語り手:乳酸菌

トンネルを抜けるとそこはおなかの中だった…。 乳酸菌は今日も人と生きている。 ボクらは乳酸菌。古くからこの星に住み、 人間や動物の体に宿り、日々活動しています。 そんな乳酸菌たちが宿主と一緒に喜んだり、悲しんだり。 時には励ましたり…おなかの中から 語りかけるストーリィをお楽しみください。

メッセージ

番組ではメッセージを募集しています!番組の感想や乳酸菌くん(語り手)へのメッセージをお寄せください。

2013年05月12日(日)

たったひとつのディスプレイ

ボクの宿ぬしは、58歳の女性です。
久々に上京した、彼女。
「母の日だから」…って、東京で働く娘さんが、ショッピングに連れて行ってくれるんだって。
待ち合わせ場所に行くと…。

娘:「お母さーん!」
母:「かすみ〜!あ〜れ、あんな黒ブチメガネかけちゃって!」
近況報告をしながら、街を歩くふたり…。

…と、娘さん。
娘:「このお店にしよ。」
ショーウインドウには…
たくさんの音符が浮かんだ、青い空。
そして、一面にアマリリスの花。
きれいなディスプレイだね。

娘:「お母さん、昔、よく、アマリリス植えたよね?」
母:「…ああ、そういえば…」
娘:「実は…、このディスプレイね、わたしが担当したの。」
母:「え?ええ?!…これ、かすみが?!」
娘:「今日は、これを見せたくって…、これ、お母さんのイメージだから…」
かすみちゃんと花を植えた、あの頃。
一緒に口ずさんだ、アマリリスのメロディ…。

娘:「お母さん、ありがと。」
この世に、たったひとつのディスプレイ。

ボクら乳酸菌も、かけがえのない健康を、おなかのなかから見守るよ。
じゃあ、また、日曜のお昼に。