「楽しんできなさい」って…それで、発表会は大成功。あのときの温もり、いま、この手紙を持つ手にも残っています…」

いよいよ、娘さんを送り出す時間…。
でも…ねえ、見て! お父さん、優しく微笑んで…。
花嫁に、涙は見せたくないんだね。

写真には写らないけれど…。
…あんな涙と出会えるから、このお仕事、大好きなんだよね。

ボクらも、健康という幸せのために、日々、おなかのなかを見守っていくよ。
じゃあ、また、日曜のお昼に。