大分県佐伯市の別格−創業300年以上の糀屋本店の別格−


市町村としては九州最大の面積を誇る佐伯市。この街に「塩糀」ブームの火付け役になった有名な糀屋ウーマンがいるのをご存じですか?
創業326年。「世界中の人を、お腹から元気に、幸せに」をコンセプトに掲げる糀屋本店、9代目の浅利妙峰さんです。




−欲をもった人がいれば続いていかない−

日本には、前例を超越し、人を呼び、人を癒す、別格な場所があります。第二回の今週は、武家屋敷が今も残る城下町、佐伯市。
元気いっぱい、笑顔いっぱいの糀屋ウーマン、浅利妙峰さんにお話をおうかがいしました。
糀屋本店・女将さん「私はエジソンが発明したみたいに塩麹を発明したわけではない。たまたま文献の中で塩麹を見付けた。私が気付かなくても誰かが気付いたでしょう。でも金銭的に欲をもった人がいれば続いていかない。日本の考え方としては、徳を積みなさい。『情けは人の為ならず』。自分が情けをかけることがあれば、いずれ自分にも情けをかけられることがくる。丸い円の中で生きているような気がします。マクロビ系のブログのコメント欄に麹を使ってみませんかとコメントを書き続けました。それで興味のある人はサイトまで来て、広がっていった。欲がなかったからよかったんです」

−日本の国菌に−

塩糀とは、糀と塩と水を混ぜて発酵、熟成させた日本古来の調味料のこと。肉や魚をこの塩糀に漬けると、うまみ成分が増します。
さて、この麹とは日本だけのものなのでしょうか。

糀屋本店・女将さん「日本だけです。2006年に麹菌は日本の菌、『国菌』に指定されました。コウジカビというのは、日本にしかいない菌。中国はベに麹菌がいますが、日本でべに麹をつくろうと思って空中からとってもいない。中国でも同じです。こちらから麹菌をもっていかない限り、外国にはいません。麹菌は完全菌ではありません。野菜を育てるとき、種を取って来年まけばおなじ実がなりますが、麹菌はまだ不完全なので少しずつ違ってくる。昔の麹菌は有毒とされた菌を含んでいたが今は安全な菌になっています。酒、しょうゆ、みそなどジャンルに分けた麹菌がつくられています」

大分県佐伯市は、先週ご紹介した臼杵市より、さらに南に位置しています。江戸時代から「佐伯の殿様、浦でもつ」と言われたように、海の幸、山の幸が豊富で、その名残は、今も町の至るところに見受けられます。
1689年、豊後佐伯藩の船頭として藩主・毛利公に仕えていた初代・吉佐衛門信義は、この地に糀屋本店を創業しました。今なお残る糀室や作業場は、鎖国で役目を終えた船の木材を利用しているそうです。
江戸、明治、大正、昭和、そして平成。9つの代を受け継いできた伝統と、ブログで塩糀を世界に発信する先鋭。

その二つを可能にしたのが、9代目の糀屋ウーマン、浅利妙峰さんです。

−外国の人はわかるのか?−

浅利妙峰さんは、海外にも、塩糀の素晴らしさを広める活動をなさっています。しかし、外国人に、塩糀のうまみは伝わるのでしょうか。

糀屋本店・女将さん「うまみ成分がわかるかどうかはわからないですけど、身体にいいものは美味しく感じるみたいです。『脳はバカ、腸はかしこい』という本があります。化学調味料や、見た目に脳はだまされるけどそれを食べたときに何となくお腹の調子が悪いとか、胃がムカムカするとか。体が本来とってはいけないものだよと、教えてくれているということ。これからは、化学的なものではなくて、地産地消の新鮮なものを食べるのが私たちの体にとって一番いいことなんだと、もう一回取り戻して。腸を元気にすることが私たちが健康でいられること。食べることは生きることと、思い出さなければいけないです」

日本の食文化を支えてきたのは、みそ、しょうゆ、酒などの発酵食品です。かつては各家庭で糀をつくり、家族の健康を守ってきました。その日本古来の糀が、世界で見直されている、というのも不思議な感じがしますね。ヨーロッパの人は、すぐに塩糀を受け入れてくれるんですか?




−ヨーロッパの人は?−

糀屋本店・女将さん「ドイツでは無謀と言われたがソーセージをつくりました。豚肉ミンチに10パーセントの塩麹を入れてもみ込んで、練り、伸ばしてフライパンで焼いただけ。説明したときには興味なさげだったが、食べさせればわかってくれます。みんな『どうやってつくるんだ?』と、あっという間になくなりました」




日本の発酵調味料の源である糀を、もう一度、全国の食卓に広めたい、そんな浅利さんの想いが、塩糀の再発見で、かなうことになりました。浅利さんが考えた塩糀のレシピは、クックパッドでも300種類以上紹介されています。
|| TOP ||