ALL-TIME BEST〜LUNCH TIME POWER MUSIC〜

アーティストLOVEがお届けしています。

TOKYO FM

MUSIC WORLD MAP 〜Emel〜

ON AIR REPORT / 2021.08.30 update
null
音楽で世界を知る/歴史を知る企画 『MUSIC WORLD MAP』
Vol.9 Emel「Kelmti Horra」 (2020)

今から約11年前。2010年。北アフリカと中東全域で「アラブの春」という、若い人達による大きな抵抗運動が起きたのを覚えていますか?
きっかけは、フルーツ売りをしていた若いチュニジア人男性が、スタンドを移動させるよう強制的に警官に求められたあとに焼身自殺したことからはじまります。

北アフリカに位置するチュニジアの若い人たちの失業率は30パーセント。生活がいっこうに良くならないことに不満がたまっていました。にも関わらず、当時の大統領の一族は利権を独占。23年間もの長期政権を握っていたんです。そんな政治腐敗に若い人たちの不満は爆発寸前状態。
このフルーツ売りの男性の焼身自殺はそのきっかけになり、チュニジアの若い人の間で反政府デモがどんどん拡大していき、ついには大統領一族の長期体制を覆したんですね。

政府に対する若い世代の抗議活動は、Facebook、Youtube、Twitter、Instagram、さらにWikiLeaksといったネットメディアも重要な役割を果たして、チュニジアだけじゃなく、エジプト、リビアをはじめ、アラブ諸国にどんどん広がっていきます。
その広がりの大きな役割を果たしたのが、エメルというチュニジア生まれの女性シンガーソングライターの曲、「Kelmti Horra」。

日本語訳すると、“わたしの言葉は自由”。

2010年にチュニジアで起こったジャスミン革命で、彼女がこの曲を歌う様子を収めた動画が、SNSで拡散され、アラブの春のアンセムとして定着しました。

この曲をリリースする以前にすでに彼女はチュニジア政府から目をつけられ、テレビやラジオで彼女の曲は放送禁止になっていました。でも、決して政府に屈することなく、この曲を書いて、SNSで拡散させていくんですね。もともとエメルのお父さんは “自分の意見”をもったためにチュニジアで投獄され、職を失い、23年間にわたって家族のもとを離れることになりました。彼女を駆り立てたのは、紛れもなく政府からの抑圧に対する抵抗だったんです。

そんな、エメルの「Kelmti Horra」は、こんな事を歌っています。

私は自由で、私の言葉も自由なのだ 私は自由で、恐れを知らない人々だ

私は絶対に諦めないものたちの声だ

悲劇の発端を忘れるな 助けが必要だった時に裏切った人間を忘れるな

私は闇に輝く星だ 私は抑圧するものたちの喉に刺さるトゲだ

私は忘れられぬものたちの魂そのものであり まだ死んでいない者たちの声である

金属から土を作ろう それを使って新たな愛を形作ろう

やがてそれは鳥になり やがてそれは国になり やがてそれはふるさととなるだろう

チュニジアはその後、憲法の制定や民主的な選挙を実現。でも経済は低迷して職を求めてヨーロッパに渡る若者も多いそう。現状に幻滅していて、次の時代につながるビジネスや希望などが必要とされています。

そんな中、希望の光も少し見えています。LOVEちゃんはこう話します。
「情報統制によって投獄されることがなくなったのは、人々の努力の結果だと思う。一方で、日本でも少し情報統制のことがある。自分の意見を言っているつもりでも、広告だったり、色んな主張だったり、そうゆうものを言わされるようになっていくのが次世代の言論の危険だと言われています。
政治の腐敗、それぞれの時代の不満の背景が合わさった時にどんな未来ができていくのか、アラブの春から学ぶことができるんじゃないでしょうか。」(LOVE)

■今日の『MUSIC WORLD MAP』放送を聞き逃した方はこちらから。
(*1週間聴取可能です)

Page TOP