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TOKYO FM

MUSIC WORLD MAP 〜Elton John〜

ON AIR REPORT / 2021.09.07 update
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音楽で世界を知る/歴史を知る企画 『MUSIC WORLD MAP』
Vol.13 Elton John 「Candle in the Wind 1997」

1997年、8月31日。
イギリスのチャールズ第一王子の元プリンセス、ダイアナが交通事故により、36歳という若さで、不慮の死を遂げました。彼女の葬儀でエルトン・ジョンが歌ったのが 「Candle in the Wind 1997」。

元々は1973年にリリースした曲で、実はマリリン・モンローに宛てた曲なのですが、ダイアナ元皇太子妃の訃報を受けたイギリス国内のラジオ局が、追悼の意味を込め「Candle in the Wind」をオンエア。この動きを受けて、長年エルトン・ジョンとクリエイティブを共にしているバーニー・トーピンに連絡。歌詞を書き直して作られたのがこの曲です。

ではなぜ、ダイアナ元皇太子妃は、人々に愛されていたのでしょう・・・?

その美しさやセンスからファッションアイコンとして注目を浴びていましたが、それだけではなく、慈善活動家として、支持を集めていました。今から20年以上前。まだ「SDGs」という言葉もなかった時代ですが、彼女は「貧困をなくすこと」、「飢餓をゼロにすること」、「すべての人に健康と福祉を施すこと」を目標に、100以上の慈善団体のパトロンになっていました。例えば、HIVやエイズに対する偏見・差別を変えるため手袋をつけずにHIV陽性の患者と握手をした写真は有名です。当時「HIV・エイズは触れただけで感染する」と考えていた人々の考えを覆すことになりました。

他にも、病に苦しむ子どもたちの支援、ホームレスセンターの定期的な訪問、地雷除去活動、そして、アートや芸術のパトロンなども行っていました。ときには、ホームレスの宿舎や病院の重病患者の慰問に、幼いウィリアム王子とヘンリー王子を連れて行くこともあったそうで、そのことについて、こんなふうに話しています。

「王子たちはこういう現実があるという知識を得ました。その知識を使うということは一度もないかもしれませんが、種は蒔かれました。その種が目を出してくれればいいと願っています。私はあの子たちに国民の気持ちや不安。悲しみ。希望や夢を理解してほしいのです。」

ダイアナ元皇太子妃は当時から注目が集まる人だったので、彼女が行動を起こすことで、多くの人達がその現実を目の当たりにしたのではないでしょうか。彼女が亡くなったあとには「ダイアナ・メモリアル基金」が立ち上がり、1億4500万ドルがチャリティーに使われたそうです。「彼女の善意が続いています。」とLOVEちゃん。世界中に植民地が多いイギリス。チャールズさんと結婚した後、慰問ツアーを職務の一つとして世界を回っていたダイアナ。その中で、自分の人生は人を救うことだというコメントを残しています。

まさに、そんなダイアナ元皇太子妃をいかに愛し偲んでいたかはこの曲の中にこう描かれています。

「さようなら英国の薔薇」「あなたの生涯は 風の中のキャンドルのように、たとえ陽が沈んでも灯り続けた。たとえ雨に打たれても、あなたの歩みはいつまでも英国の緑の丘に残っています。あなたがもたらしてくれた喜びは言葉で表せないほど、あなたの伝説は永遠なんですが、あなたの命はそれより少し早く燃え尽きてしまっただけ。」

ダイアナを慈しんで悼んで、この曲がどれだけイギリスの人たちの心に届いたかと想像するに容易いです。多くの人たちの心に届いた1曲です。


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(*1週間聴取可能です)

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