語り手:乳酸菌

トンネルを抜けるとそこはおなかの中だった…。 乳酸菌は今日も人と生きている。 ボクらは乳酸菌。古くからこの星に住み、 人間や動物の体に宿り、日々活動しています。 そんな乳酸菌たちが宿主と一緒に喜んだり、悲しんだり。 時には励ましたり…おなかの中から 語りかけるストーリィをお楽しみください。

メッセージ

番組ではメッセージを募集しています!番組の感想や乳酸菌くん(語り手)へのメッセージをお寄せください。

2015年03月22日(日)

あのときのひとこと

ボクの宿ぬしは、40歳の男性です。

この春、本社へ転勤する、部下の稲村クン。

宿主:「来週からは、本社だな。」
稲村くん:「はい、常川さん。いってきます。」

新入社員で配属されて、6年。
最初は、いろんなことに自信がなかったよね。
仕事を終えると、その日は、部署内で送別会。
二次会のカラオケの後、
ふたりでちょこっと、屋台へいくと…。
稲村くん:「ホント、常川さんには、お世話になりました。」
…と、稲村くんが、改まって挨拶。
すると…。
稲村くん:「それに、僕、今でも憶えてますよ。常川さんのひとこと。」
え?…ひとこと?
稲村くん:「『せっかく自分で考えた企画なんだから、大きい声でプレゼンしないと、企画がかわいそうだろ』って…」
ああ、そんなことも、言ったかも。

ラーメンをすすりながら、ささやかな思い出話。
でも、別れ際は、いつも通り…。
稲村くん:「常川さん、おつかれさまです。」
宿主:「おつかれ。本社でも、がんばれよ。」

そうして、振り返って歩き始めると…。
稲村くん:「常川さーん!」
ええ!?稲村クン?!
稲村くん:「常川さーん!ありがとうございました!!」

次の場所へ巣立つ、稲村クン。
その大きな声なら、大丈夫そうだね。
宿主:「がんばれよ、稲村。」
ボクらも、いつだって、おなかの健康を見守っているよ。

じゃあ、また、日曜のお昼に。